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PROGRAM/放送作品
寝取られ男のラブ♂バカンス
[R-15相当]元カノを忘れようと奮闘、でも・・・。『40歳の童貞男』製作陣が贈るラブコメディ。
『40歳の童貞男』で大ヒットを記録したジャド・アパトーが製作に携わり、下ネタ全開で主人公の奮闘劇を展開。コメディの中にも、フラれた男性が心の傷に向き合う過程を丁寧に描き全米で人気となったラブロマンス。
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COLUMN/コラム2015.10.30
憧れのウェディング・ベル
アメリカ西海岸の都市サンフランシスコ。腕利きシェフのトム(ジェイソン・シーゲル)と心理学者を志すバイオレット(エミリー・ブラント)は、大晦日のパーティでの運命的な出会いからちょうど1年後に婚約した。 だがバイオレットに中西部のミシガン大学から採用通知が来たために結婚式の日程は棚上げに。トムは、バイオレットのキャリアを優先して一緒にミシガンに移り住むものの、実績を積み重ねていく彼女とは対照的にシェフとしてのスキルを活かせる職場が見つからず落ち込んでいく。そしてその格差は、愛しあっていたはずのふたりの関係にも影響を及ぼしてしまうのだった…。 大抵のロマンティック・コメディでは、主人公のふたりが困難を乗り越えて互いの愛情を確かめるとすぐに結婚式のシーンに切り替わって大団円を迎えたりする。でも『憧れのウェディング・ベル』はそんな「お約束」を守らない。ふたりは婚約までしながら、そこから結婚式までなかなか辿り着けないのだから。 このユニークなストーリーを書いたのは、ジェイソン・シーゲルとニコラス・ストーラーの主演俳優・監督コンビだ。実生活でも親友同士であるふたりの盟友関係は今から14年前に遡る。始まりは『Undeclared』(01〜03)というテレビ番組だった。イケてない高校生の青春をリアルに描いて一部で絶賛されながら、視聴率不振で打ち切られた『フリークス学園』(99〜00)のクリエイター、ジャド・アパトーが「今度こそは」と立ち上げたこの大学コメディには、『フリークス学園』で発掘された21歳のシーゲルがジェイ・バルチェルやセス・ローゲンらとともにキャスティングされていた。このプロジェクトに脚本家として参加したのがストーラーだったのだ。 やはりこのドラマも視聴率は振るわずに打ち切られてしまったのだが、ストーリー作りの才能を認められたストーラーは、アパトーと共同でジム・キャリーの主演作『ディック&ジェーン 復讐は最高! 』(05年)の脚本を書いてハリウッド・デビューに成功する。この作品での仕事をキャリーに気に入られたストーラーは、引き続きキャリー主演作『イエスマン “YES”は人生のパスワード』(08年)の脚本を担当。単なるノン・フィクションだった原作をコメディ・ドラマに仕立て直して大ヒットさせるという離れ業をやってのけた。 一方、シーゲルもシットコム『ママと恋に落ちるまで』(05〜14年)のマーシャル役でお茶の間の人気者となっていた。この頃には『40歳の童貞男』(05年)と『無ケーカクの命中男/ノックトアップ』(07年、シーゲルは主演のセス・ローゲンの友人役で出演した)の連続ヒットでハリウッドを代表する売れっ子プロデューサー兼監督となっていたアパトーの強い勧めもあり、シーゲルは映画進出を決意する。この時に彼がパートナーとしてあらためて声をかけたのがストーラーだったというわけだ。 記念すべきコンビ第一作は『寝取られ男のラブバカンス』(08年)。突然ガールフレンドに捨てられたシーゲル扮する主人公が、傷心旅行先のハワイで巻き起こす騒動を描いたこの作品は大ヒットを記録した。 以降もシーゲルとストーラーは、スウィフトの有名な風刺小説をモダンにリメイクしたSFX大作『ガリバー旅行記』(10年、主演はジャック・ブラックだがシーゲルも出演)、『寝取られ男』に登場するロックスター、アンガスをメインキャラに据えたロード・ムービー『伝説のロックスター再生計画!』(10年、シーゲルは原案のみ)、カーミットやミス・ピギーが登場する、マペット・ショーへの愛に溢れたミュージカル『ザ・マペッツ』(11年)、そしてシーゲルとキャメロン・ディアスが、SEXを撮影したビデオが誤ってネット上で拡散されてしまう夫婦に扮したエッチな『SEXテープ』(14年)といったヒット作を生み出し続けている。特筆すべきは、どれも気軽に楽しめるコメディ映画でありながら、似ている作品はひとつとしてないこと。シーゲルとストーラーは妥協を許さないアーティストなのだ。 そんな中でも『憧れのウェディング・ベル』はビターで大人びたタッチの異色作である。ヒロインに『ガリバー旅行記』でシーゲルと既に共演していたエミリー・ブラントを起用したのは、ストーラーとシーゲルが気心のしれたメンツで映画作りに集中したかったからだろう。 本作でふたりが力を注いで描いているのは「アメリカの正式な結婚式」の面倒くささだ。アメリカというとノリがいい国に思えるかもしれないけどトンデモない! 日本の場合、一般的な婚約期間はせいぜい半年程度だけど、アメリカでは1年半くらいはザラだ。その長い間、新婦とメイド・オブ・オナー(花嫁付添人のリーダー、通常は新婦の一番の親友が就任)は工夫を凝らした結婚式のプランを延々と練り上げる。そして遂に訪れた結婚式の前夜には豪華な晩餐会を開き、二次会は新郎側と新婦側に分かれて「独身さよならパーティ」を夜通し開催する。そして翌朝、ヨレヨレになりながら本番へとなだれ込むのだ。 日本でも劇場公開されたクリステン・ウィグの主演作『ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン』(11年、この作品もプロデュースはジャド・アパトーだ)は、社会性が欠如しているにもかかわらず、親友からメイド・オブ・オナーを頼まれてしまった女子の苦闘を描いたものだった。また日本でもヒットした『ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』(09年)や『バチェロレッテ あの子が結婚するなんて!』(12年)は、独身さよならパーティではしゃぎすぎて結婚式開催に赤信号を灯してしまう付添人たちを描いたコメディだ。結婚式にトラブルと笑いはつきものなのである。 でも『憧れのウェディング・ベル』の場合、主人公のふたりは晩餐会にすらなかなか辿り着けない。原題(The Five-Year Engagement)通り、婚約期間は五年にも及んでしまう。ひとつのトラブルが何とか収まったと思ったら、別の予期せぬトラブルが起きて結婚自体が仕切り直しになってしまうからだ。その間に結婚式をすっ飛ばして「デキ婚」をしたトムの同僚アレックス(今をときめくクリス・プラット!)とバイオレットの姉のスージー(アリソン・ブリー)のカップルが、どんどんハッピーになっていく姿が並行して描かれることによって、シニカルさはレッドゾーンに突入する。 もちろんロマンティック・コメディなので、主人公のふたりはラストぎりぎりになって最高の結婚式へと超特急で向かっていく。でもそこで語られるのは「結婚する心の準備とは自分の抱える問題を解決することではない。その問題をふたりで分ちあえるほど相手を信頼できているかどうかだ」という、男女の仲について悟りきった者だけが放てるメッセージだ。師匠のジャド・アパトーが45歳のときに撮った苦いファミリー・ドラマ『40歳からの家族ケーカク』(12年、シーゲルはスポーツ・ジムのインストラクター役で出演している)の境地に、シーゲルは弱冠32歳で辿り着いてしまったのかもしれない。 そのシーゲルは、クロエ・セヴィニーやミシェル・トラクテンバーグ、リンジー・ローハン、ミシェル・ウィリアムズといった華麗なガールフレンド歴を経て、現在は写真家のアレクシス・ミクスターと交際中。今度こそゴールイン間近と噂されている。はたして彼がどんな工夫を凝らした結婚式を挙げるのか、それとも式をすっ飛ばすのか、固唾を飲んで見守っていきたい。 Artwork © 2012 Universal Studios. All Rights Reserved.
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PROGRAM/放送作品
40男のバージンロード
花婿介添人を頼める親友を探して…、結婚が決まった男が慌てて友達作りに励む、男子の友情コメディ
大ヒットコメディ「ミート・ザ・ペアレンツ」シリーズの脚本を手がけたジョン・ハンバーグの監督・脚本作品。女同士の友情とはまた違う、男同士のやんちゃな友情の楽しさを描き、アメリカで大ヒットしたコメディ。
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COLUMN/コラム2016.06.17
バッド・ティーチャー
『マスク』(94年)でジム・キャリーの相手役として華々しくデビュー。かと思ったら、『ベスト・フレンズ・ウェディング』(97年)では当時人気絶頂だったジュリア ・ロバーツの恋敵役という、どう考えても損な役を振られながら、その昇り竜的オーラでジュリアを完全に食ってしまったキャメロン・ディアス。あの映画を当時観た者なら、ロマンティック・コメディの女王の座がジュリアからキャメロンの手に渡ったと誰もが感じたはずだ。 しかし彼女はその王冠をあっさりと捨ててしまった(まるでローマ五輪で獲得した金メダルを川に投げ捨てた逸話を持つ故モハメド・アリのように!)。代わりにキャメロンが築いていったのは、女優として誰も歩んだことがないキャリアだった。 というのも、その翌年に彼女が主演したのは下ネタギャグばかりが執拗に連発されるファレリー兄弟監督作『メリーに首ったけ』(98年)だったからだ。ベン・スティラーとのコンビネーションがスウィートだったとはいえ、ここでの彼女は完全な「ヨゴレ」キャラ。昔のハリウッドだったら出演すること自体がスター女優として自殺行為だったはずだ。 でもこの作品が、女優キャメロンのステイタスを一気に高めた。映画ファンは自分のメンツばかりを気にする女優よりも、映画を面白くするためなら何だってやってくれる、話が分かる女優を待ち望んでいたからだ。こうした時代の空気を、彼女は肌で感じとっていたのかもしれない。 ともすれば、華やかなルックスばかりが印象に残ってしまうキャメロンではあるけれど、実は演技も巧い。盲目の女性に扮した『彼女を見ればわかること』(99年)では、グレン・クローズやホリー・ハンターといったベテラン女優たちを相手に一歩も引かない存在感を示しているし、スパイク・ジョーンズの劇映画監督デビュー作『マルコヴィッチの穴』(99年)では、一見彼女とは分からない地味(というか小汚い)格好で登場、奇妙な世界観に説得力を与えている。 とはいえ、キャメロンはこうした演技力を活かす作品を無理して選ぶようなことはない。それどころか『チャーリーズ・エンジェル』二部作 (00〜03年)ではノリノリでワイヤー・アクションに挑み、『ナイト&デイ』』(10年)ではトム・クルーズとともにガン・ファイトを繰り広げている。「最初はセクシーなコメディエンヌ・タイプとして登場しても、最終的には演技派に成長しなくてはいけない」ハリウッド女優たちが縛りつけられている、こうした呪縛からキャメロンはとことん自由なのである。 キャメロンが他の女優と異なる点がもうひとつある。それは演じるキャラクターのリアリティ度の高さだ。ハリウッドのスター女優が映画の中で演じるキャラクターは、ファンの憧れを投影した華やかな職業に勤めていることが多い。そしてその仕事に打ち込んで、充実した毎日を送っているものと相場が決まっている。ところがキャメロンはそんなものは嘘っぱちなのだと嘲笑うかのようなキャラを演じることが多い。 もちろん『ホリデイ 』(06年)のビデオ製作会社の経営者、『ダメ男に復讐する方法』(14年)のように弁護士を演じることもあるけれど、『クリスティーナの好きなコト』(02年)や『イン・ハー・シューズ』(05年)では仕事への意欲はゼロの単なる遊び人役だ。 大胆な現代化が話題を呼んだミュージカル『ANNIE/アニー』(14年)では悪役のミス・ハニガン役を演じていたが、オリジナルのハニガンが孤児院の経営者だったことから一転して、福祉手当て欲しさにステップマザーをやっている落ちぶれた元歌手(しかもC&Cミュージック・ファクトリーの初期メンバーというのが笑える)という設定に改変されていた。キャメロンは、自分に美貌と演技力のどちらかが少しでも欠けていたらなっていたかもしれない境遇の女子、地に足が着いているを通り越してぬかるみに足が半分埋まっているようなキャラクターを演じることがとても多い。その抜群のリアリティが観客を惹きつけるのだ。 そんな彼女の<リアリティ路線>の決定版とも言える主演作が、ブラック・コメディ『バッド・ティーチャー』(11年)だ。人気コメディ番組『New Girl / ダサかわ女子と三銃士』(11年)や『ファン家のアメリカ開拓記』(15年〜)のプロデューサー兼監督として知られるジェイク・カスダンが監督を、やはり人気テレビ番組『ザ・オフィス』(05〜13年)のプロデューサー兼脚本家のジーン・スタプニツキーとリー・アイゼンバーグが脚本を手がけたこの作品でキャメロンが演じるのは、やる気ゼロの中学教師エリザベスだ。 彼女は物語冒頭、金持ちの男を捕まえて結婚退職したはずが、金目当てであることがバレて婚約を破棄されてしまう。やむなく学校へと帰ってきた彼女だが、仕事熱心な新任の代理教師スコットが名家の出身であることを知り、玉の輿に乗ろうと急に生徒に熱血指導を行うようになる。だがそんな彼女の態度に疑問を抱いたナンバーワン女教師エイミー(英国のコメディ女優ルーシー・パンチが怪演)が立ちはだかり、壮絶なバトルが展開されていく。 このエリザベスのキャラが凄い。生徒の平均点数を上げしようとするあまり共通試験の回答を盗みだすは、マリファナ喫煙の濡れ衣を他人にきせるは、第三者を使って相手を脅迫したりと、やっていることは悪人そのものなのだ。おまけに最後までこれっぽっちも改心することはない。 それでも観客は、エリザベスにどうにかピンチを切り抜けてほしいと願ってしまう。教師としての才能はゼロだけど、授業以外の場面での生徒への気遣いやアドバイスは、偽悪ぶっている彼女の、実はピュアな内面を証明するような誠実なものだからだ。 そんな複雑なキャラを、観客に周到な演技プランを感じさせることなく、素で振舞っているかのように見せるキャメロンは、やはり上手い女優だと思う。 私生活ではかつて4年間も交際していたこともあるというのに、ジャスティン・ティンバーレイクがスコット役で嬉々として登場、バカな演技を披露しているのも、相手が名女優キャメロンだからこそなのである。 そんなティンバーレイク以上に、本作でキャメロンと相性の良さを示しているのが、エリザベスにアタックしては砕け続ける気のいい体育教師ジェイに扮したジェイソン・シーゲルだ。大人気シットコム『ママと恋に落ちるまで』(05〜14年)で人気者になったシーゲルだが、元々はあのジャド・アパトーの愛弟子であり、『ザ・マペッツ』(11年)や『憧れのウェディング・ベル』(12年)といった主演作ではプロデュースや脚本も兼務している才人である。 本作で共演したことでキャメロンのコメディ・センスに感服したのか、シーゲルは監督のジェイク・カスダンごと彼女を誘って、自身がプロデュースと原案を担当した『SEXテープ』(14年)でリユニオン共演を果たしている。 キャメロンとシーゲル扮する倦怠期の夫婦が刺激を求めて自分たちのセックスをタブレット型コンピュータで撮影したところ、自動でクラウドにアップされてしまい大騒動 になる……というこのスラップスティック ・コメディで、キャメロンは公式では初のヌードを披露している。ちなみにこの時、彼女は42歳! こんな女優、キャメロンより前には存在していなかった。そして今のところ彼女に続こうとする者もいない。 人跡未踏の女優道をキャメロン・ディアスは歩み続けているのだ。 Copyright © 2011 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.
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PROGRAM/放送作品
ハッピーニート おちこぼれ兄弟の小さな奇跡
悩める大人なら共感必至!愛すべきダメ人間たちが妙に愛しい、ハートウォーミング・コメディ
『ヤング≒アダルト』のジェイソン・ライトマン監督が製作に加わり、大人になりきれない男たちの苦い現実と成長を映し出す。人気コメディアンのジェイソン・シーゲル&エド・ヘルムズがダメ兄弟を等身大に好演。
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COLUMN/コラム2017.06.07
SEXテープ
ジェイとアニーは、かつて時と場所を選ばずにセックスしまくる熱愛カップルだった。そんな二人も今やふたりの子どもの親に。子育てに追われる日々の中、かつての情熱はもう取り戻せないのか? ある日、悩むジェイにアニーが提案した。「SEXテープを作らない?」 Tシャツにパンティ、足にローラースケートという悩殺ルックのアニーにジェイは興奮。ふたりはiPadのカメラを前にセックス指南本「The Joy of Sex」に掲載されたすべての体位を試すのだった。すべてが終わったとき、素に帰ったアニーは「録画を消して」とジェイに頼み、ジェイはそれに応じた。全ては終わったはずだった。 ところが悲劇はここから始まる。ビデオはiCloudに自動保存される設定になっていた。しかもジェイにはお気に入りの楽曲を収録した自分のiPadを親しい友人にプレゼントする習慣があった。つまりSEX動画はクラウドごしに他人が見られる設定になっていたのだ! おりしもアニーは、趣味でやっていた健全な子育てブログ「ママはエラい」にネット企業から出資したいとの依頼が舞い込んできたばかり。このままではプロブロガーになる夢が絶たれるばかりか、人生がメチャクチャになってしまう。ジェイとアニーはすべてのiPadを回収すべく、友人たちの家を回るのだが……。 『バッド・ティーチャー』で共演したキャメロン・ディアスのコメディ・センスに感服したジェイソン・シーゲルが、監督のジェイク・カスダンごと誘って、再共演をはたした『SEXテープ』(14年)は、ふたつの現象を笑い飛ばしたコメディだ。 ひとつめはネット上の素人ポルノ氾濫。ネット上にポルノが溢れているのは日本も同じだけどアメリカの場合、一般人が自ら積極的に製作した動画の割合がものすごく多いのである。ジェイソン・シーゲルの友人セス・ローゲンが主演した『恋するポルノ・グラフィティ』(08年)もこうした素人作品の製作現場を描いたものだった。当初トンデモない動画を撮ってしまったとビビるジェイとアニーは、物語後半にアメリカ中でそうしたものが量産されていることを知ることになる。 ふたつめはITを使いこなせていないのに、我々がそれに依存して暮らしていること。プロットを読んで気づいた人も多いかもしれないけど、クラウド上のデータさえ消去すれば、ジェイとアニーはiPadを回収する必要はない。ふたりはクラウドの概念を全く理解していないのだ。これを「情弱」と笑い飛ばすことは簡単だけど、すべての原理を理解してスマホやタブレットを使いこなしている人間が存在するだろうか? 騒ぎの大小やベクトルの違いはあれど、これは我々にも起こりうる悲劇なのだ。 そんな悲劇をスラップスティック・コメディに転化してみせた本作で、キャメロンはテンパったアニー役を熱演。必然性もないのに公式では初のヌードを披露したことでも話題を呼んだ。 またアニーの同僚役で『ファン家のアメリカ開拓期』のランダル・パーク、友人夫婦役で『アンブレイカブル・キミー・シュミット』のエリー・ケンパーと『チルドレンズ・ホスピタル』のロブ・コードリーといったテレビ・コメディの人気者が顔を揃え、シーゲルとキャメロンを好サポート。ジャック・ブラックがノー・クレジットだが重要な役で登場することも見逃せない。 そして何と言ってもロブ・ロウの起用には笑うしかない。というのも、彼の出演自体が巨大なギャグなのだから。80年代に『アウトサイダー』(83年)や『セント・エルモス・ファイアー』(85年)といったヒット作に出演していたロウは華やかなルックスも相まって、ハリウッドの未来を背負って立つ逸材と目されていた。ところが未成年の少女とのSEXテープがリークされたことで、スターの座から滑り落ちてしまったのだ。本作のタイトルが、テープで録画されているわけでもないのに「SEXテープ」なのはこの故事を踏まえているに違いない。 そんなキツいギャグに溢れた本作だけど、実は自伝的作品でもある。その自伝的部分を担ったクリエイターこそが、シーゲルと脚本を共同執筆したニコラス・ストーラーだ。 76年生まれの彼が、最初に注目されたのはTVドラマ『Undeclared』(01〜03年)だった。この学園コメディに参加していたスタッフおよびキャストがスゴい。『SEXテープ』で組むことになるジェイソン・シーゲルとジェイク・カスダンをはじめ、セス・ローゲン、ポール・フェイグ、グレッグ・モットーラ、ジョン・ハンバーグ、ジョン・ファヴロー、ジェニファー・コナー、ジェイ・バルチェル、そして全てを束ねる製作総指揮の座にはジャド・アパトーが座っていた。つまり現在のハリウッド・コメディ界を支える人材が集結していたのだ。 ライターとしてこの作品に参加したストーラーは、アパトーに才能を認められてジム・キャリーの主演作『ディック&ジェーン 復讐は最高!』(05年)の脚本を共同で執筆。キャリーに気に入られたのか、彼の主演作『イエスマン』(08年)の脚本も手がけた。 同じ年にストーラーは、アパトー製作の『寝取られ男のラブバカンス』(08年)で監督デビューも果たしている。盟友ジェイソン・シーゲルが主演と脚本を務めたこの作品は、ガールフレンドに突然フラれた主人公が、傷心旅行先で新しい恋と巡り会う物語だった。アパトーは67年生まれの自分よりひと回り若いストーラーの方が、主人公の気持ちに寄り添えると思ったのかもしれない。 そんな目論見が当たり同作は大ヒット。第二弾を要請されたストーラーは『寝取られ男』でラッセル・ブランドが演じたクレイジーなロックスター、アルダスをフィーチャーしたスピンオフ作『伝説のロックスター再生計画!』(10年)の製作、監督、脚本を手がけて大ヒットさせたのだった。 ストーラーは、その後も『ザ・マペッツ』(11年)、『憧れのウェディング・ベル』(12年)といったシーゲルの主演作の監督や脚本を務めているのだが、主人公の設定は<結婚に踏み切れないカップル>から<遂に結婚を決意するカップル>と、徐々に成長を遂げていた。共同脚本家のシーゲルは未だ独身。つまりこうした設定はストーラーが自分の人生体験をその都度、物語に反映したものだった。 こうしたストーラーのアティテュードが結実したヒット作が、セス・ローゲンとザック・エフロンの共演による過激なコメディ『ネイバーズ』(14年)だった。幼い子どもの世話でセックスを含む夫婦生活が停滞し、隣家の大学生たちの自由奔放な生活を羨んでしまう主人公の夫婦、ストーラーと彼の妻の鏡像なのだ。 しかし一方でふたりは第二子を熱望していたという。なかなか出来ずに大変だったとのことだが、そんな個人的な体験もストーラーは映画にしてしまう。しかも子ども向きアニメで。「赤ちゃんはコウノトリに運ばれてやってくる」という伝説をベースにした『コウノトリ大作戦!』(16年)がその作品だ。 コウノトリたちが企業利益を優先して赤ちゃん宅配サービスから撤退しているとか、子どもが自分で「かわいいのは今のうちだけ」と言って親を脅したり、設定を説明するセリフを喋る主人公に「説明するのは止めてよ」と相棒がツッコミを入れたりする、エッジーなギャグの中、第二子の到来を最後に同作は幕を閉じる。 もう分かったはず。『コウノトリ大作戦!』の続編こそが『SEXテープ』なのだ。ストーラーが、これからの人生体験をどのように映画に盛り込んでいくのか。それが楽しみでならない。 © 2014 Columbia Pictures Industries, Inc., LSC Film Corporation and MRC II Distribution Company L.P. All Rights Reserved.
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PROGRAM/放送作品
憧れのウェディング・ベル
[PG12相当]婚約5年…いつ結婚できるの?『40歳の童貞男』のジャド・アパトー製作の恋愛コメディ
『40歳の童貞男』のジャド・アパトー監督が製作を務め、今どきカップルの結婚事情をユーモラスに描写。『ガリバー旅行記』で共演したジェイソン・シーゲルとエミリー・ブラントがカップル役を好感度満点に好演。
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COLUMN/コラム2017.04.26
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2017年5月】キャロル
冒頭からキャメロン・ディアスの全裸が出てきて、かなり期待できる!・・・と思いきや、肝心のSEX自撮り撮影するシーンになると、あれ?あれあれあれ?!コトが始まる直前で、アッという間に翌朝の疲れ果てたシーンに切り替わってしまったではありませんか。・・・まだ何もヤッてないのに!そのシーンだけを楽しみに映画観てたのに!! (とまあ取り乱したものの、気を取り直して)主演のキャメロンは昔に比べて「老けたな~」と感じるものの、やっぱり明るいテンションと最強のスマイルは健在。やっぱりキャミーはかわいい!共演のジェイソン・シーゲルとも相性抜群で、二人の仲睦まじさは見ていて清々しい気さえしてきます。さらに特筆すべきはこの人、ロブ・ロウ!キャミーの上司役で出演しているのですが、この映画、どこか身に覚えのあるストーリーだったんじゃなかろうか(この方もかつて自撮りテープが流出する大失敗を経験している)。出演しているだけでギャグになるという、最高にオイシイ役どころは必見です。 ちなみに、最後の最後で、期待以上のオモシロSEX映像がちゃーんと入っていました(あ~、最後まで観てヨカッタ!)。私ったら恥ずかしげもなく社内のデスクで堂々と試写してしまったけれど、今思うと隣の席の男性上司&先輩的には大分迷惑だったかも。今更ですが、ごめんなさ~い! それにしても、あんだけ素っ裸なのにキャミーのニップルは一切見えないというのが不思議。撮影・編集マンの苦労を考えると脱帽です。ドタバタエロコメディですが、途中でグッとくる素敵なメッセージが込められていたりして、とにかく期待は裏切りません。5月のプラチナ・シネマでどうぞお楽しみに~!■ © 2014 Columbia Pictures Industries, Inc., LSC Film Corporation and MRC II Distribution Company L.P. All Rights Reserved.
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PROGRAM/放送作品
バッド・ティーチャー
[PG12]人生の目標は玉の輿!道徳心ゼロの型破り教師をキャメロン・ディアスが痛快に演じる!
キャメロン・ディアスが、抜群のスタイルとコミカルな演技でハチャメチャ不良教師をセクシーに怪演!彼女が玉の輿を狙う御曹司役で、元恋人ジャスティン・ティンバーレイクと共演したことでも話題に。
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COLUMN/コラム2014.10.30
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2014年11月】にしこ
原題は"JEFF, WHO LIVES AT HOME"。30歳のジェフは、実家住まいのニート。 「ハッピーニート」という邦題ですが、物語の冒頭、ハッピー感はあまり感じられないいちニートです。さらに、M・ナイト・シャマラン監督(『シックス・センス』の監督)の『サイン』という映画に傾倒しておりここがまた残念感を助長しているわけですが、日々、自分への「サイン(神の啓示)」が落ちてこないか、ぼーっとテレビみながら探しているという「俺はまだ本気出してないだけ」状態というか、まぁ淡々とではありますが、それなりにあがいている日々。ある日「ケビンはいねーか?」という暴力的な間違い逆切れ電話が。思い当たるケビンという知人はいないものの、「これってサインじゃない?」というトンチンカンな雷に打たれて、「ケビン」探しにソファから腰を上げ、街へと繰り出します。バスで。バスケのユニフォームを来たB系の青年がバスに乗車してきて、目を疑うジェフ。なんと背番号には「KEVIN」という名前が!「運命みつかったし!」と彼をストーカーのごとく追いかけますが、あっという間に見つかり、ボコられ、命からがら逃げ出し…ジェフの兄パットもこれまた大人になりきれない中年男で、妻に黙って高級車を購入したりと万事が万事「楽しい事だけしていたい」タイプ。妻は彼の幼稚さに結婚生活継続の自信を無くし、激ギレ。そんなダメダメを息子に持った母(スーザン・サランドン)も「あの子たちをかわいいと思えない。子供の頃はかわいかったけど…」。そうでしょうとも。おっさんのナリをした子供なんてかわいいはずない!と、周囲の女性は彼らの精神的未熟さを持て余し、憤りを抱えているわけです。家族でも許せないダメさ加減なのか、家族だからこそ許せないのか。女性の現実を生きる強さと、男性のふわふわしてたい願望が、小気味よく描かれております。文字面にするともう逃げ場がないダメさ加減ですが、全体的にオフビートな笑い満載の本作。作り手が「憎めないよね、こいつら」という目線で愛情を持って2人を描いているのが伝わります。それは最後に起きる「小さな奇跡」でも証明されるのでお見逃しなく。意外と「おお!」と思う奇跡です。日本ではあまり知名度がない2人のコメディアン。ジェフ役のジェイソン・シーゲルはシットコム『ママと恋に落ちるまで』のレギュラーとして全米では大人気。1999年~放送の『フリークス学園』で注目され、『フリークス学園』の製作総指揮を務めたジャド・アパトーとはその後『無ケーカクの命中男/ノックトアップ』『寝取られ男のラブ♂バカンス』『40男のバージンロード』『40歳からの家族ケーカク』など、低予算ながらも確実に「面白い!」と思わせる作品でタッグを組む事に。ジャド・アパトーは2014年現在、全米の女性への影響力1番と言っても過言ではないレナ・ダナムを一躍スターにしたドラマ『GIRLS』の製作総指揮を務めています!そんな「才能のある人間をかぎ分ける」名プロデューサーに見いだされたシーゲル。その才能は折り紙つきで『寝取られ男のラブ♂バカンス』では脚本も担当。ディズニーのヒットシリーズ『マペット』の劇場版映画『ザ・マペッツ』では脚本と共に、製作総指揮も務めています。そして今をときめくミシェル・ウィリアムズの元カレでもあります!兄のパット役は「ハング・オーバー」シリーズのスチュ役でお馴染みのエド・ヘルムズ。2人のおっさん・ネクスト・ドア的な「いるいる」感が◎です! TM & Copyright © 2014 by Paramount Pictures. All rights reserved.