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PROGRAM/放送作品
キングダム/見えざる敵
[PG-12]FBI精鋭チームが中東の危険地帯に潜入!対テロ闘争の実態をリアルに描く社会派アクション
1996年にサウジアラビアで起きた爆弾テロ事件をヒントに、男臭いアクション映画の第一人者である名匠マイケル・マンのプロデュースで描く。FBI精鋭チームとテロ組織との間で繰り広げる銃撃戦が迫力満点。
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COLUMN/コラム2015.12.15
チェンジ・アップ/オレはどっちで、アイツもどっち!?
売れない俳優だけど独身生活を謳歌しているミッチと、敏腕弁護士だけど子どもの世話に追われているデイヴ。すべてが正反対だけど大親友の二人は、ひそかに互いの生活を羨んでいた。ある夜、酔っ払ってベロベロになった二人は、噴水の前で「人生を交換したい!」と同時に本音を口に出してしまう。すると一瞬あたりは真っ暗闇に。気づいた時、二人の体は本当に入れ替わっていた。元に戻ろうとしても、魔法の噴水は改修工事で撤去されて跡形もない。仕方なくミッチ(中身はデイヴ)とデイヴ(中身はミッチ)は互いになりきって生活するのだが ……。 正反対の立場のふたりの体が、不思議なパワーで入れ替わってしまうというプロットの、所謂<入れ替わりコメディ>は、お堅い母親とヤンチャな娘が入れ替わるジョディ ・フォスター主演作『フリーキー・フライデー』(77年、のちにリンジー・ローハン主演で03年に『フォーチュン・クッキー』としてリメイク)から、男女が入れ替わる大林宣彦の『転校生』(82年)まで、これまで様々な作品が作られてきた。 『チェンジ・アップ/オレはどっちで、アイツもどっち!?』はこうした伝統を受け継ぎながらも、ある種このジャンルの<究極形>とも呼べる作品だ。そう言いたくなる理由のひとつは、本作のスタッフの過去の仕事にある。 監督のデヴィッド・ドブキンは、最新作こそシリアスな裁判ドラマ『ジャッジ 裁かれる判事 』(14年)だったけど、元々は多くのコメディ映画を手がけてきた人物だ。その中の一本『ブラザーサンタ』(07年)は、あのサンタクロースにグウタラな兄貴フレッドがいたという設定のもと、彼が弟の代わりに世界中の子どもたちにクリスマス・プレゼントを届ける立場になってしまうというものだった。つまりフレッドはサンタと入れ替わるのだ。 脚本家のジョン・ルーカスとスコット・ムーアも入れ替わりコメディを手がけている。それはあの『ハングオーバー!』シリーズ(09〜13年)。この三部作の事実上の主人公は歯科医のスチュワートだが、小心者でキマジメな彼は親友の独身さよならパーティーで泥酔した翌朝、自分の歯が無くなっていることに気づく。おぼろげな記憶を辿りながらスチュワートは、自分が普段とは正反対のワイルドな一夜を過ごしたことを知る。つまりこの物語では破天荒な男が小心者と入れ替わっていたということになる。そしてスチュワートは、もうひとりの自分を知ることを通じて成熟した男へと成長を遂げるのだ。 このことでも明らかなように、別の人物と入れ替わるという体験は、他人を理解することによって本来の自分を発見する体験でもある。こうしたちょっと哲学的なテーマをギャグと一緒にイヤミなく語ってくれるところにこそ<入れ替わりコメディ>の魅力がある。このジャンルで既に十分な成果を挙げてきた作家たちが、満を持して関わった『チェンジ・アップ』では、そんな<入れ替わりコメディ>の魅力が全編に溢れている。 『チェンジ・アップ』がこのジャンルの究極形であるもうひとつの理由は、キャスティングだ。というのも、主演俳優の二人ほど<遊び人><マジメ人間>というパブリック・イメージを持っているハリウッド俳優はいないからだ。 遊び人のミッチを演じるライアン・レイノルズの劇場映画初主演作は、『アニマルハウス』の製作で知られるパロディ雑誌ナショナル・ランプーンが手がけた『Van Wilder』(02年)というコメディだった。ここで彼が扮したのは、遊びすぎで留年しまくっていたことがバレて親からの仕送りを打ち切られてしまった大学生。だが彼は長年のキャンパス生活で培った合コン・スキルを活かしてビジネスで大成功する。 このアナーキーな作品によって同性の圧倒的支持を獲得したレイノルズは、長身とマッチョなボディを武器に、『ラブ・ダイアリーズ』(08年)や『あなたは私のムコになる』(09年)といった恋愛モノで異性のファンもゲット。また『グリーン・ランタン』(11年)や『ゴースト・エージェント/R.I.P.D.』(13年)といったコミック原作の大作に次々と主演を果たし、16年には自ら企画から深く携わった『X-メン』シリーズのスピンオフ作『デッドプール』が公開予定だ。 一方のマジメ人間デイヴに扮したのはジェイソン・ベイトマンである。もともと彼は、あの伝説的なテレビドラマ『大草原の小さな家』にレギュラー出演していた天才子役だった。しかしハリウッド・スターにしてはあまりに華がない普通の顔をした大人に育ってしまったためか、成人後のキャリアはパッとしないものだった。 だが三十歳を超えて出演したテレビ・コメディ『ブル~ス一家は大暴走!』(03年〜)がベイトマンの運命を変えた。ここで彼が演じたのは、奇人変人だらけの一家にあって唯一マトモな主人公。「なんで僕だけがこんなツラい目に遭うんだ。でも僕が耐えるしかない。」そんなやるせない感情を、諦めきった表情と長いキャリアで培った演技力によって表現しきったベイトマンは一躍<普通人の代表選手>となったのだった。 この当たり役で得られた彼のキャラクターは、ハリウッドに進出して主演した『モンスター上司』(11年)や『泥棒は幸せのはじまり』(13年)といった映画においても全く変わっていない。ベイトマンの本領は、奇人変人に振り回される悲しき小市民を演じるときに最大限に発揮される。 そんなレイノルズとベイトマンだが、実は私生活でも大親友らしい。なんでも『スモーキン・エース/暗殺者がいっぱい』(07年)で共演したことをきっかけに意気投合し、再共演に相応しい脚本を待っていたのだとか。ふたりの間に本当に深い交流が存在するからこそ、中盤以降の<互いになりきった演技>が破壊力満点なものになっていることは間違いない。 こうしたシーンでは前述の通り、彼らの<本来の自分>の姿が顔を覗かせているのも興味深い。いつもと正反対のハチャメチャな言動を繰り広げるベイトマンからは、長い低迷期にもメゲなかった神経の図太さが感じられるし、レイノルズのいつにない繊細な演技は、アラニス・モリセット、元妻のスカーレット・ヨハンソン、そして現夫人のブレイク・ライヴリーといった気が強そうな美女たちが何故彼にメロメロになったのかという長年の謎を解き明かすものになっている。 最後に、こうした二人に振り回されるデイヴの妻を演じたレスリー・マンについても触れておきたい。一般的には『素敵な人生の終り方』(09年)や『40歳からの家族ケーカク』(12年)といった夫ジャド・アパトーの監督作におけるヒロイン役が代表作とされている彼女だけど、『ダメ男に復讐する方法』(14年)や『お!バカんす家族』(15年)といった夫以外の監督作での脇に回って披露するキレキレのコメディ演技も素晴らしい。 そんなレスリーが、夫以外の監督作で珍しくヒロインを演じていたのが『セブンティーン・アゲイン』(09年)というティーン・コメディだった。この作品で彼女が扮していたのは、冴えない夫を家から追い出した主婦。ある日、彼女のもとに出会った当時の夫そっくりのピカピカの少年が現れる。実は彼こそが不思議なパワーで姿を替えられてしまった夫その人だったのだ。そんな事情を知らないレスリーはトラブルに巻き込まれていくことになる。そう、彼女が他人と入れ替わった夫と遭遇するのは『チェンジ・アップ』が初めてではないのだ。 © 2012 Universal Studios. All Rights Reserved.
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PROGRAM/放送作品
マイレージ、マイライフ
リストラ宣告人に人生の転機が!現代人の人間関係を問うジョージ・クルーニー主演の哀歓ドラマ
名匠アイヴァン・ライトマンの息子ジェイソンが父譲りのユーモアセンスを発揮。リストラや“おひとり様生活”という現代的テーマをシニカルに斬る。人とつながる喜びに目覚める主人公をジョージ・クルーニーが好演。
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COLUMN/コラム2016.08.16
モンスター上司
「アメリカでは自分は自分、人は人」 これは和製ミュージカル映画としてカルト的な人気を誇る『君も出世ができる』で、アメリカ帰りの合理主義者に扮した雪村いづみが歌う「アメリカでは」という挿入曲の歌詞の一節だ。1964年公開作なので、今から半世紀以上も前の映画だけど、日本人がアメリカ企業について思い浮かべるイメージはあまり変わっていないんじゃないかと思う。 ところが、そんな幻想を粉々に打ち砕くコメディ映画がアメリカには存在する。『モンスター上司』がそれだ。テレビコメディで活躍していたマイケル・マーコウィッツが草稿を書き、『BONES』の精神科医ランス・スイーツ博士役で知られる俳優ジョン・フランシス・デイリーとジョナサン・ゴールドスタインのコンビが仕上げた同作の脚本(アメリカの映画界ではよくリレー形式で脚本が書かれる)は、ブラックリスト(映画化が決まっていない脚本で有望と目されているもの)として扱われ、各社が争奪戦を繰り広げたそうだ。では、その内容はというと…。 主人公はニック(ジェイソン・ベイトマン)とデール(チャーリー・デイ)とカート(ジェイソン・サダイキス)の三十代男子3人。親友同士の彼らは、立場はちがってもヒドい上司に悩まされているという共通点があった。金融業界で働くニックの上司デビッド(ケヴィン・スペイシー)は、朝6時から深夜まで部下をこき使うパワハラ野郎。しかも妻の浮気をやたらと疑うサイコ的な性格を持つヤバい男だった。歯科助手のデールの上司の歯科医ジュリア(ジェニファー・アニストン)は、デールに婚約者がいながらセクハラ攻撃をしかけてくる色情狂。職場で始終迫られ、デールの忍耐は限界に達していた。化学薬品会社の経理マンを務めるカートは、ドラッグ中毒の社長の息子ボビー(コリン・ファレル)が直上司なことに手を焼いていた。それでも社長がいい人だったから耐えていたものの、彼の急死によってボビーが社長に。リストラや環境廃棄物の第三世界への投棄を推し進めるのを目の当たりにして、怒りのゲージが振り切れてしまう。 かくして追いつめられた3人は、場末のバーでムショ帰りの謎めいた男ディーン(ジェイミー・フォックス)の指導を受け、互いの上司を暗殺する計画に乗り出すのだった。そのためには敵の弱点を掴むのが大事と、3人は上司たちの留守中に家宅侵入するものの、それだけで罪の意識を覚えてしまい計画をうち切ろうとする。ところが、デビッドの部屋にボビーのスマホを置き忘れたことが原因で、妻の浮気を疑うデビッドが、ボビーを射殺するという事件が勃発してしまう。現場の近くにいた3人は警察にマークされはじめ、殺人を考えていただけで殺人容疑で逮捕されるという絶対絶命のピンチに陥ってしまう! 今作の監督を任されたのはセス・ゴードン。超名門イェール大学を卒業したあと、国連のケニア支援プロジェクトに従事。そこからドキュメンタリー映画のプロデューサー兼監督に転じ、そこでの演出の腕が見込まれてヴィンス・ヴォーンとリース・ウィザースプーン共演のクリスマス映画『フォー・クリスマス』(08年)で長編映画デビュー。いきなり1億ドル以上のメガヒットを記録してしまったという変わり種監督だ。 この監督の人選で分かる通り、当初はヴィンス・ヴォーンやオーウェン・ウィルソンらがキャスティングの候補にのぼっていたらしい。しかし最終的には中堅俳優で固める布陣に落ち着いた。このキャスティングこそが、本作成功の最大のファクターになったと思う。主人公がスター俳優すぎると、職場でのイジメにリアリティがなくなってしまうからだ。 その点、本作のジェイソン・ベイトマン、チャーリー・デイ、ジェイソン・サダイキスのトリオは絶妙なところを突いていると思う。ベイトマンについては他作品の記事で、何回か書いているので、ここでは残り2名について書いておこう。チャーリー・デイとジェイソン・サダイキスはドリュー・バリモアとジャスティン・ロングが共演したロマンティック・コメディ『遠距離恋愛 彼女の決断』(10年)でロングの友人役として共演しており、そこでのコンビネーションが認められて本作で再共演することになったと思われる。 デイは76年生まれ。アメリカでは、2005年から放映が開始され、今も続いている人気シットコム『It's Always Sunny in Philadelphia』の主演俳優兼脚本家として知られている。映画俳優としては、怪獣の撃退方法を偶然発見する科学者に扮した『パシフィック・リム』(13年)でのコミカルな演技が記憶に新しい。 ジェイソン・サダイキスは75年生まれ。セカンド・シティやアップ・シチズン・ブリゲイドといったコメディ劇団を経て、03年に『サタデー・ナイト・ライブ(SNL)』のライターに採用。05年からパフォーマーとして出演するようになり、13年の卒業まで8シーズンにわたって活躍し続けた。09年からはセス・マクファーレンが手がけるアニメシリーズ『The Cleveland Show』(09〜13年)にも声優として出演。『SNL』は基本的に出演者にはテレビ番組の掛け持ちを許されないので、これは異例のことだ。 コメディアンとしてはアイディア一発で笑わすというより、巧みな演技で笑わせるタイプのため映画進出も早く、『SNL』のレギュラー昇格直後にデヴィッド・ウェイン監督の『幸せになるための10のバイブル』(07年)に出演。前述の『遠距離恋愛 彼女の決断』を経て、ファレリー兄弟の『ホール・パス/帰ってきた夢の独身生活<1週間限定>』(11年)ではオーウェン・ウィルソンとダブル主演を果たした。そして本作やウィル・フェレル主演作『俺たちスーパー・ポリティシャン めざせ下院議員!』(12年)を経て、本作でも共演しているジェニファー・アニストンとリユニオンして、堂々主演を務めた『なんちゃって家族』(13年)が大ヒット。名実ともにスター俳優となった。 アニメ『アングリーバード』(16年)では主人公レッドの声を務めたほか、『栄光のランナー/1936ベルリン』(16年)といったシリアス物から、レベッカ・ホール共演の『Tumbledown』(15年)やゲイリー・マーシャルの遺作『Mother's Day』(16年)といったロマンティック・コメディまで幅広く出演している。本作を含めて、特別イケメンというわけでもないのにモテ男を演じることが意外と多いのは、私生活の反映なのかもしれない。サダイキスのパートナーは、テレビドラマ『Dr.HOUSE』や『トロン: レガシー』(10年)で知られる美人女優オリヴィア・ワイルドなのだから。 そんな実力はあるけど、まだ「知る人ぞ知る」状態の彼らをイジメまくるのが、『アメリカン・ビューティー』(99年)でアカデミー主演男優賞を獲得し、近年は『ハウス・オブ・カード 野望の階段』(13年〜)で悪の大統領フランシス・アンダーウッド役で知られるケヴィン・スペイシー、国民的人気を誇ったテレビ・シットコム『フレンズ』(94〜04年)のレイチェル役でブレイクし、以後もロマンティック・コメディ界の頂点に君臨し続ける鉄人ジェニファー・アニストン、そして『ヒットマンズ・レクイエム』(08年)でゴールデン・グローブ賞をゲットし、超大作『トータル・リコール』(12年)からオフビートな『ロブスター』(15年)まで幅広い活躍を続けるコリン・ファレルといったスター俳優たちだ。この「格差」があるからこそ、イジメが実感を持って伝わってくるのだ。 というわけで、主人公3人がこの「格差」をどのようにひっくり返すのかを、ワクワクしながら観て欲しい。 © New Line Productions, Inc.
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PROGRAM/放送作品
チェンジ・アップ/オレはどっちで、アイツもどっち!?
[PG12相当]目が覚めたら親友と体が入れ替わっていた!?“入れ替わりモノ”爆笑コメディ!
妻子持ちの弁護士と気ままな独身男が互いの境遇ごと交換しあう、定番テーマの“入れ替わりモノ”におバカなユーモアを詰め込んだ爆笑コメディ。コメディから心温まるドラマへの巧みな展開も見どころ。
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COLUMN/コラム2016.09.09
泥棒は幸せのはじまり
生真面目なサラリーマンのサンディは、無駄使いを一切していないにも関わらず、ある日突然クレジットカードが限度額に達して使えなくなってしまう。どうやら個人情報を盗まれていたらしい。おまけに彼の名を騙った犯罪が多発。このままでは会社からクビにされてしまう! 焦ったサンディは、容疑者である詐欺師を、警察に引き渡すためにデンバーからはるばるフロリダへと向かうのだが……。 『泥棒は幸せのはじまり』は、個人IDの盗難をテーマにした今どきのコメディだ。主人公のサンディを演じるのは、ジェイソン・ベイトマン。つい最近スターになったように思える彼だけど、そのキャリアはとても長い。何しろ最初のブレイク作が、あの伝説的なテレビドラマ『大草原の小さな家』なのだから。 当時11歳だったベイトマンが登場したのは、81年から翌年にかけての最終シーズンで、インガルス家の養子になるジェイムスを演じた彼は、アイドル的人気を博した。ところがその後が続かなかった。大人になっても童顔のままだったことも災いして、90年代には早くも“あの人は今”状態になってしまったのだ。 だが捨てる神あれば拾う神あり。やはり元子役ということで過去に苦労していたことがある映画監督ロン・ハワードに助けられ、彼が製作総指揮を手掛けたテレビコメディ『ブル~ス一家は大暴走! 』(03年〜)に抜擢。奇人変人揃いの登場人物の中で、唯一マトモな主人公マイケルを演じて大復活を遂げたのだった。 ドラマは、視聴率低迷によって06年に打ち切りになったものの、カルト的な人気を背景に13年にネットフリックスで新シーズンが製作されるなど、今も継続中だ。ちなみにこのドラマで彼の息子役を演じたことをきっかけにブレイクしたのがマイケル・セラである。 ここからベイトマンの活躍が始まる。このドラマにゲスト出演していたベン・スティラーからコメディ・センスを認められて、『スタスキー&ハッチ』や『ドッジボール』(ともに04年)、『ハニーVS.ダーリン 2年目の駆け引き』(06年)『南の島のリゾート式恋愛セラピー』(09年)といったスティラーやヴィンス・ヴォーンの主演作に相次いで出演し、フラットパック準メンバーとなったのだ。 加えて、大人になりきれない中年男を演じて絶賛された『JUNO/ジュノ』(07年)や、ケヴィン・スペイシーやジェニファー・アニストンを従えて堂々主演を務めた『モンスター上司』(11年)がヒットしたことで、40代にしてコメディ・スターの地位を獲得したのだった。その後も監督も兼務した『バッドガイ 反抗期の中年男』(13年)や、『モンスター上司2』(14年)といった作品に主演。最近では、メガヒット・アニメ『ズートピア』(16年)でキツネのニックの声を担当したことが記憶に新しい。 『泥棒は幸せのはじまり』は、前述の『モンスター上司』の監督セス・ゴードンとのコンビによる第二弾だった。本来は無関係にも関わらず、トラブルに巻き込まれる小心者キャラは、ベイトマンが得意とするもので、今作でも次々起きる災難を前にして、死んだ目で呆然と佇む演技で笑わせてくれる。 但し、ベイトマンは、本作の脚本を最初に読んだ時、「このままで大丈夫か」と危機感を抱いたそうだ。無理もない、トラブルメイカーを連れた主人公が、約束の日までに家に帰ってこれるかどうかでハラハラさせる本作のプロットは、あのコメディ界のレジェンド、ジョン・ヒューズが監督と脚本を手がけ、スティーヴ・マーティンとジョン・キャンディが共演した大傑作『大災難P.T.A.』(87年)にあまりにも似ていたからだ。 それだけならまだしも、この作品を事実上リメイクしたコメディが10年に公開され、既に大ヒットを記録していたのだ。その映画こそが、ロバート・ダウニー・ジュニアとザック・ガリフィアナキスが共演した『デュー・デート 〜出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断〜』だった。『泥棒は幸せのはじまり』との類似点はそれだけではなかった。『デュー・デート』の監督トッド・フィリップスは、『ハングオーバー! 』三部作(09〜13年)で知られるヒットメイカーだが、元々ドキュメンタリー畑の出身だった。対する『泥棒は幸せのはじまり』の監督セス・ゴードンもドキュメンタリー出身であり、脚本家のクレイグ・メイジンに至っては、『ハングオーバー! 』の第二作と第三作の脚本家でもあった。そのため詐欺師のキャラクターは完全にザック・ガリフィアナキスを意識して書かれていた。そう、このまま作ったら、そっくりになってしまうのだ。 危機感を抱きながらベイトマンは、偶然あるコメディ映画を観たことで、打開策を思いついた。その映画のタイトルは『ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン』(11年)。、詐欺師のキャラを男から女に変更して、同作でヨゴレ系ギャグを一手に引き受けるメイガン役を好演していたメリッサ・マッカーシーに演じさせればいい!こうしてキャラの立ちまくった女詐欺師ダイアナが誕生したのだった。 マッカーシーは元々『ギルモア・ガールズ』(00〜07年、今年11月にNetflixで復活)や『サマンサ Who?』(07〜09年)といったテレビドラマで、主人公の気のいい友人役を演じて人気を博していた脇役女優で、『ブライズメイズ』のメイガンのような破壊的で不穏なオチ担当のキャラを演じたことはそれまで無かった。 しかしこの挑戦は、彼女にアカデミー助演女優賞ノミネートをもたらし、新たなキャリアを切り開いた。『ブライズメイズ』以降のマッカーシーは、同作の監督ポール・フェイグとの二人三脚で、コップ・アクション『デンジャラス・バディ』(13年)や『007』へのオマージュに満ちたスパイ・アクション『SPY/スパイ』(15年)、そしてオール・フィメール・キャストが話題を呼んだ『ゴースト・バスターズ』(16年)といったアクション・コメディ作でヒットを飛ばし続けている。また夫でもあるコメディ俳優ベン・ファルコーンがメガホンを取った『タミー/Tammy』(14年)では脚本にも挑戦するなど、クリエイターとしての才能も発揮している。 そんなマッカーシーは本作で、悪気は無いけど、最悪のタイミングでトラブルを巻き起こすダイアナを熱演。一見、極悪そうなキャラクターの奥底に善人の素顔を覗かせるあたり、つくづく演技が巧い人だなと感心させられる。 ちなみに彼女は、『ハングオーバー!!! 最後の反省会』にも特別出演している。そこで彼女は、ザック・ガリフィアナキス扮するトラブルメイカー、アランと最終的に結ばれる女子を演じているのだが、おそらくこれは『デュー・デート』と『泥棒は幸せのはじまり』が似ていることから思いついたストーリーのはず。本作は『ハングオーバー』シリーズの結末に逆影響を与えていることになる。 散々『デュー・デート』との類似ばかり語ってしまったけど、最後に本作ならではの要素を紹介しておこう。それはダイアナが犯した別の詐欺が原因で、彼女とサンディが賞金稼ぎに追われるというサスペンス的な展開だ。しかも追っ手を演じるのは、ラッパーのT.I.とウィル・フェレル主演作『俺たちサボテン・アミーゴ』(12年)でヒロインを演じていた美女ジェネシス・ロドリゲス、そして『ターミネイター2』のT-1000役で映画史に名を残すロバート・パトリックという豪華な面々! そんなわけで、笑いと涙とカー・アクション全部盛りのエンタメ作を楽しんでほしい。 © 2013 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED
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PROGRAM/放送作品
泥棒は幸せのはじまり
[PG12相当]アメリカン・コメディ界のスター2人が贈る!女詐欺師と被害者の珍道中を描くコメディ
『チェンジ・アップ/オレはどっちで、アイツもどっち!?』のジェイソン・ベイトマンと、『ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン』のメリッサ・マッカーシーが相性抜群で贈る笑って泣けるコメディ。
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COLUMN/コラム2012.12.22
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2012年1月】山田
他人とのしがらみを避けるリストラ宣告人に人生の転機が訪れる…。現代人の人間関係を温かくシニカルに問う哀歓ドラマ。名匠アイヴァン・ライトマンの息子ジェイソンが父譲りのユーモア・センスを遺憾なく発揮する本作において、主演のジョージ・クルーニーはまさにはまり役!スーツ姿はバチっとキマり、世界の航空会社のキャビンクルー御用達ブランドtravelpro社製スーツケースを颯爽と転がす姿は、超絶ナイスミドル。企業の人件費削減の流れに伴うリストラの増加や、最近のネット社会からポイントカード依存症まで。複雑な現代社会を生き抜く皆様にとっておきの、“主人公がこれまでの生き方を見つめ直す系ムービー”! Copyright © 2012 DW STUDIOS L.L.C. and COLD SPRING PICTURES. All Rights Reserved.
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PROGRAM/放送作品
モンスター上司
[PG12]豪華スター陣がハジけた怪演で“最悪の上司”に!サラリーマン共感必至のブラック・コメディ
ケヴィン・スペイシー、コリン・ファレル、ジェニファー・アニストンがパワフルなハジけっぷりで最悪の上司たちを怪演。一方、彼らに振り回される部下役も、ジェイソン・ベイトマンら実力派コメディアン揃い。
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NEWS/ニュース2010.03.26
長塚京三さんが語る俳優ジョージ・クルーニーとは、あるいは試写会担当者の雑感
去る3月10日(水)新宿明治安田生命ホールにて、視聴者の皆様をご招待したザ・シネマ主催による新作映画『マイレージ、マイライフ』特別試写会を実施しました!150組300名様ご招待のところ、ナントそのウン十倍の応募数!たくさんのご応募、本当にありがとうございました!今回残念ながら抽選に漏れた方も次の機会にも是非ご応募下さい!さて当日。普段視聴者の方々と直接お会いする事が少ない我々ザ・シネマ編成部員も、この日は貴重な機会としてほぼフルメンバーでスタンバイ!タイトな時間で諸々準備を終えて予定通り18時開場。お客様をお迎えする事が出来ました。いよいよ本番スタート! 今回の試写会では映画上映前のスペシャルイベントとして、長塚京三さんのトークショーを実施。既にご存知の通り、長塚さんは現在ザ・シネマで毎週土曜朝10時からクラシック映画の名作をおおくりする「赤坂シネマ座」で、名作の魅力を紹介するオリジナル解説番組「シネマの中へ 長塚京三 映画の話」のナビゲーター。言わば“ライブ版シネマの中へ”開催です!長塚さんも視聴者の方々に直接お話出来る事に大変喜ばれていて、いつもの番組の雰囲気よりフランクな感じで語り始めました。観客の皆様に純粋な気持ちで映画を楽しんで欲しいと、本作の内容については語らなかった長塚さん。ただし本作主演のジョージ・クルーニーについては「何をやってもブレない。自分自身を笑えるスマートさがある。」と述べ、「平均的なアメリカの明るさを持っているから、彼の映画ならどの作品でも付き合える」と絶賛されました!また、長塚さん自身の“映画体験”についても言及。「3歳ぐらいから父に連れられて映画館に通った。学生の時は家から弁当を持って映画館をハシゴしていました。学校にはほとんど行かず1年に400本近く観てました」という程の映画好きだったそう。 さらには、俳優である自分の師匠も、映画の中のポール・ニューマンやヘンリー・フォンダとのこと。そして一番好きな映画として、ポール・ニューマン主演の『暴力脱獄』(1967年)を上げられていました。映画『マイレージ、マイライフ』は、アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞した『JUNO/ジュノ』(2007年)のジェイソン・ライトマン監督最新作。敏腕リストラ宣告人の人生の転機を描く人間ドラマで、ゴールデングローブ賞最優秀脚本賞など60冠以上を獲得した話題作。ただいま全国公開中です!これに合わせてザ・シネマでは、ジョージ・クルーニー主演のサスペンス・アクション大作『ピースメーカー』を4月10日(土)に放送!こちらも是非ご覧下さい!!■ TM & (c) 2009 DREAMWORKS LLC. ALL RIGHTS RESERVED.