ザ・シネマ にしこ
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COLUMN/コラム2017.11.30
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2017年12月】にしこ
監督自身、アイルランドからアメリカへ移住し、自らの夢を叶えた人物。作中の様に、奇跡の様な飛び道具キャラクターの存在は実際あったかわかりませんが、当時の自分と家族のもがきを懐かしく、そして同じ様な経験をしたであろう、多くの他国からアメリカへやって来た人たちへの暖かく愛しい目線で描かれる名作です。2人の娘、クリスティとアリエルを連れてカナダ経由でアメリカにやってきたジョニーとサラ夫妻。入国規制が緩いカナダ経由でNYに入ろうとした冒頭から緊迫感が漂います。なぜ彼等はアイルランドからニューヨークへやってきたのか。言葉では言い表せない喪失をなんとか心機一転に変えるためにやってきたその理由は、作中で明かされます。小学校高学年の長女クリスティは長女らしいしっかり者。いつもハンディカムを回して家族を撮影しています。それは彼女が家族を俯瞰で観察し、必要とあればその均衡あやうい絆のバランスを保つため。物語は彼女の目線で語られていきます。一方幼い妹のアリエルは、その天真爛漫さで、新天地であるニューヨークの生活を子供ならではの柔軟性で楽しみ、家族を和ませます。そんな2人と対照的に、両親であるジョニーとサラは、まだぬぐいきれない喪失感と日々の生活の苦しさに余裕のない毎日。サラはジョニーに言います。「幸せなフリをして。子供たちのために。お願い」と。どんなに愛し合っていても、それだけでは超えられない悲しみがある。人には人それぞれの悲しみがあり、それを肩代わりすることはできないから。そんな生活の中、ヤク中患者の巣窟の様なニューヨークの治安の悪い地域のマンションに住む家族は、ハロウィンをきっかけに、謎の隣人マテオと出会う事になります。アリエルが「トリック・オア・トリートをやってみたい!」と言い出した事がきっかけ。これは、アイルランドからやってきた家族、というところに重要な意味が有ります!なんとアイルランドはハロウィン発祥の地でありながら「トリック・オア・トリート」がありません!これは、アメリカで生まれた独自の風習。アイルランド本国ではハロウィンは精霊や妖精が集うお祭りなので、日本でいうとねぶた祭りみたいに、でっかい山車が街を凱旋する。みたいなお祝いの仕方をします。(アイルランド在住1年。ザ・シネマ編成部にしこ体験談。)謎の隣人マテオははたして何者なのか?何者かどうかはさておき、彼との出会いで家族の運命が変わっていきます。学校の課題でハロウィンのコスチュームを作る事になった姉妹。姉のクリスティが「秋」の仮装をしたことを指摘された時に、「autumだね!」という母に「fall」よ!といいます。アイルランドでは秋の事を「オータム」と、アメリカでは「フォール」と言う。こういった文化の違いに子供たちが日々学び、格闘している姿をさらっと描くところも名匠の手腕。そして、クリスティ、アリエル姉妹を演じた実際の姉妹であるボルジャー姉妹。彼女達の純度の高いあの日々しか撮りえなかった瞬間を収めたというだけで、この作品には価値があると思います。クリスティが学校の学芸会で「デスペラード」を独唱するシーンの尊さ。アリエルの底抜けな純真さ。あえていいたい。この作品の主役は彼女達です。この作品の脚本は、監督のジムと娘の共同で書かれたもの。苦しく、懐かしく、そして輝かしかった日々であったことが、この作品を観ればわかります。必見です。■ © 2003 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.
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COLUMN/コラム2018.02.26
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2018年3月】にしこ
知ってるよ!という感じかと思いますが、ダブリンというのはアイルランド共和国の首都であり、一番の大都市であります。そりゃあ華やかで、賑わっているだろうと想像されると思いますが、東京のターミナル駅と比べるとずっこけるくらい小さいです。メインストリートであるオコンネルストリートは15分くらいあれば端から端まで余裕で歩けます。そんな街角で二人の男女が運命的な出会いを果たすわけですが、実際のオコンネルストリートを歩いた私は「ほぼ毎日ここでギター弾いて歌ってたら、誰でも顔を覚えるだろうな」という感想を持つのであります。ネガティブな意味ではなく、この映画の主役二人が出会うのはまさしく「街角」という言葉がふさわしい、そんな場所だというイメージをしていただきたいのです。「ケルトの虎」と言われた時代(1995年から2007年まで続いたアイルランドの経済成長を指す表現。Wikipediaより)。EU各国から好景気に沸くアイルランドに出稼ぎに来る人々でダブリンは多国籍な街に。主人公の女性も生活の為に、家族を母国のチェコに残して出稼ぎに来た女性。故郷ではピアニストだった彼女。オコンネルストリートでギターを弾く男性主人公に声をかけたのは、必然だったのかもしれません。男と女は音楽という共通言語であっという間に距離を縮めていきます。男は、最後のチャンスに賭けるつもりでロンドンのレーベルに持ち込むデモテープを一緒に作ってくれないか、と女に協力を求めます。日々の生活に追われていた女は、自分が愛するピアノに触れる事で、どんどん生き生きとした表情と取り戻します。当然のごとく惹かれあう二人。しかし女には祖国に夫がいます。お互いに惹かれる気持ちを昇華させる為に、二人は曲を作ります。音楽が引きあわせた2人。音楽で二人の気持ちを形にしようとするのは自然な事なのかもしれません。二人が最後に出した答え。その答えにこそ涙してください。こんなに泣けて、すがすがしい恋もあるのだと。映画史に残る素晴らしいエンディングをお見逃しなく。アメリカでたった2館からの公開だったのが、口コミの素晴らしさから140館にまで公開館数が伸びた事が話題になっていたその頃、私はアイルランドの田舎町の片隅の、バイト先の洋服屋さんで毎日ラジオから流れる主題歌の「Falling Slowly」を聞いていました。お客さんがいない店内で、何度も口ずさんだ曲。思い出すたび甘酸っぱいっす!!■ © 2007 Samson Films Ltd. and Summit Entertainment N.V.
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COLUMN/コラム2017.02.18
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2017年3月】にしこ
気弱な国王(ジャン=ユーグ・アングラード)に代わり、政治の実権を握る母后カトリーヌ・ド・メディシス(イタリア、メディチ家からやってきた)の絶対的権力の元、娘のマルゴは新興勢力である新教徒ユグノー派のアンリ公と政略結婚させられるが、マルゴは結婚など意に介さず、新婚初夜に男を求め街へ繰り出す。そこでユグノー派の貴族ラ・モール伯爵(ヴァンサン・ペレーズ)と運命的に出会い、二人は激しく愛し合う。しかし、カトリックであるマルゴの母カトリーヌによるユグノー派の大弾圧「サン・バルテルミの虐殺」がすぐそこまで迫ってきていた… マルゴの周辺の男はみんなマルゴに夢中。史実にも「男を破滅させるたぐいの美しさだ」と言われたという記述が残るほどの美貌で、奔放に生きている様に見えますが、その実、政略結婚相手のアンリ公に愛情は全く示さないながらも、彼の命の危機を自らの危険を顧みずに助けたり、母であるカトリーヌ后に完全にいい様に操られている長兄の事も、心配し愛している、非常に情と懐の深い女性である事がよくわかる映画です。懸命に運命に抗おうとしながらも、どこか自分の生まれに諦めも抱えているという複雑な内面を、イザベル・アジャーニが演じ、唯一無二のマルゴにしている事も胸を打ちます。当時、イザベル・アジャーニ40歳。美しさ、天井知らず。 この映画のクライマックスである「サン・バルテルミの虐殺」も壮絶極まりますが、母后であるカトリーヌ・ド・メディシスの恐ろしさもこの映画の見どころの一つ。「絶対負けられない戦いがある!」という気迫で、ユグノー派を虐殺しまくる姿は、人間のそれではない様に感じるのであります。見応え抜群! © 1994 - PATHE PRODUCTION - FRANCE 2 CINEMA - DA FILMS - RCS PRODUZIONE TV SPA - NEF FILMPRODUKTION
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COLUMN/コラム2016.12.20
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2017年1月】にしこ
17歳の娼婦シンディを警察が保護。彼女は監禁されていた。ある男に殺されかけたいう彼女の証言は、その男が地元の名士である事で、取り合ってもらえないまま。時を同じくして、アラスカの凍りついた川の周辺で10代後半から20代前半の少女の白骨死体が発見される。アラスカ州警察のハルコム(ニコラス・ケイジ)は、シンディが証言した男が怪しいと確信。彼を追いつめる為の、戦いが始まる… というのがあらすじでして、なんと事実も元にした映画。12年間に24人以上の女性が監禁・殺害されたおぞましい事件が元になっています。 ニコラス・刑事、否、ケイジ(すいません。言ってみたかったんです!)扮するアラスカ州警察のハルコム刑事は、職場では「あなた以上のキレ者はいないっす」、「お前が捜査にあたるんだったら大丈夫だろ」的な評価をバンバン受けているキレ者デカなのですが、家に帰ると奥さんから「あんた!いつ転職すんのよ!刑事みたいに安月給でハードワークな仕事続けてもなんにもなんないし、家庭をもっと省みてちょうだいな!キーっ!」的な事を毎日言われて、ちょっと顔色も悪いし、どことなく悲壮感・・・。身を削る思いで捜査にあたり帰宅しても、愛する一人娘に「パパー、ママ、怒って先に寝ちゃったよ~」とか言われて、事件の被害者がティーンエイジャーがほとんどということで、娘を抱きしめ「お前はゆっくり大きくなってちょうだいよ…涙」と抱きしめたりして。 そんなちょっとお疲れ気味のハルコム刑事は、唯一、男の魔の手から逃げ出した娼婦のシンディから当時の様子を聞いたり、彼女の生い立ちを聞いたりしているうちに、彼女の様な女の子をこれ以上増やすわけにはいかない!彼女のことも全力で俺が守るぜ!と静かな闘志を燃やしながら、だんだんと犯人を追いつめ始めます。 アラスカという土地の冬の不毛さ、静けさと歩調を合わせる様に派手な見せ場やドンデン返しが盛りだくさん!というタイプの映画ではありませんが、事実を元にしているということを大事にしている製作者の意図を感じるエンディングまで、見逃せない映画です。シンディ役を演じたヴァネッサ・ハジェンズのハスッパなビッチを気取っても、隠しきれない健気さも◎。そして割と早くから犯人として登場する男役の俳優もこの役にドハマり。奴の黒目を見逃すな! 良く出来映画!!お見逃しなく!! ©2012 GEORGIA FILM FUND FIVE, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
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COLUMN/コラム2016.07.09
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2016年8月】にしこ
サスペンスの王様、アルフレッド・ヒッチコックのごく初期の初期の作品。もちろん期待に応えます!スピーディーな展開で最後までハラハラさせるサスペンスです。 19世紀末のロンドン。火曜の夜にブロンド女性が殺されるという連続殺人事件が発生。ロンドンの街は恐怖のどん底に!下宿屋を営む夫婦にもキュートなブロンドの一人娘デイジーがおり、夫婦は気をもんでいたがデイジーに思いを寄せる男、刑事のジョーは彼女の両親に「自分がいるから大丈夫」アピール。ある日、マントに身を包んだ不気味な男が部屋を貸してほしいと夫婦が営む下宿を尋ねてくる。夫婦は怪しく思いながらも彼に部屋を貸すが、彼が火曜の夜に家を抜け出していくのを不審に思い始める。さらに一人娘のデイジーがその男と段々親密になってきて…!! ぎーやぁーーーーー!!! という感じでして、70分強の作品なのですがこれが最後まで犯人がわからずひやひやします。さらに言うとこの作品、サイレントなんです!!最低限のセリフと本当に最低限の状況描写だけがテロップでたまーに出てくるだけで、あとは全て画作りで観客に内容を理解させ、さらにハラハラまでさせるんですから、「ヒッチコック、鬼やべぇ」のひとことです。 下宿人がいかに怪しげな男かを演出する為に、いろんな飛び小道具でサスペンスフルに仕立てているのもお見逃しなく。監督自身が観客を怖がらせようと楽しんで作ったのが感じられる素敵な1本です。
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COLUMN/コラム2016.06.03
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2016年7月】にしこ
アート・ディレクターのディラン(ジャスティン・ティンバーレイク)は生粋のLAっ子。しかしあの「GQ」の編集長というポストでヘッドハンティングを受け、ニューヨークへ移り住む事に。彼をヘッドハンティングした腕利きハンターのジェイミー(ミラ・クニス)とニューヨークに不案内なディラン。二人は面倒を見る、見られているうちに意気投合。大親友に! 誰といるより気楽で楽しい!お互い彼女と彼氏と別れたばかり。で、溜まっている!! 「エクササイズ的な感じでセックスする?!」 どちらからともなく持ちかけた誘いで親友からセックスフレンドへ。最初はただセックスを楽しんでいた二人だが、次第になんとも割り切れない気持ちが湧いてきて… という割と最近あるある「恋愛感情より前にセックス」的ラブコメのセオリーはがっつりはずしてないのですが、軽妙で洒脱で気が利いているのです!!この作品!! 主演二人の実力やケミストリーももちろんあると思いますが、監督ウィル・グラッグの演出のなせる業かと。ウィル・グラッグはエマ・ストーン(本作にもちらっと出てます!彼女のキャラクター最高!)主演のスクール・カースト茶化し系コメディの傑作「小悪魔はなぜモテる?!」の監督。テンポがよくてシニカルだけど温かみのあるコメディ作りを本作でも感じます。オープニング・エンドクレジットも洒落てるんだから~♪ 最近、役者としての活躍が目覚ましいジャスティンも、本作では軽めに素敵な歌声を披露してますし、コメディエンヌとしての信頼度バツグンのミラ・クニスのきわどさとキュートさの抜群のバランスも最高!お見逃しなく!! Copyright © 2011 Screen Gems, Inc. All Rights Reserved.
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COLUMN/コラム2016.05.10
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2016年6月】にしこ
あの前代未聞のバチェラー・パーティ旅行を描いたコメディ「ハングオーバー!」シリーズの製作陣が今度は前代未聞のおうちパーティを描く、壮大なる若気の至りムービー。それが「プロジェクトX」です! 高校生のトーマスはスクール・カーストの中でも割とイケてないグループに属しているが、そのカーストを一気に上まで駆け上ろうと親友のコスタとJBはトーマスの両親が不在の週末にトーマスの誕生会を、トーマスの家で企画!最初は寒々しい参加人数だったにもかかわらず、お調子者のコスタがSNSを駆使し盛りに盛った宣伝を繰り広げて、あれよあれよと学校中の全カースト民が参加。なんだかよくわからない大学野球のスターなんかもやってきて、トーマスの家はとんでもない事に!酔っ払いのご乱行がここまでの大惨事をもたらすとは… というのがない様なある様なストーリーなのですが、「ハングオーバー!」シリーズしかり、徹底的に酔っぱらった人間のありえない行動を笑い飛ばす描写が秀逸です!アメリカの青春映画では不可避のスクール・カーストも「酔っぱらっちまえばみんな同じだ!」的な笑い飛ばしを感じられて好感!! 主演の、トーマス・マンは2015年のサンダンス映画祭で2冠に輝いた「Me and Earl and the Dying Girl」でもとても印象的な演技をしていた次世代スターのニオイがぷんぷんの青田買い必至の俳優!お見逃しなく!! TM & © Warner Bros. Entertainment Inc.
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COLUMN/コラム2015.10.17
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2015年11月】にしこ
南部の田舎町。産業もさびれていて街の男性はほとんど鉄道員という汗臭~い街で下宿屋の娘アルバは男たちのマドンナ的存在。しかし、鉄道員たちにちやほやされても、資産家の熟年男性から高価なプレゼントをされてもどこか冷めているアルバ。そんな時、ニューオリンズからオーウェンという都会的な男がやってくる。彼は鉄道会社がやとったリストラ査定人で、町の男たちと違い、アルバに対してそっけない。ちやほやされる事に慣れているアルバは彼の態度に怒り心頭ながらもやはり心惹かれていき… という始まりなのですが、この物語、2人の恋を阻む障害がありまして。メロドラマですから。 ①良い生活をしたいがために、アルバを金持ちと結婚させたがっているアルバ母。②こんな町で終わってたまるか!という上昇志向を持ちならがらも、町を出たことがない為になかなか行動できないアルバのふわふわ感。③どんな状況だってちやほやされたい!というアルバの悲しい女の性。 こう並べると「アルバ、だめな子!」という感じですが、演じるナタリー・ウッドのコケティッシュさが炸裂!!男性だったら「自分のものにしたい!」という征服欲を感じるタイプです。どハマり役です。 対するアルバが恋するオーウェンを演じる、ロバート・レッドフォード。『明日に向って撃て!』の数年前に出演した本作が初の主演級の役との事ですが、超魅力的なナタリー・ウッドが想いを寄せる相手として完璧な王子様っぷり。 美男美女のが悲恋を演じるなんてこんなに観ていて楽しいものはありません。おまけ的になってしまいますが、ナタリー・ウッドの衣装がとってもオシャレで、さびれた町とアルバというキャラクターとのちぐはぐ感を印象づけています。 タイトルは『雨のニューオリンズ』ですが、ほとんどニューオリンズは出てきません。あしからず。 COPYRIGHT © 2015 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.
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COLUMN/コラム2015.09.08
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2015年10月】にしこ
性欲のカタマリである男子高校生たちが爆発しそうなリビドーを発散させる為に出会い系サイトでお相手してくれそうな女性を発見!ふるまわれたビールを飲んで、いざ事に及ぼうとしたところ気を失う。目覚めた時には縛られ監禁されていた3人。そう。彼女は地元で有名なキリスト教原理主義者の娘で、欲に溺れて淫行に走ろうとした3人を極刑に処そうとしていたのであーる… 恐ろしい集団に監禁された若者の恐怖を描くスリラーか?と思いきや、この恐怖集団と保安官+アルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局=ATFとの銃撃戦がとってもバイオレンスな異色作。 ラスト、ある仕掛けによって恐怖集団と政府側の銃撃戦が幕を下ろすのですがその仕掛けが見事!監督のケビン・スミスは『チェイシング・エイミー』でレズビアンに恋するベン・アフレックの悲哀を切なさとユーモアたっぷりに描いたり、『ドグマ』では親友ベン・アフレック、マット・デイモンなどスターキャストを主演に、本作『レッド・ステイト』とは180度違ったコメディタッチの視点でキリスト教を描いたり、さらに俳優業もこなすマルチな人物。 監督の大いなる皮肉が込められている最後の「仕掛け」、必見です!! ©2011 Cooper’s Dell, LLC. All rights reserved.
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COLUMN/コラム2015.08.15
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2015年9月】にしこ
バンドマンのジェリー(ジャック・レモン)とジョー(トニー・カーティス)はひょんな事からギャングの抗争に巻き込まれ殺人現場を目撃!ギャングの目くらましの為に欠員募集中の女性ばかりの旅の楽団に女装してもぐり込む。楽団で知り合った女性シュガー(マリリン・モンロー)にぞっこんLOVEになってしまう2人だが、女装している為気持ちを打ち明けるわけにもいかず…。 というシンプルなストーリーですが、見どころ満載!まず、ジェリー役のジャック・レモンは劇中のほとんどを女装で演じていますが、これがなんともいえない!どうみても結構ガタイの良い男が女装しているだけなのですが、ジャック・レモンの名人芸故に、ダフネというベーシストがコケティッシュな魅力に溢れたキュートな女性に見えてきます。それを証拠に彼女(彼?)は年老いた大富豪に求婚されるに至るのですから! トニー・カーティス扮するジョーは、シュガーの恋心を得る為に、大富豪の子息と女装のジョゼフィーンを演じ分けるわけですが、このドタバタが、わかっているけれど面白い!うっかりイヤリングつけたまま、大富豪の子息ルックで愛を囁いたりしてしまいます。 ビリー・ワイルダー作品は皆そうですが、小粋でおしゃれ!禁酒法時代のファッションやインテリアも、観る目に楽しくあります。女性だらけの楽団なので、当時の女性のブラジャーやネグリジェなども出てきてキュート! 物語最後のラインは、名セリフとして有名ですが、なるほど「ぎゃふん!」とうなる見事なひとこと!お見逃しなく! そして何より、シュガーというヒロインを演じるマリリン・モンロー。この映画を観た方ならば誰でも例外なく彼女の魅力の虜になる事でしょう。だって本当にチャーミングなんです!グラマーで美人なだけではなく、お酒好きで少女の様に純粋で、かなり抜けててエロかわいいんだから! SOME LIKE IT HOT © 1959 METRO-GOLDWYN-MAYER STUDIOS INC.. All Rights Reserved