
――今回演じたジュールズについてどんな印象がありますか?
本当に等身大の女の子だなという印象です。やはり虚勢を張ったり、 自分の本当の気持ちを隠したりして強い自分を演じたい、演じようとする気持ちは誰にでもあるものだと思いますし、 自分にも経験があるので、演じやすかったです。
――音響監督・吹替演出を担当した依田孝利さんとは、どういったやりとりがあったのでしょうか?
依田さんが一番大切にするようにとおっしゃっていたのが、彼女はいつも虚勢を張ってる子だということ。 だから“いい女を演じている”という表現は難しかったです。わざと芝居がかった話し方で演じていて、そうすることで、 7人の中での彼女の存在が、いい意味で浮いている風になるといいなというのは意識しました。ただ収録は他の方と一緒ではなかったので、 仕上がった映像がどうなるのか。これから楽しみです。
――収録の雰囲気はどんな感じだったんですか?
収録は1人だったので、本当に淡々と、という感じでしたが、監督が直接見てくれているという安心感があるので、 そこまで焦りはなかったです。監督と一対一でディスカッションを重ねながら、リラックスして挑むことができました。
――アニメと洋画の吹き替えとの違いはどのようなところに感じていますか?
やはり技術的なことが一番大きいです。アニメーションだと、まだ絵ができていない段階でアフレコをすることも多いので、 ある程度のアドリブだったり、尺にそこまでぴったり合わせなくてもいいという意味での自由度は高いのですが、 外画の吹き替えになるとやっぱり本国の役者さんがその役を作っていらっしゃるので。 その方のイメージと、自分のイメージのすり合わせをして。なおかつ翻訳の方がぴったり口に合うように翻訳してくださっているので、 その思いもちゃんと乗せて表現できるようにするのが大変です。
――今回、「ザ・シネマ新録版」7人のメインキャストのうちの一人に選ばれたわけですが、お話を聞いたときはどう感じましたか?
そうそうたる声優陣の皆さんの中で、私の名前も挙げてくださったことは本当にもう感謝しかありません。実際、今回の吹き替えのキャストも、本国の役者さんたちと同じぐらいの世代のキャストを集めたと伺いました。私はデビューが遅かったので、同世代であっても皆さんよりはずっと経験が浅いんですが、それでもわたしを信頼してジュールズという素晴らしい役を任せていただけたことは本当に光栄だなという気持ちでいっぱいでした。
――ほかの作品などで共演されていた方も多いのでは?
そうですね。特に石川界人さんはデビュー作でご一緒させていただいたので、本当にお世話になったと感じています。 ただ最近だと、共演させていただいた時に、収録時間が同じじゃないこともあり、共演しているという感覚がなかなかつかめなくて。 でも後から完成された映像を見ると、あらためて共演できて本当に光栄だなと思ったり、 次はまた別の作品でご一緒できるように頑張ろうと思うきっかけになります。
――今回の「ザ・シネマ新録版」のように、過去の名作をあらためて吹き替えするというプロジェクトについてどう思いますか?
わたしも小さい頃や、今でもそうですが、過去の名作をたくさん見てきました。ただどうしても昔の作品だと、 当時の吹き替えキャストの方のイメージが固まっていることもあって。いち視聴者としてそれはものすごく楽しいのですが、 それと同時に自分はまだキャリアも浅いから、昔の名作に携わることはなかなかできないんだろうなという思いもありました。 なのでこういったプロジェクトのおかげで過去の名作に携わることができて本当にうれしいです。
――そういった意味で、ファンが多い作品を吹き替えるプレッシャーはないですか?
そうですね。でも私はむしろそのプレッシャーで燃えるタイプなので(笑)。 よし、いいものを作ろうって逆に熱くなるタイプです。 だから良いものを作ろう、良いお芝居をするぞ、という気持ちで挑みました。
――この作品は過去に本作を観ていた人はもちろんのこと、若い人たちにも観てもらいたい作品だと思いますが、そうした方に向けてメッセージをお願いします。
今はSNSなどが発達しているので、大事な友達との会話の時間が減ってきているのかなと思っていて。 友だちとも疎遠になりやすい環境なのかなと思うんです。 でもそんな時代だからこそ、直接会ってコミュニケーションをとることの大切さを私はこの作品から感じましたし 、そうした友だちの大切さをこの作品から感じていただけたらと思います。

――あらためて収録を振り返ってみていかがでしたか?
レズリーってたくさん表情が変化するキャラクターだったので、思い切ってやるシーンも多かったです。
怒るシーンやテンションが上がるシーンもあるので、そういう起伏を割りと大きめに、というのはディレクションでもいただきました。
ひとり個室で録ったというのもありますけど、どんどん自分の熱量が高くなってきて。けっこう汗だくになりながら収録していました。
演出の依田さんとは、作品のキャラクターの世代が、ちょうど親と同じぐらいというような話をしていたんです。
わたし自身、両親から聞いていた80年代の空気だったり、日本だとここからバブル期に進んでいくような時代だったと思うので、
そういうところに思いをはせながら見ていました。
――この映画のテーマは普遍的なところがあると思いますし、この企画自体も今の若い人に見てほしいというところもあるわけですが、早見さんが思うおすすめポイントなどはいかがでしょうか?
それは本当にたくさんあって。わたしが見ていて思うのは、 学生から社会人になる変化ってみんな経験しているのではないかということ。 まだ学生気分が抜けないねとか、もう大人なんだからと、言葉で言われたりしますけど、 20代前半ってまだ不透明なことも多いですし、自分の将来に不安を感じることもあると思うんです。 まわりがどんどん先に進んでいく中で、自分だけが変われなかったりとか、そういう葛藤が作品には描かれているので、 そこには私も共感しましたし、20代前半くらいの方にはきっとより一層共感していただけるのではないかなと思います。
――早見さん自身は、レズリーというキャラクターをどう捉えていましたか?
レズリーはかっこいいなと思いました。作品の中のレズリーって子どもみたいですし、 すごく大人っぽいところもあるというか、そういうギャップがある人だと思います。 日本語で吹き替える時は、どういうトーンで、どういうテンションで表現したらいいか、 そのあんばいはとても悩みました。でもセリフのひとつひとつに、自立している感じがあります。 逆にさっぱりしすぎていて、驚いてしまうところもありますけどね(笑)。
――この作品のテーマは友情というところがあると思いますが、早見さんはこの7人の友情というのはどうご覧になりました?
7人の中では、きっとこの作品の前もいろいろなことがあっただろうし、
そういうのを一緒に共有して、一緒に乗り越えて、ずっと歩んできたメンバーだからこそ、
これだけいろいろなことがあっても、いい関係を築くことができたんだろうなと思いました。
本当に尊い関係性ですよね。なんならこの映画に描かれた以前の7人も見たいですし、
やっぱりこの先の7人も見たいですよね。それぞれの道を歩んでいる彼らはきっとまたどこかで集まるんだろうなと、
そういう関係性はこの先も続いていくんだろうなと想像しています。
――この作品のテーマは友情というところがあると思いますが、早見さんはこの7人の友情というのはどうご覧になりました?
7人の中では、きっとこの作品の前もいろいろなことがあっただろうし、
そういうのを一緒に共有して、一緒に乗り越えて、ずっと歩んできたメンバーだからこそ、
これだけいろいろなことがあっても、いい関係を築くことができたんだろうなと思いました。
本当に尊い関係性ですよね。なんならこの映画に描かれた以前の7人も見たいですし、
やっぱりこの先の7人も見たいですよね。それぞれの道を歩んでいる彼らはきっとまたどこかで集まるんだろうなと、
そういう関係性はこの先も続いていくんだろうなと想像しています。
――早見さんといえば、先日『ローマの休日』の吹き替えを担当されていましたが、いわゆる過去の名作の吹き替えを行うのは、気持ちに変化はありますか?
ずっと受け継がれてきた作品にまさか自分が携わるなんて、まったく考えていなかったので正直驚きましたし、
すごくうれしいことだなと思います。それプラスやはりちょっと緊張します(笑)。
それだけ愛されている作品ですから、皆さんの作品に対する思いを感じながらアフレコに臨むことになるので、
ドキドキする要素も多いですね。
今回の作品もそうですけど、多くの人に愛されている作品がもう一度、吹替版を作って放送されるということで、
そこで作品を知るきっかけになる方もいると思うんです。いい作品を新しい世代に伝えていく担い手になれるので、
それは本当にうれしいことですし、光栄だなと思います。
――では最後に、これからご覧になる方へのメッセージを。
『セント・エルモス・ファイアー』を好きな皆さまにもぜひ、 ここであらためて見ていただきたいなと思いますし、この作品にここで初めて出会うという方も、 新しい発見とともに楽しんで見ていただければうれしいなと思います。日本語吹き替え版で今回、 わたしもレズリーとして参加させていただきましたので、ぜひぜひ青春に寄り添うように皆さまに楽しんでいただければうれしいです。

――今回のウェンディという役柄のキャスティングを聞いていかがでしたか?
確かにこの7人の中だったらわたしがウェンディですよねと思いました。 彼女のように、思っていることをなかなか口にできない感じは共感できますよね。
――収録のときは、演出の依田さんたちとどういうやり取りをしていたんですか?
家で練習しているときに役作りに悩んでいたんですよね。ウェンディはちょっと内気というか、
内向的にも思えるキャラクターなんですけど。でも彼女の悩みが本当にリアルで。
わたしもすごく分かるなということばかりでした。しかもそれにちゃんと一つ一つ向き合って、自分で進んでいくんですよね。
そういうところを見ていると、あまり声を作るというよりは、リアルにやった方が合うんだろうなと思って。
その路線でアフレコをやってみたら、依田さんもいいねって言ってくださったんです。
ですから特にこのキャラクターをこうしましょうといった話し合いはなく、わりとスムーズに収録は終わったような気がします。
――では今回は割とナチュラルな感じの吹き替えという感じなんですね。
そうですね。等身大という感じだと思います。
――今回の7人の仲間たちのキャスティングを聞いた時はどう思いました? おそらく普段、 アニメなど他の作品で共演されている方も多かったんじゃないかなと思ったんですが。
そうですね。本当に皆さん、上手い方ばかりなので、わたしも頑張らなきゃと思いました(笑)。
――洋画に向き合う時に準備していることはありますか?
わたしはそこまで外画に慣れてるわけじゃないので、事前のチェックはアニメよりも時間がかかりますね。 息遣いや表情、動きの強弱など、どうやって合わせていこうかなと思って、いろいろ観察するのにけっこう時間がかかります。
――その上でウェンディを演じたメア・ウィニンガムさんの特徴など、今回チェックした中で気付いたところはありましたか?
彼女は、ふと漏れるひと言みたいのがめちゃくちゃかわいいんですよ。 けっこう自虐的なことをボソッと言う時なんかも、その表情や言い方がすごいかわいらしくて。そこはすごく意識して拾うようにしていました。
――では本編を観る際には、そうしたウェンディのさりげないひと言にも注目しておくといいということですね。
そうですね。ぜひ。
――今回は80年代の名作に、今の時代ならではのキャストが集まって新たな吹き替え版を作ろうというコンセプトだったわけですが、この企画を聞いたときはどう思いましたか?
こういう試みがあるということは知ってはいたんで、どこかのタイミングで参加できたらなと思ってはいたんですが、 やっぱり普通にお仕事をしていると新規の作品の吹き替えをする機会の方が多いじゃないですか。 だから昔から皆さんに愛されている作品を吹き替えできる機会をいただけてとても嬉しかったですね。 ただ漫画原作のアニメとかもそうですけど、やっぱり愛されてる作品だからこそ、 自分の中で声のイメージがついちゃってるものもあるんじゃないかなと思って。その辺はちょっとドキドキはしますけど(笑)。 気に入ってもらえたら嬉しいなと思います。
――本作のテーマとしてはやはり、希望を胸に抱いて社会に飛び出した大学の同級生たちが再会し、友情の大切さを再確認するところがあると思いますが、花澤さんも共感するところはあるのでは?
ありますね。わたしは仕事をしながら大学に通ってたんですけど、 なんであんなに時間があったんだろうなというくらい、友だちと朝までファミレスにいたりしていて。 何で大学時代ってあんなに喋ることあったんだろうと不思議に思いますね。
――元気というのもあるかもしれませんね。
きっとパワーがあり余ってたんでしょうね。もし過去に戻れるならいつに戻りたい? と聞かれたら、きっと大学時代と答えると思います。今でも付き合いあるのは大学時代の友だちが一番多いかなと思いますね。
――そういう意味でこの映画を観ると、学生時代を思い出すというのはありますよね。
そうですね。ただわたしの友だちはここまで入り乱れた感じではなかったですが(笑)。 でもあの自由な感じはすごく分かるし、友達と一緒にいると昔の思い出がすぐに蘇ってくる。 そんな感じはすごく共感できますね。キャラクターそれぞれに違う悩みを持っていて、それはきっと誰しもが抱える悩みだと思いますし、 観ている人もどこかで共感できるようなキャラクターがいるんじゃないかなと思います。
――では最後にこれからこの新録版を見る方にメッセージをお願いします。
この映画に出てくる人たちはいろいろな悩みを抱えていますけど、 それでも友だちがいるからこそ、ちゃんと一歩ずつ前に進んでいくことができる。 そんな姿が見られるので、見終わった後にさわやかな気持ちになれる映画だと思います。 ですからこの映画を観たことがない方も、これをきっかけに観てほしいなと思うし、 前から好きだったという方にも、この新録版を気に入っていただけたらめちゃくちゃ嬉しいなと思います。 きっと友だちに会いたくなるような作品だと思います。