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PROGRAM/放送作品
太陽の帝国
少年の目線から訴える反戦メッセージ──スティーヴン・スピルバーグ監督による戦争映画
J・G・バラードの自伝的小説をスティーヴン・スピルバーグが映像化した反戦映画。ダイナミックな戦場描写や主人公の少年を巡る瑞々しい人間ドラマなど、スピルバーグならではの演出が冴え渡る。
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COLUMN/コラム2016.04.10
逢う魔が時、黒い怪鳥が群れ飛ぶ木立の下にたちこめていた、禍々しき空気…90年目の『チェンジリング』事件現場探訪
ロサンゼルス在住のシングルマザー、クリスティン・コリンズ(アンジェリーナ・ジョリー)の息子ウォルター(当時9歳)が忽然と姿を消した。5カ月後に警察はウォルター少年を保護したと発表、母子は感動の再会を果たす……はずだったが、引き合わされたのは息子とはまったくの別人。クリスティンが抗議をすると、警察は「あなたの方がおかしい」と彼女を精神病院に入れてしまう――。 まるでシュールなサイコホラーだが、これが実話なのだから恐ろしい。脚本家のJ・マイケル・ストラジンスキーはロサンゼルス市役所の職員から大量の古い書類を破棄すると聞き、その中からクリスティン・コリンズが息子の失踪について訴えている調書を拾い出した。 ストラジンスキーはさらにリサーチを重ね、登場人物がすべて実名のオリジナル脚本を書き上げる。現実の事件があまりにも複雑かつ奇妙なので、史実と異なる脚色は最小限に留めると決めた。後に「95%は資料に基づいて書いた」と語っている。イーストウッドはストラジンスキーの初稿を気に入り、なんら変更を加えることなく撮影を開始したという。 完成した『チェンジリング』は、愛する息子と自身の尊厳を取り戻すために闘うクリスティンの物語となった。社会的に無力な女性が警察権力を相手に勇気を奮い起こす姿はイーストウッドが過去に演じてきたヒーローたちを想起させる。ただしクリスティンの原動力はイーストウッド流の反骨ではなく“母性愛”だ。 クリスティンと警察の攻防とは別に、ウォルター少年の失踪事件には真犯人が存在する。ロサンゼルスから80km離れた町、ワインヴィルで養鶏場を営んでいたゴードン・ノースコットという男が少年を次々と誘拐し、虐待したあげく殺害していたのだ。ウォルターもまたノースコットが手をかけた犠牲者の一人だったと見なされている。 私事で恐縮だが、2014年の1月、筆者はロサンゼルスで『チェンジリング』のロケ地を訪ねて回っていた。ここから先はその際に体験した『チェンジリング』詣での“忌まわしい顛末”を書かせてほしい。 『チェンジリング』のロケ地を探すリサーチをしているうちに、ふと気になったのがアンジェリーナ・ジョリーのセリフにあったクリスティンの住所。これだけ事実をベースしているのだから、この住所も本物ではないのか? 劇中の住所は「210 North Avenue 23, Los Angeles, California」。ロサンゼルスのダウンタウンから3キロほど北東の一角だ。 行ってみると住所の場所はマンションになり、前には大きな高速道路が通っていた。事件から約90年、そりゃあ様変わりもするだろう。少し歩くと現在は使われていない路面電車のレール跡を発見。古い路線図で確認すると確かにダウンタウンとこの界隈を繋ぐ路線がある。映画と同様、クリスティンはこの路面電車で毎朝職場に通っていたのだろうか。 ロサンゼルスタイムズの調査によると、事件当時のクリスティンの住所は「219 North Avenue 23, Los Angeles, California」。「210」も「219」も今では同じマンションなので、劇中の住所はほぼ正確だったことになる。やはりクリスティン・コリンズはこの界隈で息子のウォルターと暮らしていた。ただし事件以降はひとつ所に落ち着くことなく転居を繰り返し、苦労の多い人生を送ったようである。 その晩、ネットで調べものをしていてゾッとするような情報にぶち当たった。事件当時に犯人であるノースコットが住んでいた家が今もそのまま残っているというのだ。 自分は映画好きであって犯罪マニアではない。殺人現場などむしろ避けて通りたい派だ。しかし映画ライターを名乗り、アメリカにまで来ておいて、この転がり込んできた情報をスルーするのか? むしろ『チェンジリング』所縁の場所を巡った今だからこそ感じるものがあるんじゃないのか? 翌朝もまだ迷っていたが、午前の用事に時間を取られ、午後の予定が白紙になってしまった。ロサンゼルスからノースコットの農場があったワインヴィルまでは車で約1時間。代わり映えのしないハイウェイを東へ進み、15号線とぶつかったところで南に折れる。途中で見かけたパモーナという地名は、確か『ダイ・ハード』でボニー・ベデリアが演じたジョン・マクレーン刑事の妻が子供たちと住んでいた町だ。 自分は霊感とは程遠い人間で、第六感的になにかを察知したことはない。しかし目的地が近付いてくると吐き気を催し始めた。きっと自己暗示だと思いつつも全身が「行きたくない」と叫んでいる。なんでこんなところまで来てしまったのか? 後悔し始めた時にはワインヴィルに一番近い高速の出口に着いていた。ノースコットの家はもう目と鼻の先である。 実は現在はワインヴィルという町は存在しない。ノースコットの事件があまりにもマスコミで騒がれたために住民が地名を変えたからだ。ただ「ワインヴィル・アベニュー」という通りがあり、ノースコットの家もこの道路に面している。 車から場所を確かめ、200mほど離れたところにレンタカーを停めた。農場がどれくらいの広さだったかはわからないが、周囲はほぼ住宅地になっている。歩行者の姿はまったく見かけない。カメラをつかんで件の家まで歩いてみる。一軒手前の家で凶悪な番犬に吠えられ、逃げ帰りたくなるほど驚いた。 件の家は壁が黄色く塗られた平屋の一軒家だ。メンテナンスのおかげか築90年の古家には見えないが、屋根の形や窓の配置は確かに当時の報道写真のままである。 敷地の奥に停められているトラックの辺りにウォルター少年が殺害された鶏舎があったはず。骨の一部が埋められていた場所は奥まっていて窺うことができないが、今は別の棟が建っているらしい。 やたらと禍々しく感じるのは先入観から来る錯覚だと自分に言い聞かせる。フェンスの金網になぜか細い木切れが縦に何本も挿さっていて、その意味不明さがさらに不安を煽り立てる。 家には事件のことはまったく知らずに入居した夫婦が住んでいると聞く。誰か出てきたらどうしようか。日本からの野次馬が歓迎されるとは思えない。盗撮のような気分で写真を2、3枚撮り、足早に車に向かった。 振り返ると、まだ造成されていない空き地が広がっていた。空き地の向こうに見える木立はちょうど殺された少年たちの骨が埋められていた辺りだ。 一応写真を撮っておこうと空き地に足を踏み入れてぎょっとした。土壌がやけに柔らかく、軽く足がめり込む。当時もこんな土壌だったのなら、ノースコットと共犯を強いられた甥のサンフォード・クラークはいとも簡単に穴を掘ることができただろうと、嫌な想像が膨らんでいく。 すでに夕暮れに差し掛かり、マジックアワーの現実離れした色彩が違和感に拍車をかける。その時に気がついた。例の木立の上空にだけ、黒い鳥の群れがくるくると旋廻している! いや、こんなのはただの偶然のはず。でも広い視界のどこを見ても、呪わしい木立の上にしか鳥は飛んでいないのだ。もう充分だ。一刻も早くここから離れよう。 実はイーストウッドも撮影前にこの地を訪れたという。犯人の家がそのまま残っていることを不気味に思い、その家を訪ねることなく立ち去ったという。あのイーストウッドがビビったのだから自分ごときが怯えるのも仕方がない。興味があって心臓が強い人のみ、住民に迷惑をかけない範囲で行ってみることをお勧めします。■ © 2008 UNIVERSAL STUDIOS
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バーン・アフター・リーディング
[PG-12]コーエン兄弟がブラッド・ピットやジョージ・クルーニーらを迎えて描くクライム・コメディ
『レディ・キラーズ 』、『ノーカントリー』のコーエン兄弟が、ブラッド・ピットやジョージ・クルーニーら豪華キャストを迎えて贈るクライム・コメディ。コーエン兄弟らしいブラック・ユーモアが満載だ。
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(吹)バーン・アフター・リーディング
コーエン兄弟がブラッド・ピットやジョージ・クルーニーらを迎えて描く、痛快クライム・コメディ
『レディ・キラーズ 』、『ノーカントリー』のコーエン兄弟が、ブラッド・ピットやジョージ・クルーニーら豪華キャストを迎えて贈るクライム・コメディ。コーエン兄弟らしいブラック・ユーモアが満載だ。
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リバティーン
33歳で夭折したイギリスの天才詩人をジョニー・デップが熱演。愛と才能に溺れた、美しき男の物語
ジョニー・デップが実在の詩人ジョン・ウィルモットに扮した伝記恋愛ロマン。監督は本作がデビュー作となったローレンス・ダンモア。なお、共演のジョン・マルコヴィッチは、実は舞台版で主人公を演じた経緯がある。
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真・地獄の黙示録
コッポラ版『地獄の黙示録』の基にもなった傑作小説を、より原作に忠実に映像化したスペクタクル巨編
巨匠フランシス・フォード・コッポラ『地獄の黙示録』の基にもなった小説『闇の奥』を忠実に映像化した作品。コッポラ版でマーロン・ブランドが扮したカーツをジョン・マルコヴィッチが、マーティン・シーンが演じたウィラードにあたる役をティム・ロスが演じている。
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シェルタリング・スカイ
広大な砂漠をさまよう夫婦の愛の行方は?オスカー監督ベルナルド・ベルトルッチの映像美に魅せられる
『ラストエンペラー』でアカデミー賞9部門を制覇したベルトルッチ監督がサハラ砂漠を舞台に、愛情の冷めた夫婦の関係を描く。砂漠や北アフリカの街をエキゾチックかつ壮大に撮らえた映像美はベルトルッチならでは。
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PROGRAM/放送作品
チェンジリング(2008)
[PG-12]イーストウッドが実在の事件をアンジェリーナ・ジョリー主演で描く衝撃のサスペンス
2度のアカデミー作品賞受賞作の監督賞に輝く名匠クリント・イーストウッドが、アンジェリーナ・ジョリーを主役に迎え、1920年代ロサンゼルスで実際に起きた警察による子供取り替え事件を描く衝撃のサスペンス。
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マルコヴィッチの穴
俳優マルコヴィッチの頭の中に入る──奇想天外なアイデアに翻弄される異色の不条理コメディ
本作が長編デビュー作となるスパイク・ジョーンズ監督が、名脚本家チャーリー・カウフマンの奇想天外なアイデアを斬新なセンスで映像化。本人役で出演するジョン・マルコヴィッチら豪華スター陣の熱演も見もの。
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キリング・フィールド
[PG-12]国籍を超えた友情が内乱下カンボジアで紡がれる──。戦乱の凄まじさに息を呑む反戦ドラマ
ピューリッツァー賞に輝いた新聞記者の体験記を映画化。演技初体験のカンボジア人ハイン・S・ニョールが、戦乱の実体験に基づいた迫真の演技でアカデミー助演男優賞を受賞。他にアカデミー撮影賞・編集賞も受賞。