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PROGRAM/放送作品
マイ・プライベート・アイダホ
キアヌ・リーブス×リバー・フェニックス、二大スターの美男ぶりが焼き付けられた、切ない青春映画
揺れ動く少年たちのイノセンスを映してきたガス・ヴァン・サントの監督・脚本作品。孤独を湛えた主人公を見事に演じたリバー・フェニックスはヴェネチア映画祭で主演男優賞を受賞、本作は彼の代表作となった。
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COLUMN/コラム2016.12.13
夏の『47RONIN』プレゼントの当選発表を今日になってする、の巻。
おまっとさんでした、地域密着系都市型…じゃなくて、おまっとさんでした!夏に当チャンネル、『47RONIN』にかこつけた、フザけきったプレキャンを実施したのをご記憶でしょうか? 47RONINは複数形のsが付いてRONINSとならずに、英語の原題でも47RONINのままですが、なぜ複数形のsが付かないのでしょうか?このクイズに頓智の利いた回答をお寄せいただいた方の中から抽選で(※正解でなくて構いません)四十七士に、素敵なプレゼントが当たる。 というプレキャンでした。おまっとさんでした!夏にやって冬まで寝かせて本日、結果発表と賞品の発送を同時に行います。おそらく明日、討ち入り当日に当選者のお手元にブツが届く、という粋な心配り。当選者の発表は賞品の発送をもって代えさせていただきますよ。なんせここに個人情報は晒せませんから。 ああそれと明日12月14日(水)の13:00~は放送もしますよ。またぜひご覧ください。 さて、まずは本ですね。 『おかしなジパング図版帖 -モンタヌスが描いた驚異の王国-』価格:¥2,052出版社:パイインターナショナル著者:宮田珠己 という素晴らしい図録でして、17世紀後半というから江戸前期ですが、その時代に、日本に来たこともないオランダ人モンタヌスが、出島から漏れ伝わってくる情報から想像だけで描いた日本の絵の数々を紹介している。なんだか、眺めてるうちにクラクラめまいがしてくるような、ドラッギィきわまりない一冊。 あたらなかった方は各自でご購入ください。 これが当たった方たちの、トンチのきいたご回答の数々がコチラ。 神奈川県の男性 「47才の浪人の話」 いいっすね40歳の童貞男みたいで。 次いってみよ。 足立区の男性 「寺坂が持って逃げて泉岳寺に奉納した!」 意味がわかんなくて好き。 大阪の女性 「図に乗ってないから」 図ね。sだけにね。ズだからね。上手い!これはいわゆるひとつの山田君座布団一枚ですな。 世田谷の女性 「SONYのwalkmanが47台あってもwalkmenにならないのと一緒。47roninは世界の登録商標」 これは新しい問題提起がなされましたぞ。ウォークマンが47台あったら、アメリカ人はそれを何と呼ぶのか!? 本当に絶対ウォーク“メン”にはならないの?47walkmanズ、ともならないのか?深い。深すぎる難題だ。高校の英文法でこんなこと習ったか? これ以外にも、たくさんの珍回答をお寄せいただきました。良いやつは全部ここで紹介したいぐらいですが、「紹介しといて当てないのかよ!」と怒りを買いそうなので、感謝の念だけお伝えしておきます。ありがとうございました。 ■ ■ ■ 続いて塩。赤穂の天塩の当選者です。 「浪人には塩が必用不可欠だったので、思わず題名のS(ソルト)を食べてしまったのだと思います\(^^)/」 これも山田く~ん。ですな。 「余りにも低学力の人が浪人を英訳したので、複数形のSを落として発表してしまった。そこで、これを逆に使用してあたかも、意図的な物にしようとしてこんなクイズにしたが、応募数が少ないと、責任を取らなくてはならない。故に人助けを兼ねて、清き一票を投じてる!」 いや私がタイトル付けた訳じゃないですから。ユニバーサル作品なので天下の東宝東和さんじゃないですかね。まさかして、これもまた、バンボロとかサーカムサウンドとかジョギリショックとかの輝かしき伝統に連なる、一種の東和宣伝マジックなのか!? なわきゃねえか。 サクサクいきましょう。 「キアヌリーヴスがぼっち好きだから」 「ピンクレディーと同じでSを取った方が響きが良いからです。」 「しまりがある」 いい感じにフザけてますね。好きです。この調子で、皆さん、かなり頓智が利きすぎております。全部は紹介できませんな。 もっとナメた回答も、今回のプレキャンに限っては全然ウエルカムでした。以下の5つは個人的にはツボにハマった。MAXナメきってた、いっそ清々しいほどの名回答(普段だと普通ハズれますわな、これじゃ…)。 「つけ忘れた」 「たまたま」 「ミスプリント」 「わからない」 「どうでもいい」 なにかこう、『47RONIN』という映画のもっている謎なバイブスとシンクロしている気もするので、今回に限りまして、これらも大正解とします。 合計300件ちかいご応募がありまして四十七士に賞品をお送りしますが、300件ってのは凄い!「頓智の利いた回答寄せてくれ」なんてムチャぶりというかハードル高すぎなお題に対して、よくぞまあ300名様もお付き合いくださいました。誰より企画担当者本人が意外の念でいっぱいです。こんだけハードル高い場合、「47件もこないかもしれない。ま、ネタだからいいけど」と、事前には覚悟していたぐらいです。 最後に、今回フザけた回答を求めたのですが、正解にまったく触れないというのも、気になっちゃって眠れない人が出るかもしれないので、正解らしき回答も一応ご紹介しときます。 「『七人の侍』も ”Seven Samurai”なので、47RONINも同じようにsがつかないのかなと思いました。」「ronin, yakuza, policeなどは集合名詞なので複数形もsは付かない。複数形にしたい時は、two members of yakuzaなどとして使う。」 もっともらしいけど、本当なのか?しかし、本当に正解かどうか当局は一切関知しないのでそのつもりで。なおこのテープは自動的に消滅する。と言いたいところですけど別に消滅しないので、かわりにこの決め台詞で〆させていただきましょう。「信じるか信じないかはあなた次第!」 それでは皆様、良いお年を。We wish you a merry 義士祭!■ © 2013 Universal City Studios
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PROGRAM/放送作品
マトリックス
世界が何者かによって作られたまやかしだとしたら…映画史に永久に残る哲学SFアクションシリーズ第1弾
現実と区別のつかないリアルな夢。高次の存在によって創造されたこの世界。我々の人生は本物か?というSFでおなじみのテーマを、革新的映像表現によるアクションの釣瓶打ちで描く、映画史上最も重要なSFの1本。
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COLUMN/コラム2015.06.27
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2015年7月】にしこ
ヒゲボーボーで酒瓶を持っているキアヌや、映画祭で激太りしているキアヌを見て落胆する日々をお過ごしの皆様に朗報です。(主に女性の皆様)ザ・シネマに7月。満を持して私たちがトキメきに胸を焦がした超絶かっこいいキアヌが帰ってきます。そう!『スピード』放送いたします!! この作品でキアヌが問答無用のハリウッドスターになった事は周知の事実ですが、あと2人、この作品はスターダムに押し上げています。1人は監督のヤン・デ・ボン。もう1人は今やキアヌ以上のスターですがサンドラ・ブロックです。 ヤン・デ・ボンは「ダイ・ハード」や「ブラック・レイン」、「リーサル・ウェポン3」や「レッド・オクトーバーを追え!」など、ザ・シネマをご覧頂いている皆様にはお馴染みの大大大ヒットアクション映画の撮影監督を務めたアクションを知り尽くした男。撮影現場で一番偉い!?と言われる撮影監督を長年務めてきた彼が初監督として選んだのがこの『スピード』だったわけです。 高層ビルのエレベーターに爆破犯から脅迫電話が入るも、SWATチームの活躍で事態は収束。しかし犯人はその事を恨みに思い、今度は路線バスに爆発を仕掛ける。時速80キロ以下になると爆発する路線バス。人質となったバスの乗客を1人でも下ろしても爆発させる、バスを止める事も許されず…エレベーターのテロを見事に解決したSWAT隊員のジャック(キアヌ・リーヴス)に爆破犯ハワード(デニス・ホッパー)からの挑戦状が叩きつけられる・・・ というシンプルなストーリーではありますが、アクションを知るつくした男、ヤン・デ・ボン。1分と観客をほっとさせないくすぐる仕掛けをいたるところに埋め込んでいます。さらに特筆すべきはこの映画のアクションの「手作り」感。急ブレーキに横転しそうになるバスを乗客の全体重を使って防いだり、可動式の板に寝っころがったキアヌが時速80キロ以上で走るバスの下に入り込んだりと、まぁ「がっはっは」と声を出して爽快感を表現したくなる様な素晴らしい手作りアクションが満載なのです!!観る者のツボをつきまくるアクション演出。ありがとうございます。 もう1人の主役。この作品を最高に魅力的にしているヒロインのサンドラ・ブロック。彼女はアクシデントで運転手が運転不能になってしまったバスを、行きがかり上運転する事になった免停中のアニーを演じていますが、素晴らしい!「なんで私がこんな目に!」とかか弱い事は一切言いません。かといって冷静すぎるのでもなく、等身大の女の子らしいパニクりが実にチャーミングで、さらに温かいユーモアで主人公のジャックを励まし、乗客たちをなだめ、とにかく「超・一生懸命」にバスを運転します。この一生懸命さが最高です。みんな彼女を好きならずにはいられない。サンディ最高、ありがとう。 キアヌですが、あのナイーヴさで出来た彼が、血気盛んなロス市警のSWAT隊員なんて・・・大丈夫かしら・・・という気持ちと共にこの映画を観に劇場に足を運んだファンの方も多かったと思いますが、なんのなんの!!これ以上ないハマリ役ではないですか!ちょっと大根ぽい(ごくごく個人的意見です)ところもまたこの不器用そうなジャックという役にぴったり。長髪のイメージが強かった彼にクルーカットをさせた人に、未だに感謝の念が止まりません。ありがとうございます。レンタルビデオ屋さんで、等身大のキアヌの宣伝用スタンディーをもらって、ベッドの横に飾って寝ていた自分とも再会する事が出来ました。 私にとっていろいろなありがとうが詰まった映画であり、さらにアクション映画史上の名作としても名高い本作。まだ見てない皆様、ラッキーです。本物のアクション映画を見逃すところでした。ふぅ。既にご覧になった皆様も、何度見ても同じところでドキドキハラハラできる事請け合いです!!絶対に見逃してはいけない1本です!!ありがとうございます!! © 1994 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.
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PROGRAM/放送作品
マトリックス リローデッド
救世主とは何か?マトリックスの真実を上回る驚愕の真相が終盤で明らかに!深遠な哲学SFシリーズ第2弾
覚醒後に限界なくパワーアップし続けるネオ。そのネオのプログラムを取り込みウイルスと化して無限増殖するエージェント・スミス。そしてマシン軍団の侵攻にさらされる現実の非力な人類たち…新局面を迎える第2弾。
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COLUMN/コラム2013.10.01
「映画はファッションの教科書!」を3倍楽しむための必読ガイドその1
年に一度の映画界最大の式典といえばアカデミー賞授賞式。その年最高の映画が決まるとともに、その時を代表するセレブ達のトップが決まる授賞式でもある祭典でもある。そこで注目したいのは、そのときどきを刻む衣装。授賞式当日のセレブ達のきらびやかなドレスもそうだけど、最優秀衣装デザイン賞を受賞した作品は、有名デザイナーがデザインした衣装がズラリ。 たとえば、古くは1956年の『泥棒成金』は、『ローマの休日』などの衣装デザインを担当したハリウッド映画衣裳デザインの第一人者であったイデス・ヘッドが担当(彼女は衣装デザイン賞を8回も受賞している)。衣装をポイントにして映画を観ると、その時代のトレンドや、描かれた時代の再解釈、そしてデザイナーの本気が見えてくる。 忘れられないのが、1977年の大ヒット作『サタデー・ナイト・フィーバー』のような作品。この映画で出てきた衣装は70年代アメリカの若者達のトレンドが浮き彫りになったことでも知られる。これは当時の流行のメインではなく、サブカルチャーの中で流行ったものだけど、それが後にメインになり、そして廃れ、また近年のヒップホップシーンにおいて再解釈されていることを考えると、その影響力は計り知れないことがわかるだろう。 同様の作品としては2006年のノミネート作『ドリームガールズ』も60年代アメリカのR&B界のファッションシーンが映し出されているが、これまた流行は一巡して、今観ても新しい衣装に見えるから不思議。また、時代ものの映画はストーリーもさることながら、コスプレならではの華麗な衣装から観た方が、よほど親しみやすいというもの。 オリビア・ハッセー・ブームを巻き起こした1968年の受賞作『ロミオとジュリエット』なんて、衣装の魅力がジュリエットの可憐な美しさを引き立ててるし、2010年のノミネート作『英国王のスピーチ』も今ほどオープンではなかった戦前の英国王室の荘厳さを、宮殿や社交界のシーンで実感できる。 そういった中でも特筆すべきは、石岡瑛子にオスカーをもたらした1992年の『ドラキュラ』は必見作。以後の彼女が手がけた「ザ・セル」やこちらもアカデミー賞衣装デザイン賞にノミネートされた「白雪姫と鏡の女王」にも観られる、西洋のゴシック様式と日本の着物や甲冑からモチーフを得たデザインの原点ともいえる衣装の数々が目にできるのだから。 そして忘れてはならないのは、有名デザイナーたちによる衣装! 今年リメイク版が公開された1974年の受賞作『華麗なるギャツビー』は、ラルフ・ローレンが衣装デザインを担当。1920年代アメリカン上流社会を舞台にしたこの作品は、いかに上流社会の人々の優雅さを表現するかで、我々がよく知るラルフ・ローレンが貢献していたというだけで、興味がわくところ(ちなみにリメイク版はブルックス・ブラザーズとプラダが担当した)。 有名デザイナーが担当してオスカーを得た作品でいえば、当時既にファッション界のカリスマであったエマニュエル・ウンガロが担当した1980年の『グロリア』あたりもチェックを。 また、受賞こそ逃したが、元グッチ、イヴ・サンローランのクリエイティブ・ディレクターで現代ファッション界を代表するトム・フォードが監督と衣装デザインを担当した2009年の『シングルマン』は、ファッション・デザイナーのセンスで描かれた映画だけに、おしゃれ好きの人のマスト・リスト。「これが衣装デザイン賞を逃すなんて、どうかしてるよアカデミー! だって、トム・フォードだよ?」と、授賞式当時は現地マスコミの間でもヤジが飛んだほど。彼が常に提案しているトラッドとセクシーの見事な融合を、一編の映像にまとめた希有な作品だ。映画に詳しくない人も、たくさんは観ていないという人も、衣装から観ると映画、そしてアカデミー賞が楽しく見えてくる。ちょっと視点を変えてみてはいかが?■ ■ ■【特集「映画はファッションの教科書!」を3倍楽しむための必読ガイド】は最終回「デザイナー編」へと続きます。次回の更新は10月16日を予定しております。最終回も、ファッションのプロである田口淑子さんに引き続き、映画とファッションの「深い関係」を解説していただきます。乞うご期待下さい!そして、10月特集「映画はファッションの教科書!」は10/17(木)-20(日) 【再放送】 10/28(月)-31(木)の日程で 下記11作品でお送りします! ドラキュラ(1992)ロミオとジュリエット(1968)陽のあたる場所英国王のスピーチグロリア(1980)華麗なるギャツビー(1974)ドリームガールズサタデー・ナイト・フィーバーラブソングができるまでシングルマン泥棒成金 ぜひ映画本編でも、数々のファッションをお楽しみ下さいませ!■
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PROGRAM/放送作品
マトリックス レボリューションズ
現実世界でザイオン籠城戦!仮想世界では無限増殖したエージェント・スミスとの最終対決!今、決戦のとき!
前作から難解さを増したシリーズ。深すぎ!だからこそ何度も見たい。見るほどに発見が。ネットでも調べたい。我々を覚醒させる“SF知のアスレチック”ここに完結!かくして「マトリックス」三部作は伝説になった。
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COLUMN/コラム2013.10.18
「映画はファッションの教科書!」を3倍楽しむための必読ガイド最終回【デザイナー編】
長年モードの世界に身を置かれ、その歴史を見てこられた田口淑子さんに再び解説して頂きます。映画本編の華麗なるファッションの世界のエッセンスがちりばめられた必読ガイドです!! ■ライフスタイルを提案するラルフ・ローレン ラルフ・ローレンのメンズコレクションはミラノで開催されていた。「アルマーニ」や「グッチ」、際立つラグジュアリーブランドが多いミラノメンズの中でも、ラルフ・ローレンの演出は異色だった。門扉をくぐったところからすでに会場の演出は始まっていて、日常とは違う空間が出現する。玄関まで点々とキャンドルが灯され、前庭には布製のソファが点在。黒服のギャルソンが、銀のトレーでウエルカムシャンパンをサービスしてくれる。部屋の壁にはいくつもの肖像写真が飾られ、いたるところが花でいっぱい。客席の椅子も、カーテンも、全てがニューイングランドスタイル。「ギャッツビーの邸宅ようだ」と、私と同じ感想をもった、取材するジャーナリストはきっと多かったことと思う。 「華麗なるギャッツビー」はジャズエイジのアメリカ、ロングアイランドが舞台。女たちのドレスは、ラッフルやフレアのある典型的なフェミニンタイプ。シフォンやデシンの薄い布地にはビーズやフリンジがあしらわれ、キャップ型ヘッドドレス、オーストリッチのストール、シームのある絹のストッキングと、どれもが装飾的でデカダンなスタイルだ。 そしてギャツビーの衣裳はラルフ・ローレンがデザインしている。この映画を観る時は、三つ揃いのスーツの、衿のVゾーンに注目してほしい。シャツ、ネクタイ、ジャケット、三つのアイテムの色の配分とデイテールの遊び心の表現が、着る人によって微妙な違いを見せているのだ。この時代のスーツは今も古くなっていないどころか、アメリカントラッドのお手本の最高峰として、おしゃれ好きな男たちにとっては必見の、永遠の映画なのである。ジュエリーはカルティエが担当した。今年、ミウッチャ・プラダがレディス、ブルックス ブラザーズがメンズ、ジュエリーをティファニーが担当したリメーク版が公開されて話題になった。2つの作品を比較してみると、映画の制作年度である1974年当時と2012年の、それぞれの時代性が、‘20年代のファッションに、複層的に投影されているのがわかってきて興味深い。 ■アートとモードを融合させた石岡瑛子 「ドラキュラ」は石岡瑛子が衣装と美術を担当。冒頭の15世紀、まだ吸血鬼になる前のトランシルバニアの王ドラキュラが戦で装着する甲冑は、流線型の造形が未来的。衣裳というよりはもはやアート作品と言えるだろう。やがて舞台は400年後、19世紀末のロンドンに移る。ウイノナ・ライダー演ずる、ドラキュラが恋したミナのドレスは、いかにも貞淑な良家の子女風の控えめな色とデザイン。男たちの服装も時代考証にほぼ忠実に、フロックコートやシルクハットを再現している。石岡瑛子ならではのアート性を遺憾なく発揮したのが、ミナの友人ルーシーの「死のウエディングドレス」だ。純白のレースの、エリザベスカラーと、長くトレーンを引くヘッドドレスのボリューム感が息をのむほど美しく、「ドラキュラ」が1992年度のアカデミー賞、衣裳デザイン賞を受賞したのも大いにうなづける。 ■女優の衣装を革新した人、イデス・ヘッド 「泥棒成金」のグレース・ケリーの衣装デザインはイデス・ヘッド。彼女は「裏窓」以来の、ヒッチコックのお気に入りで常連スタッフ。オードリー・ヘプバーンの「ローマの休日」や、サブリナパンツが今も若い女性の定番ボトムスになっている、「麗しのサブリナ」の衣裳も彼女の手による。グレース・ケリーのクールビューティを最大限に引き出す、ゴテゴテと飾り立てない衣裳のシンプルさは、当時革命的だったろうと思う。イデスの写真を見ると、もし彼女が今生きていたらコムデギャルソンやヨウジヤマモトの前衛的なクリエーションに共感したに違いないと思わせる、知的で職人的な雰囲気の人だ。 ■トム・フォードの完璧な美学 トム・フォードの初監督作品、「シングルマン」。トムの経歴をたどると、1990年「グッチ」のデザイナーに就任。どちらかというとコンサバティブなハイクラスのマダム御用達だったブランドを、一躍世界のラグジュアリーファッションの筆頭ブランドに変革した立役者だ。その後、自分のブランド「トム・フォード」を設立し、ビジネスの規模を拡大するのが第一のテーマではなく、トム自身の美学のもと、真のラグジュアリーとは何かを追求し続けている。 「シングルマン」でコリン・ファース演ずる大学教授ジョージの隙のないワードローブ。スーツ、シャツ、ナイトガウン。アクセサリーでは、左手小指の指輪、靴、ブリーフケース、眼鏡。全てがトム・フォードならでは完成度だ。トムが自分のブランドで目指していることは、この映画で彼が表現したかったこととぴったりと重なっている。ジョージが着る何気ない白いシャツが、なぜこれほど存在感を持ち、ジョージの個性を表現し、視覚的な美しさを讃えているのか、その答えを映画を見ながら一考してみていただきたい。「シングルマン」はここ数年の映画の中で、最もファッション性が高く表現された作品と言えるだろう。 ■ ■ ■ 【特集「映画はファッションの教科書!」を3倍楽しむための必読ガイド】 10月特集「映画はファッションの教科書!」は10/17(木)-20(日) 【再放送】 10/28(月)-31(木)の日程で 下記11作品でお送りします! ドラキュラ(1992)ロミオとジュリエット(1968)陽のあたる場所英国王のスピーチグロリア(1980)華麗なるギャツビー(1974)ドリームガールズサタデー・ナイト・フィーバーラブソングができるまでシングルマン泥棒成金 コラムで予習、映画本編で答え合わせ!!映画を教科書にして、ご自身の着こなしに取り入れてみてはいかがでしょうか?■
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PROGRAM/放送作品
陽だまりのグラウンド
『マトリックス』シリーズのキアヌ・リーブス主演で贈る、感動の少年野球映画
少年野球を題材に描かれる心温まる感動作品。野球チームのコーチ、コニーを演じる主演キアヌ・リーブスのナイーブな演技が光る。共演は『パーフェクト ストーム』のダイアン・レイン。
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COLUMN/コラム2009.12.04
憎さあまって可愛さ100倍、『マトリックス』
前回書きかけた、『マトリックス』が大っっっっっっっっキライだった、ということの続きを、今回は書きます。まずワタクシ、基本、エンターテイメントが好きなんです。好きっていうか、スゴいと思う。心から感心する。感動すらする。より多くの人たちに、より満足度の高い娯楽を供給する、っていうミッション・インポッシブルを、商売柄、ワタクシも日々課せられてますんで、常にそれにチャレンジしつづけてる(で、ちゃんと結果だしてる)ハリウッドを、ワタクシ、心底リスペクトしてるのです。100人いたら100人全員を楽しませるってことが、実は一番ムズかしい。逆に、100人全員を楽しませなくていいんだ、って開き直っちゃったような映画、「ミーの高尚なアートがユーに理解できるザマすか?」的な芸術映画だとか、「解るヤツだけオレ様についてこい!ついてこれん落伍者は容赦なく置き去りにするぞ!」的な難解オレ様映画だとかに、まるっきし興味ないです。エゴだよそれは(byアムロ)。そんなワケでして、実はワタクシ、『マトリックス』、好きじゃなかったんです…。公開時にリアルタイムで見てんですが、1は確かに面白かった! 1はまごうかたなきエンターテイメント映画でしたから。お客さんに楽しんでもらって、喜んで映画館から帰ってもらおう、っていうまっとうな商売人としての低姿勢さが、ちゃ~んと感じられた。2で、つまらなくなった。っていうか、監督兄弟が本当にやりたかったのは、エンターテイメントじゃなかったんだ、“オレ様映画”がやりたかったんだ、ってことが、2で分かっちゃった。2公開時、「ストーリー、意味わかんない。でも、最終作の3で全てのナゾが解けるんでしょ?」、的な、むなしい期待論もささやかれてました。でも、そりゃありえないって!とワタクシ思ったもんですわ。もはや明らかに2で方向転換してるじゃんか、「解るヤツだけオレ様についてこい」路線に。で、3公開。ワタクシは期待せずに見に行ったワケですが、案の定、ますますワケわからない状態で、シリーズは終わっちゃった。こうなる未来は2の時すでにワタクシにゃ見えてたのだよ。オラクルのようにね!とまぁ、ここまでは、ワタクシ個人の感想と思い出です。ただ、世間一般的にも、この、「1面白い、2つまらない」という感想は、皆様がかなり共通に抱いたようでして、2がワケわからなすぎて3見る気が失せちゃって、結局、3見ず終い、っつう人が、ワタクシの回りじゃけっこう多かった。ネットで調べてもそういう声は多いようです。今回のザ・シネマでの放送では、そういう人が多いという仮説にのっとり、かつて2まで見てやめちゃった人や、今回初めて『マトリックス』を見るんだけど、やっぱり2で見るのやめちゃうであろう人たちを、いかにして3までつなげるか、という点を、実は当方といたしましては課題としてたんです。 とにかく問題となるのは、2がワケわからなすぎる、ってこと。特に終盤ですよね。アーキテクトなるナゾの白髪翁(マトリックスを作ったヤツ?)が出てきますが、そいつとネオとの、TVモニターがいっぱいある変な部屋(ソース?なにソースって)でのやりとりが、まるで禅問答みたいでMAX意味不明。さらに中盤での、予言者とネオの会話も、かなりワケわかりません。そこらへんが分かって、2で何が描かれ、何が語られたかぜんぶ分かって、はじめて、3を見る気が起こる。3も、見終わった後に意味不明感や消化不良感が残るようじゃ、「面白かった!」という評価にはならんだろ、ここは疑問を残させないぐらいの解説が必要だ!って結論に達したんですわ。そこでまず、シリーズ3本一挙にやる!ことにしました。これ、民放なんかでバラバラに放送されたりしてましたが、ただでさえ難解なものが、それをやっちゃあ致命的に分からなくなる。イッキ見は最低限マストでしょう!! さらに、ウチでは特番つくりました。本編後にはストーリーのおさらいも付けました。あれらは全て、主に、そういう意図にもとづいて作られてたんです。実は、特番などを作るに際し、ワタクシ、『マトリックス』シリーズを通しで8回見ました!1回見ただけじゃ意味分からない。2回目にやっと「そっか!これって、もしかしてこういう意味!?」みたいな発見があり、その漠然とした発見を補強するために、さらに立て続けに見返して、8回目にしてようやく、悟りの境地に達したのであります。後日、番組制作のための打ち合わせの席で、ディレクターの解釈とワタクシの解釈では、かなり喰い違う部分が出てきた。で、そっから議論が勃発!トータルで10時間以上は激論を戦わせましたねぇ。この時から、『マトリックス』はワタクシにとって、映画史上もっとも面白いSF映画となったのです!ディレクターとの激論バトル、これが、何年かぶりぐらいに面白い映画体験だった! そういや学生だった頃、映画ヲタクのワタクシは、よくそんな議論をヲタク仲間どもと繰り広げたもんです。何時間も、とか、夜通し、とか、電話の子機(その時代は家電ってのがあって子機ってもんがあった)の充電が無くなるまで、とかね。映画好きの人の中には、そういう経験がある人って、少なからずいると思うんすよね。ケンケンガクガクの映画談義。いや~、今となっては遠い日の思い出ですわ。でも、社会に出て働きだして、あれやこれやで忙しくなると、そんなことしてるヒマがなくなっちゃった。いや、実は、ヒマなんていくらでもあるのかも。ただ人として萎えてきただけなのかも。 「議論なんか面倒だ」 「疲れるだけだ」 「たかが映画じゃないか」 「映画ごときで声を嗄らして議論するのもバカらしい」…我ながら、イヤ~な年のとり方をしちまいました。悲しいぐらいつまんねーオトナになっちゃってます…。その映画に何が描かれてるか理解するため、全神経を集中させ、頭をフル回転させて、緊張して映画と向き合う。何度も繰り返し見て、どうにかして理解しようと努める。そうやって築いた自分なりの理解も、他人のそれとは喰い違ってるかもしれない。その場合、双方の相違点をとことん徹底的にぶつけ合う。恐れず逃げず、議論する。エキサイティングですよ、これって! っていうか、それがエキサイティングだったっという遠い日の記憶を、ほんと十何年かぶりに思い出させてもらいましたわ、『マトリックス』に!100人中100人を喜ばせるエンターテインメントをリスペクトする、って気持ちは今も変わりません。が、知性を挑発してくるような、知的格闘を強いられるような、“手強い映画”だけが持ってる、楽しさと興奮。そうした楽しさと興奮ってのは、古びる、色褪せる、ってことがありません。『マトリックス』はアクションも売りです。VFXも売りです。ただ残念ながら、それらにゃ賞味期限ってもんがありますよね。特にVFXなんて日進月歩ですから、いずれは色褪せていく運命です。『マトリックス』は作られて10年ぐらいなんで、2009年現在まだ迫力は感じますが、さらに10年、20年、30年と時がたてば、『マトリックス』の特撮やアクションなんて、特に目新しさもなく、大して迫力も感じさせないものなってくことでしょう。でも、知的興奮、知的スリル、その面白さは、けっして賞味期限切れで腐ってくことはない。2020年、2030年、2040年の未来に生きる映画ファンたちも、『マトリックス』が持っている、そうした魅力に興奮させられるだろうことは、間違いないと確信しますね、ワタクシは。『マトリックス』は、まさに、知的に挑発してくる映画です。知的格闘を強いられる映画です。1度見ただけでは分からないと思います(分かったらスゴい!)。けど、2度・3度と見るごとに、どんどんと面白く感じられるようになるハズです。「もう見飽きたよ」ということに、永遠にならない、奇跡のような映画なのです。歴代SF映画のベストに、『マトリックス』を推す人ってのが、けっこういます。つまらない(2以降)という声がある一方、一部で評価が異常に高い!ちなみにアメリカの権威ある映画(などのエンタメ全般)情報誌「エンターテイメント・ウィークリー」誌が、オフィシャルサイトで2007年に選出したベストSF1位も、実は『マトリックス』だったんです。それは、以上のようなワケなんでしょうな。あの、超有名SF大作『×××・××××』も、あの、大ヒットしたSFシリーズ『××××××××』も、ランキング圏外でした。それは、映像の迫力だけに依存しすぎてて、数十年たてば色褪せてくってうら寂しい末路が、なんとなく予想できちゃうからなんでしょう。『マトリックス』は、誰が見ても同じ解釈にはならない映画です。それでいいんです。視聴者の皆々様もきっと、それぞれの解釈(ワタクシのとはまるっきし違う)をお持ちになると思います。それでいいんです。だからこそ、『マトリックス』こそ映画史上最高のSF映画だ、なんです。今日日、ネットで探せば、『マトリックス』の解釈を記してるサイトなんて、山ほど出てきます。そんなのを参考程度に読みつつ、当チャンネルで『マトリックス』シリーズをご覧になった後は、ぜひ、あなた独自の解釈ってのを、試みてみてください。できれば、あなたの解釈を、誰かを相手に、ツバを引っかけ合うような議論でぶっつけてみてください。映画見るってこんなにエキサイティングな行為だったのか!と、『マトリックス』は、あらためて思い出させてくれると思いますよ。■ 『マトリックス レボリューションズ』™ & © Warner Bros. Entertainment Inc.