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PROGRAM/放送作品
プライドと偏見
古典小説を美しい映像で映画化。イギリス上流社会を舞台に男女の恋を描くラブ・ストーリー
ジェーン・オースティンの名作を映画化したラブ・ストーリー。主演のキーラ・ナイトレイは演技が認められ、史上3番目の若さでアカデミー賞主演女優賞にノミネートされた。監督は『つぐない』のジョー・ライト。
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COLUMN/コラム2016.07.08
“高尚な趣味のOL”御用達の退屈文芸監督と思ったら大間違い。ジョー・ライト監督、その異常ともいえる美意識の高さと、狂気じみた映像へのこだわり〜『アンナ・カレーニナ』〜
ジョー・ライトという監督がマニアックに語られることが少ないのはなぜなのか。長編デビュー作がジェーン・オースティンの恋愛小説が原作の『プライドと偏見』(2005)であったり、『つぐない』(2007)、『アンナ・カレーニナ』(2012)と文芸路線が多いことから高尚な趣味のOL御用達だと思われているのだろうか(高尚な趣味のOLという存在自体がもはやファンタジーだが)。 『プライドと偏見』は2000年代でも屈指の「衝撃デビュー」だったと思うのだが、日本公開時の宣伝は完全に女性に向けたラブストーリー扱いで、ジョー・ライトの狂気じみた映像へのこだわりは語られることが少なかった。 いや、もちろん『プライドと偏見』はラブストーリーとしても素晴らしい。その一方で、映画好きなら垂涎の映像表現や演出が詰まっていることが伝わらないままスルーされてしまった印象がある。 ジョー・ライトの最大の個性は、あらゆることを「画と音」で伝えようという強迫観念に似た執念である。『プライドと偏見』は出会った瞬間からそりが合わない男女の恋を描いたラブコメの原典だが、18世紀当時のイギリスの階級社会や文化が登場人物の思考や立ち位置を決定づけている。ライトが試みたのは、コミュニティのヒエラルキーの全容と男女の誤解、にもかかわらず芽生える恋心のはじまりをひっくるめて、舞踏会のワンシーンだけで表現してしまうことだった。 映画序盤でかなりの尺をもって描かれる舞踏会は長回しのカメラと出演者の演技が緻密に振り付けられ、シーンまるごとが壮大な群舞となった。これほどの情報量をビジュアルの力で伝えきった豪腕に「天才監督あらわる!」と興奮したことが忘れられない。 監督二作目の『つぐない』は幼い少女の誤解によって引き裂かれてしまう恋人たちを描いたメロドラマだが、第二次世界大戦の激戦「ダンケルクの撤退」を描いた5分半もの長回しで語り草になった 英仏33万人の将兵がドーバー海峡を渡ってイギリスに退却した最前線での混沌を圧倒的な物量で描いた壮麗なワンショットは、映画全体のトーンからハミ出ているがゆえに運命を翻弄する「戦争」の巨大さを象徴していた。 長回しといえばデ・パルマ、最近ではキュアロンかイニャリトゥの名前が挙がるのが通例だが、ライトは『つぐない』に限らずどの監督作でも凝りに凝った長回しを披露している。本人が「ひけらかすのが好きなんだ」と自嘲まじりに笑い飛ばすトレードマークであり、シーンのメイキングだけでも一冊の本ができてしまいそうである。 また「音楽」への執着もジョー・ライト作品の特徴だ。前述の舞踏会は言うに及ばず、『つぐない』の恋文を打つタイプライターがビートを刻みテンションを高めていくモダンさは、ありふれた「文芸映画」のイメージを軽々と飛び越える。『路上のソリスト』(2009)はまさに音楽家の物語だったし、成功作とは言えないにせよ『PAN~ネバーランド、夢のはじまり~』(2015)でニルヴァーナをぶっ込んだ遊び心も強烈だった。 現時点でのジョー・ライトの最高傑作を決めるつもりはないが、『アンナ・カレーニナ』はジョー・ライト的映画術がこれでもかと詰め込まれた、集大成と呼ぶべき濃密作であることは間違いがない。 原作はロシアの大文豪トルストイの代表作。タイトルだけは誰もが聞いたことがあるはずだが、知名度のわりに概要を知っている人は少ないので簡単に説明しておこう。 舞台は1870年代の帝政ロシア。ざっくり言えば上流階級の貞淑な若妻アンナ(キーラ・ナイトレイ)が、イケメン将校ヴロンスキー(アーロン・テイラー・ジョンソン)との不倫愛にのめり込み破滅へと突き進んでいく悲劇である。 若い農場主リョーヴィン(ドーナル・グリーソン)と若い娘キティ(アリシア・ヴィキャンデル)の純朴な恋模様や、アンナの兄の浮気騒動といったサブプロットもが同時進行するが、基本はアンナと愛人と夫の三角関係の愛憎劇。ただし当時のロシア社会への批判、トルストイの理想と現実にまつわる考察が込められていて、当然ながらただの不倫メロドラマではない。 トルストイの原作自体が文学史上の傑作とされており、過去にはグレタ・ガルボ、ヴィヴィアン・リー、ソフィー・マルソーらの主演で何度も映像化されている。言わばさんざん手垢が着いているからこそ、ライトは前代未聞のアプローチを見つけ出した。240に上るシーンの大半を、たったひとつのセットで撮ってしまったのだ。 企画当初はロシアで撮影しようとロケハンにも行ったが、現地で「ここで『アンナ・カレーニナ』を撮るのは7本目ですね」と言われて方針を180度変えた。朽ちかけた劇場のセットを建てて、シーンの違いを舞台装置によって表現しようというのだ。 むろん劇場での演劇をそのまま撮影するわけではない。ひとつの建物がまるごと、アンナたちが暮らしているロシア社会に見立てられているのである。ステージや客席は華やかな社交や場となり、天井裏はうらぶれた路地や貧者の家になる。スケートリンクから競馬のパドックまで、衣装の早替えのようにシーンが移り変わっていく様はまるで魔法を見ているかのようである。 セットを「劇場」にしたのには明快な理由がある。登場人物の誰もが社会という枠に押し込められて、与えられた役割を演じながら生きているから。アンナは虚飾に満ちた世界から逃れるようにヴロンスキーとの逢瀬にすがりつくが、もがけばもがくほど世間の反感を買って生きるスペースが狭まっていく。劇中に「観客」が登場しないのは、彼らは出演者であると同時にお互いを見張る観客でもあるからだ。 ギミックを凝らした過剰さに眩暈を起こす人もいるかも知れないが、映像や美術の端々に込められた深い寓意には戦慄すら覚える。例えばアンナの息子の寝床はまるで額縁の中のようにデザインされていて、兄の家の子供たちの部屋は大きなドールハウスだ。まるで大人の都合で観賞用に閉じ込められた「箱の中の箱」である。 ライトがインスピレーションを得たのは子供の頃に夢中だった人形劇だそうだが、誰もが大きななにかに操られていると感じさせることでミニマムな空間からマクロな視点が生まれる。さらに盟友ダリオ・マイアネッリの音楽とシディ・ラルビ・シェルカウイの振付が加わり、流麗で饒舌な映像美に昇華されているのだ。 『プライドと偏見』をさらに進化させた舞踏会のダンスシーンは本作の白眉だが、直接ダンスが絡まない場面での手や首の優雅な動きにも目を凝らして欲しい。自然体とは対極にある誇張された動きだが、いかに雄弁に気持ちを語っていることか。本音をぶちまけることが許されなかった時代背景が、異常ともいえる美意識の高さに昇華されていて息が詰まるほどだ。 とはいえ同じことを現代劇でやるのは難しかっただろう。こういう形で演劇を取り入れた先例として木下恵介の『楢山節考』(1958)、エリック・ロメールの『聖杯物語』(1978)、ラース・フォン・トリアーの『ドッグヴィル』(2003)などが挙げられるが、いずれも時代物であり、虚構性を高めることで寓話としての強度を高めている。 『アンナ・カレーニナ』がそれらの先達と違うとすれば、キャラクターを戯画化していないことではないか。ひとりひとりをシンボライズするのでなく、矛盾に満ちたグレーな人間としてリアルに描く。しかしビジュアルや演技は徹底的にアンリアルという倒錯感を、ジョー・ライトという才気あふれる映画監督の気概と一緒に楽しんでいただきたいと思う。■ ©2012 Focus Features LLC
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PROGRAM/放送作品
つぐない
[PG-12]『プライドと偏見』のジョー・ライト監督とキーラ・ナイトレイのコンビで贈る文芸ロマンス
主演のキーラ・ナイトレイと英国が生んだイケメン俳優ジェームズ・マカヴォイ、さらに『ラブリーボーン』で注目された新鋭美少女シアーシャ・ローナンが織り成す、大人のための上質な英国文芸ラブロマンス。
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COLUMN/コラム2011.07.05
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2011年7月】招きネコ
私にとって映画を観るカタルシスを満喫できる、最もたまらないタイプの名作。それは、誰のせいでもなく悲劇が起き、せつなくて思わず映画を見終わった後 に、ラストに続く後日談やこうあって欲しいという別の結末を勝手に作ったりしてしまうような作品。この「別の結末」というのが、この作品の場合、なんと作 品独特の秘密のキーワードでもあるのです。あの一言や、あの瞬間、あの決断がなければ運命は違っていたのに・・・という思いを、ジリジリするような甘さ と、苦さで描いていくラストまで目が離せません。 ©2007 Focus Features. All Rights Reserved.
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PROGRAM/放送作品
路上のソリスト
心に傷を持つ天才音楽家と新聞記者の友情を、2大演技派スターが熱演。実話を基に描く感動ドラマ
統合失調症を抱える天才音楽家との交流を綴った、ロサンゼルス・タイムズ記者のコラムを映画化。オスカー俳優ジェイミー・フォックスとカメレオン俳優ロバート・ダウニー・Jrが、熱い演技合戦で静かな感動を生む。
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PROGRAM/放送作品
(吹)路上のソリスト
心に傷を持つ天才音楽家と新聞記者の友情を、2大演技派スターが熱演。実話を基に描く感動ドラマ
統合失調症を抱える天才音楽家との交流を綴った、ロサンゼルス・タイムズ記者のコラムを映画化。オスカー俳優ジェイミー・フォックスとカメレオン俳優ロバート・ダウニー・Jrが、熱い演技合戦で静かな感動を生む。
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PROGRAM/放送作品
アンナ・カレーニナ(2012)
トルストイの代表作が斬新な演出で絢爛豪華に蘇る!キーラ・ナイトレイ×ジュード・ロウで綴る文芸ロマン
『プライドと偏見』など文芸作品で高い評価を受けたジョー・ライト監督が、舞台劇のように展開する実験的な演出でトルストイの代表作を映像化。優美な衣装で19世紀ロシアを再現しアカデミー衣装デザイン賞を受賞。
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PROGRAM/放送作品
ハンナ
文芸監督ジョー・ライトが描く少女アサシンものアクションは、やっぱりとことんクールかつスタイリッシュ!
『つぐない』『アンナ・カレーニナ』など、コスチューム劇や文芸映画で知られるジョー・ライトがイメージを裏切り放つ、キレッキレのアクション。シアーシャ・ローナン演じる無感情な不思議系少女アサシンが印象的。
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PROGRAM/放送作品
(吹)ハンナ
文芸監督ジョー・ライトが描く少女アサシンものアクションは、やっぱりとことんクールかつスタイリッシュ!
『つぐない』『アンナ・カレーニナ』など、コスチューム劇や文芸映画で知られるジョー・ライトがイメージを裏切り放つ、キレッキレのアクション。シアーシャ・ローナン演じる無感情な不思議系少女アサシンが印象的。
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PROGRAM/放送作品
ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男
ゲイリー・オールドマンが特殊メイクでチャーチルに変身!名宰相の知られざる葛藤に迫る伝記ドラマ
日本人アーティスト辻一弘の特殊メイクでゲイリー・オールドマンがチャーチルに変身。逆境の中で勇気ある決断を下した名宰相を人間臭く体現し、アカデミー主演男優賞とメイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞。