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PROGRAM/放送作品
黒水仙
テクニカラーならではの鮮やかな色彩が咲き乱れる中、人間の心の闇と、そこに光をさす信仰を描いた名作
マイケル・パウエルとエメリック・プレスバーガーが、ハリウッドに招かれる前のデボラ・カーの魅力を開花させた名作。テクニカラー時代最高の撮影監督ジャック・カーディフの色彩マジックが鮮烈。
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COLUMN/コラム2016.07.02
フレンチ・リビエラの海岸でジーン・セバーグの太股が揺れる!! アメリカ人には不向きだったアナニュイな夏〜『悲しみよこんにちは』〜
ユベール・ド・ジバンシーと言えばオードリー・ヘプバーン。映画ファッション史に名を刻む2人のトレンドセッターが最初にコラボしたのは『麗しのサブリナ』(54)だが、時系列的にはそれから約4年後、『昼下りの情事』(57)でアリアンヌ役のオードリーか着る数点のドレスをデザインし終えた直後あたりに、ジバンシーが非オードリー作品に衣装デザイナーとして駆り出される。それが『悲しみよこんにちは』(58)だ。 映画はまるでジバンシー、もしくはジバンシー的ミニマリズムのオンパレード。彼が衣装を担当したどのオードリー映画より、オードリーがいない分、むしろジバンシー色が強いと言っても過言ではない程だ。なので、ここで衣装の解説に少し字数を割きたい。 冒頭でジーン・セバーグ演じるヒロインのセシルが着て現れる黒いベアトップのカクテルドレスは、もろ『麗しのサブリナ』でオードリーが着ていた"デコルテ・サブリナ"のアレンジ。両肩のリボンストラップを首元に移行させてはいるが、タイトな上半身と膨らんだパニエのドラマチックな対比、モノクロを意識したミニマルなシルエットは、どちらもジバンシーならでは。『悲しみ~』はストーリー展開に伴いカラーとモノクロをカットバックで切り替える手法だ。因みに、セシルやデボラ・カー扮するアンヌが身に付けるジュエリー類は、パリのハイブランド、カルティエとエルメスから提供されている。 セシルとデヴィッド・ニーブン演じる富豪でプレイボーイの父親、レイモンが夜な夜なパリの街に繰り出し、パーティに明け暮れる刹那的な冒頭シークエンスから、父娘が夏を過ごした1年前のフレンチ・リビエラに時間が巻き戻ると、画面は一転、モノクロからカラーにシフト。ここでカラフルなジバンシーファッションが一気に炸裂する。レイモンに招待されてコテージに現れる、後のフィアンセで、セシルにとっては継母になるはずだったアンヌがセシルにプレゼントする、胸にフローラル刺繍が施されたドレスを筆頭に、セシルと、レイモンまでが多用する(アンヌもやってる)シャツの裾結びとショートパンツの組み合わせ、セシルが履く楽ちんそうなバレエシューズ等々、否が応でもサブリナやアリアンヌを連想させる服と着こなしは、ジバンシー本人と、衣装コーディネーターのホープ・ブライスが場面毎にデザインまたは用意した品々。ブライスは本作の監督、オットー・プレミンジャー夫人で、夫が監督した計9作で衣装コーデを手がけている。ジバンシーのセンスとブライスの統括力のお陰で、映画はさながらジバンシーによるビーチリゾート・ファッションショーの趣きだ。 さて、ここらでファッションから映画の背景に話題を移そう。『悲しみよこんにちは』はフランソワ・サガンがブルジョワのアンニュイな生活と孤独を綴って作家デビューを飾ったベストセラー小説の映画化。これにインスパイアされたサイモン&ガーファンクルが、名曲"サウンド・オブ・サイレンス"を発表したとも言われる。確かに、父親の愛を繋ぎ止めるために、何の罪もないアンヌに惨い制裁を加えてしまうセシルが引き摺る後悔と、永遠に逃れられない孤独との共存を意味する映画のタイトルは、"S.O.S"の歌い出し"hello darkness my old friend~"と符合する。プレミンジャーは小説の世界観に魅せられ、映画化を決意。そして、完成した作品は、ヒッチコックの『泥棒成金』(55)と同じ ゴート・ダ・ジュールの海岸線や、オープンカーでのドライブ、ラグジュアリーなリゾートファッション等で共通するし、映画史的に見ると、1950年代のハリウッドではこの種のヨーロッパを舞台にした観光映画がちょっとしたブームだった。『ローマの休日』(53/ローマ)然り、『愛の泉』(54/同じくローマ)然り、『旅情』(55/ベニス)然り。 それは、当時のアメリカ人にとってヨーロッパはまだまだ遠く、いつか訪れてみたい憧れの地だったからだろう。そのため、作られた映画はほぼ間違いなく、旅には付きもののラブロマンスと決まっていたものだ。でも、『悲しみよこんにちは』は少しテイストが異なる。南仏でのバカンスを無邪気に楽しむレイモンとセシルが、遊びの延長でアンヌを排除してしまった罪悪感が、風景の彩度と反比例して、観客の気持ちまでアンニュイにするからだ。その刹那でデカダンなムードが映画の魅力とも言えるし、レイモンとセシルは毎夏リビエラに南下して来るパリ在住のブルジョワ。外国人が異国の地で萌える他のハリウッド映画とはそもそもキャラ設定が違う。だからだろうか、公開当時、アメリカメディアの評価は芳しくなかった。反面、原作者サガンの母国フランスでは映画人たちが絶賛。ジャン=リュック・ゴダールは1958年のベストンワンに選び、エリック・ロメールは"シネマスコープで撮られた最も美しい映画"と評している。 オットー・プレミンジャー自身も"自作中最も好きな映画"と自画自賛する本作で、誰よりも幸運を手にしたのは、言うまでもなく主演のジーン・セバーグだっただろう。トランジスターグラマーなボディライン(160センチ)から溢れ出る若々しさと、"セシルカット"と呼ばれたブロンドのショートヘアは一種のムーブメントとなり、特にそのヘアスタイルは、女優がイメージチェンジする際の必須アイテムとして定着。パーマネントが必要な"ヘプパーンカット"と比べてナチュラルな分、より一般的、普遍的に広がっていった。そして、ジバンシーがデザインしたリゾートウェアも、もしかして、スリムな体型に恵まれたオードリーより、むしろ、セバーグを通して女性たちの着るハードルを低くしたのかも知れない。太い太股や足首を隠そうともせず、リビエラの海岸をゴム毬のように走り抜けるセシルを見て、改めてそう思う。 そんなセシル=セバーグに魅了されたジャン=リュック・ゴダールは、彼にとっての初監督作『勝手にしやがれ』(59)のヒロインにセバーグを抜擢。その際、セバーグは個人的にもお気に入りだった"セシルカット"を続行し、そのヘアにマッチしたボーダーのカットソーと黒のロングスカートは、ジバンシーによるセシルのリゾートウェア以上に強烈なトレンドとなる。結局、セバーグのたった15年にも満たなかった女優人生(映画出演は1957〜71。1979年、パリ郊外で遺体で発見される)で、『悲しみよこんちには』は『勝手にしやがれ』と並ぶ彼女の代表作として記憶されることとなる。 ところで、タイトルシーケンスを飾る人が涙を流すグラフィックデザインは、プレミンジャーの『カルメン』(54)以来、ヒッチコックの『めまい』(58)等、数多くの映画でアートワークを手がけた伝説的なデザイナー、ソール・バスの手によるもの。また、劇中に登場するペインティング類は、日本人洋画家、菅井汲(すがいくみ。1919〜1966)の作品だ。本作にスタッフとして正式に参加した彼の名前がタイトルロールでもちゃんと紹介されるので、是非目を懲らして欲しい。■ Copyright © 1958, renewed 1986 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.
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PROGRAM/放送作品
地上(ここ)より永遠(とわ)に
アカデミー賞8部門受賞。第二次大戦中に生きる男女の愛と苦悩を描いた不朽の名作!
第二次世界大戦中に生きる男女の愛を描き、アカデミー賞8部門を受賞した不朽の名作。監督は『真昼の決闘』のフレッド・ジンネマン。バート・ランカスターとデボラ・カーのラブシーンは映画史に残る名場面。
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COLUMN/コラム2017.01.22
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2017年2月】たらちゃん
ついに開催まで1か月を切った第89回アカデミー賞。今回ご紹介するのは今から64年前にアカデミー作品賞を獲得した『地上(ここ)より永遠(とわ)に』です! 時は1941年、夏のホノルルの兵営にやってきたラッパ手のプルー(モンゴメリー・クリフト)。ウォーデン曹長(バート・ランカスター)が取り仕切るこの部隊は一見平和に見えるものの、一筋縄ではいかない曲者揃い。その内情は惨憺たるものだった。正義感の強いプルーは、上官や同僚からの壮絶なしごきやいじめに遭い孤立無援となるが、お調子者のアンジェロ(フランク・シナトラ)だけは彼に優しく接するのだった。内部での嫌がらせがエスカレートする中、やがて第二次世界大戦の激化が、兵士たちをさらに翻弄することになる。 ジェームズ・ジョーンズのベストセラー小説の映画化である本作は、国を守るはずの軍隊の腐敗しきった内部を、戦争を背景に赤裸々に描いています。1950年代といえば、戦後の混乱した時期とは一変、アメリカが世界を牽引する国家へと成長した時代。ヒーローが活躍する勧善懲悪もの、男女が健全な愛を育むラブストーリーなど、いわゆる「ハリウッドらしい」娯楽作があふれる中、リアリティを追求した社会派の作品も流行していました。 まず本作の見どころは、当時を代表する豪華スターの夢の共演。モンゴメリー・クリフト、バート・ランカスター、デボラ・カー、ドナ・リード、そしてアメリカを代表する歌手フランク・シナトラ!本作で彼はプルーを支える陽気な同僚アンジェロを好演、見事アカデミー助演男優賞を受賞しています。さらに『北国の帝王』『ポセイドン・アドベンチャー』などで渋い演技を見せた名脇役アーネスト・ボーグナインは、憎たらしさ満点の悪役を熱演しており、これまたハマり役です。こんな豪華すぎる名優たちがリアルな人間ドラマを織りなすのだから、面白くないわけがない!嫉妬や憎悪、そして許されぬ愛。本作が描くのは、人間の心の奥に潜むエゴそのもの。モノクロの映像で淡々とつづられていく中、夜の兵舎でラッパを吹くプルーや、禁断の愛に燃えるデボラ・カーとバート・ランカスターの波打ち際のキスといった要所に登場する有名なシーンはドラマチックなものばかり。現代の私たちが見ても思わず熱くなる、本能のままに感情をむき出しにする人々の姿が垣間見えます。 戦争という狂気の時代で起きる悲劇の数々。本当の正義とは。人間は何のために生きるのか。そして、タイトルの「地上(ここ)」の真の意味とは。プルーがこれらを自覚したとき、残酷な時代の波がホノルルに襲い掛かります。あの日、あの時、あの場所で、人々は今の私たちと同じように、それぞれの人生を精一杯生きていました。ストーリーはフィクションですが、背景に描かれる1941年のあの出来事は、まぎれもなく歴史上本当にあった事実なのです。壮絶なラスト30分間、皆さまは何を思うでしょうか。 「生きる」とは何かを教えてくれる、名匠フレッド・ジンネマンの時代を超えた一作。アカデミー作品賞受賞の珠玉の名作を2月のザ・シネマでご堪能ください! Copyright © 1953, renewed 1981 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.
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PROGRAM/放送作品
007/カジノ・ロワイヤル(1967)
5人の個性派俳優が“ボンド”を競演!遊び心あふれるパロディ満載の『007』シリーズ番外編
『007』シリーズの原作者イアン・フレミングの同名小説を番外編として映画化。ピーター・セラーズやウディ・アレンら芸達者な個性派俳優5人が“ボンド”を名乗り、ハチャメチャなパロディ・ジョークを繰り広げる。
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COLUMN/コラム2016.12.26
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2017年1月】キャロル
鬼才デヴィッド・フィンチャーを一流監督へと伸し上げた、『セブン』と並ぶ90年代の代表作。若くして投身自殺した父親の莫大な遺産を相続して、自身も投資家として成功したニコラス。金はあるけどハートは無いみたいな嫌味な男で、家族とも疎遠だ。そんな彼の誕生日に、弟コンラッドが、あるゲームに参加できるカードをプレゼントする。ところがゲーム会社に行って参加試験を受けた後、ニコラスの周辺で不可解な事件が次々と起きる。これはスリルを味わわせるためのゲームなのか、あるいはゲーム会社を装い金持ちを狙う詐欺なのか。さんざんな目に遭い続け恐怖のドツボにハマッていくニコラスは、もはや誰も信じることができなくなり、父と同じ道を行こうとするのだが・・・。というお話。(いいのかしら。結構ギリギリまで書いてしまった。)初めて観たのは中学2年生くらいのとき。“エロそうなDVDを夜更かしして観よう!”という趣旨の女子同士のお泊り会にて、なんとなく「これパッケージがエロそうだね!」という理由で選んだのが本作『ゲーム』(今思うと一体どこがエロそうなのか見当もつきませんが)。ドキドキしながら再生するも、全くエロそうな気配が無いと判明したころには、友人たちは既に爆睡。そんな中、続きが気になってひとりで最後まで観てしまったことを今でも覚えているのは、アノ衝撃的なラストがあったからじゃないかと思うのです。今回ザ・シネマで放送するにあたり、(今となってはもはや有名な)アノ結末をもう一度見てみようと、興味本位でラストシーンだけ見直すことにしたのですが。いや、仕事忙しいんですけどね?でもね、いえね、なんだかんだ、どんどん巻き戻してしまって、結局全編まるごと観てしまいましたよ。当時J-POPに夢中で洋画情報に超ウトかった私は、マイケル・ダグラスのことはおろか(その後何年も「『ゲーム』のおじさん」と言っていたし)、デヴィッド・フィンチャーのことなんてまるで何も知らなかったけれど(『セブン』を初めて観たのはそれから10年後だし)、まさかエッチそうなビデオだと勘違いしたこの作品が、私にとって一生記憶に残るものになるとは想像だにしていませんでした。一度目は「一生忘れられない衝撃のラスト」、二度目は「結局最後まで観ちゃった」。三度目はしばらく先にとっておこうと思いますけど、どんな印象が残るんでしょうね?ニコラスと同じ年齢になるまで見るのは待っておこうかな。(ところで皆さま、長々と読んでいただいてありがとうございます。)何度観ても面白いとはいえ、あんまり積極的な頻度で見ると飽きてしまうのでね。みなさんがザ・シネマで『ゲーム』に偶然出くわしたときには、ぜひ最後までご覧になっていただきたいなぁと思うのであります。2017年1月から放送します。お楽しみに。 © 1997 POLYGRAM FILMED ENTERTAINMENT,INC ALL RIGHTS RESERVED
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PROGRAM/放送作品
ゲーム
見る者を翻弄するトリッキーなストーリー。映画で表現しうるスリルとサスペンスの、これが上限だ!
鬼才デヴィッド・フィンチャーを一流監督へと伸し上げた、『セブン』と並ぶ90年代の代表作。見る者を翻弄するトリッキーなストーリーは、映画が表現しうるスリルとサスペンスのMAX値を数レベル引き上げた。
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PROGRAM/放送作品
(吹)ゲーム
見る者を翻弄するトリッキーなストーリー。映画で表現しうるスリルとサスペンスの、これが上限だ!
鬼才デヴィッド・フィンチャーを一流監督へと伸し上げた、『セブン』と並ぶ90年代の代表作。見る者を翻弄するトリッキーなストーリーは、映画が表現しうるスリルとサスペンスのMAX値を数レベル引き上げた。
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PROGRAM/放送作品
ザ・ハリケーン(1999)
無実をあきらめない不屈のボクサーがいた…デンゼル・ワシントンが迫真の演技で魅せる感動の実話
キャリア絶頂期に冤罪で逮捕されたボクシング世界王者ルービン・“ハリケーン”・カーター。無実を晴らすための彼の闘いを、オスカー俳優デンゼル・ワシントンがボクサー体型を完璧に作り上げる渾身の役作りで体現。
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PROGRAM/放送作品
黒水仙(1946)
テクニカラーならではの鮮やかな色彩が咲き乱れる中、人間の心の闇と、そこに光をさす信仰を描いた名作
往年の英国映画界を牽引した監督マイケル・パウエルと脚本家エメリック・プレスバーガーの名コンビがデボラ・カーの魅力を開花させた名作。撮影監督ジャック・カーディフのテクニカラーの色彩マジックが鮮烈。