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COLUMN/コラム2017.10.20
『レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語』に出てくる「パスタ・プッタネスカ」こと「風俗嬢パスタ」のレシピに挑む!!!
写真/studio louise 今回は『レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語』の中で印象的に登場する、「パスタ・プッタネスカ」の作り方をご紹介しましょう。 映画チャンネルなのでまずは映画紹介から。 ボードレール家の子供たちは火事で両親を失った。少女発明家の長女ヴァイオレットと、読書好きの弟クラウス、そして末っ子の赤ちゃんサニーは、オラフ伯爵という遠い親戚に引き取られる。だが遺産目当てのオラフは子供たちを殺して遺産を我が物にしようと画策。子供たちはオラフの元から逃げ、別の遠い親戚に預けられることに。しかし、三文役者のオラフは変装し、周囲の大人たちの目を誤摩化して子供たちに付きまとう。 一見して、超ティム・バートンっぽいダーク・ゴス・メルヘンチックな映像と世界観の映画なのですが、その見立てはハズレてはおりません。そもそも監督に当初ティム・バートンが打診されており、またそのためか、撮影監督に『スリーピー・ホロウ』でアカデミー撮影賞ノミネートの(てか当代最高のカメラマンの)エマニュエル・ルベツキ、美術には完全にバートン組の一員であるリック・ハインリクスといった面々が名を連ねていますからね。 あと、ジム・キャリー扮演の悪党の三文役者オラフ伯爵が変装して遺産狙いで子供たちを追い回すというお話なので、ジム・キャリーの『マスク』ばりの変キャラ七変化や過剰演技が楽しめるのですが、もう一点、これは人それぞれ趣味もあるとは思いますけど、エミリー・ブラウニング史上この時がいちばん可愛いですわ! エミリー・ブラウニング嬢、ロリ系女優としてその後もご活躍。日本風スク水ずん胴(いや、良い意味でね)姿を披露した『ゲスト』、日本風愛と正義のセーラー服美少女戦士役でアクションしまくった『エンジェル ウォーズ』、脱いだ『スリーピング ビューティー/禁断の悦び』、美声を聞かせたレトロキュートなミュージカル『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』(写真)と、文化系男子好みな作品選定で全幅の信頼を置かれてますが、本作でのゴスロリ黒ドレス姿の可憐さたるや! このエミリー・ブラウニング嬢たち3姉弟が、悪党オラフ伯爵に引き取られてきた初日に即、ディナーを30分で作るよう命じられる。いきなりの家政婦扱い。姉「パスタにしましょう」弟「パスタ・プッタネスカなら、少ない材料で出来るからね」 ということで、ザルの代わりに網戸を、鍋の代わりに痰壷を使い、パスタ・プッタネスカを手早く作るのです。 Netflixオリジナルの連続ドラマ版には、姉弟が図書室に行ってレシピを調べるシーンがあります。[図書室にて]姉「これなら作れそう。パスタ・プッタネスカ!」弟「イタリア語でどんな意味だろう?」姉「(料理本を読み上げ)ニンニクとタマネギを炒めて、オリーヴとケイパー、アンチョビ、刻んだパセリとトマトを入れて煮る」[キッチンにて]ナレーション「パスタを茹でるまでの間、ヴァイオレットはニンニクを炒め、アンチョビを洗って切った。クラウスはトマトとオリーヴの準備。(中略)そして末っ子がパセリを歯で食いちぎる作業を終えると、初めて伯爵の家に来た時の気持ちは消えた。惨めな気持ちは薄れていたのだ」姉「このソース、パパも誉めてくれたはず!」 ええと、これからご紹介するワタクシのレシピでは、タマネギは使いません。甘味が出ちゃうのがイヤなのと、ワタクシが参考にした幾つかのレシピでは使ってませんでしたから。あと、「アンチョビを洗う」という行為は意味がわかりません!英語でもそう言ってるんだけど、ダメ!絶対!! この2点は原作に書かれてないので、文字通りのNetflixオリジナルのアレンジらしい。ダメ!絶対!! あと、弟君に「イタリア語でどんな意味だろう?」と言わせておいて答を劇中で教えないのが、実は、軽くイタズラ心に溢れていて面白い。これも原作に書かれていないNetflixオリジナル台詞みたいなんですが、実は「プッタネスカ」って、子供に意味を教える訳にはいかない、とんでもない意味なのです! 「プッタネスカ」とは「風俗嬢の」という意味で、「パスタ・プッタネスカ」でしたら「風俗嬢パスタ」ということ。これ、イタリアで風俗嬢が客を取る合間にチャチャっと作って手早く食事を済ませていたから、それくらい簡単に作れるお手軽レシピ、ということが語源との説があります。ま、お子様には秘密ということで。 では、前置きはこれくらいにして早速いってみましょう! 【材料(4人分)】 ・唐辛子×2本・ドライオレガノ×2つまみ・ニンニク×1片・チェリートマト×1パック(有っても無くても)・生イタリアン・パセリ×売ってる1袋・トマトペースト(有っても無くても)・パスタ(ここではリングイネ。スパゲッティーでももちろん可。ただ麺が良い)・トマト缶×1缶・ケイパー・アンチョビいっぱい(5尾以上は!味の決め手なので!)・黒オリーヴ(種有りの方が断然味が良いのでオススメ) 【作り方】 ① フライパンにオリーヴオイルを注ぎ、唐辛子とニンニクのみじん切りとアンチョビいっぱいを入れ、超極弱火で熱を入れていく。トマトの食感がお好きならここで生チェリートマトを半分に切ったものも加熱する(別に無くてもいい)。 ② 5分も加熱するとアンチョビが熱で崩れる。この状態まで加熱したら、 ③ この時点でパスタ用の湯を大鍋で沸かし始めること。それと同時にフライパンの方は中火にヒートアップし、イタリアンパセリを除く全ての材料を一斉に投下!すなわち、トマト缶1缶、トマトペースト適量(無くても可)、ケイパーとブラックオリーヴお好みの量、乾燥オレガノを加え、材料外だが塩(適量)も加えて味を調える。 ④ 湯が沸いたらパスタを茹でる。湯が沸くまで15分ぐらいか?そしてパスタの茹で時間は普通7分?アルデンテ着地狙いで6分?超適当だが、トマトソースの方の煮込み時間もそれで十分。この時間を活用してイタリアン・パセリを適当に刻んでおこう。 ⑤ パスタ茹で上がり=ソース煮詰まり完了。パスタをソースに絡め、皿に盛り付け、最後に生イタリアン・パセリをたっぷりと散らす。 【実食】 うん!いつもながら、地味に美味いな!とにかく簡単、ってことが、この料理最大のメリットで、簡単すぎて失敗しようがないのですが、コツはアンチョビをケチらないことですな。肉を使ってないので、味のゴージャス感はアンチョビだけにかかってます。これケチると味気ない貧乏ったらしい味になってしまうので。 にしても、妻が実家出産でしばらく独り暮らししてた頃は、仕事終えて家に帰ったらいつもパパっと作って平日2回ぐらいはこれ食いながら安ワインで映画を見てましたね。やっぱ、映画ですから!自分で言うのもなんですが、映画見るなんて、そこそこオシャレで知的で洗練された趣味だとは思いませんか皆さん!エクスペンダブルズとか!! であるならば、コンビニエントでインスタントな夕食よりかは、手抜きとはいえ多少はこだわった、自分でチャチャっと作る簡単ディナー程度は、映画見る晩には格好つけたいじゃないですか、皆さん!■ COPYRIGHT © 2017 BY DREAMWORKS LLC AND PARAMOUNT PICTURES CORPORATION. ALL RIGHTS RESERVED.
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COLUMN/コラム2014.06.29
2014年7月のシネマ・ソムリエ
■7月6日『白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々』 第二次世界大戦中のドイツで反ナチ運動を行ったミュンヘンの学生組織バラそのメンバーが当局に逮捕され、国家反逆罪で処刑されるまでを描く実録ドラマだ。 主人公は唯一の女性メンバーだったゾフィー・ショル。現存する尋問記録に基づき、彼女とゲシュタポの取調官との対話を再現した緊迫感みなぎるシークエンスが圧巻。 ベルリン国際映画祭で監督賞、女優賞を受賞。とりわけ迫りくる死の恐怖に震えながら、自らの良心と信念を貫き通すゾフィー役、ユリア・イェンチの演技が感動的だ。 ■7月13日『永遠のマリア・カラス』 1977年に53歳の若さで死去したマリア・カラス。この20世紀を代表する伝説のオペラ歌手の生誕80周年を記念し、彼女の謎めいた晩年の生き様に迫った人間ドラマだ。 かつての美声を失い、パリのアパルトマンで隠遁生活を送るカラス。旧知のプロモーターから新作映画の企画を持ち込まれた彼女のアーティストしての葛藤を描き出す。 事実に創作を織り交ぜて本作を完成させたF・ゼフィレッリ監督は、生前のカラスと親交があったオペラ演出家でもある。仏の名女優F・アルダンの入魂演技も見ものだ。 ■7月20日『ダウト〜あるカトリック学校で〜』 トニー賞とピュリッツァー賞に輝いた傑作舞台劇の映画化。カトリック学校を舞台に、具体的証拠のない“罪”をめぐって疑う者と疑われる者の闘いを描く心理劇である。 進歩的な思想を持つ神父が、学校内で黒人生徒に性的虐待を加えたとの疑惑が浮上。新米のシスターからその報告を受けた女性校長は、神父を厳しく問い質していく。 校長役のM・ストリープを中心とする主要キャスト4人全員がアカデミー賞候補に。人間の信念や弱さなどを多面的に体現した迫真のアンサンブルから目が離せない。 ■7月27日『リトル・ダンサー』 労働者階級の家庭で育った11歳の少年がバレエの虜になり、本格的にダンサーをめざしていく。サッチャー政権下の1980年代、炭鉱町を舞台にしたサクセスストーリーだ。 主人公ビリーがチュチュ姿の女の子たちに囲まれてレッスンを受けるシーンの微笑ましさ! 頑固な父親との対立と和解のエピソードも涙を誘う良質なドラマである。 『めぐりあう時間たち』のS・ダルドリー監督のデビュー作。T・レックスやザ・ジャムの曲に乗せ、ビリーがストリートで身を躍らせるダンス・シーンがすばらしい。 『白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々』©Jürgen Olczyk 『永遠のマリア・カラス』©2002 Medusa Film ‐ Cattleya ‐ Film and General Productions ‐ Galfin ‐ Alquimia Cinema ‐ MediaPro Pictures ‐ 『ダウト ?あるカトリック学校で?』© 2008 Miramax 『リトル・ダンサー』© Tiger Aspect Pictures Ltd. 2000 © 2000 Universal Studios. All Rights Reserved.
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COLUMN/コラム2014.06.03
映画の中のリゾートガイド
■『マンマ・ミーア!』 『マンマ・ミーア!』は、伝説のポップグループABBAの大ヒットナンバーでつづられた、最高にハートフルなミュージカル映画!結婚式を目前に控えた20歳の娘・ソフィと、メリル・ストリープ演じる母親のドナ、そして父親を名乗る3人の男性が繰り広げる騒動を描いた作品です。 舞台は、ギリシャの架空の小島・カロカイリ島。撮影の多くはエーゲ海に浮かぶ美しいリゾート地・スコペロス島で行われました。澄み切った海と白い砂、松やオリーブの木にいだかれたこの美しい島は、隠れ家的なリゾートとして、世界中の人々に愛されている場所。ソフィや婚約者のスカイたちが砂浜で激しく踊るシーン、ドナの親友・ターニャと島の若者のダンスシーンなど、美しい海辺の場面が撮られたのは、島の西側にあるカスタニビーチ。透明な海に浮かぶ印象的な桟橋は、撮影時に特別に作られたということです。ギリシャの青い空と海、そしてさんさんと降り注ぐ明るい太陽の下で繰り広げられる名シーンの数々は、見ているだけでハッピーな気分になれること請け合いです! ※『マンマ・ミーア!』桟橋シーン ※スコペロス島の風景 ▼「スコペロス島」プチ情報スコペロス島は、エーゲ海北西部のスポラデス諸島にあるギリシャの島。スコペロスはギリシャ語で「岩」の意味だが、肥沃な土地で緑も多く、アーモンドの産地として知られている。島内には350もの教会が点在している。 ▼アクセス方法日本からは、ヨーロッパの都市を経由してアテネへ向かい、国内線でスキアトス島へ。スキアトス島からスコペロス島へは船で1時間。(ほかに、ヨーロッパの都市からスキアトス島への直行便もある)ギリシャ中央に位置する港町・ヴォロスからスコペロス島へは船で2時間ほど。 ■『食べて、祈って、恋をして』 『食べて、祈って、恋をして』は、ジャーナリストとして活躍するヒロインが、離婚と失恋の後に、自分を見つめ直すために出かけた旅の日々を描いた作品です。 おいしい料理を堪能したイタリア、ヨガと瞑想に励んだインド…そしてジュリア・ロバーツ演じる主人公のリズが旅の最後に訪れたのが、「神々の島」と呼ばれるインドネシアのバリ島。彼女が過ごしたのが、バリ島の文化の中心地でもある山あいのリゾート地・ウブドです。ウブドでは稲作が盛んで、あちこちで青々とした美しいライステラス(棚田)を見ることができます。さらにはジュリアが颯爽と自転車で通り抜けるヤシの林、野生の猿が200匹も生息するという自然保護区「モンキーフォレスト」など、あふれる豊かな自然が人々を癒してくれるんです。パワフルなウブドの生活を肌で感じたければ、村のランドマーク、お土産や雑貨が揃う「パサール・ウブド」もはずせません! 見ているだけでリゾート地・バリ島の空気を満喫出来る、オススメの一本です! ※『食べて、祈って、恋をして』美しいライステラスシーン ※バリ島 ▼「ウブド」プチ情報ウブドは、バリ島中部にある古くからのリゾート地であり、バリ文化の中心地。ガムラン、バリ舞踊、バリ絵画、木彫り、石彫り、銀細工など、あらゆるバリの芸能・芸術を堪能出来る。豊かな自然でも知られ、素朴な田園風景や渓谷も大きな魅力。 ▼アクセス方法日本からはバリ島・デンパサール国際空港へ。空港から車で1時間。南部のリゾートエリアのクタまで車で1時間。さらにヌサドゥアから車で1時間半。 ■『黒いオルフェ』 『黒いオルフェ』は、ギリシャ神話の悲劇「オルフェウス伝説」を、現代のブラジルによみがえらせ、カンヌ国際映画祭でグランプリに輝いた名作です。舞台は、今年2014年、サッカーワールドカップが開催される情熱の街・ブラジルのリオデジャネイロ。作品では、この地で行われる世界最大の真夏の祭典・リオのカーニバルを軸での出来事が描かれています。 カーニバルは世界各地で行われていますが、その中でリオのカーニバルはもっとも熱狂的といわれています。年に一回、2月から3月上旬、土曜日から火曜日にかけての4日間にわたって繰り広げられるこのカーニバルには、世界中から観光客が押し寄せます。お目当ては、ほかでは体験できないダイナミックな音楽とリズム、そして華やかな衣装であふれるパレード!この作品では、随所に実際のカーニバルの映像が使われ、サンバのリズムに合わせて歌い、踊る人々の熱気がスクリーンから伝わってきます。地球の裏側で行われる華麗なカーニバルの気分を楽しむにはもってこいの映画です。 ※『黒いオルフェ』リオのカーニバルシーン ※リオのカーニバル ▼「リオデジャネイロ」プチ情報リオ・デ・ジャネイロは、サン・パウロに次ぐブラジル第二の都市。華やかなカーニバル、ビーチリゾート、世界三大美港のひとつと言われるグアナバラ湾の景観などで知られる観光地。2014年のサッカーワールドカップ、2016年の夏季オリンピックの開催地にも選ばれた。 ▼アクセス方法日本からはアメリカやカナダ、ヨーロッパの都市を経由してリオデジャネイロ国際空港へ。所要時間は25〜30時間ほど。 ■『マレーナ』 『マレーナ』は、第二次大戦中のシチリア島を舞台に、悲劇的な運命をたどる女性・マレーナの生き様を、彼女に恋する少年の目を通して描いた人間ドラマです。撮影の多くが行われたのは、地中海のリゾート・シチリア島にあるシラクーサ。美しいリゾート地として知られると同時に、3000年以上の歴史を持つ古都の魅力も持ち合わせています。随所に見られるギリシャ・ローマ時代の遺跡の多くは、2005年、世界遺産にも登録されました。シラクーサは、大きな橋をはさんで、新市街と旧市街のオルティージャに分かれています。オルティージャは、町の発祥の地といわれ、石造りの建物が立ち並ぶ風情あふれる場所です。オルティージャの中心にあるのが、街のシンボル・ドゥオーモ広場です。バロック様式の荘厳なドゥオーモが見下ろすこの広場は、少年がモニカ・ベルッチ演じるマレーナの思い出を心に刻み付ける印象的な場所として登場します。ゆったりとした時間が流れるロマンチックなリゾート・シラクーサを、作品を通じて味わってみては? ※『マレーナ』のワンシーン ※シラクーサ ドゥオーモ広場 ▼「シラクーサ」プチ情報シラクーサは、イタリアのシチリア島南東部に位置する都市。古代ギリシャ時代にアテネと共に繁栄を誇ったと言われ、数学者アルキメデスの生地でもある。太宰治の『走れメロス』の舞台としても知られる。ギリシャ・ローマ時代の遺跡が数多く残り、世界遺産にも認定された。 ▼アクセス方法日本からはローマ、ミラノ経由でシチリア島のカターニャ空港へ。空港からシラクーサへはバスで1時間20分ほど。 ■『フレンチ・キス(1995)』 『フレンチ・キス(1995)』は、旅先で恋に落ちた婚約者を追いかけて、フランスをめぐるアメリカ人女性を描いたロマンチック・コメディです。メグ・ライアン演じる主人公・ケイトが、詐欺師のリュックと一緒に婚約者を追いかけた先は、南仏のカンヌ。国際映画祭が開催される街としても世界的に知られています。カンヌをふくむ地中海に面した一帯は「コート・ダジュール」=「紺碧海岸」と呼ばれ、その名の通り、紺碧の海に明るい太陽がふりそそぐ、ヨーロッパ随一のリゾート地!ケイトが大騒動を巻き起こすのが、カンヌの中心にそびえ立つセレブ御用達の豪華なリゾートホテル、インターコンチネンタル・カールトン・カンヌ。映画祭の開催期間中は著名な映画人がこぞって宿泊するとか。美しい建物とビーチ。その明るく開放的な空間が、ケイトとリュックの距離を急速に縮める大きな役割を果たしていると言えそうです。恋も実る憧れのリゾート、コート・ダジュール。あなたもぜひ一度、映画で体験してください。 ※『フレンチ・キス(1995)』様子を伺うメグ・ライアン ※コート・ダジュール ▼「カンヌ」プチ情報カンヌは、フランス南東部の地中海に面する都市のひとつ。もともとは小さな漁港だったが、今ではヨーロッパ有数のリゾート地として知られる。毎年5月のカンヌ国際映画祭の開催地として世界的に有名。 ▼アクセス方法日本からは、ヨーロッパの都市を経由してニース・コート・ダジュール国際空港へ。空港からカンヌへは車で1時間程度。 ■『太陽がいっぱい』 『太陽がいっぱい』は、アラン・ドロン演じる貧しい青年・トムが大富豪の放蕩息子・フィリップをねたんで犯罪を計画、彼になりすまして財産を奪おうと画策するサスペンス映画です。フィリップが住むというモンジベロは架空の町。撮影の多くは、ナポリ湾に浮かぶイスキア島で行われました。イスキア島は、青い海と輝く太陽、そしてリラックスを求める人々でにぎわう大人気のリゾート地です。この島に来たらはずせないのが、地中海の豊かな自然を満喫できるクルージング!トムとフィリップもヨットで美しい海へと繰り出しますが、眩しく明るい陽光と、その下で行われる恐ろしい犯罪が、見事な対比を生み出しています。魚市場の場面は、「ナポリを見て死ね」と言われるほど風光明媚な港町・ナポリで撮影されています。人々の活気と彩りに満ちた市場で、アラン・ドロンの持つ影と、憂いを帯びた美しさが際立つ名シーンが生まれました。スリリングな犯罪と一緒に味わう地中海の明るい大自然、いつもとひと味違うリゾート体験ができるのでは? ※『太陽がいっぱい』ヨットのワンシーン ※イスキア島 ▼「イスキア島」プチ情報イスキア島は、イタリア・ナポリ湾内で一番大きな島。火山活動で出来た島で、別名「緑の島」と呼ばれるほど自然が豊か。至る所にわく温泉でのんびりできるほか、ビーチも楽しめる人気のリゾート地。 ▼アクセス方法日本からは、ローマやミラノ経由でナポリ・カポディキーノ空港へ。ナポリ港からイスキア島へは高速船で50分ほど。 『マンマ・ミーア!』© 2008 Universal Studios. All Rights Reserved.『食べて、祈って、恋をして』© 2010 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.『黒いオルフェ』ORFEU NEGRO ©1959 Dispat Film. All Rights Reserved.『マレーナ』© 2000 Medusa Film spa—Roma『フレンチ・キス(1995)』FRENCH KISS ©1995 ORION PICTURES CORPORATION. All Rights Reserved『太陽がいっぱい』© ROBERT ET RAYMOND HAKIM PRO. / Plaza Production International / Comstock Group
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COLUMN/コラム2013.09.01
2013年9月のシネマ・ソムリエ
■9月7日『白いカラス』 講義中の何気ない発言が黒人への差別だと糾弾され、辞職に追い込まれた古典学の大学教授コールマン。実は彼自身も“肌の色”にまつわる重大な秘密を隠し持っていた。 現代米国文学の巨匠フィリップ・ロスの小説「ヒューマン・ステイン」を映画化。主人公の数奇な人生を通して、人種差別問題の根深さ、複雑さを描く人間ドラマだ。実力派の豪華俳優陣が、癒しようのない心の傷を抱えた男女の悲痛な運命を体現。田舎町の荒涼とした冬景色と相まって、静謐にして重厚な緊迫感みなぎる一作である。 ■9月14日『ファンタスティック Mr.FOX』 『ムーンライズ・キングダム』の若き鬼才、W・アンダーソン監督が初めて手がけた長編アニメ映画である。原作はロアルド・ダールの児童文学「すばらしき父さん狐」。 元泥棒の野生キツネが仲間を率いて、農場を営む傲慢な人間とのバトルを展開。昔ながらのコマ撮りアニメの手作り感を生かした活劇シーンは、胸弾むスリルと痛快さ! 主人公のキツネ夫婦の声を担当するのはG・クルーニーとM・ストリープ。アンダーソン監督のユニークな美学と遊び心が全開のカメラワーク、美術、音楽もご堪能あれ。 ■9月21日『シングルマン』 世界的なトップデザイナー、トム・フォードの監督デビュー作。同性の恋人を事故で亡くしたことで生きる意味を失い、自殺を決意した大学教授のある一日を映し出す。 TVドラマ「マッドメン」の美術デザイナーを起用し、1960年代L.A.の風俗を再現。主人公のガラス張りの邸宅や衣装など、あらゆる細部に繊細な美意識が感じられる。 死へのカウントダウンのサスペンス、幻想的な悪夢や回想シーンを織り交ぜ、喪失と孤独の痛みをスタイリッシュに表現。冷たい色気が香り立つ映像美が見事である。 ■9月28日『サラの瞳』 フランス人作家タチアナ・ド・ロネの同名ベストセラー小説を映画化。1942年、ナチス占領下のパリで起こった衝撃的なユダヤ人迫害事件を、現代からの視点で描き出す。 現代のパリに住む女性ジャーナリストが、戦時中に家族とともに連れ去れたユダヤ人少女サラの消息を追う。そのミステリーに隠された痛切な人間模様に胸を打たれる。 歴史の重い真実と向き合おうとするジャーナリストの微妙な心の移ろいを、K・スコット・トーマスが好演。東京国際映画祭で監督賞、観客賞を受賞した作品でもある。 『白いカラス』©2003 FILMPRODUKTIONGESELLSCHAFT MBH&CO .1.BETEILIGUNGS KG 『ファンタスティック Mr.FOX』© 2009 Twentieth Century Fox Film Corporation and Indian Paintbrush Productions LLC. All rights reserved. 『シングルマン』©2009 Fade to Black Productions, Inc. All Rights Reserved. 『サラの鍵』© 2010 - Hugo Productions - Studio 37 -TF1 Droits Audiovisuel - France2 Cinéma
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COLUMN/コラム2012.08.25
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2012年9月】招きネコ
ベトナム戦争の闇についてアメリカ映画が描いた作品として、そのロシアン・ルーレットというショッキングなモティーフと共に公開当時衝撃を呼んだ作品でした。それから、何度となく見ていますが、見る度に新しい発見があります。それは、戦争の恐怖とか、政治・反戦とかいうメッセージが声高に出てくるのではなく、感情移入できる人間ドラマが幾重にも織りなされ、俳優たちの演技やマイケル・チミノ監督の演出で込められた思いを何気ない一言や場面に見る度に新たに気づくからです。デ・ニーロ、メリル・ストリープ、そしてなんと言ってもウォーケン!彼らの作り出すキャラクターのなんと繊細なこと!何度でも見たい素晴らしい映画とは、こうやって一緒に年月を重ねられる作品なのかもしれません。 (C) 1978 Universal Studios. All Rights Reserved.
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COLUMN/コラム2012.03.01
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2012年3月】山田
いかにもティム・バートン風なゴスかわいい世界観が何とも魅力的。いたいけな三姉弟妹の遺産を狙う悪漢にジム・キャリーが扮し、コミカルな怪演と久方ぶりのエキセントリックな演技を見せる愉快なダーク・メルヘン。長女ヴァイオレット役にはエミリー・ブラウニング。『エンジェル ウォーズ』の制服美女姿が記憶に新しい。イケメンボイス×イギリス英語の、ジュード・ロウのナレーションも素晴らしい。あと久々にエンドクレジット(の影絵)で感動いたしました。本編に勝るとも劣らないクオリティです。
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COLUMN/コラム2012.01.01
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2012年1月】招きネコ
メリル・ストリープとロバート・レッドフォードがアフリカの大地を舞台に織りなす大人の恋愛ドラマ。女手ひとつで農場経営に励む気丈な男爵夫人と、自由を愛する冒険家というまさに2人ともハマリ役を演じます。この映画を一言でいうと「すべてが美しい」です。美男美女、素晴らしいサバンナの空撮、クラシカルなサファリ・ファッション、ジョン・バリーの音楽。そして、忘れられないのは女人禁制のクラブでメリル・ストリープが映画史上女性がもっともかっこよくウィスキーを飲むシーン。こうありたいもの・・・。 © 1985 Universal City Studios, Inc. All Rights Reserved.
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COLUMN/コラム2009.06.21
『クライシス・オブ・アメリカ』が描くアメリカの不安
体験や感情を言葉で説明することは難しい。映画を観て感動したとか、美味しかった料理の味とか、印象が鮮烈で強烈であればあるほど、その気持ちを人に伝えることは難しい。そのなかでも、いくら語ろうとしても語れない、伝えきれない最たるものが、不安や恐怖かもしれない。しかし『羊たちの沈黙』、『レイチェルの恋人』のジョナサン・デミが62年にも映画化されたリチャード・コンドンの原作小説『影なき狙撃者』を、現代風にアレンジして作り上げた『クライシス・オブ・アメリカ』は、アメリカが抱える漠とした不安を感じさせることに成功している。湾岸戦争下、ベン・マルコ(デンゼル・ワシントン)率いる小隊が、敵の奇襲攻撃に遭ってしまう。その危機を救ったのは他の隊員とは馴染めずにいた、いわば落ちこぼれの隊員レイモンド・ショー軍曹(リーヴ・シュレイバー)。そして終戦後、ショーはその行為がきっかけで隊員時代には誰も予想していなかった時代を象徴する英雄になり、大物上院議員である母エレノアの強力な後ろ盾のもと、政界へと進出。若くして副大統領候補にまで選出される。一方、マルコはある悩みを抱えながら、終戦後も軍務を続けていた。その悩みとは、部隊の危機を救った英雄のショーが、仲間の隊員を殺している夢を観ることだった。事実とはまるで反対の夢を繰り返し見るマルコ。しかし、それがただの夢とはどうしても信じ切れず、ついに独自の調査を開始する。そうして、マルコはやがて自分たちの記憶が、“何かあったとき”のための個人情報、として体内に埋め込まれたチップによって書き換えられていたことを知り、やがて背後にある大きな陰謀に気づく・・・というのが今作のあらすじ。劇中、悪夢にうなされるマルコを、軍の上司が湾岸戦争症候群ではないのかと指摘するシーンがある。湾岸戦争の体験がトラウマとなり、それが不眠や記憶障害など様々な病状を引き起こしているのではないかというのである。『クライシス・オブ・アメリカ』が公開されたのは2005年。湾岸戦争が始まったのは1991年。ちょっと話がそれるが、この湾岸戦争症候群をもう少し詳しく説明すると、帰還兵のうち、一説では10万人以上がこの症状を経験したとされている。しかし、医学的にこの症状は十分に解明されていない。戦争体験という強烈なストレスによるものという意見もあれば、化学兵器や生物兵器など多数の有毒物質にさらされていたからという意見もある。なかには、そんな症候群はそもそも存在しないのだという意見さえある。『クライシス・オブ・アメリカ』は、同じサスペンスでも、ジョナサン・デミの代表作『羊たちの沈黙』のように、研ぎ澄まされたナイフのようなキレはない。前述した湾岸戦争症候群、一人の個人によって、国の方向性が大きく変化しかねないアメリカ大統領制が抱える問題、テロリズムへの恐怖など少々描きたいテーマを盛り込みすぎて、焦点がはっきりしない印象も否めない。でもそんな目に見えない不安を描こうとしているところにこそ、湾岸戦争、アメリカ同時多発テロ、イラク戦争を経たアメリカが抱える不安と、自分たちが正義だと思ってきたことが、必ずしも世界ではそう思われていない。そのことに、否応なく気づかされたアメリカという国の苦悩が見て取れる。そんなわけで、この映画を観て、ますますオバマ政権後のアメリカが気になった僕でありました。■(奥田高大) TM & copyright © 2005 by PARAMOUNT PICTURES. All Rights Reserved