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PROGRAM/放送作品
ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン
[R15+]30代独身崖っぷちオンナの本音が痛快!過激な下ネタ満載で贈る女性版『ハングオーバー!』
『40歳の童貞男』のジャド・アパトー監督が製作を務め、人気番組「サタデー・ナイト・ライブ」のコメディエンヌが集結。男の友情をおバカ満載で描く『ハングオーバー!』の女性版として全米で社会現象的ヒットに。
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COLUMN/コラム2015.10.30
ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン
中西部の地方都市に住むアニーは、起業に失敗して貯金もゼロの30代半ばの独身女子。楽しみと言えば幼馴染みのリリアンとバカ話をすることだけだった。そんなある日、リリアンから結婚することを告白された彼女は、ブライズメイズ(新婦介添人)の代表を頼まれて、喜んで引き受ける。でも不器用な彼女は失敗ばかり。加えて新郎の上司のセレブ妻でなんでも器用にやってのけるヘレンの存在が引き金となって、リリアンに先を越された寂しさと焦りが爆発。ブランチ・パーティをぶち壊して、ついにはリリアンと大喧嘩をしてしまう。はたして二人の友情は元通りになるのだろうか…。 結婚式の介添人が大騒動を引き起こすというプロットが、『ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』を彷彿とさせたため、“女版ハングオーバー!”との前評判の中、2011年に米国で公開されてメガヒットを記録したのが『ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン』である。でも見終わったあとで「『ハングオーバー! 』とそっくり」と感じる観客はまずいないはず。何て言うか、もっと痛くて切ないのだ。 ティーンの頃に思い描いた未来の可能性は年々閉ざされていく。その一方で同世代の友人たちは結婚して大人へのステップを上っていく。本作はあらゆる角度から追いつめられていくアニーの心理を執拗にほじくり返す。そこに男と女という違いは存在しない。三十代ボンクラというひとりの人間がただそこにいるだけである。バカの一つ覚えのように異性を「スイーツ」呼ばわりする男子も、この映画には魂の片割れを見いだして涙するかもしれない。コメディに冷淡なアカデミー賞で脚本賞にノミネートされたのも納得の完成度だ。 映画の発案者であり、主人公アニーを演じたのは「サタデー・ナイト・ライブ」史上最高の女性キャストとの呼び声高いコメディエンヌ、クリステン・ウィグ。彼女が、古くからの友人アニー・マモロと共同で書いた脚本を持ち込んだ先は、それまでも脇役として顔を出していた『無ケーカクの命中男/ノックトアップ』(07年)や『寝取られ男のラブ♂バカンス』(08年)といった映画の監督/プロデューサーだったジャド・アパトーだった。こうしたヒット作を通じて、男同士の友情をメインにした”ブロマンス映画”というジャンルを確立したアパトーは、その方程式を女子に応用したウィグの脚本を絶賛。テレビドラマ『フリークス学園』以来の盟友ポール・フェイグを監督に指名して映画を現実のものとしたのである。 コメディ映画としての本作の大きな特徴は、ギャグのボケをすべて女優がこなしているところにあるだろう。しかも生半可なギャグではなく、セックス、ゲロ、ウンコ絡みのギャグがふんだんに飛び出す過激なものだ。そんなコメディ映画はそれまでハリウッドには存在しなかった。「女性が悲惨な目に遭っても男のようには笑えない」という認識が世間では一般的だからである。普通の監督なら出演者の一部を男優に差し替えるところだろう。しかしポール・フェイグはウィグとともに「悲惨な目に遭っても笑える」最強の女性キャスト陣を選んだのである。 まずアニーの親友リリアンを演じたのはマヤ・ルドルフ。名曲「ラヴィング・ユー」で知られるミニー・リパートンの娘で、ポール・トーマス・アンダーソン夫人でもある彼女は、実生活ではロサンゼルスのコメディ劇団「グラウンドリングス」時代以来のクリステンの親友。だから映画内の二人の友情はとても真実味が感じられる。 劇中最も難しいキャラであるイヤミなヘレン役に指名されたのは、オーストラリア出身の正統派美女ローズ・バーンだ。それまで『トロイ』(04年)や『28週後…』(07年)といったシリアス映画に出演しながら、いまひとつパッとしなかった彼女は、アパトーのプロデュース作『伝説のロックスター再生計画!』(09年)でイカれたポップスター役を好演。コメディ・センスを全面開花させた本作以降は、『ネイバーズ』(14年)や『ANNIE/アニー』(14年)といった作品で活躍。コメディ界に欠かせない人材になっている。 同じオーストラリア出身でも、アニーのルームメイトの妹を演じたレベル・ウィルソンはこの時点ではアメリカでの知名度はゼロだった。だが強烈な存在感を本作で示した彼女は、『バチェロレッテ あの子が結婚するなんて!』(12年)やパワフルな歌声も披露した『ピッチ・パーフェクト』(12年)、『ナイト ミュージアム/エジプト王の秘密』(14年)によってスターへの階段を駆け上っていった。年末に日本公開が予定されている『ピッチ・パーフェクト』(15年)は、すでに本国でメガヒットを記録しており、パート3の製作が早々と決定している。 こうした才人揃いの出演者の中でも最も観客の目を引いたのは、一番ヨゴレなメーガンを演じたメリッサ・マッカーシーだろう。それまでも『ギルモア・ガールズ』(00?07年)や『サマンサ Who?』(07?09年)といったテレビ・コメディの脇役として知られていたものの、まさか洗面室のシンクに跨って、苦痛に顔を歪めて便意と戦う!なんてギャグをやってのける人だとは誰も思わなかったはず。本作における爆発的な演技によってアカデミー助演女優賞にノミネートされた彼女は、特別出演したアパトー監督作『40歳からの家族ケーカク』(12年)や『ハングオーバー!!! 最後の反省会』(13年)でもシーンを一気にさらう怪演を披露。また当初は男の設定で脚本が書かれていたにも関わらず「男同士じゃありきたりだ」とのジェイソン・ベイトマンのアイディアによって、急遽彼の相棒役を務めることになったダブル主演作『泥棒は幸せのはじまり』(13年)は大ヒット。彼女が映画館に客を呼べるスターであることを証明した。 こうしたメリッサのスター化に伴って、監督ポール・フェイグとのコンビがレギュラー化した。サンドラ・ブロックと組んだ刑事コメディ『デンジャラス・バディ』(13年)、ジェイソン・ステイサムやジュード・ロウといった大スターを従えて主演を張ったスパイ・コメディ『SPY』(15年)は連続大ヒットを記録。後者ではローズ・バーンとのリユニオンを果たしている。 こうした作品によって一躍コメディ界のヒットメイカーとなったフェイグのもとに『ゴーストバスターズ』リメイク版の監督がオファーされたのは昨年のことだ。ビル・マーレイやダン・エイクロイド、ハロルド・ライミスといった80年代を代表する才能が集結していた傑作コメディを現代に蘇らせるには、一体どんなメンツが必要なのだろうか? 考えた末にポール・フェイグが声をかけた相手はクリステン・ウィグ、メリッサ・マッカーシー、そしてレベル・ウィルソンだった。ちなみに他のキャストは「サタデー・ナイト・ライブ」の現レギュラーであるケイト・マッキノンとレスリー・ジョーンズ、セシリー・ストロングといった面々。そう、全員女性なのだ。 このキャスティングはハリウッド中に大きな話題と物議を呼んだ。しかしフェイグは「面白いコメディアンを集めたら、たまたま女性ばかりだっただけだよ」と全く気にしていないようだ。映画は現在撮影中で来年夏に公開予定である。フェイグは決して奇をてらったわけではなく、このキャスティングに圧倒的な自信を持っているはず。それは、この『ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン』を観れば明らかだろう。 Artwork © 2012 Universal Studios. All Rights Reserved.
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PROGRAM/放送作品
お家(うち)をさがそう
[PG12]様々な家族の形を見つめながら自分達流の家族像を模索するカップルを、サム・メンデスが描く
『レボリューショナリー・ロード』で夫婦の辛すぎる断絶を描いたサム・メンデスが、今度は子供を生み育てるに相応しい安住の地とマイホームを求めて全米をめぐる若夫婦を描く、滑稽だが仄かに辛いホーム・ドラマ。
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COLUMN/コラム2017.10.09
26世紀青年
2005年のある日。米軍勤務(といっても最前線で戦う兵士ではなく、軍事基地の資料室で受付係をしている)ジョー・バウアーズは、極秘の人体実験への参加を命じられる。その内容とは1年間の冷凍睡眠。「一般人は冷凍睡眠に耐えられるのか」を実証するために、最も平均的なスペックを持つジョーが選ばれたのだ。彼は渋々ながら、やはり平均的な女性リタ(但しその正体は起訴処分取り下げを条件に実験に応じた売春婦)とともに眠りについた。ところが実験の存在は忘れられてしまい、ふたりが目覚めたのは500年後のことだった。 そこでジョーが見たものは、ジャンクフードとTVとセックスにしか興味のない未来人とゴミの山。21世紀に入って、優秀な人間が子どもを作ることに慎重になった一方で、バカは相変わらず避妊せずにセックスして子どもをバンバン作ったことで<逆自然淘汰>が起こり、人類はバカばっかりになってしまっていたのだ。合衆国政府はタコベルに買収され、スターバックスは風俗チェーンに業態変更。テレビでは男がひたすら金玉を痛めつけられる「タマが痛い」が高視聴率を獲得し、尻だけがひたすら映し出される映画がアカデミー賞を独占していた。 そんな中、ジョーは不審人物として逮捕されてしまう。だが連れていかれた先は刑務所ではなくホワイトハウスだった。理由は逮捕時に受けたテストでの信じられない高得点。大統領は、深刻な食料危機の解決をジョーに命令する。しかし彼は26世紀では世界一の天才でも、あくまで普通の男にすぎないのだ……。 『26世紀青年』は、ピクサーが2008年に放った大ヒットアニメ『ウォーリー』を2年も先駆けて公開されたディストピアSFコメディだ。二作は、長い時空を超えてきた平凡な主人公にゴミの山、そして退化した未来人など設定の多くが共通している。しかし家族揃って見られる『ウォーリー』と比べると、未来人の醜悪さがこれでもかと言うほどリアルに描かれているため、毒は遥かに強烈だ。 監督と脚本を手掛けたのは、『サウスパーク』に多大な影響を与えた『ビーバス&バットヘッド』(93〜97年)や『キング・オブ・ザ・ヒル』(97〜10年)といったシニカルなアニメで知られる鬼才マイク・ジャッジ。脚本にはジャッジのアニメ作品に参加してきた右腕的存在のイータン・コーエンも参加している。 徹底的に普通の男ジョーを演じたのは、『キューティ・ブロンド』シリーズ(01〜03年)や『Gガール 破壊的な彼女』(06年)といった作品でのイイ人ぶりが印象に残るルーク・ウィルソン。リタ役に『SNL』出身で、ポール・トーマス・アンダーソンのパートナーとしても知られるコメディエンヌ、マヤ・ルドルフ、未来社会の弁護士フリート役に『ザスーラ』(05年)の宇宙飛行士役で注目されたばかりのダックス・シェパードが扮している。メガヒットとは言わないまでもスマッシュ・ヒットが期待出来そうなメンツだ。 ところが映画は2005年に完成したにもかかわらず、製作会社の20世紀フォックスは1年以上塩漬けに。翌年やっと公開を決めたものの、試写会を一切開催しなかったばかりか、予告編すら作らなかった。そして全米130スクリーンだけでひっそりと上映し、さっさと打ち切ってしまったのだった。『26世紀青年』は闇へと葬り去られたのだ。 製作会社のそんな不可解な対応に対し、マイク・ジャッジのファンから怒りと疑問の声があがった。やがてある噂がネット上を飛び交い出した。20世紀フォックスは、系列のFOXニュースに配慮して『26世紀青年』を実質お蔵入りにしたのではないか? FOXニュースは、CNNのライバル局として1996年に設立されたニュース専門チャンネルだ。中立的な報道を行なうCNNに対して、FOXニュースは、「彼らはリベラルに偏向している。我々こそが中立」と主張。アメリカ人に都合が良いニュースばかりをオンエアした。そしてアメリカ同時多発テロ事件を機にCNNを視聴率で逆転したのである。 そんな局にとって『26世紀青年』のどこが都合が悪いのか? それは映画で描かれる未来人たちの姿にある。昼からビールを飲みまくり、プロレスやストックカーレースが大好きな彼らは明らかに現代のプアホワイト(白人低所得者層、ホワイト・トラッシュとも呼ばれる)を戯画化したものだった。そしてFOXニュースのメインターゲットこそがそのプアホワイトだったのだ。 噂が本当なら、マイク・ジャッジは「FOXニュースばかり観るとバカになるよ」と主張する映画を、こともあろうに総本山で撮ってしまったことになる。当のジャッジはというと、インタビューで「シークレットで行った試写の結果がものすごく悪かったと製作会社から言われた」と発言している。個人的にはその可能性はゼロではないと思う。マイク・ジャッジとイータン・コーエンはそれぞれエクアドルとイスラエル生まれの移民なので、プアホワイトの知り合いはいないはずだ。だが観客の多くを占めるヨーロッパ系白人の場合、もし本人がそうでもなくても親戚の誰かがプアホワイトであってもおかしくない。彼らは未来どころではない醜悪な現在を再確認してゲンナリしてしまった可能性もある。もっとも事実は藪の中なのだけど。 『26世紀青年』はそんなわけで興行的に失敗に終わったものの、ジャッジはT.J.ミラーをスターにしたコメディ・ドラマ『シリコンバレー』(14年)を大成功させ、イータン・コーエンは『トロピック・サンダー/史上最低の作戦』(08年)や『メン・イン・ブラック3』(12年)の脚本を手がけたあと、ウィル・フェレルとケヴィン・ハートの共演作『ゲット・ハード/Get Hard』(15年)で監督デビュー。フェレルがシャーロック・ホームズに扮する『Holmes and Watson』(18年)でも監督と脚本を手がけるなど、いずれもアメリカン・コメディ界のキーパーソンになりつつある。 一方、アメリカ合衆国はというと、2009年にティーパーティー運動が勃興。初の黒人大統領となっていたバラク・オバマがアメリカ国籍を持っていないとか、イスラム教徒だというデマを撒き散らすようになった。彼らの裏付けのない主張には共和党主流派も批判的なほどだったが、やがて共和党はティーパーティー的な考えに飲み込まれていった。 その結果が、2016年大統領選における共和党候補ドナルド・トランプの勝利である。『26世紀青年』でテリー・クルーズが演じるバカの塊のような合衆国大統領コマーチョは元プロレスラーでポルノ俳優という設定だったが、トランプもプロレス団体WWEに参戦経験があり、ヌードビデオ「プレイボーイ・センターフォールド」に出演したことがある。プアホワイト好みのこうしたメディアに露出することによって、人気者になって大統領にまでなってしまった点においてトランプとコマーチョは瓜二つなのだ……いや、黒人のコマーチョは人種差別は行っていないようなのでトランプの方がヒドいかもしれない。 『26世紀青年』の原題は『Idiocracy(IdiotとDemocracyを合成した造語、バカ主義とでも言うべきか)』という。トランプが大統領選に当選した際にメディアは一斉に「アメリカはIdiocracyの国になってしまった」と嘆き、10年前の上映以来、久々に『26世紀青年』に注目が集まったのだった。しかも今回は「現在を予言した黙示録的映画」として。もっともマイク・ジャッジはインタビューでこう答えたようだ。「僕は預言者なんかじゃないよ。だって予言の時期を490年も外しちゃったんだからね」 © 2006 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.
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PROGRAM/放送作品
26世紀青年
26世紀、人類はありえないほどの「バカ」に退化していた…驚愕の未来を風刺満載に描く近未来コメディ
21世紀の平凡なアメリカ人男性が、500年後の未来では世界一頭のいい男という、ありえない未来描写に爆笑必至。低俗なTVやジャンクフードに毒され、知的水準が低下した未来を通じて現代社会を風刺する。
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COLUMN/コラム2015.08.15
来夏公開! リメイク版『ゴーストバスターズ』の偉大なる前日談〜『ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン』〜
中西部の地方都市に住むアニーは、起業に失敗して貯金もゼロの30代半ばの独身女子。楽しみと言えば幼馴染みのリリアンとバカ話をすることだけだった。そんなある日、リリアンから結婚することを告白された彼女は、ブライズメイズ(新婦介添人)の代表を頼まれて、喜んで引き受ける。でも不器用な彼女は失敗ばかり。加えて新郎の上司のセレブ妻でなんでも器用にやってのけるヘレンの存在が引き金となって、リリアンに先を越された寂しさと焦りが爆発。ブランチ・パーティをぶち壊して、ついにはリリアンと大喧嘩をしてしまう。はたして二人の友情は元通りになるのだろうか…。 結婚式の介添人が大騒動を引き起こすというプロットが、『ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』を彷彿とさせたため、“女版ハングオーバー!”との前評判の中、2011年に米国で公開されてメガヒットを記録したのが『ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン』である。でも見終わったあとで「『ハングオーバー! 』とそっくり」と感じる観客はまずいないはず。何て言うか、もっと痛くて切ないのだ。 ティーンの頃に思い描いた未来の可能性は年々閉ざされていく。その一方で同世代の友人たちは結婚して大人へのステップを上っていく。本作はあらゆる角度から追いつめられていくアニーの心理を執拗にほじくり返す。そこに男と女という違いは存在しない。三十代ボンクラというひとりの人間がただそこにいるだけである。バカの一つ覚えのように異性を「スイーツ」呼ばわりする男子も、この映画には魂の片割れを見いだして涙するかもしれない。コメディに冷淡なアカデミー賞で脚本賞にノミネートされたのも納得の完成度だ。 映画の発案者であり、主人公アニーを演じたのは「サタデー・ナイト・ライブ」史上最高の女性キャストとの呼び声高いコメディエンヌ、クリステン・ウィグ。彼女が、古くからの友人アニー・マモロと共同で書いた脚本を持ち込んだ先は、それまでも脇役として顔を出していた『無ケーカクの命中男/ノックトアップ』(07年)や『寝取られ男のラブ♂バカンス』(08年)といった映画の監督/プロデューサーだったジャド・アパトーだった。こうしたヒット作を通じて、男同士の友情をメインにした”ブロマンス映画”というジャンルを確立したアパトーは、その方程式を女子に応用したウィグの脚本を絶賛。テレビドラマ『フリークス学園』以来の盟友ポール・フェイグを監督に指名して映画を現実のものとしたのである。 コメディ映画としての本作の大きな特徴は、ギャグのボケをすべて女優がこなしているところにあるだろう。しかも生半可なギャグではなく、セックス、ゲロ、ウンコ絡みのギャグがふんだんに飛び出す過激なものだ。そんなコメディ映画はそれまでハリウッドには存在しなかった。「女性が悲惨な目に遭っても男のようには笑えない」という認識が世間では一般的だからである。普通の監督なら出演者の一部を男優に差し替えるところだろう。しかしポール・フェイグはウィグとともに「悲惨な目に遭っても笑える」最強の女性キャスト陣を選んだのである。 まずアニーの親友リリアンを演じたのはマヤ・ルドルフ。名曲「ラヴィング・ユー」で知られるミニー・リパートンの娘で、ポール・トーマス・アンダーソン夫人でもある彼女は、実生活ではロサンゼルスのコメディ劇団「グラウンドリングス」時代以来のクリステンの親友。だから映画内の二人の友情はとても真実味が感じられる。 劇中最も難しいキャラであるイヤミなヘレン役に指名されたのは、オーストラリア出身の正統派美女ローズ・バーンだ。それまで『トロイ』(04年)や『28週後…』(07年)といったシリアス映画に出演しながら、いまひとつパッとしなかった彼女は、アパトーのプロデュース作『伝説のロックスター再生計画!』(09年)でイカれたポップスター役を好演。コメディ・センスを全面開花させた本作以降は、『ネイバーズ』(14年)や『ANNIE/アニー』(14年)といった作品で活躍。コメディ界に欠かせない人材になっている。 同じオーストラリア出身でも、アニーのルームメイトの妹を演じたレベル・ウィルソンはこの時点ではアメリカでの知名度はゼロだった。だが強烈な存在感を本作で示した彼女は、『バチェロレッテ あの子が結婚するなんて!』(12年)やパワフルな歌声も披露した『ピッチ・パーフェクト』(12年)、『ナイト ミュージアム/エジプト王の秘密』(14年)によってスターへの階段を駆け上っていった。年末に日本公開が予定されている『ピッチ・パーフェクト』(15年)は、すでに本国でメガヒットを記録しており、パート3の製作が早々と決定している。 こうした才人揃いの出演者の中でも最も観客の目を引いたのは、一番ヨゴレなメーガンを演じたメリッサ・マッカーシーだろう。それまでも『ギルモア・ガールズ』(00〜07年)や『サマンサ Who?』(07〜09年)といったテレビ・コメディの脇役として知られていたものの、まさか洗面室のシンクに跨って、苦痛に顔を歪めて便意と戦う!なんてギャグをやってのける人だとは誰も思わなかったはず。本作における爆発的な演技によってアカデミー助演女優賞にノミネートされた彼女は、特別出演したアパトー監督作『40歳からの家族ケーカク』(12年)や『ハングオーバー!!! 最後の反省会』(13年)でもシーンを一気にさらう怪演を披露。また当初は男の設定で脚本が書かれていたにも関わらず「男同士じゃありきたりだ」とのジェイソン・ベイトマンのアイディアによって、急遽彼の相棒役を務めることになったダブル主演作『泥棒は幸せのはじまり』(13年)は大ヒット。彼女が映画館に客を呼べるスターであることを証明した。 こうしたメリッサのスター化に伴って、監督ポール・フェイグとのコンビがレギュラー化した。サンドラ・ブロックと組んだ刑事コメディ『デンジャラス・バディ』(13年)、ジェイソン・ステイサムやジュード・ロウといった大スターを従えて主演を張ったスパイ・コメディ『SPY』(15年)は連続大ヒットを記録。後者ではローズ・バーンとのリユニオンを果たしている。 こうした作品によって一躍コメディ界のヒットメイカーとなったフェイグのもとに『ゴーストバスターズ』リメイク版の監督がオファーされたのは昨年のことだ。ビル・マーレイやダン・エイクロイド、ハロルド・ライミスといった80年代を代表する才能が集結していた傑作コメディを現代に蘇らせるには、一体どんなメンツが必要なのだろうか? 考えた末にポール・フェイグが声をかけた相手はクリステン・ウィグ、メリッサ・マッカーシー、そしてレベル・ウィルソンだった。ちなみに他のキャストは「サタデー・ナイト・ライブ」の現レギュラーであるケイト・マッキノンとレスリー・ジョーンズ、セシリー・ストロングといった面々。そう、全員女性なのだ。 このキャスティングはハリウッド中に大きな話題と物議を呼んだ。しかしフェイグは「面白いコメディアンを集めたら、たまたま女性ばかりだっただけだよ」と全く気にしていないようだ。映画は現在撮影中で来年夏に公開予定である。フェイグは決して奇をてらったわけではなく、このキャスティングに圧倒的な自信を持っているはず。それは、この『ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン』を観れば明らかだろう。■ Artwork © 2012 Universal Studios. All Rights Reserved.
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PROGRAM/放送作品
シスターズ
[PG12相当]大人になれないアラフォー姉妹がどんちゃん騒ぎ!人気コメディエンヌ競演の爆笑コメディ
人気コメディ番組『サタデー・ナイト・ライブ』出身のエイミー・ポーラーとティナ・フェイが抜群の相性を披露。お下劣なユーモアを交えて繰り広げるどんちゃん騒ぎが、やりたい放題すぎてスカッとする。