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PROGRAM/放送作品
ロスト・アイズ
見えない恐怖を巧みに演出。『パシフィック・リム』のギレルモ・デル・トロが贈るサスペンス・ホラー
『パンズ・ラビリンス』で高い評価を得たギレルモ・デル・トロ製作のサスペンス・ホラー。病で視力を失っていく女性に降りかかる恐怖をサスペンスフルに描く。主演は『永遠のこどもたち』のベレン・ルエダ。
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COLUMN/コラム2015.08.09
芸術性と優れた脚本でジャンル映画ファンを魅了する、スパニッシュ・ホラーの世界
世紀末から新世紀にかけて、Jホラーが世界的に注目を浴びていた。ハリウッド映画は、すぐさまリメイク化や新たな才能を欲し、日本版のリメイク『ザ・リング』(02年)を作り、その続編『ザ・リング2』(05年)では、オリジナル版の中田秀夫を監督に抜擢した。さらに清水崇も、ハリウッド版リメイク『THE JUON/呪怨』(04年)とその続編『呪怨 パンデミック』(06年)の監督を手がけた。それ以外にもJホラーの世界躍進は凄まじかったが、それに負けず劣らずの勢いにあったのが、スパニッシュ・ホラーだった。 それ以前のスパニッシュ・ホラーは、独特なテイストで強烈なインパクトを放つものが多かった。稀代の怪優ポール・ナッチー主演の『ヘルショック 戦慄の蘇生実験』(72年)、イギリスとの合作による怪作『ホラー・エクスプレス/ゾンビ特急“地獄”行』(72年)、オリジナリティ溢れる『エル・ゾンビ』シリーズ全4作(71~75年)、『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド/ゾンビの誕生』(68年)の換骨奪胎版といえる『悪魔の墓場』(74年)、ナルシソ・イバニエス・セラドール監督の伝説的名作『ザ・チャイルド』(76年)など。 でもJホラーと共に世界的に脚光を浴びてきた現代のスパニッシュ・ホラーは、画家サルバドール・ダリや映像作家ルイス・ブニュエルらシュールレアリスムの芸術家を多数生んだお国柄を反映してか、恐怖の秀逸な設定と共にキメの細かな映像を重視し、多かれ少なかれ芸術性を感じさせるような濃密なドラマを構築している。 ペドロ・アルモドバルが発掘した異才アレックス・デ・ラ・イグレシアも代表的な映像作家といえるだろうが、現代のスパニッシュ・ホラーの起爆剤になったのは、新進気鋭のジャウマ・バラゲロの監督デビュー作『ネイムレス 無名恐怖』(99年)が注目されてからだと思う。バラゲロは次いでアメリカとの合作『ダークネス』(02年)を手がけ、スパニッシュ・ホラーの次代を担う監督に急成長した。 そして、『次に私が殺される』(96年)のスペイン映画界の鬼才アレハンドロ・アメナーバル監督が、大スターのニコール・キッドマンを主演に据え、スペイン・アメリカ・フランス合作の心霊映画の傑作『アザーズ』(02年)を発表し、バラゲロも人気TVシリーズ『アリー・myラブ』(97~02年)のキャリスタ・フロックハートを主演に迎えた『機械じかけの小児病棟』(05年)を手がけた。またバラゲロ、セラドール、イグレシアら全6人の監督が競作したアンソロジー『スパニッシュ・ホラー・プロジェクト』(06年)が作られ話題にもなった。さらにメキシコ出身で世界的なヒットメイカーになったギレルモ・デル・トロはスペイン映画にも参画し、『デビルズ・バックボーン』(01年)やオスカー受賞作『パンズ・ラビリンス』(06年)を監督しつつ、『永遠のこどもたち』(07年)や『ロスト・アイズ』(10年)等でスペインの才能ある若手監督を抜擢してきた。 現代のスパニッシュ・ホラーは、比較的脚本が素晴らしく、作品のクオリティも高い。ジャンル系映画ファンの熱い支持を獲得し、なかでも中核をなすバラゲロの知名度は格段に高い。特に彼の『機械じかけの小児病棟』は、娯楽性と芸術性を融合させた秀作で、英国の小さな島にある閉鎖寸前の病院を舞台に、時の流れと切ない思いが繊細に練り込まれた濃密な恐怖ドラマを堪能することができる。 過去の失敗で心に傷を負った臨時の看護師エイミー(フロックハート)は、不治の病を患う少女マギーと親しくなり、彼女が言う、“機械の少女”の謎を調べてゆくと……。 長らく封鎖されている病院の2階、子供患者の骨が突然折れる怪異な現象、前に在籍した女性看護師の急死、古びた記録フィルム、アニメ『眠れる森の美女』(ディズニー・アニメではなく、本作のために製作)など、これら全ての要素がドラマを形作る要素になっていて、まったくもって無駄がない作りだった。 次いで、バラゲロがパコ・プラサ(別名義フランシスコ・プラサ)と共に、当時注目されていたPOV(主観映像)手法で監督したのが、『REC/レック』(07年)だった。若い女性リポーターのアンヘラとTVカメラマンが、一台のTVカメラのレンズを通して、未知の感染ウィルスによってアパートの住民らが次々とゾンビのように変貌してゆく様を捉えていて、切迫した恐怖がストレートに伝わってきた。一瞬の迷いや躊躇が命取りになる凄、まじい緊迫感と展開により、観ているコチラが疲労感を味わうほどだ。この作品は世界的に大成功を収め、複数台のPOVによって、アパート内外の状況を捉えた続編『REC/レック2』(09年)が作られた。 そして、バラゲロがクリエイティヴ・プロデューサーにまわり、パコ・プラサの単独監督になった『REC/レック3 ジェネシス』(12年)では、雰囲気が一変。設定は、前2作とほぼ同時間帯の結婚披露宴会場に移り、そこがウィルスによって地獄の惨状になる。ジェネシス=“起源”といえる明確な描写はないものの、1作目で未知の病気にかかった犬の目撃情報があり、3作目では新郎側のペペ叔父さんが、「病院で犬に咬まれた」と言っていた。だから1作目でアパート周辺に徘徊していた犬と、3作目で病院に現れた犬は同じ犬だった可能性が高い。 1作目では、人間の凶暴化は未知のウィルスだと最初は思われていたが、2作目になると、アパート最上階の研究室が、悪魔によるウィルスに対抗するワクチン開発のための極秘施設だと判明する。バイオホラーからオカルトホラーへと奇妙な変貌を遂げる離れ技と、悪魔に憑依された少女メデイロスの血を求める神父を新たに登場させ、神父VS悪魔の図式を打ち立てていた。ここで1と3作目でウィルスを放った(と思われる)犬の存在が、ある意味、悪魔のしもべのような見方もできる。まるで『エクソシスト』(73年)や『オーメン』(76年)などの大好きなジャンル系映画のテイストを盛り込んだともいえるだろう。 3作目では、冒頭のみPOV構成だったが、途中から通常の演出に切りかわり、広い会場で離れ離れになってしまった新郎新婦の“逢いたい”というそれぞれの熱い想いが、感染者らを次々と駆逐する。特に純白の花嫁衣裳をまとった新婦クララが、チェーンソーで長いドレスの裾を切り落とし、感染者を次々と斬り刻みながら、白いドレスを鮮血で染めあげてゆく姿が美しかった。1~3は物語に関連性をもたせながらも、一作毎に異なる要素を盛り込んでいた。しかし3作目では、1、2作目のヒロインのアンヘラは出てこないし、舞台は違うし、前2作との雰囲気があまりに異なっていた。 でもタイトルのRECは、録画や記録の意味。1作目では、TV局の取材側が尋常ならざる渦中に陥り、撮影しなくてはならないという、アンヘラとカメラマンの半ば本能や使命みたいな気持ちが感じられた。2作目ではアパート内部に潜入した特殊部隊員らの小型携行カメラをはじめ、アパート外部の報道カメラや携帯電話のカメラなど、それぞれ異なる意図で撮影されたPOVで構成されていた。いまや動画カメラの氾濫により、誰もがいつ何どき、撮影する側や撮影される側になるとも限らない、異常な社会を感じさせる。 そして3作目では、おそらく人生で最も輝いているだろう“結婚と結婚披露宴”の幸せそうな主役(新郎新婦)を記録する(映す)ことで、その後の展開のみならず、前2作との違いが浮き彫りになってくる。そこに面白味があるし、3作目の物語の深みであろう。バラゲロ単独監督のシリーズ4作目もあるが、まずは1~3作目のそれぞれの魅力を堪能して欲しい。■ ©2007 CASTELAO PRODUCTIONS, S.A.
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PROGRAM/放送作品
キューブ■RED
一室に閉じ込められた男女に迫り来る難問と壁の恐怖!スペイン発のソリッド・シチュエーション・スリラー
迫りくる壁、次々と出題される超難問、極度のプレッシャーの中で彼らは助かるのか?!正方形の赤い部屋に閉じ込められた男女の数学者たちにふりかかる恐怖を描く、ソリッド・シチュエーション(一場面)・スリラー。
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COLUMN/コラム2013.12.01
2013年12月のシネマ・ソムリエ
■12月7日『インファナル・アフェア』 ハリウッド映画『ディパーテッド』元ネタとなった香港ノワールの傑作。警察からマフィアへ、マフィアから警察へ送り込まれた潜入者2人がたどる壮絶な運命を描く。 麻薬捜査のさなかにモールス信号や携帯を用いたスパイ戦の息づまる緊迫感! 濃密な心理サスペンスと重層的な人間ドラマを融合した映像世界は極めて完成度が高い。 現題の「無間道」とは“終わりなき地獄”の意味で、複数の主要人物が意外な形で死亡する展開が衝撃的。その根底に流れる東洋的な死生観が深い余韻を生み出している。 ■12月14日『ドーベルマン』 ドーベルマン”の異名を持つ凶悪犯罪者、ヤン率いる武装グループがパリに出現。彼らに翻弄された警察は、血も涙もない極悪警視クリスチーニに一味の撲滅を委ねる。 数々のCMや音楽クリップを手がけてきたオランダ出身のヤン・クーネン監督が放ったバイオレンス映画。イカれた悪と悪の抗争劇が疾風怒濤の勢いで展開していく。 日本製アニメを愛する気鋭監督がコミック調の映像とテクノ音楽を融合。観る者の好き嫌いが極端に分かれる怪作だが、その猥雑でアンモラルな世界は一見の価値あり。 ■12月21日『ブラス!』 炭鉱閉鎖問題に揺れる英国ヨークシャー州の町を舞台にしたヒューマン・ドラマ。英国映画ブームさなかの1997年に日本公開され、多くの観客の涙を誘った感動作である。 生活苦にあえぎながらも、頑固な指揮者のもとで活動を続けるブラスバンド団員たちの心意気を描出。痛烈な社会風刺とともに、人間臭いユーモアが映画を活気づける。 実在のグライムソープ・コリアリー・バンドが、「ダニー・ボーイ」などの挿入曲の演奏を担当。2011年に他界したP・ポスルスウェイトの名演技も観る者の胸を打つ ■12月28日『ロスト・アイズ』 ギジェルモ・デル・トロが製作を務めた恐怖映画。視覚障害を患う女性が姉の自殺の真相を探るうちに、自らも危機に陥っていく過程をミステリー仕立てで描き出す。 『永遠のこどもたち』の女優B・ルエダが徐々に視力を失っていく主人公フリアを熱演。その周辺に謎の人影を暗躍させ、観る者の不安を増幅させる演出が実に巧妙だ。 主人公の限られた視界を表現した映像も秀逸で、スペイン製スリラーのレベルの高さを再認識させられる。『裏窓』などの古典映画への目配せも盛り込まれた一作だ。 『インファナル・アフェア』© 2002 Media Asia Films (BVI) Ltd.All Right Reserved. 『ドーベルマン』©1997 Noe Peoductions - La Chauve - Souris - France 3 Cinema. 『ブラス!』©Channel Four Television Corporation and Miramax Film Corp.1996 All Rights Reserved. 『ロスト・アイズ』© Rodar y Rodar Cine y Television, S.L / A3 Films, 2010
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PROGRAM/放送作品
抱擁のかけら
[PG12]ある男が映画監督を辞めた理由とは?ペドロ・アルモドバルとペネロペ・クルスが贈る愛憎ドラマ
ペドロ・アルモドバル監督とペネロペ・クルスの黄金コンビが、元映画監督が封印していた愛の悲劇をミステリアスに描きつつ、再生への道を情感豊かに映し出す。運命の女性に扮するペネロペの官能的な美しさは必見。