映画の盛衰の歴史と共に、メジャースタジオの顔ぶれも変遷を重ねてきましたが、現在は一般的にメジャースタジオと言えば、パラマウント、20世紀フォックス、ディズニー、ユニバーサル、ワーナー・ブラザーズ、ソニーの6大スタジオを指します。どのスタジオも東京ドームが何個も入るような広大な敷地を持ち、防音スタジオはもちろん、屋外セットの町並み、レストランからスターバックスまでが撮影所内に揃っています。
また、往年の映画人にちなんで名付けられた通りや建物も多く、一歩足を踏み入れるだけでそこには映画の世界が広がっているのです。今回は、そんな夢膨らむ場所を垣間みることのできる見学ツアーを中心に、6つのスタジオ情報をザ・シネマのロサンゼルスオフィスからお届けします。
■パラマウント
まず始めは個人的にもおすすめのパラマウント。代表作に「ゴッドファーザー」、「ローマの休日」などがあり、昨年 100周年を迎えた同スタジオは、メジャースタジオの中でも一番の伝統を誇ると言っていいでしょう。未だに文字通りハリウッドに撮影所を構える唯一のメジャースタジオでもあります。
2時間ツアーなら48ドル、4時間半の豪華ツアーなら150ドル、どちらもガイド付きで、ニューヨークやシカゴの町並みを再現したセットや、衣装、小道具の見学など、映画の世界を堪能することができます。もちろん、スターや実際の撮影に遭遇することも。ただし全ては貴方の運次第。
ついていれば、一生の思い出になること間違い無しです。パラマウントでもう一つ特徴的なのが、隣に墓地があること。というよりむしろ、墓地の一部に建てられたのがこの撮影所だったのです。カリフォルニアの史跡にも指定されているHollywood Forever Cemeteryには、ダグラス・フェアバンクスやタイロン・パワーといった往年のスターが数多く眠っています。しかもさすがハリウッド。墓地なのに今ではコンサートや野外映画にも使われています。墓地は入場無料、お墓マップもあるので、パラマウント見学のついでに一見の価値あり。また、近くにはショッピングで有名なメルローズ通りもあり、スタジオ・墓地と合わせた観光コースにぴったりです。
■20世紀フォックス
1935年に誕生した20世紀フォックスの撮影所は、ビバリーヒルズに隣接するセンチュリー・シティーにあります。その名前からも窺い知れるように、かつてはセンチュリー・シティー全体が20世紀フォックスの土地でしたが、財政難に陥った同社が土地の一部を売却。現在は、トム・クルーズやブラピなどの大物スターばかりを抱えるタレントエージェンシー、CAA(Creative Artists Agency)を始めとするオフィスビルやホテルなどが立ち並び、ごく最近までは、MGMのオフィスもここにありました。さて、残念ながら撮影所自体はツアーが行われていないため中に入る事はできませんが、真横にそびえ立つ、あの「ダイ・ハード」で有名なナカトミビルことフォックスプラザビルを見上げることができます。撮影所敷地内はと言うと、屋外セットが他のスタジオと比べて小さく、ニューヨークの一角ほど。それもツアーが行われていない所以かもしれません。印象的なのは防音スタジオなどに描かれた大きな壁画。
入るとまず駐車場の壁に描かれた「サウンド・オブ・ミュージック」冒頭シーンのジュリー・アンドリュースが迎えてくれます。他にも「シンプソンズ」や「スター・ウォーズ」の巨大な絵は間近で見ると迫力たっぷりですので、撮影所が公開された暁には探してみてください。
■ディズニー
20世紀フォックス同様に一般向けツアーを行っていないのがディズニー。
しかし!諦める事なかれ。全く手がない訳ではなく、オフィシャルファンクラブであるD23に入会すれば、VIPツアーに参加することもできるのです。
敷地内には巨大な7人の小人たち が支えるビルがでんと構え、そこかしこにミッキーやその他のキャラクターが隠れているので、ファンにはたまらないはず。
ただ、やはり元々がアニメーションスタジオのためか、セットらしいセットは古い町並みが通りの片側に並ぶのみで、
実写映画ファンにとっては少々寂しいところ。
■ユニバーサル
パラマウントと並んで昨年100周年を迎えたユニバーサルは、USJのお陰で日本でも比較的馴染みのあるスタジオではないでしょうか。
敷地内にテーマパークが併設されていることもあり、その規模は6スタジオの中で最大。2008年には火事で「バック・トゥ・ザ・フューチャー」に使われた時計塔など、撮影所の一部が消失してしまいましたが、「ジュラシック・パーク」などで同スタジオと縁の深いスティーブン・スピルバーグも協力するなど、2億ドルを費やして2年後に新セットが見事完成しました。実はユニバーサル、約20年前にも、そして今年の初頭にも火事の被害に遭うなど災難続き。それでも、生まれ変わったニューヨークの町並みはもちろん、以前からある西部の町、デスパレートな妻たちが住んでいたウィステリア通りなど、セットの充実度は抜群。そんなセットは、69ドル(オンライン価格)の一般ツアーや 、299ドルの豪華VIPツアー(ランチ付き)で見学可能。そして、どちらもテーマパークの入場料が含まれているため、お得感も抜群なのです。
■ワーナー
1923年に設立されたワーナー・ブラザーズは、これまでDCコミック原作のバットマンシリーズやスーパーマンシリーズ、さらにハリーポッターシリーズなどの超大作を生み出してきました。ディズニーとユニバーサルの間に位置する撮影所には、30もの防音スタジオがあり、
屋外セットも数種類の町並みと住宅街が揃っています。中にはセットでありながら実際に機能する大型劇場なども。
こうしたセットなどは、52ドルで約2時間のVIPツアーで見る事ができます。また、250ドルというお値段も凄ければ、何と5時間もの長丁場というランチ付きデラックスツアーでは、セット見学に加え、小道具・衣装などの製作現場やサウンド収録現場なども見学する事ができます。そして個人的イチオシショップ。人気ドラマ「フレンズ」に登場したカフェCentral Perkを模したスタジオショップとVIPツアーショップには、スタジオグッズを始め、アメコミヒーローやハリポタのグッズが並べられ、取り揃えは6スタジオ中随一ではないでしょうか。
■ソニー
1989年にコロンビア・ピクチャーズを買収し、ハリウッド黄金期に栄華を誇ったMGMの敷地に建てられたのが、
メジャースタジオで唯一日本産のソニーです。20世紀フォックスやディズニーより大きい屋外セットを持つ撮影所は、2時間35ドルのツアーで見学することが可能。
夏場のみ実施される夜のツアーは、正に”マジックアワー”のスタジオを楽しむ絶好の機会です。ソニーのあるカルバー・シティーは、その昔幾つもの映画スタジオが存在していた映画の町。名作「風と共に去りぬ」や「市民ケーン」なども撮影されたカルバー・スタジオや、1947年に建てられたカーク・ダグラス・シアターが、当時の町の面影を伝えます。また、市内に点在する映画にちなんだアートを探して歩くのも、この町の一つの楽しみ方です。
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さて、華やかな映画の都に君臨する6つのメジャースタジオ、いかがでしたか?
夢の工場の裏側は見たいけれど今すぐはちょっと無理、という方のために、ザ・シネマではスタジオに行った気分になれるお土産をご用意しました。中身は届いてからのお楽しみ。そして是非いつかハリウッドスタジオを訪れてみてください!