検索結果
-
PROGRAM/放送作品
レジェンド・オブ・ヒーロー/ロブ・ロイ
美しいスコットランドの大自然を舞台に、伝説の英雄の半生を描いた伝記アクション史劇
18世紀スコットランドに実在した英雄ロブ・ロイの生涯を描く伝記アクション史劇。演技巧者たちが織りなす人間模様、そして山と湖に囲まれた美しいハイランド地方のロケーションなど、見ごたえ十分の歴史ロマン。
-
COLUMN/コラム2017.11.10
イギリスの名監督がキャリアの初期に放った、“奇妙な魅惑”が息づく不完全な犯罪ロードムービー『殺し屋たちの挽歌』〜11月25日(土)ほか
スティーヴン・フリアーズはちょっとした映画マニアならば誰もがその名を知るイギリス・リーズ出身の映画監督だが、その個性をひと言で表現できる人は筆者も含めてほとんどいないだろう。若き日のダニエル・デイ=ルイスが主演した『マイ・ビューティフル・ランドレット』(85)で初めて日本に紹介されたこのフィルムメーカーは、それ以降、約20本が日本公開されているが、手がけるジャンルやテーマは多岐にわたり、どれが自分で企画を主導した作品で、どれが雇われ仕事なのかも区別しがたい。『マイ・ビューティフル~』と『プリック・アップ』(87)が立て続けに公開された1980年代半ばには“マイノリティーを描く社会派監督”のイメージで語られることがあったが、その後、ラクロの官能小説の映画化『危険な関係』(88)でハリウッドに進出すると、サスペンス、ヒューマン・ドラマ、コメディ、時代ものを次々と発表。近年は『あなたを抱きしめる日まで』(13)、『疑惑のチャンピオン』(15)、『マダム・フローレンス! 夢見るふたり』(16)という“実話が元ネタ”以外の共通点がほとんど見つかりそうもない映画を世に送り出している。 フリアーズの凄いところは、こうした多様な作品群のほぼすべてで水準以上の結果を叩き出してきたことだ。強烈な作家性を前面に押し出すタイプではないが、ストーリーテラーとしてのバランス感覚や手際よさに優れ、どの作品を観ても退屈しない(というか、ほとんどが面白い!)。要するに、極めてアベレージの高い職人監督にしてヒットメーカーであり、プロデューサーからすればこれほど重宝する人材はいない。「さて、このややこしい企画をどうしたものか。まずフリアーズに話を持っていくか」。きっとハリウッドやイギリスにはそんな思考回路でフリアーズにオファーを出し、彼の卓越した手腕の恩恵に浴してきた製作者が何人もいるはずだ。 目立った受賞歴は『ハイロー・カントリー』(00)でのベルリン国際映画祭銀熊賞(監督賞)くらいなものだが、『グリフターズ/詐欺師たち』(90)、『クィーン』(06)でアカデミー賞監督賞に二度ノミネートされ、『プリック・アップ』と『ザ・ヴァン』(96・未)でカンヌ国際映画祭コンペティションに参加している実績は、堂々たる名匠と言ってもいい。加えて『靴をなくした天使』(92)、『スナッパー』(93)、『ハイ・フィデリティ』(00)、『堕天使のパスポート』(02)のような愛すべき秀作、佳作も多数発表しているのだから、新作が届くたびに「とりあえずフリアーズなら観ておくか」と考える筆者のような映画ファンは少なくないはずだ。 だいぶ前置きが長くなったが、今回のお題の『殺し屋たちの挽歌』(84)は、フリアーズが『マイ・ビューティフル・ランドレット』の前年に撮った日本未公開作品である。『Gumshoe』(71・未)に続く劇場映画第2作だが、この人はBBCのディレクターとして膨大な数のTVムービーを手がけているので、当時すでに40代半ばの中堅どころであった。邦題はまるで香港ノワールのようだが、濃厚でエモーショナルな人間模様や派手なドンパチで見せる暗黒街ものではなく、極めてクール&ドライなタッチの犯罪映画だ。 物語はギャングの一員であるウィリー・パーカー(テレンス・スタンプ)がイギリスでの裁判に出廷し、銀行強盗の仲間を裏切る証言を行うシーンから始まる。それから10年後、司法取引によって罪を軽減されたパーカーはスペインの田舎町でひっそりと暮らしているが、執念深い組織は現地にベテランの殺し屋ブラドック(ジョン・ハート)と若い助手のマイロン(ティム・ロス)を派遣。荒っぽく拘束されたパーカーは、組織のボスが待つパリまで車で運ばれることになる。ところが途中立ち寄ったマドリードで揉め事に遭い、マギー(ラウラ・デル・ソル)という若い娘を道連れにするはめになった一行の旅は、それをきっかけに迷走していく。 いわゆる“護送もの”のロードムービーなのだが、『ガントレット』(77)や『ミッドナイト・ラン』(88)のように登場人物が行く先々で危機一髪のアクションを繰り広げる映画ではない。パーカーは組織を裏切った後の10年間の隠遁生活であらゆる分野の書物を読破し、死をも恐れぬ悟りを開いたと言い放つ怪人物。1000キロ余り先のパリで待ち受けるボスに処刑されゆく運命にあるというのに、殺し屋コンビが走らせる車の後部座席でまったく動じることなく、薄気味悪い笑みさえ浮かべ続ける。このパーカーが発する得体の知れないカリスマ性が冷徹に任務を遂行しようとする殺し屋たちを動揺させ、さらには激しい気性と色気を兼ね備えたファムファタール、マギーの存在がいっそう状況をややこしくさせる。旅のスタート地点で主導権を握っているのは明らかに殺し屋コンビだが、ロードムービーに付きものの寄り道を繰り返すたびに4人の関係性はじわじわとねじ曲がり、当初はごくシンプルな設定に思えた犯罪劇がいつしか危うい心理サスペンスに変容してくのだ。 オフホワイトのスーツに黒いサングラスをまとったブラドック役のジョン・ハート、血気盛んなトラブルメーカーのチンピラ、マイロンを金髪で演じたティム・ロス(これが映画デビュー作!)、そして謎めいた言動を連発して彼らを翻弄するパーカーに扮したテレンス・スタンプ。それぞれのユニークなキャラクターになりきった俳優3人の緊張感みなぎるアンサンブル、そこからにじみ出す静かな狂気や人間的なおかしみが実に豊かで素晴らしい。彼らのささいな表情の変化や仕種を的確にすくい取るフリアーズの演出もまた、前述した円熟の“バランス感覚”や“手際のよさ”とはひと味もふた味も違う繊細さ、鋭さが随所にうかがえ、この緩やかに劇的な破滅へと突き進むロードムービーを魅惑的なものに仕上げている。何もかもが乾ききったスペインの広大なロケーションと、パコ・デ・ルシアのギター演奏をフィーチャーしたサウンドトラックも、本作の特異なムードの醸造にひと役買っている。冒頭のメロウな主題曲を手がけたのはエリック・クラプトンだ。 ただし、この映画には大きな難点がある。「人間は誰もが死に到達する。それは自然な出来事だ」。本作のテーマはそんなパーカーの哲学者のようなセリフに象徴される人間の生と死、その皮肉な行く末にあることは明白なのだが、クライマックスがあまりにも唐突で消化不良の感が否めない。それはそれで意外性はあるし、ジョン・ハートがラスト・シーンで披露する“ウインク”の演技は鳥肌ものなのだが、多くの観る者は不可解で腑に落ちない急展開に呆気にとられることだろう。殺し屋たちを追跡するスペイン警察の捜査責任者役にわざわざフェルナンド・レイを起用しておきながら、これといった見せ場がまったくないことも不自然である。ひょっとするとフリアーズ自身も、これらの点に不満を感じているのかもしれない。2011年にはフリアーズが本作をセルフリメイクするというニュースがネット上を駆けめぐったが、未だ実現しておらず続報を待ちたいところである。いずれにせよ、この“不完全な犯罪映画”はフリアーズの多彩なフィルモグラフィーの中でもとびきりの異彩を放ち、今なお一度観たら忘れられない奇妙な魅惑が息づいている。 ちなみに、今をときめくクリストファー・ノーランもこの映画の愛好者のひとり。2013年、Indie Wire誌のサイトに掲載された“10 Filmmakers’ Top 10 Films Lists”という記事において、ニコラス・ローグの『ジェラシー』(79)、大島渚の『戦場のメリークリスマス』(83)、シドニー・ルメットの『十二人の怒れる男』(57)などとともに、お気に入りの10本のひとつに本作を選出している。■ COPYRIGHT © MCMLXXXIV CENTRAL PRODUCTIONS LIMITED ALL RIGHTS RESERVED
-
PROGRAM/放送作品
真・地獄の黙示録
コッポラ版『地獄の黙示録』の基にもなった傑作小説を、より原作に忠実に映像化したスペクタクル巨編
巨匠フランシス・フォード・コッポラ『地獄の黙示録』の基にもなった小説『闇の奥』を忠実に映像化した作品。コッポラ版でマーロン・ブランドが扮したカーツをジョン・マルコヴィッチが、マーティン・シーンが演じたウィラードにあたる役をティム・ロスが演じている。
-
COLUMN/コラム2012.07.20
【タランティーノ的L.A.案内】第1回:始まりはレザボア・ドッグス
ザ・シネマの米国オフィスがある、ここロサンゼルスは、言わずと知れた映画のまち。通りを行けば撮影に出くわし、カフェに入れば隣の席で映画関係者がミーティング中、といったことも珍しくありません。中でも、ロサンゼルスなくして語れないのが、映画オタク兼映画監督のクエンティン・タランティーノ(QT)。生まれこそテキサスですが、自他とも認めるロスっ子のQTは、 この町でオタク道まっしぐらの青少年時代を過ごしました。そんな彼の映画では、ロサンゼルスも大事な登場人物の一人。ビジュアルだけでなく、会話のそこかしこにローカルネタが散りばめられています。「レザボア・ドッグス」では、ラデラハイツの話でドッグス達が盛り上がったり、「ジャッキー・ブラウン」では、サミュエル・L・ジャクソンが、一般的に治安が悪いとされるコンプトンのジョークを飛ばしたりと、 ロスに住んでいなければ分からない話題だと自覚しながらも、敢えて入れたかったと語るQTに、この町へのこだわりと思い入れを感じます。本特集では、そんなロサンゼルスの至る所に残されたQTの足跡を辿ってみたいと思います。第1回目は、QTの名前を一躍世に知らしめることとなった「レザボア・ドッグス」のロケ地を中心に、ダウンタウンLAよりも北にある地域を巡ります。 ■ ザ・シネマのオフィスから車で30分ほどの所に、 「レザボア・ドッグス」で、チンピラ達の即席チームが押し入った宝石店があります。この店の扉を開いた瞬間から、彼らの喜劇、いえ悲劇は始まるのです。実際に店を襲うところは映されませんが、回想シーンでハーヴェイ・カイテルとティム・ロスが下見しているのが、Karina’s Wholesale Diamondです。実際はカツラ関連の会社と思われるこの建物は、ほとんどのロケ地が20年の間に変貌する中、当時と全く変わっていないように見えます。 次のロケ地に向かう前に立ち寄ったのは、Karina’s Wholesale Diamondから車で10分ほど、ワーナー・ブラザーズ・スタジオやウォルト・ディズニー・スタジオからは目と鼻の先にある、こちらの通り。「レザボア・ドッグス」誕生の10年程前にQTが通っていたアクティング・スクールがあった場所です。近所の店の人の話では、特に90年代は制作会社やスタジオ関係のオフィスが軒を連ねていたとのこと。元々俳優志望だったQTが、コミュニティシアターでしばらく演技を続けた後、本格的に演技の勉強を始めたのが、ジェームズ・ベスト・シアター・カンパニーでした。70・80年代の人気TVドラマ「爆発!デューク」などに出演していたジェームズ・ベストの大ファンだったQTは、ここで演技を学ぶうちに、カメラワークなど映画制作の基本を身につけていったのです。 ジェームズ・ベスト・シアター・カンパニーを後にして向かうのは、「レザボア・ドッグス」のロケ地が集まるイーグル・ロックです。ここは、ダウンタウンLAの北東に位置し、人口の4割近くが外国生まれ、メキシコ系や、特にフィリピン系を始めとするアジア系が多い、移民の町です。 ■ さて、何はともあれ、まずは腹ごしらえということで、Pat & Lorraine’s Coffee Shopへ。登場人物が繰り広げる取り留めのない会話は、QTの十八番とも言えるスタイルですが、「レザボア・ドッグス」の冒頭でも、マドンナの「ライク・ア・ヴァージン」について話に花が咲きます。その舞台となったのが、丁度この席なのです。 内装は映画と殆ど変わらず、夫婦が営む昔ながらの食堂といった趣。その日は丁度、5、6人のロケハンチームが脚本片手に来店していましたが、レトロで少しひなびた雰囲気がいい味を出しているのでしょう。 アメリカでは、朝食やお昼に具沢山のオムレツを食べるのは一般的ですが、レストランお勧めのJohnny Omeletteを頼むと、予想通りボリューム満点。野菜たっぷりオムレツにチーズをのせ、メキシコ風にアボカドとビーンズ、またはポテトがついてきます。さらに自家製のビスケットまでセット。あまりの量に、残りをドギーバッグ*に入れ、店頭のレジへ。映画では、ローレンス・ティアニー演じるジョーが席を立って支払いを済ませるシーンがありますが、実際のレストランでも、アメリカには珍しく、テーブルではなくレジでの支払いなのです。(*ドギーバッグ:レストランの食べ残しを持ち帰るための容器で、飼い犬用という口実から着いた名前。持ち帰りが前提かと思われるほどの量が出されるアメリカのレストランでは、必ず置いてあります。) お店の人の話では、映画の公開から20以上年経った今でも、ロケ地となったレストランを一目見ようと訪れる人は多く、中には海外、特に最近はイギリスからの観光客が多いそうです。QT、そして「レザボア・ドッグス」のカルト的人気の高さが伺えますね。ちなみに、ドッグス達が颯爽と歩く有名なタイトルシーンに登場するレンガ塀も、レストランの目と鼻の先ですが、今は別の壁に塗り替えられ、残念ながら当時の面影はありません。 空腹が満たされた後は、「レザボア・ドッグス」のメイン舞台となった場所へ。物語の大半を占める倉庫は既にコピー・サービス店に姿を変えていますが、トランクから拷問用のガソリンを取り出すMr. ブロンド(マイケル・マドセン)の背後に見える景色は余り変わっていないように感じます。 こちらは、Mr. ピンク(スティーブ・ブシェーミ)が逃走中に車に引かれる交差点。ちなみに、追いかける警察官の一人は、中々イケメンのプロデューサー、ローレンス・ベンダーです。バックグラウンドにあったガソリンスタンドは更地になり、残された価格表示の看板だけが当時を偲ばせます。 また、QT演じるMr. ブラウンが車をぶつけてしまう路地裏や、その後Mr. オレンジが銃で撃たれる線路沿いもこの辺り。路地裏は余り変わっていませんが、線路は舗装されすっかり綺麗になっていました。ちなみに、この路地の一本隣の通りでは、何らかの撮影の真っ最中でした。映画撮影に遭遇したければ、スタジオにも遠くないこの辺りをぶらつくのも手かもしれません。さて、「レザボア・ドッグス」を中心に駆け足で回った第1回「始まりはレザボア・ドッグス」。QTファンの貴方も、イーグル・ロック・ツアー(ランチ付きコース)なんていかがですか? ▼参考資料NPRインタビュー:Quentin Tarantino: 'Inglourious' Child Of CinemaBernard, Jami. Quentin Tarantino: The Man and His Movies. HarperPerennial, 1995Peary, Gerald, Ed. Quentin Tarantino Interviews. University Press of Mississippi, 1998
-
PROGRAM/放送作品
フォー・ルームス
鬼才監督4人の才能が結集!大晦日のホテルで巻き起こるイカれた騒動を描くオムニバス・コメディ
クエンティン・タランティーノと、彼と息の合う鬼才監督3人がオムニバス全4編を演出。世界一不運なホテルのベルボーイを共通の登場人物とし、イカれた宿泊客に振り回される騒動をブラック・ユーモア満載に描く。
-
NEWS/ニュース2008.08.05
08年アメコミ夏の陣、トップバッターは『インクレディブル・ハルク』
みなさん暑いですねぇ、『インクレディブル・ハルク』、もう見ました? この夏から秋にかけて、アメコミ・ヒーロー映画が波状攻撃的にやっくるワケですが、その最初を飾るのがこの『インクレディブル・ハルク』なのです。映画史的に見て、「2008年ってのはアメコミ・ヒーロー映画大豊作の年だったね」と言われること、もはや確実な情勢(今後も続々と公開されますが、それについては近日また書きます)。将来、「あの夏、私はその熱きムーヴメントの真っ只中にいて、すべてを体験し、目撃したのだ」と、遠くを見るまなざしで子孫に語り継ぐイカした年寄りになるためには、まずこの『インクレディブル・ハルク』を見なきゃ始まりませんよ。 今回ワタクシ、この映画に出演したエドワード・ノートンとリヴ・タイラーの2人にインタビューする栄光に浴しました。その模様のダイジェスト版がすでに当チャンネルでは流れておりますが、例によって、ここでは文字起こしして全文を掲載しましょう。 せっかちにも早速インタビューを始めようとするワタクシ。その、常人には計り知れないハイセンスな横山やすし師匠か『ケープ・フィアー』のデニーロ風なファッションを見たリヴ・タイラーから、「あなたの服キュートね。ベリー・スタイリッシュよ。私もメイン州に住んでた小さい頃、そんなような靴(デッキ・シューズ)履いてよく遊んだわ」との、み、み、み言葉が! Let’s 小躍り!夕星(ゆうづつ)姫アルウェン様にキュートって言われちった!! 嗚呼、かたじけなやもったいなや。前の夜、『魅せられて』DVDを見てギンギンにモチベーション高めてのぞんだ甲斐があったというもんだ。 …と、浮かれてばかりもいられません。限られた取材時間が惜しくて、リヴがせっかく気を使ってくれた“場なごませコメント”をあえて拾いには行かずに、いきなり本題に入る僕。しかもリヴを無視してまず主演のエドワード・ノートン相手に(リヴ・タイラーさんごめんなさい、そしてアイラブユー)。 で、早速ですがノートンさん。あなたは演技派、実力派、スゴい役者、というイメージが日本では定着してて、アメコミ・アクションの娯楽映画に出るって聞いた時はちょっと意外だったんですけど。 「だろうね。っていうか自分がいちばん意外。でもこのテの映画に出るってことは、自分的にかつてない経験なので、いつもと違うことができて良かったと思ってるよ。それに、ガキの頃にハマってた話に出られたのは、役者としてハッピーなことだしね」 (エドワード・ノートンでも子供の頃はハルクにハマってたんだ…) でも、あの天下のエドワード・ノートン主演ときたら、普通のアメコミ・アクションじゃないんでしょ? ハルクっていったら過去に何度も映像化されてるけど、やっぱり今作はちゃんとノートン印になってんでしょ? 「そりゃそうさ。ただのアメコミ映画じゃない。いろんな人に楽しんでもらえる作品に仕上がったと思うよ。それと、あれだね、言ってみりゃこれってシェイクスピアみたいなもんでさ、むかしっから何度となく再演されてるけど、そのつど何らか新しい要素が加わって生まれ変わり、次の時代に伝えられていく。ハルクの物語もそうやって伝えていきたいと思ってね。それに、世間でよく知られた作品をまた新たな創造世界に導くってことも、これまた役者としてはハッピーなことだしね」 なるほど。まさに、この人をして言わしめる、ってトコですな。 さて、お待たせしてすいませんリヴ・タイラーさん。どうも貴女が演じたベティって役のおかげで、今回のこの『インクレディブル・ハルク』はずいぶんとLOVEの要素が濃くなってると聞いてますが。 「そうね。たとえばTVシリーズのハルクって、根は優しいんだけど、すっごく孤独な存在で、独りぼっちで闘っているキャラだったでしょ?社会と関わっていきたいのに、自分がモンスターになってしまうって引け目があって、ジレンマを抱え込んでた。でもこの映画では、ベティの愛・ベティへの愛によって、そんなハルクが変わっていくの」 そうそう、肝心のストーリーを書き忘れてました。ブルース(エドワード・ノートン)は科学者で、アメリカ軍ロス将軍が指揮する人体強化薬の極秘開発プロジェクトにたずさわってたんだけど、自分自身に人体実験したその薬をオーバードーズしてしまい、モンスター化(このモンスターがハルクと呼ばれる)。緑の巨人に変身してバーサークし、秘密研究所をぶっ壊したあげくのはてに、同僚で恋人で将軍の娘でもあるベティ(リヴ・タイラー)にもケガを負わせた上、脱走してしまう。 一定時間たつと変身は解けて元のブルースに戻れるんですけど、体質的には永久に変わってしまって、以降、心拍数が特定値をこえるとハルク化する体になっちゃったんですねぇ。とくに、怒るのが一番よくない。心拍数が上がってヤバい事態になる。 そこでブラジルに渡って、怒りをコントロールするためヒクソン・グレイシーに呼吸法を習う、というかなり飛躍した思いつきを実行に移し、400戦無敗の男に横っツラを張られながらも必死に怒りをこらえる、というお笑いウルトラクイズすれすれな特訓をつうじて精神修養を積みます。 ただ研究プロジェクトをつぶされたロス将軍も黙ってません(娘をモノにした男ということで必要以上にブルースを目のカタキにしている模様)。ブルース=ハルクを生け捕ろうと特殊部隊をブラジルに送り込み、ブルースはその追っ手から逃げ回りながら「早く人間になりたーい」とばかりにキレイな体に戻るための科学的方法を研究しつづけ、ついに、結局はアメリカの大学で教鞭をとってるベティと再会することになるんですねぇ。 ブルースとベティ、焼けボックイについた火はメラメラと燃えあがり、一方でロス将軍の執拗な追跡は2人を着実に追い詰め、そのうえ将軍の部下の特殊部隊隊長が「おら、ハルクより強くなりてぇ。おらは宇宙いち強くなりてぇ」とドラゴンボール(しかもZ)的嫉妬にかられて暴走しだす。と、いよいよもって物語はドラマチックかつジェットコースターのような展開を見せていくのであります!さて、リヴ・タイラーのコメントを再開しますと、 「原作では、ベティとブルースを結婚させようって試みも何度かあったらしいの。それは悲恋に終わったんだけど、今回の映画では、そんな悲しいカップルをなんとか一緒にして、美しい物語に作ってあげたい、という気持ちがこめられていると思うわ」 そんなLOVE要素、そして、たたみかけるがごときアクション要素、そのうえ、クスっと笑わせるコメディ要素も案外ふんだんに盛り込まれていて、笑って、泣けて、手に汗握る、ありとあらゆる娯楽の要素をテンコ盛りにした、これぞエンターテインメント幕の内弁当状態なのですな、この映画は。 まさに、“2008年アメコミ・ヒーロー映画の夏”の口火を切るのにふさわしいトップ・バッター『インクレディブル・ハルク』。みなさん、ぜひ劇場に足を運びましょう!■
-
PROGRAM/放送作品
レザボアドッグス
クエンティン・タランティーノ監督の鬼才伝説はここから始まった!衝撃クライム・アクション
本筋と関係なく延々と続く会話、生々しい暴力、絶妙に選ばれた楽曲…。監督第1作にしてクエンティン・タランティーノが持ち味を確立。黒ずくめのチンピラが3すくみで銃を構えあう場面など、映像もスタイリッシュ。
-
PROGRAM/放送作品
殺し屋たちの挽歌
[PG12]若き日のスターたちが出演、オスカー受賞『クィーン』の監督が描く幻のクライム・サスペンス
『クィーン』のスティーヴン・フリアーズ監督がティム・ロスら後年実力派としてブレイクする俳優を起用し撮った幻のクライム・サスペンス。パコ・デ・ルシアによる音楽、エリック・クラプトンによるテーマ曲は必聴。
-
PROGRAM/放送作品
キング・オブ・マンハッタン 危険な賭け
リチャード・ギアが金融界の大物を熱演!巨額の負債を抱えた大富豪が転落していく様を描いた緊迫サスペンス
洒脱な富豪というハマリ役に扮するリチャード・ギアが、息もつけない転落劇を緊迫感たっぷりに熱演。自身も会社経営の経験を持つニコラス・ジャレッキー監督が、金融界とセレブ社会の裏側をリアルに描き出す。
-
PROGRAM/放送作品
(吹)キング・オブ・マンハッタン 危険な賭け
リチャード・ギアが金融界の大物を熱演!巨額の負債を抱えた大富豪が転落していく様を描いた緊迫サスペンス
洒脱な富豪というハマリ役に扮するリチャード・ギアが、息もつけない転落劇を緊迫感たっぷりに熱演。自身も会社経営の経験を持つニコラス・ジャレッキー監督が、金融界とセレブ社会の裏側をリアルに描き出す。