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PROGRAM/放送作品
シークレット/嵐の夜に
「リア王」を彷彿とさせる父娘の確執を、実力派女優たちがドラマティックに演じる
シェイクスピア悲劇「リア王」がモチーフのピューリッツァー文学賞受賞文芸大作「大農場」を映画化。骨肉の父娘の確執を、M・ファイファーとJ・ラング、J・J・リーの三女優競演で描き上げる。
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COLUMN/コラム2017.02.08
ベン・スティラー 人生は最悪だ!
ロサンゼルス。裕福なグリーンバーグ家では、雑事を代わりにやってくれるパーソナル・アシスタントを雇っていた。彼女の名はフローレンス。自分探しをしているうちに、大学にいた時間よりも大学を出てからの方が長くなってしまった女子だ。ある日、旅行中の犬の世話を頼まれた彼女は、家長フィリップの兄ロジャーと出会う。留守番を頼まれてニューヨークからやってきたという彼は、かつてはインディロック・バンドで活躍していたものの今は無職。精神病院から出てきたばかりで、気難しくてキレやすい中年男だった……。 『ベン・スティラー 人生は最悪だ!』は、ノア・バームバックにとってとびっきりの異色作である。というのも、彼は生まれ育ったのはブルックリン。最終学歴もヴァッサー大学という生粋のニューヨーカーだからだ。 監督デビュー作は、ヴァッサーを卒業した後も学生街のアパートに居座る若者たちをヴィヴィッドに描いたコメディ『彼女と僕のいた場所』(95年)。26歳という若さでデビュー出来たのは、クエンティン・タランティーノの成功によって、ちょうどハリウッドが若い才能の青田刈りを行なっていた時期だからだ。 とはいえ、バームバックには才能があった。ジョシュ・ハミルトン、エリック・ストルツ、パーカー・ポージー、エリオット・グールドらが出演したこの作品は評論家筋に絶賛を博したのだから。ヴァッサー大学は一時期、新入生の歓迎会でこの作品を必ず上映していたという。 同作の成功後、バームバックは『Mr. Jealousy』(97年)と『Highball』(97年)を立て続けに発表する。しかしデビュー作ほどの評価は得られず、後者に至ってはプロデューサーとの対立によってクレジットも外された形でDVDスルーの憂き目に遭ってしまった。 この事件によってバームバックのキャリアは一旦終わったかに思われたが、彼はウェス・アンダーソン監督作『ライフ・アクアティック』(04年)の共同脚本家として再び脚光を浴び、アンダーソンのプロデュースのもと撮った『イカとクジラ』(05年)で映画監督としても復活したのだった。 80年代のニューヨークを舞台にした同作の主人公は、離婚した両親の家を行ったり来たりする生活を送る高校生ウォルト。バームバックの両親もこの頃に離婚しており、この映画は半自伝作だった。ウォルト役のジェシー・アイゼンバーグの好演も相まって、『イカとクジラ』はスマッシュ・ヒットを記録。バームバックはアメリカ映画界の最前線に返り咲いた。 続く『マーゴット・ウェディング』(07年)も半自伝作だ。妹の結婚式に出席するために実家を訪れる主人公マーゴットの神経質なキャラは、『イカとクジラ』の母親と全く一緒である。但し同作は、ウェルメイドな『イカとクジラ』とは異なり、明確なクライマックスが無く、主人公がラストに何の成長もしないという、アメリカ映画のルールを無視した実験的な作りがなされていた。 そこでのバームバックの冒険を支えていたのが、当時の妻で、主人公の妹役で出演もしていた女優のジェニファー・ジェイソン・リーだった。『初体験/リッジモント・ハイ』(82年、バームバックとの出会いには同作で共演したエリック・ストルツが関与していた可能性がある)以来、個性派女優として活躍を続ける彼女は、自ら監督と脚本もこなした『アニバーサリーの夜に』(01年)を発表したこともある才人である。『アニバーサリーの夜に』は、セットを一切使用せず、実際の家で起きた一夜の出来事をデジタルカメラでおさめた実験作だった。 また同作には、『初体験/リッジモント・ハイ』以来のリーの親友フィービー・ケイツが、夫のケヴィン・クラインと子ども二人を引き連れて久々に映画出演をしたことでも話題になったが、その子どものひとりこそ、後に『イカとクジラ』でジェシー・アイゼンバーグの弟役を演じたオーウェン・クラインなのだ。リーは『人生は最悪だ!』でもストーリー作りに関与しており、撮影は彼女の地元ロサンゼルスで行われている。彼女はそれほどまでに当時のバームバックに影響を与えていた。 同時にバームバックは、インディ映画界で勃興していた新しい流れからも影響を受けていた。それが<マンブル・コア>である。アンドリュー・ブジャルスキ、アーロン・カッツ、ジェイとマークのデュプラス兄弟といったこのムーヴメントを担う若い作家たちは、互いの作品に出演しあい、ヤマもオチもない日常をビデオカメラで切り取った超低予算映画をひっそりと、しかし大量に送り出していた。 ジョシュ・ハミルトンを通じてマンブル・コアの中心人物ジョー・スワンバーグと知り合ったバームバックは09年にスワンバーグ監督作『Alexander the Last』をプロデュースしており、『人生は最悪だ!』ではフローレンス役にマンブル・コア映画の代表的な女優だったグレタ・ガーウィグを抜擢している。『グリーンバーグ』は<中堅監督が敢えて挑んだ若い映画>だったのだ。 そんな作りでありながら、本作がコメディ映画としても成立しているのは邦題通り、ロジャーをミジメなシチュエーションだと最高におかしいベン・スティラーが演じているからだろう。スターである彼が低予算映画に出演したのは、生粋のニューヨーカーの彼がバームバックのセンスに共感したからだろう。事実、これ以降のスティラーは声優を務めたアニメ『マダガスカル3』(12年)の脚本家にバームバックを推薦し、エディ・マーフィとの共演作『ペントハウス』(11年)でも自分の役のセリフのリライトをバームバックに依頼するなど彼に全幅の信頼を置いている。『イカとクジラ』の終盤ウォルトが訪れるのは、スティラーの人気シリーズ『ナイト・ミュージアム』で一躍有名になったニューヨークの自然史博物館。スティラーもここには少年時代に何度となく訪れたという。 スティラーが演じるロジャーのモデルはだから当然バームバック本人だ。劇中で彼が自動車免許を持っていないことが執拗にギャグにされているのは、バームバックもロサンゼルスに引っ越して当初は免許がなくて苦労したから。20代の時にメジャーデビュー寸前まで行きながら無職という設定も、もし『イカとクジラ』を撮れなかったらこうなっていただろうという平行宇宙の自分なのだろう。 そんな冴えないロジャーにフローレンスはなぜか惹かれてしまう。ロジャーも彼女に心を奪われながら、「年齢が違いすぎる。僕の恋人になるのは十代の子どもを持つ疲れた中年女だ」と前に踏み出すことを拒もうとする。 映画はふたりに何かが起きる寸前に終わってしまうけど、僕らはその後に起きたことを知っている。ロジャー=バームバックとフローレンス=グレタは恋に落ちてしまったのだ。バームバックはグレタを連れてニューヨークへと戻り、喜びと疾走感に溢れたグレタ主演作『フランシス・ハ』(12年)を発表する。その翌年にバームバックはリーと離婚している。 その後もバームバックはニューヨークを拠点に、グレタやスティラーと組んで快作を発表し続けているけど、倦怠感と孤独の中から何かが生まれる瞬間をとらえた『人生は最悪だ!』は彼のフィルモグラフィに残る異色作としていつまでも残り続けることだろう。なお本作、終盤のパーティ・シーンにブレイク前のブリー・ラーソン、ジュノー・テンプル、デイヴ・フランコ、ゾーシャ・マメットらが出演しているので、目をこらして探してほしい。 © 2009 Focus Features LLC. All Rights Reserved.
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PROGRAM/放送作品
ジャケット
タイムスリップした男が、未来で出会った女と自分の死の真相を探る異色のラブ・サスペンス
タイムスリップした男が未来で出会った女と、自分の死の真相を探りながら時を越えて愛し合う異色のラブ・サスペンス。主演は『戦場のピアニスト』のアカデミー賞俳優エイドリアン・ブロディとキーラ・ナイトレイ。
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マーゴット・ウェディング
妹の結婚を機に噴出する家族の様々な問題をコミカルに描く、ニコール・キッドマン主演のホームドラマ
『イカとクジラ』のノア・バームバック監督が、ニコール・キッドマンやジャック・ブラックなど豪華キャストを迎えて、姉妹の確執やさまざまな騒動をコミカルに描くファミリー・ドラマ。
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カンザス・シティ
悪の華ひらく往年のカンザス・シティ、腐敗選挙と誘拐騒動にジャズが絡み合う人間ドラマ
監督はインディペント映画の巨匠、『M★A★S★H マッシュ』のロバート・アルトマン。ちなみにカンザス・シティはアルトマンの故郷。誘拐劇と並んで挿入されるジャズ演奏シーンが印象的で音楽好きにもおすすめ。
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イン・ザ・カット
女流監督のもとでメグ・ライアンが大胆な演技を披露!ニコール・キッドマン製作のサスペンス
『ピアノ・レッスン』の女流監督が描く、耽美的で淫靡なサスペンス。製作のニコール・キッドマンが主演する予定だったが、代わって登板したメグ・ライアンは、“ラブコメの女王”の異名を返上する大胆な演技を披露。
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ルームメイト(1992)
[R15相当]同居して初めて判った、ルームメイトの狂気に満ちた素顔…90年代サイコ・スリラーの代表作
ジョン・ラッツのサスペンス小説「同居人求む」を映画化。最初は地味だったのがヒロインに憧れて髪型やファッションを真似していく、同居人役ジェニファー・ジェイソン・リーの不気味な変貌と暴走にゾクリとする。
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PROGRAM/放送作品
ベン・スティラー 人生は最悪だ!
[PG12相当]神経質で孤独な男をベン・スティラーが静かなユーモアで熱演。人生の再出発を温かく綴る
『イカとクジラ』の鬼才ノア・バームバック監督が描く人間ドラマ。人気コメディアンのベン・スティラーが心を病んだ孤独な40代男性をユーモラスかつシリアスに熱演し、再出発への歩みを静かに刻んでいく。
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PROGRAM/放送作品
初体験/リッジモント・ハイ
当時人気の若手スターたちが恋と青春を織りなす。キャメロン・クロウ脚本の学園群像コメディ
監督デビュー前のキャメロン・クロウが22歳で書いた処女小説を自ら脚色し、『クルーレス』のエイミー・ヘッカリング監督が映像化。ショーン・ペンなど後にスターとなる若手俳優たちの豪華競演が見どころ。
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PROGRAM/放送作品
(吹)初体験/リッジモント・ハイ
当時人気の若手スターたちが恋と青春を織りなす。キャメロン・クロウ脚本の学園群像コメディ
監督デビュー前のキャメロン・クロウが22歳で書いた処女小説を自ら脚色し、『クルーレス』のエイミー・ヘッカリング監督が映像化。ショーン・ペンなど後にスターとなる若手俳優たちの豪華競演が見どころ。