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PROGRAM/放送作品
「スパルタカス」スペシャル
話題沸騰のTVドラマ・シリーズ『スパルタカス』の見所をいち早く紹介!
今年全米で高視聴率を記録したTVドラマ・シリーズ『スパルタカス』をスター・チャンネルでは7月から独占日本初放送!その見所を紹介する特番。ザ・シネマ放送のキューブリック監督の名作『スパルタカス』も必見!
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COLUMN/コラム2015.09.09
【DVD/BD未発売】日本での劇場公開もソフトのリリースもなし。アメリカから届いたマイナー映画の力作をこのチャンスに是非!〜『ファミリー・ウィークエンド』〜
そもそも、ハリウッドのメジャーカンパニーはシリーズ映画のプリクエルかリブートしか作ってないのだ!と言ったら叱られるだろうか? それはさて置き、そんな知名度優先のハリウッドでも、年に数本、スター不在のシリーズ映画ではないオリジナル作品が細々と製作され、それなりの評価を得ている。『ファミリー・ウィークエンド』はまさにそんな1作だ。配給元としてクレジットされているBedford Falls Companyの過去作を調べてみら、ジェイク・ギレンホールとアン・ハサウェイがバイアグラの営業マンと若年性アルツハイマーを患う女性との恋を描いた『ラブ&ドラッグ』(10)にヒットした。なるほど、さもありなん。『ファミリー~』も頑張り屋の女子高生が両親を拘束するという危ない設定から、観客を一気に想定外の領域へと誘う異色コメディに仕上がっている。こんなチャレンジングな企画にGOサインを出せるのはインデペンデント系ならでは。全米公開から2年以上が経過した現時点で、日本での劇場公開もソフトのリリースもされてないので、映画好きにとってはお得感満載だ。 舞台は雪深いアメリカ、ミシガン。ある冬の朝、郊外に建つ瀟洒な豪邸で目覚めた主人公のエミリーが、家族の目に付きそうな場所に高校の縄跳びコンテストまで時間が迫っていることを記したメモを貼り付けている。なぜなら、今の家族は全員バラバラで、自分がコンテストで優勝しようがしまいが知ったこっちゃないことをエミリーは知っているから。案の定、見事優勝を勝ち取り、州大会へとコマを進めたエミリーを祝福する家族の姿は会場にはなかった。そこで、エミリーは一計を案じる。こうなったら、パパとママを睡眠薬で眠らせてから拘束し、もう一度夫婦とは、親とは、家族とはどうあるべきかを自らレクチャーしようと!?勿論、一歩間違えば、否、確実に罪に問われることを承知の上で。 果たして、エミリーの"両親拘束計画"は再び家族をひとつに束ねることになるだろうか?という、大方の道筋はインデペンデント系とは言えハリウッド映画の王道を外さないのだが、製作、監督、脚本各々の担当者がTVドラマに精通しているせいか、とにかくキャラクターの描き方が巧い。まず、今や立派なスポーツとしてギネスにも登録されているスピード縄跳び(1分間に何回飛べるかを競う)に熱中しているエミリーは、映画の冒頭から一点を見つめて小刻みに縄を飛び越える姿に象徴されるように、とにかく一所懸命で一途。家族を再生させるためなら命すら捨てそうな勢いでストーリーも牽引して、終始スピード感に溢れたメインキャラだ。そんなエミリーに負けず劣らず、問題の家族も曲者揃い。パパのダンカンはここ数年絵らしい絵を描いてない落ち目の画家で放任&自由主義者、ママのサマンサはそんな夫に脇目もくれず家にも堂々と仕事を持ち込むワーカホリックな広告ウーマン、兄のジェイソンは映像アーティストの自称、ゲイ、妹のルシンダは常に『タクシー・ドライバー』(76)でジョディ・フォスターが演じた少女娼婦を模している映画かぶれ、弟のミッキーは動物オタク、と言った具合に。 しかし、キャラクターは風変わりなまま放置されると意味をなさない。まるで拡散したまま元に戻るようには思えになった彼らが、歌好きのお祖母ちゃん、GGの提案で片手に縫いぐるみを持ってリビングに集まり、拘束されたままの両親を囲んで、縫いぐるみを介してそれぞれの胸の内を吐露し合った時、丸い輪を形成し始める。実はみんな、バラバラな家族の中で何とか自分の居場所を見つけ、藻掻いていたことが露わになる。そう、エミリーの無謀な計画は無駄ではなかったのだ。 そんな家族再生ドラマとしての側面に加えて、本作にはもう一つ重要なテーマがある。ギネス級とは言えマイナーなスピード縄跳びにはまっているエミリーも、未だフラワーチルドレンなパパも、仕事に飢えているママも、ゲイを装った映像作家の兄も映画や動物にぞっこんの弟妹たちも、全員イカれているけれど、夢中になれるものがあるステキな面々。そこには、たとえ世間一般の倫理を逸脱していようとも、常識
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PROGRAM/放送作品
3D映画『牙狼<GARO>~RED REQUIEM~』の全て
『牙狼<GARO>~RED REQUIEM~』の公開に先駆け、3D撮影の裏側や監督・キャストのインタビューを交えて映画の魅力に迫る
日本初の本格的3Dアクション映画として注目を集める『牙狼<GARO>~RED REQUIEM~』。この公開に先駆け、3D撮影の裏側や監督・キャストのインタビューを交えて映画の魅力に迫るスペシャル番組
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COLUMN/コラム2015.01.17
追悼ロビン・ウィリアムズ 〜日本未公開作『ハドソン河のモスコー』が教えるlibertyの意味〜
昨年8月11日、突如舞い込んだロビン・ウィリアムズの訃報にショックを受けた人は多いことだろう。得意の物真似や話芸を駆使し、あれだけ『いまを生きる』(89)や『パッチ・アダムス』(98)で生きることの素晴らしさを説いてきた彼が、自ら人生の幕を閉じてしまうなんて……。長年うつ病に苦しみ、初期のパーキンソン病も患っていたと伝えられてから『レナードの朝』(90)や『奇蹟の輝き』(98)を観直すと、なんともいえない気持ちになってしまう。 63歳という早すぎる死に、俳優仲間やスタッフをはじめ世界中の人々が哀悼の意を表した。バラク・オバマ大統領は「ロビン・ウィリアムズはパイロット、医者、妖精、ベビーシッター、大統領、教授、ピーターパン、あらゆる存在でした。最初は宇宙人として登場し、私たちを大いに笑わせ、泣かせました。彼はその途方もない才能を、最も必要としている人たちのために惜しみなく捧げてくれたのです」とロビンがこれまで演じてきた役柄を引用して弔辞を述べた。「最初は宇宙人として」のくだりはロビンが無名時代の1978年、米ABCの人気コメディドラマ『ハッピーデイズ』(74〜84放送)のシーズン5で演じた異星人モークのこと。体制や常識に反発するなど周囲と異なる価値観を持つ役柄を数多く演じてきたロビンは、キャリアのスタート時点から“alien”(=異星人、在留外国人)だったのだ。 1951年7月21日、シカゴの裕福な家庭に生まれ育ったロビンは、奨学金でニューヨークにある名門ジュリアード音楽院で3年間演技を学ぶ。スタンダップ・コメディアンとして活動中、『ハッピーデイズ』のプロデューサーであるゲイリー・マーシャルにコメディの才能を見い出され、同ドラマのスピンオフシリーズ『モーク&ミンディ』(78〜82放送)に主演。このシットコムをきっかけに映画界へ進出。『グッドモーニング、ベトナム』(87)で見せたテンション高いマシンガン・トークでゴールデングローブ賞主演男優賞を受賞すると、名実共にトップスターに。『いまを生きる』(89)や『フィッシャー・キング』(91)でのシリアスな演技も高く評価され、『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』(97)ではアカデミー最優秀助演男優賞を受賞している。 こうした流れを踏まえた上で、彼のファンならぜひとも観ておきたいのが、今回「シネマ解放区」でHD放送される日本未公開の名作『ハドソン河のモスコー』(84)。得意のモノマネを駆使して、亡命したロシア人になりきった姿はまさしく芸達者のひと言だ。 製作された当時は79年のソビエト連邦によるアフガニスタン侵攻以降、東西冷戦の緊張が再び高まっていたころ。ロナルド・レーガン米大統領はソ連を「悪の帝国」と呼び、国防予算を大幅に増額して戦略防衛構想(通称スターウォーズ計画)の推進を発表。84年のロサンゼルスオリンピックはソ連以下、東ドイツ、ポーランドなど東側諸国が参加をボイコットしている。 32歳の若きロビンが演じるのは、ソ連のサーカス楽団員ウラジミール・イワノフ。共産主義下では革靴を買うにも寒空のなか長蛇の列に並ばなければならず、ありつけたところで希望するサイズは無し。トイレット・ペーパーを持ち帰れば、それだけで家族は大喜び。街中では反政府的な行動や言動がないか監視の目が四六時中飛び交う。それが当たり前なのだ。 そんな中、イワノフの所属するサーカスにニューヨーク親善公演の話が舞い込む。出発前、お目付役の役人は「諸君は革命国家の代表だ。決してアメリカの退廃に惑わされないように」と釘を刺すが、イワノフには気がかりなことがあった。親友でピエロ役のアナトリから「アメリカに亡命しようと思ってる」と打ち明けられていたのだ。失敗すれば収容所送りは免れない。何度も諭そうとするイワノフ。 一行が到着したニューヨークは、まさに夢の国だった。バスの窓から見えるのは派手なビルボード、ブレイクダンスを踊る少年、モヒカンの黒人パンクス。そこはまさに「自由」の国だった。無事公演を終えて帰路の空港に向かう途中、デパートで30分のみ買い物を許される一行。チャンスはここしかない。試着室で密談中のアナトリとイワノフをゲイと間違えた黒人警備員にいぶかしがられながらも刻々と迫る出発時間。決行のときが来た! だが、アナトリはあまりの事の重大さに臆してしまう。 すべてが終わり、あとは祖国の恋人へみやげを買って帰るだけのイワノフだったが、くすぶっていた何かがハジけるように「亡命したい!」という思いに駆られた彼は、その場から逃走。追っ手から逃げる途中、空港に向かうバスの中のアナトリと目が合った瞬間イワノフは取り返しのつかないことをしてしまったことに気づくが、初めて「自由」を手にした歓びは後悔を遥かに上回るものだった。 騒動の一部始終を見ていた黒人警備員のライオネルは宿無しのイワノフを自分の家に住まわせ、移民専門の弁護士ラミレスは亡命手続きの相談に乗ってくれ、化粧品売り場の女性店員ルチアとはいい仲に。 彼らは皆それぞれの事情を抱えてニューヨークへやって来た仲間なのだ。かくしてイワノフは生来の陽気な性格も手伝い、少しずつアメリカに慣れていく。だが、いいことはいつまでも続かない。やがて彼は「自由」の本当の意味を嫌という程味わされることになる。 自由には責任が伴うものだ。ニューヨークの象徴である自由の女神像は英語で「Statue of Liberty」。「liberty」も「freedom」も共に自由を意味する言葉だが、libertyが示すのは世界史の教科書を紐解くまでもなく「自らの力で闘って手に入れた自由」である。イワノフが思い描いていた自由は、ただ束縛から解放された状態の「freedom」だったのだ。 傷心のイワノフがアパートに帰ると銃を持った少年二人に襲われ、カネも身分証明も奪われてしまう。 「これが俺が命を賭けてまで求めた自由なのか?」 独立記念日の夜、レストランにいた客たちがアメリカ合衆国独立宣言を口にする場面は本作の白眉だ。ここでイワノフが笑顔を取り戻すまでの一連の会話は、ポール・トーマス・アンダーソン監督の『マグノリア』(99)で登場人物たちが「ワイズ・アップ」を歌い繋ぐシーンのような愛と赦しに満ちている。 「以下は自明の理である。すべての人は生まれながらにして平等であり、生命、自由、幸福の追求を含む侵されざる権利を神より与えられている」 映画ではここまでだが、実際の独立宣言は「これを確保するため政府という機関は作られており、もしも政府がその目的を破壊するものとなった場合、新しい政府を設けることは人民の権利である」と続く。まるで能動的な意思なき者はこの国を去れとでも言わんばかりに。 本作は、ジャズを生んだ黒人たちへのリスペクトを表しているところもいい。現在我々が耳にしているポピュラー音楽のほとんどは、奴隷の身分から解放されてなお迫害を受けてきたアメリカの黒人ミュージシャンが生み出したものなのだから。サキソフォン奏者であるイワノフはソ連にいた頃、両親たちと住む家のテレビに映った黒人たちの姿を見て「彼らは最高のミュージシャンだ」と賛美。そのままコールマン・ホーキンスやデューク・エリントンの名前を挙げ、スウィングジャズの名曲「A列車で行こう」のフレーズを口ずさむ。ご存知の通り、「A列車」とはブルックリンからマンハッタンを結ぶニューヨーク市地下鉄A線のことである。 最後に昨年6月、84歳で亡くなったポール・マザースキー監督についても触れておきたい。彼もまたユニークな経歴の持ち主で、スタンリー・キューブリック監督の処女作『恐怖と欲望』(53)などに俳優として出演する傍ら構成作家として活動。69年、脚本も手掛けた『ボブ&キャロル&テッド&アリス』で監督デビューを果たすと、『ハリーとトント』(74)、『結婚しない女』(78)、『敵、ある愛の物語』(89)がアカデミー賞脚本賞・脚色賞にノミネート。作品賞にもノミネートされた『結婚しない女』は、本作でも主人公がデートで観に行く映画として登場している(これ絶対デートに不向きな映画というギャグでしょ!)。生まれも育ちもブルックリンという地の利を活かし、至る所で目をひく看板、ブレイクダンスを踊る子ども、黒人のモヒカンパンクスといったニューヨークの街並み。冒頭からバスの中、日光が差し込みロビンの顔が照らし出されるショットの美しさたるや! 加えて祖父母がロシアからの移民という彼にとって、本作は自伝的作品である『グリニッチ・ビレッジの青春』(76)と並ぶ重要な作品だったのではないだろうか。 多民族ながら決してひとつに混ざり合うことのない“人種のサラダボウル”ことニューヨークを絶妙な距離感で描いた本作は、ペーソスほんのり、ラストはすっきり(そこにオイシイ役どころで登場するKGBのエージェントは、実際に亡命者であるロシア人俳優サベリー・カラマロフが演じている)。チャカ・カーンの歌うシルキーなエンディングテーマ「フリーダム」も心地よく、深夜に観れば、翌日の活力となること間違いなしの一本だ。■ Copyright © 1984 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.
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PROGRAM/放送作品
ネイキッド・タンゴ
“二人はタンゴでしか愛を交わせない”。組織の一匹狼と、彼を憎み愛する女の情熱的な愛の物語。
『蜘蛛女のキス』の脚本家、レナード・シュレイダーが脚本と初監督を務めた耽美的なラブストーリー。ヒロインには、『スペースバンパイア』で日本にも一部に熱烈なファンを持つマチルダ・メイ。
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COLUMN/コラム2014.05.03
【DVD吹き替え未収録】役者エディ・マーフィをどう解釈し、どう演じ直すか。日本が誇るべき文化、“吹き替え”の真髄がそこにある。
海外で作られた映画・ドラマ・アニメなどの台詞を翻訳し、新たに俳優陣が演じ直す “吹き替え”。日本の映画ファンには、様々な理由を挙げて“字幕派”を標榜する人がいるが、中には只の原語至上主義者もいて、これらを一緒くたにすることには違和感がある。一方、“吹き替え派”は、字幕より吹き替えのほうが作品を理解するのに必要な情報量が多いことに加え、吹き替えを手がけた日本のスタッフ・キャストがどう作品を解釈したかも味わうという大きなお楽しみを共有している。 外国作品を吹き替えで見るのが当たり前という国は多い。アートの国フランスもそうだし、米国こそ、まるで字幕を毛嫌いしているかのようだ。たとえば日本の宮崎駿監督のアニメには、そうそうたる顔ぶれのハリウッドスターが英語吹き替えに集結している。 よく日本の吹き替えは世界最高レベルといわれるが、1本の作品に声優として参加する俳優の数が多い事実は確かだ。米国アニメ「ザ・シンプソンズ」のオリジナル・キャストは主要6人で30人を超えるキャラを演じるが、日本の吹き替えでも台詞が一言しかない複数のキャラを少数の俳優が演じ分けることが多いとはいえ、最終的に映画1本に20人以上が出演することも。こんな“吹き替え”を、文化と呼ばずしてなんと呼ぶのだろう。 前置きが長くなった。エディ・マーフィ。1980年代のハリウッドに彗星のごとく現れ、多数のヒット作に主演しているスーパースターだ。近年では『ドリームガールズ』でアカデミー助演男優賞にノミネートされながら、自分が受賞を逃したと知ってすぐ授賞式の会場を後にするというホットなエピソードを残した。そんな破格の才能マーフィを、日本の吹き替え文化はどう解釈してきたのか。 マーフィが全米で注目を集めたのは、人気バラエティ番組「サタデーナイトライブ」でのこと。初出演当時はまだ19歳で脇役扱いだったが、その芸達者ぶりが認められ、そのシーズンが終わる頃には史上最年少でレギュラーに格上げされた。自身と同じアフリカ系をからかい、セレブたちも同等にコケにするという独自の過激な芸風で人気を博した。 そんなマーフィが映画デビューを飾ったのが1982年の『48時間』。相棒を殺されたジャック刑事(ニック・ノルティ)は、犯人について詳しい受刑者レジー(マーフィ)を48時間だけ釈放させ、捜査に同行させる。ザ・ポリスのヒット曲「ロクサーヌ」をエキセントリックに歌いながら、マーフィは登場。それまでのシリアスな空気を一瞬でユーモラスに変えてしまうだけでなく、主演のノルティを食いかねない、圧倒的存在感を見せた。 『48時間』が日本テレビ系で、続編『48時間PART2/帰って来たふたり』がフジテレビ系で放送された際、レジーを演じたのは下條アトム。実力派俳優だが、海外ドラマ『刑事スタスキー&ハッチ』でスタスキーの声を演じ続けた、吹き替えの名手でもある。“スタハチ”はバディもののお手本のようなドラマだが、そこで三枚目に近いスタスキーを演じた下條にマーフィ演じるレジーをアテさせたのは、下條のネームバリューとバディものを演じるスキルの高さ、両方が生む相乗効果を計算してのキャスティングだったと思う。相手役のノルティをアテたのが、『48時間』では故・石田太郎(吹き替えでは『新刑事コロンボ』も有名)、『48時間PART2~』ではアーノルド・シュワルツェネッガーなどタフガイ役を得意とする玄田哲章というのも、下條の軽妙さをより際立たせる。ちなみに、第1作と第2作の両方で樋浦勉が異なる悪役を演じているが、こんな洒落っ気も吹き替えの魅力だ。 そしてマーフィにとって、今なお語り継がれる代表作になったのが『ビバリーヒルズ・コップ』の3部作。マーフィが演じるのは、不況の町デトロイトで働く刑事アクセル。頭の回転が速く腕っぷしも強い、しかしユーモアを大事にする愛すべき男だ。そんなアクセルが友人を殺した犯人を追って高級住宅街ビバリーヒルズへ。そこでルールやモラルを重んじる地元警察の刑事たちと対立する。第1作の見ものはデトロイトとビバリーヒルズの文化ギャップを軽々と乗り越えるアクセルの活躍。冒頭の違法取引でのマシンガントークから、まさにマーフィの独壇場となっている。 気にしたいのは、『48時間』第1作ではまだ準主演だったマーフィが、『ビバリーヒルズ・コップ』では主演に格上げされている点。マーフィ自身のプロダクションも製作に名を連ねている。『48時間』の大ヒットを受け、映画会社パラマウントはマーフィと独占契約を結んだ(一説によれば5本の出演に対し1500万ドルも払うという破格の待遇だった)。なお余談だが、当初はシルヴェスター・スタローンの主演が予定されたが、スタローンは脚本を直したいといういつもの悪い癖(?)を出し、マーフィがアクセル役に抜擢された。 第1作がテレビ朝日系で放送された際、マーフィの声を演じたのは富山敬。アニメ界において『宇宙戦艦ヤマト』の古代進役といった二枚目役から『タイムボカン』シリーズのコミカルなナレーションまで幅広い役柄を演じた伝説の名優だ。洋画吹き替えでも二枚目から三枚目(TV『特攻野郎Aチーム』のクレージーモンキー役など)まで幅広くこなしたが、『ビバリーヒルズ・コップ』のアクセルもまた二枚目と三枚目の二面性を持ち、名人・富山の豊かな表現力がフルに発揮された。 しかし続編の『ビバリーヒルズ・コップ2』は、放送したのが第1作と異なりフジテレビ系だったためか、『48時間』2部作の下條アトムがアクセル役に。下條にとってもマーフィに慣れたのか、安定した吹き替えとなった。下條はマーフィのヒット作『星の王子ニューヨークへ行く』がフジテレビ系で放送された際も、主人公アキーム王子を好演した。 そして、いよいよこの人の出番だ。山寺宏一。最終的にマーフィのほとんどの作品で彼の声をアテる、まさに真打ちになっていく。ザ・シネマが放送する『ビバリーヒルズ・コップ3』は、山寺がアクセルを演じたテレビ朝日バーションだ。 なぜ山寺マーフィが待望されたか。それはマーフィ自身の芸風の変化に理由がある。往年の喜劇スター、ジェリー・ルイスに影響を受けたのか、少年時代から物真似の天才といわれたマーフィは、1人で何役も演じる芸を売りにすることが増える。『星の王子ニューヨークへ行く』でマーフィは、特殊メイクの力も借りて1人4役に挑戦。また、ルイス主演の『底抜け大学教授』をリメイクした『ナッティ・プロフェッサー クランプ教授の場合』では1人7役に挑み、続編『ナッティ・プロフェッサー2 クランプ家の面々』ではマーフィ本人を含むとはいえ、1人9役にエスカレート。こうなるとマーフィの声は、“七色の声を持つ男”、山寺にしか演じられないというように評価が定まってしまう。 そんな山寺だが、実はマーフィ以外の仕事でも亡くなった富山敬の後を継いでキャスティングされることが多い。こうして星と星はつながり、マーフィは“吹き替え”界の大きな星座になっているのだ。 以上を通じ、“吹き替え”のスタッフやキャストが、作品や出演者をどう解釈し、それをどう日本語に乗せようと苦労しているのが、何となくでも見えてくるだろう。コンピュータの自動翻訳なんて足元にも及ばない、“吹き替え”の真髄がここにはある。■ Copyright © 2014 by PARAMOUNT PICTURES CORPORATION. ALL RIGHTS RESERVED.
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PROGRAM/放送作品
太陽の帝国
少年の目線から訴える反戦メッセージ──スティーヴン・スピルバーグ監督による戦争映画
J・G・バラードの自伝的小説をスティーヴン・スピルバーグが映像化した反戦映画。ダイナミックな戦場描写や主人公の少年を巡る瑞々しい人間ドラマなど、スピルバーグならではの演出が冴え渡る。
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COLUMN/コラム2017.03.07
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2017年4月】飯森盛良
まさかの本邦初公開作!冒頭、強盗のヤマを踏む主人公サム・ワーシントンとムショ仲間デヴィッド・ウェンハム(ことウェナム)。が、ウェンハム撃たれて早々死亡。どうしてこうなった!?を1時間半かけてさかのぼっていくオーストラリア映画。凝りに凝ったプロットは『レザボア・ドッグス』とか『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』とかお好きでしたら絶対お気に召すはず。そして主役を喰うウェンハムの珍演たるや!なんちゅうもんを演じてくれたんやなんちゅうもんを…これに比べたら『トレインスポッティング』で嘆きのマートルん家で寝グ×もらしたあのスパッドすらカスや!ウェンハムが豪映画賞を総ナメにしたというラリパッパのパープリン演技を見逃すなかれ! © 2003 Universal Pictures. All Rights Reserved.
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PROGRAM/放送作品
タイ・カップ
トミー・リー・ジョーンズ主演!大リーグ史上最も偉大かつ最も嫌われた選手、タイ・カップの真実
日本では「球聖」と称される大選手タイ・カップは、偉大な記録とは裏腹に余りに闘争的な性格で嫌われた人物でもあった。そんな彼の晩年の姿を描き、人間としてのタイ・カップ像に迫る感動の伝記ドラマだ。
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COLUMN/コラム2012.01.01
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2012年1月】飯森盛良
シュワ映画の中でこれがイチバン好き!凶悪犯(にデッチ上げられた実は冤罪政治犯)をなぶり殺すTVショーに全米が狂喜、娯楽番組に世論操作される恐怖の未来警察国家が舞台だ。この番組、ステージ突破アトラクション型の「たけし城」的構成。ただし各面に中ボスがいて、個性的なキメ技で“凶悪犯”たちを責め殺す。“凶悪犯”のひとりシュワはこの中ボスを倒し面クリしながら最終面に進んでいく。バカな設定の中ボスども(ラスボスだけカッコいい)、そして真のラスボスでもある番組司会者キリアン、ビリー隊長+チャック・ウィルソン÷2風ダイエット番組インストラクター(引退した前のラスボス)など、全登場人物が濃ゆくキャラ立ちしている、奇跡の傑作だ! ™ & Copyright © 2011Paramount Pictures Corporation. All rights reserved