COLUMN & NEWS
コラム・ニュース一覧
-
COLUMN/コラム2012.08.01
2012年8月のシネマ・ソムリエ
■8月4日『赤ちゃん泥棒』 ケチな強盗犯ハイが刑務所で見初めた婦人警官エドと電撃結婚。すかさず2人は子作りに励むが、エドが不妊症と判明し、5ッ子の赤ちゃんのひとりを誘拐してしまう!コーエン兄弟が初めて大手スタジオの資金で撮ったコメディ。変人揃いのキャラクター、奇抜なユーモア、スピーディなチェイス・アクションが入り乱れる痛快作だ。“愛すべきロクデナシ”に扮した若きニコラス・ケイジがはまり役! 慌ただしいドタバタ劇を、心温まるおとぎ話のように着地させ.るコーエン兄弟のお手並みも見事。 ■8月11日『ボビー』 1968年6月5日、混迷するアメリカの希望の星だったロバート・F・ケネディ上院議員が暗殺された。その悲劇の現場、LAアンバサダー・ホテルの一日の出来事を綴る。監督・脚本・出演を兼ね、念願の企画を実現させたのは俳優エミリオ・エステヴェス。彼のもとに集った豪華キャストが“グランドホテル形式”の人生模様を盛り立てる。兄JFKに続いて凶弾に倒れた、悲運の政治家ボビーのニュース映像を挿入。クライマックスの暗殺シーンでは、差別や貧困の撲滅を訴えた彼の演説が深い感動を呼ぶ。 ■8月18日『エンド・オブ・バイオレンス』 バイオレンス映画の製作者マイクが、チンピラに殺されかける怪事件が発生。その背後には、FBIが暴力を撲滅するために極秘開発中の監視システムが存在していた。 ヴィム・ヴェンダース監督が大都会LAを舞台に撮り上げた異色スリラー。監視衛星を利用した架空のテクノロジーをモチーフに、人間と暴力の関係を考察していく。 ノワールな雰囲気とユーモアが入り混じる映像世界は、そこはかとなく奇妙な味わい。鬼才サミュエル・フラーの出演シーンやライ・クーダーが手がけた音楽にも注目を。 ■8月25日『ガールフレンド・エクスペリエンス』 毎回、意外な企画で映画ファンを驚かせるS・ソダーバーグ監督、面目躍如の一作。何と主演を務めるのは、アダルトビデオ界の現役トップ女優サーシャ・グレイである。 主人公チェルシーはNYの富裕層を顧客とする高級エスコートガール。セックスのみならず、ディナーへの同伴などのサービスを提供する彼女の公私に渡る日常を描く。自分磨きを怠らない主人公のプロフェッショナルな姿勢や内なる不安、裕福な男たちの虚しい生態を描出。ドキュメンタリー調の映像が覗き見的な好奇心をかき立てる。 『赤ちゃん泥棒』 © 1987 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved. 『ボビー』©2006 BOBBY,LLC ALL RIGHTS RESERVED. 『エンド・オブ・バイオレンス』©MK2. 『ガールフレンド・エクスペリエンス』©2009 2929 Productions LLC,All rights reserved.
-
COLUMN/コラム2012.07.25
【タランティーノ的L.A.案内】第2回:トイレとグーギーと二番館
さて、クイズです。 こちらの交差点、どのタランティーノ(QT) 映画で登場したかお分かりですか?これで分かった貴方はかなりのQTマニア! 思い浮かべてください、らしくないピンクの箱を持ったマーセルスを。 もうお分かりですね。「パルプ・フィクション」で、無事に自宅から父の形見の時計を回収したブッチ(ブルース・ウィリス)が、運悪くマーセルス(ヴィング・レイムス)に遭遇してしまう交差点です。 ■パサデナ 交差点のすったもんだから、遡ること十数時間。ブッチは、ボクシングの八百長試合で約束を破ったことからマーセルスに追われる身となります。その試合の会場となったのが、こちらのレイモンド・シアター。現在は、オリジナルの外観や一部の内装を維持する形で、マンションへと生まれ変わっています。レイモンド・シアターがあるパサデナは、こうした重厚な建物が似合うLA郊外の街。閑静な高級住宅地として知られ、古い街並や文化的なスポットの多い所としても有名です。 ■ダウンタウンLA さて、そんなパサデナとはガラリと雰囲気の違うダウンタウンLAへ。「ジャッキー・ブラウン」で、サミュエル・L・ジャクソンとロバート・デ・ニーロが待ち合わせに利用したのが、こちらのストリップバー。 到着してみたものの、何やら不穏な空気を感じ、車内からの撮影のみで退散。それもそのはず、気づけばここは、ダウンタウンのスキッド・ロウと呼ばれる地区から僅か1ブロックほど。リトル・トーキョーにも隣接するスキッド・ロウは、治安の悪いダウンタウンLAの中でも、極めて犯罪率の高いスラム街。ドラッグ売買にギャング、売春、まさに映画さながらの光景が現実に起こりうる一画なのです。 そんな危険度MAXなスキッド・ロウのど真ん中を通り抜け、辿り着いたのがダウンタウンのすぐ西にある、パークプラザホテル。1925年に建てられた由緒あるビルは現在、結婚式などのイベント会場や、撮影のロケーションとして利用されています。担当の方の話では、最近は「トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン」、「ドライブ」、近日公開予定の「Gangster Squad(原題)」などで使用、ほぼ毎週のように映画やテレビ、CM、ミュージックビデオなどの撮影が入っているそうです。今では衰退してしまったこの一帯に、似つかわしくないほどの荘厳さを湛える建物。目指すは・・・・ そう、男子トイレです!「レザボア・ドッグス」で、Mr.オレンジが警官と遭遇したという芝居の再現シーンで使われたトイレは、外装に負けないほどの風格を映画当時そのままに留めていました。 ■今日のランチ ダウンタウンから一旦ザ・シネマオフィス近辺まで戻り、本日のランチ。今回は、QTが時々執筆のため訪れるというサンセット通り沿いのタイレストランへ。日が落ちると色とりどりのネオンが輝くToi on Sunsetの店内は、西洋・東洋ごった煮のヒッピー風味で、昼間でもインパクト十分。「パルプ・フィクション」特等席でユマ・サーマンに見つめられながら食事をしつつ、セス・ローゲン似の店員とお話。QTは時々来店するそうで、店内には「レザボア・ドッグス」と「パルプ・フィクション」の直筆サイン入りポスターも。場所柄、QT以外にも沢山の映画関係者や音楽関係者が来店するらしく、最近では、アメリカで封切りされたばかりの「Savages(原題)」を監督したオリバー・ストーンや、新ジェイソン・ボーンのジェレミー・レナーが訪れたそう。 そんな話で盛り上がる中、丁度テイクアウトで来店した女性をセスが紹介してくれました。なんと彼女は、QT製作総指揮の「ヘルライド」に端役で出演し、三部作が予定される同作第2弾にも出演するとのこと!何と嬉しいハプニング。今は同じ通りのアパレルショップのマネージャーも兼業するという彼女。そんな役者の卵にいろんな場所で出会えるのもロサンゼルスならではなのです。 ■グーギー建築とQT 1950年代〜1960年代、ここロスを中心にグーギー建築というスタイルが流行しました。その名も、サンセット通りにかつてあったGoogiesというカフェから来ています。車社会ならではともいえるグーギー建築は、大きな屋根や窓、派手なネオンなど、道路からも目に付きやすい形が特徴。ロスを訪れた人なら大抵目にする、ロス空港真ん中のUFOのような建物もグーギー建築です。 そんな古き良き時代のロスを象徴するグーギーをQTが放っておくはずがありません。当時すでに衰退していたグーギー建築を見事に再現したのが、「パルプ・フィクション」でした。同作のプロダクションデザイナーのDavid Wascoと、セットデコレーターのSandy Reynolds-Wascoによれば、ユマ・サーマンとジョン・トラボルタがダンスを披露したダイナー、ジャック・ラビット・スリムは、Googiesを設計したジョン・ロートナーらのデザインをモデルにしたそう。また、現代のビバリーヒルズで不思議な存在感を放つこのガソリンスタンドも、ジャック・ラビット・スリムに影響を与えた一つです。 そして、もう一つロスのグーギー建築と言えば、こちらのジョニーズ・コーヒー・ショップ。「ブギー・ナイツ」や「アメリカン・ヒストリーX」など沢山の映画のロケ地として知られます。もちろんQTの映画にも登場。「レザボア・ドッグス」で、Mr.オレンジが同僚の刑事と待ち合わせをするレストランが、このコーヒーショップでした。お店は残念ながら2000年に閉店し、今は荒れ果てた様子なのが寂しいところです。 ■QTが捧げる映画愛 ジョニーズから少し東に行ったところに、QTに縁の深い二番館、ニュー・ビバリー・シネマがあります。まるで映画の中から出て来たような佇まいの同館は、「イングロリアス・バスターズ」で映写技師を演じるメラニー・ロランが、役作りのために映写の練習を行い、最終試験として「レザボア・ドッグス」を映写したという逸話も残る、QTファンにはたまらない映画館。 実はこの映画館、リバイバル作品の二本立てスタイルを長年守り続けていましたが、時代の波には逆らえず、一時は廃業の危機に。そこに馳せ参じたのが、二番館やサブカル映画で育ち、今は超リッチになった我らがQT。「レザボア・ドッグス」の深夜上映にキャストを連れて参加して以来、同館のオーナーと親交があったQTは、2007年、 ここを土地ごと買い取ったのです。QTが破産しない限りは安泰となった同館は、これまで通りの2本立てや深夜上映を行い、時にはQT所有のフィルムプリントを上映するなど、映画好きのための場所であり続けています。映画館を買い取り、自分の35ミリプリントを上映する──まさに映画オタクにとって究極の夢を、QTはここで実現したのではないでしょうか。 さて次回は、さらに南に下り、いよいよQTの原点となった場所を巡ります。▼参考資料ニュー・ビバリー・シネマ:Vanity Fairブロググーギー建築:「パルプ・フィクション」DVD特典映像(David Wasco、Sandy Reynolds-Wascoインタビュー)
-
COLUMN/コラム2012.07.20
【タランティーノ的L.A.案内】第1回:始まりはレザボア・ドッグス
ザ・シネマの米国オフィスがある、ここロサンゼルスは、言わずと知れた映画のまち。通りを行けば撮影に出くわし、カフェに入れば隣の席で映画関係者がミーティング中、といったことも珍しくありません。中でも、ロサンゼルスなくして語れないのが、映画オタク兼映画監督のクエンティン・タランティーノ(QT)。生まれこそテキサスですが、自他とも認めるロスっ子のQTは、 この町でオタク道まっしぐらの青少年時代を過ごしました。そんな彼の映画では、ロサンゼルスも大事な登場人物の一人。ビジュアルだけでなく、会話のそこかしこにローカルネタが散りばめられています。「レザボア・ドッグス」では、ラデラハイツの話でドッグス達が盛り上がったり、「ジャッキー・ブラウン」では、サミュエル・L・ジャクソンが、一般的に治安が悪いとされるコンプトンのジョークを飛ばしたりと、 ロスに住んでいなければ分からない話題だと自覚しながらも、敢えて入れたかったと語るQTに、この町へのこだわりと思い入れを感じます。本特集では、そんなロサンゼルスの至る所に残されたQTの足跡を辿ってみたいと思います。第1回目は、QTの名前を一躍世に知らしめることとなった「レザボア・ドッグス」のロケ地を中心に、ダウンタウンLAよりも北にある地域を巡ります。 ■ ザ・シネマのオフィスから車で30分ほどの所に、 「レザボア・ドッグス」で、チンピラ達の即席チームが押し入った宝石店があります。この店の扉を開いた瞬間から、彼らの喜劇、いえ悲劇は始まるのです。実際に店を襲うところは映されませんが、回想シーンでハーヴェイ・カイテルとティム・ロスが下見しているのが、Karina’s Wholesale Diamondです。実際はカツラ関連の会社と思われるこの建物は、ほとんどのロケ地が20年の間に変貌する中、当時と全く変わっていないように見えます。 次のロケ地に向かう前に立ち寄ったのは、Karina’s Wholesale Diamondから車で10分ほど、ワーナー・ブラザーズ・スタジオやウォルト・ディズニー・スタジオからは目と鼻の先にある、こちらの通り。「レザボア・ドッグス」誕生の10年程前にQTが通っていたアクティング・スクールがあった場所です。近所の店の人の話では、特に90年代は制作会社やスタジオ関係のオフィスが軒を連ねていたとのこと。元々俳優志望だったQTが、コミュニティシアターでしばらく演技を続けた後、本格的に演技の勉強を始めたのが、ジェームズ・ベスト・シアター・カンパニーでした。70・80年代の人気TVドラマ「爆発!デューク」などに出演していたジェームズ・ベストの大ファンだったQTは、ここで演技を学ぶうちに、カメラワークなど映画制作の基本を身につけていったのです。 ジェームズ・ベスト・シアター・カンパニーを後にして向かうのは、「レザボア・ドッグス」のロケ地が集まるイーグル・ロックです。ここは、ダウンタウンLAの北東に位置し、人口の4割近くが外国生まれ、メキシコ系や、特にフィリピン系を始めとするアジア系が多い、移民の町です。 ■ さて、何はともあれ、まずは腹ごしらえということで、Pat & Lorraine’s Coffee Shopへ。登場人物が繰り広げる取り留めのない会話は、QTの十八番とも言えるスタイルですが、「レザボア・ドッグス」の冒頭でも、マドンナの「ライク・ア・ヴァージン」について話に花が咲きます。その舞台となったのが、丁度この席なのです。 内装は映画と殆ど変わらず、夫婦が営む昔ながらの食堂といった趣。その日は丁度、5、6人のロケハンチームが脚本片手に来店していましたが、レトロで少しひなびた雰囲気がいい味を出しているのでしょう。 アメリカでは、朝食やお昼に具沢山のオムレツを食べるのは一般的ですが、レストランお勧めのJohnny Omeletteを頼むと、予想通りボリューム満点。野菜たっぷりオムレツにチーズをのせ、メキシコ風にアボカドとビーンズ、またはポテトがついてきます。さらに自家製のビスケットまでセット。あまりの量に、残りをドギーバッグ*に入れ、店頭のレジへ。映画では、ローレンス・ティアニー演じるジョーが席を立って支払いを済ませるシーンがありますが、実際のレストランでも、アメリカには珍しく、テーブルではなくレジでの支払いなのです。(*ドギーバッグ:レストランの食べ残しを持ち帰るための容器で、飼い犬用という口実から着いた名前。持ち帰りが前提かと思われるほどの量が出されるアメリカのレストランでは、必ず置いてあります。) お店の人の話では、映画の公開から20以上年経った今でも、ロケ地となったレストランを一目見ようと訪れる人は多く、中には海外、特に最近はイギリスからの観光客が多いそうです。QT、そして「レザボア・ドッグス」のカルト的人気の高さが伺えますね。ちなみに、ドッグス達が颯爽と歩く有名なタイトルシーンに登場するレンガ塀も、レストランの目と鼻の先ですが、今は別の壁に塗り替えられ、残念ながら当時の面影はありません。 空腹が満たされた後は、「レザボア・ドッグス」のメイン舞台となった場所へ。物語の大半を占める倉庫は既にコピー・サービス店に姿を変えていますが、トランクから拷問用のガソリンを取り出すMr. ブロンド(マイケル・マドセン)の背後に見える景色は余り変わっていないように感じます。 こちらは、Mr. ピンク(スティーブ・ブシェーミ)が逃走中に車に引かれる交差点。ちなみに、追いかける警察官の一人は、中々イケメンのプロデューサー、ローレンス・ベンダーです。バックグラウンドにあったガソリンスタンドは更地になり、残された価格表示の看板だけが当時を偲ばせます。 また、QT演じるMr. ブラウンが車をぶつけてしまう路地裏や、その後Mr. オレンジが銃で撃たれる線路沿いもこの辺り。路地裏は余り変わっていませんが、線路は舗装されすっかり綺麗になっていました。ちなみに、この路地の一本隣の通りでは、何らかの撮影の真っ最中でした。映画撮影に遭遇したければ、スタジオにも遠くないこの辺りをぶらつくのも手かもしれません。さて、「レザボア・ドッグス」を中心に駆け足で回った第1回「始まりはレザボア・ドッグス」。QTファンの貴方も、イーグル・ロック・ツアー(ランチ付きコース)なんていかがですか? ▼参考資料NPRインタビュー:Quentin Tarantino: 'Inglourious' Child Of CinemaBernard, Jami. Quentin Tarantino: The Man and His Movies. HarperPerennial, 1995Peary, Gerald, Ed. Quentin Tarantino Interviews. University Press of Mississippi, 1998
-
COLUMN/コラム2012.07.19
「ハリウッド2大スター主演×ハリウッド2大作」連動企画/ザ・シネマL.A.スタッフ発!現地レポート
さらに、「タランティーノ祭/鬼才とスターのコラボ・ワールド」、「血の抗争/ギャング映画特集」と題した大特集を展開!見どころ満載、ザ・シネマ夏の2大コンテンツをお見逃しなく!!さて、今回ブログでは、 ザ・シネマL.A.スタッフ発!「タランティーノ的L.A.案内」、「ジョニデを探してon サンセット大通り」と題した現地レポートを、計4回にわたって連載!お楽しみに!■
-
NEWS/ニュース2012.07.11
アクションスター列伝【アジア人対決】結果発表!
今回の対決は、【アジア人対決】! 『ザ・ワン』ジェット・リー無敵の存在になるため戦う男に扮するジェット・リー。パラレル・ワールドの自分自身と対決し最強を目指す。 VS 『アクシデンタル・スパイ』ジャッキー・チェン天性の予知能力を持つ健康器具セールスマンに扮するジャッキー・チェン。 アジア最強のスターはどっちだ!?いざ、対決! 世界が認めたアジアのアクション・スターとして肩を並べている、ジェット・リーとジャッキー・チェン。卓越した身体能力を活かし、これまで多くのアクション映画を送り出してきた彼らは、中国圏だけでなくハリウッドでも精力的に出演をこなしている。『ドラゴン・キングダム』で、念願のガチ・カンフー対決を果たしたのはご存じのとおりだが、ここでは両者それぞれのピンの主演作をぶつけてみよう! ジェット・リーはハリウッドで主演を務め、ひとりで複数の役をこなした『ザ・ワン』。125のパラレル・ワールドが存在するというSF設定の下、平行世界の自分を殺してはそのスキルを吸収して最強の存在になろうとする悪党。すでに123人を倒した、この犯罪者の陰謀を阻止すべく、残るひとりとなった最後の世界の保安官が立ち上がる。ジェットはこの主人公と、どんどん手ごわくなる悪役を演じ分けているのだが、クライマックスはもちろん自分対自分! 卓越した武術の素養を映画に活かしてきたジェットのアクションに、ハリウッドの共演者からは“速過ぎて、ついていけない”との声も上がった。しかし共演相手が同等に動ける“自分”なのだから、格闘の見せ場としてはハッキリ言って無敵。視覚効果やスタントなどのトリックを駆使して生み出されたジェットVSジェットの、スピード感たっぷりの死闘から目が離せない。 ■ 一方のジャッキーは、おひざ元の香港で主演した『アクシデンタル・スパイ』を放つ。天性の直観と子どもの頃から習っていたカンフーだけが取り柄の、孤児出身のサエないセールスマンが自身の出生の秘密を探るうちに、細菌兵器をめぐる謎の組織との戦いに巻き込まれる。そんな主人公の受難を、ジャッキーはいつもながらの体当たりのスタントで演じてみせる。離陸寸前の飛行機にバイクで突っ込み、手近なモノを引っつかんで格闘し、疾走するタンクローリーにしがみついて陸橋からダイブ! ハリウッドでは制約が多くて自分でスタントができないと常々こぼしていたジャッキーだが、そういう意味では水を得た魚というべき奮闘。全裸でイスタンブールの街を駆け回るハメに…という、ジャッキーらしいコミカルな見せ場も嬉しい。 どちらも2001年の作品で、当時のジェットは38歳、ジャッキーは47歳。この歳で過酷なスタントに挑んだジャッキーは確かに立派だし、その意欲的な姿勢は賞賛せざるをえない。しかし、『プロジェクトA』や『ポリス・ストーリー/香港国際警察』といった快作を送り続けた全盛期と比べると見劣るのも事実。その点、ジェットは脂の乗った年齢での出演作で、ハードな格闘を見せたばかりか、この一本で、設定上125人の“自分”を見せるという離れ業をやってのけた。ここは、まさしく“ザ・ワン(=唯一無二)であるジェットの勝ちとしておこう。 以上のように、【アジア人対決】を制したのは、「ザ・ワン」のジェット・リー! 来週7/16(祝・月)は24時間アクションスター列伝!これまでの【救出対決】【対テロリスト対決】【復讐対決】【逃避行対決】【ヴァンパイア対決】【アジア人対決】全6対決を振り返ります。アクションスターたちの熱きシチュエーションバトルを、もう一度ご堪能ください!■ Copyright © 2001 Revolution Studios Distribution Company, LLC. All Rights Reserved.©2001 GH PICTURES(CHINA) LIMITED ALL RIGHTS RESERVED.
-
NEWS/ニュース2012.07.10
アクションスター列伝【ヴァンパイア対決】結果発表!
『ブレイド2』&『ブレイド3』(ウェズリー・スナイプス)人間とヴァンパイアの混血 ブレイドに扮するウェズリー・スナイプス。人間に害するヴァンパイアを抹殺するため戦い続けるヴァンパイアハンター。 VS 『ニア・ダーク/月夜の出来事』(ジェニー・ライト)吸血鬼の少女メイに扮するジェニー・ライト。セクシーな振る舞いで今夜も生き血を求め、男を誘う。 最強のヴァンパイアはどっちだ!?いざ、対決! 『トワイライト』シリーズや『アンダーワールド』シリーズの最新作、リメイク版『フライトナイト』にジョニー・デップ主演の『ダークシャドウ』、岩井俊二監督の新作『ヴァンパイア』など、今年は吸血鬼映画が花盛り。ここでも、やはり吸血鬼を戦わせないといけない! というワケで、吸血鬼なのにヴァンパイアを憎む異能のヒーローの活躍を描いた『ブレイド』シリーズPart2&3のウェズリー・スナイプスと、美少女ヴァンパイアと青年の危険な恋を描く『ニア・ダーク/月夜の出来事』のヒロイン、ジェニー・ライトの対決である。 マーベル・コミック原作の『ブレイド』シリーズでスナイプスがふんする主人公ブレイドは、ヴァンパイアと人間の混血で、吸血鬼を撲滅することに命を懸けている戦士。2作目では同族の血をも求める凶悪な新種スーパー・ヴァンパイア、3作目ではヴァンパイア族の無敵の始祖を相手に、それぞれ壮絶な死闘を繰り広げる。その戦いぶりは、もう豪快そのもので、刀を振るい、ブーメラン型のナイフを放っては、ヴァンパイアをシュワッと粒子化して消滅させる気持ち良さ。カラテの有段者であるスナイプスらしく、肉弾戦の見せ場もふんだんで、頭部よりも上に決まるスピード感たっぷりのハイキックだけでなく、滞空式ブレーンバスターまで見せつけるのだから、これはもう超・総合格闘技と呼びたい。トレードマークのサングラスもクールで、オレ様指数の高い活躍にエキサイトさせられる。■一方の『ニア・ダーク/月夜の出来事』は『ハート・ロッカー』でアカデミー賞を射止めた女流監督キャスリーン・ビグローのデビュー作として知られている。 ビグロー監督といえば同作はもちろん、『ハート・ブルー』や『K-19』などの女性らしからぬ超・硬派な作品で知られているが、描かれる女性キャラも精神的にタフだ。本作でジェニー・ライトが演じるヒロイン、メイは一見、ショートカットのキュートなヴァンパイア。荒くれ者ぞろいの吸血鬼集団の中ではか弱くも見えるが、愛する男を守るためには仲間を敵に回す覚悟がある。それだけでなく、彼のためなら命を懸けて、日光の下にも飛び出す一途さ。こんなにも想われる男は幸せ者だ。さて勝敗だが、ガチでぶつかったら、そりゃあもうスナイプスの圧勝だろう。しかし牙を剥いてくる敵には容赦しない男の中の男ブレイドにも人間味があって、ワケありの可憐な女子を、たとえ彼女がヴァンバイアであってもボッコボコにするはずがない。それはどう考えても、“俺様”の美学に反するじゃないか。とういうわけで、ジェニー嬢がスナイプスに勝ちを譲られる、という結末で締めたい。 以上のように、【ヴァンパイア対決】を制したのは、「ニア・ダーク/月夜の出来事」のジェニー・ライト! 明日7/11(水)のアクションスター列伝は【アジア人対決】!こちらもお見逃しなく!■ ©2002 NEW LINE PRODUCTIONS,INC. ALL RIGHTS RESERVED.「ブレイド3」 ©MMIV NEW LINE PRODUCTIONS,INC. (c)MMV NEW LINE HOME ENTERTAINMENT,INC.ALL RIGHTS RESERVED.
-
NEWS/ニュース2012.07.09
アクションスター列伝【逃避行対決】結果発表!
『チェーン・リアクション(1996)』(キアヌ・リーヴス)正体不明の凄腕暗殺者ジャッカルに扮するブルース・ウィリス。追われながらもターゲットを追い詰める。 VS 『ジャッカル』(ブルース・ウィリス)正体不明の凄腕暗殺者ジャッカルに扮するブルース・ウィリス。追われながらもターゲットを追い詰める。 追われながらも果敢にミッションを遂行するのはどっちだ!?いざ、対決! キアヌ・リーブスとブルース・ウィリス。かたやアクロバティックにのけぞるマトリックス戦士、かたや不死身のダイハード刑事として、日本でもファンの多いスター同士である。そんな彼らが、ここでは“追われる男”として激突。『チェーン・リアクション』のキアヌも、『ジャッカル』のブルースも、彼らのイメージとはやや異なるキャラクターにふんしているが、軍配はどちらに? 石油に変わるエネルギーを水から生み出すという、画期的なクリーン・エネルギー装置を開発したものの、何者かに命を狙われたあげく、いわれのない殺人容疑をかけられた若き研究者。『チェーン・リアクション』でキアヌがふんするのは、そんなキャラクターだ。頭脳派という点だけで彼には珍しい役(?)だが体型もいつもよりズングリしていて、いかにも科学オタク風。運動能力に乏しそうな人物だけに、迫りくる危険から逃げるストーリーには大いにハラハラさせられる。研究所の大爆破によって迫る爆風からバイクで必死に逃亡し、市街地を走っては逃げ、氷上を滑っては逃げる。もちろん、その過程で陰謀の画策者を探り出すという、これまた難儀なミッションに奔走するワケで、スリリングなことこのうえない。■ 一方、1970年代の社会派サスペンス・アクションの傑作『ジャッカルの日』を大胆に改編した『ジャッカル』でブルース演じるのは、米国要人を暗殺する任務を負った正体不明の殺し屋、通称ジャッカル。追いかける側はリチャード・ギアが演じる、FBIに協力を要請された元IRAテロリストで、彼にとってジャッカルは因縁の宿敵でもある。どちらも諜報活動のプロだから、追いつ追われつの攻防は、やはり緊張感たっぷりだ。ジャッカルは身を隠し、逃げ回りながらもテロ暗殺計画を進めるわけで、彼がどのようにして標的に近づき、その標的が誰なのかというミステリーもドキドキ感をあおる。さてジャッジだが、ブルース演じるジャッカルは名前も国籍さえもわからない、ミステアリスな存在で、それは簡単には敵につかまらないことの表われでもある。変装術も巧みで、ロン毛や金髪、ヒゲ面はもちろんメタボ体型にもなるのだから凄いと言えば凄いのだが、スター・オーラの強い役者が演じているため、一歩引いてみると“どう見てもブルース・ウィリスだよ!”というツッコミも入れたくなる。その点、キアヌは役の上のフツーっぽさもあって、ぜい肉多めの姿で奮闘する姿は、見ていて感情移入しやすい。“追われる者の奮闘”という基準から見て、必死さが伝わってくる後者を勝者としたい。 以上のように、【逃避行対決】を制したのは、「チェーン・リアクション(1996)」のキアヌ・リーヴス! 明日7/10(火)のアクションスター列伝は【ヴァンパイア対決】!こちらもお見逃しなく!■ © 1996 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.© TOHO-TOWA
-
NEWS/ニュース2012.07.04
アクションスター列伝【復讐対決】結果発表!
『イントゥ・ザ・サン』(スティーヴン・セガール)相棒を殺されたCIAエージェントに扮する、スティーヴン・セガール。東京を舞台に、復讐に燃える男が、日本刀片手に暴れまくる! VS 『ワイルド・スピード MAX』(ヴィン・ディーゼル)トラック強盗団のリーダー、ドミニクに扮する、ヴィン・ディーゼル。恋人を殺した麻薬組織に復讐を誓う! 復讐に燃える男はどっちだ!?いざ、対決! 愛する者が凶悪な何者かに殺害されたなら、アナタならどうするだろう?スクリーンのアクション・ヒーローたちは言うまでもなく、泣き寝入りなどするはずがない。湧き上がる怒りに逆らうことなく、憎き仇を遠慮なくブッ飛ばす!というワケで、仏頂面と武術アクションがトレードマークのスティーヴン・セガールと、スキンヘッドにマッチョな肉体で圧倒するヴィン・ディーゼルの、両タフガイによる復讐対決の始まりだ。 『イントゥ・ザ・サン』でセガールはCIAエージェントにふんしており、本人が第二の故郷と自称している日本がバトルフィールドとなる。都知事暗殺をテロリストの仕業と疑った主人公が東京に乗り込み、極悪ヤクザと全面対決。その過程で、結婚の約束をしていた日本人女性を殺され、セガールの堪忍袋の緒がキレた!大沢たかおふんする悪役のヤクザのボスを相手に、刀を振るって大立ち回り。“ヒト、キリマスヨ”“バッキャロー!”“コロシテヤル!”といった日本語のセリフを微笑ましく響かせながらも、得意の武術を活かしつつバッサバッサと叩き斬るセガールの派手な活躍は圧巻。ついでにエンドクレジットでは自作の歌まで聞かせており、最後の最後までオレ様節は衰え知らず、なのだ。■ 一方、オレ様キャラでは一歩も引けを取らないヴィン・ディーゼルは、代表作である人気シリーズの第4作『ワイルド・スピードMAX』で勝負。彼扮する主人公で、公道レースの凄腕のドライバーにして強盗犯ドミニクは前作のラストで東京に姿を現わしていたが、ここでは原点に立ち返り、アメリカとメキシコを股にかけて奔走。最愛の女性レティを殺した麻薬王の懐にブツの運び屋として潜り込み、華麗なドライビングテクニックはもちろん、腕っぷしの強さを発揮しながら死闘に臨む。冒頭でタンクローリーを派手に爆破させ、好敵手である捜査官ブライアンとカーアクションでツバ競り合いを繰り広げつつ、大乱闘にも挑むのだから、こちらの活躍もド派手と呼ぶにふさわしい。ちなみに、現在製作中のシリーズ第6作は“実はレティは生きていた!”という、アッと驚く急展開を迎えるようだ。両者とも復讐の炎は凄まじく、派手な暴れっぷりもイイ勝負で甲乙付けがたい。が、セガールがCIAという権力の側にいるおかげで立ち回りやすいのに対して、ヴィンの場合はお尋ね者で、アメリカに足を踏み入れたら即逮捕という現実に直面している。にもかかわらず、一度は南米に逃亡しながらも復讐のためだけにアメリカに帰国する度胸の良さ。そんなエッセンスがグッとくるぶん、ヴィン優勢と見たい。以上のように、【復讐対決】を制したのは、「ワイルド・スピード MAX」のヴィン・ディーゼル! 来週7/9(月)の『アクションスター列伝』は【逃避行対決】!こちらもお見逃しなく!■ © 2005 SONY PICTURES HOME ENTERTAINMENT INC. All RIGHTS RESERVED.© 2008 UNIVERSAL STUDIOS
-
NEWS/ニュース2012.07.03
アクションスター列伝【対テロリスト対決】結果発表!
『ナイトホークス』(シルヴェスター・スタローン)ニューヨークの刑事ディークに扮するシルヴェスター・スタローンが国際テロリストに挑む! VS 『ダブルチーム』(ジャン=クロード・ヴァン・ダム)CIAの対テロ秘密工作員だったクインに扮する、ジャン=クロード・ヴァン・ダムが家族を守るために宿敵に挑む!果敢にテロリストに立ち向かうのはどっちだ!?いざ、対決!今秋劇場公開される『エクスペンダブルズ2』で、待望の共演を果たすシルヴェスター・スタローンとジャン=クロード・ヴァン・ダム。どちらもテロリストと戦うには貫録十分な、マッチョ・ボティのアクション・スター。はたして、勝者はどっちだ!? 今でこそアクション・スターのイメージが強いスタローンだが、『ナイトホークス』に主演した頃は『ロッキー』シリーズが軌道に乗るも、まだ『ランボー』は生まれておらず、いわばキャリアの模索期。ヨーロッパからやってきたカリスマ的なテロリストに挑む、NY市警のおとり捜査官にふんした本作では珍しくヒゲ面で、『ランボー』以後ほどヒロイズムが強調されているワケではなく、むしろ『セルピコ』のアル・パチーノを連想させる血の通ったキャラクターだ。実績を買われてインターポールの特別捜査チームに編入されるが、市警の刑事が切れ者のテロリストと対峙するのは荷が重い。しかも、テロリスト役のルトガー・ハウアーは、この後の『ブレードランナー』でのブレイクが必然であったことを証明するかのように手ごわさを見せつけるのだから。しかし、だからこそスタローンのいつにない人間臭さが光っているのも事実。不器用だがガッツのある主人公像に、見る側の判官びいきも刺激されるというモノだ。■ 対する『ダブルチーム』も、ヴァン・ダムふんする対テロ・エージェントの身重の妻が敵の脅威にさらされ、そのテロリストにミッキー・ロークというクセ者俳優がふんしており、これらの構図だけで面白くなる点は共通する。しかし、こちらはヴァン・ダム出世後の作品だから、誰もが見たがっている彼のアクションを大々的にフィーチャー。得意のマーシャルアーツはもちろん、開脚ポーズをはじめとするアクロバティックな立ち回りをこれでもかと繰り出す。元NBAのスーパースター、デニス・ロッドマンを相棒役に迎え、“ドラッグ・クイーンか!?”と見まがうそのルックスと同様にアクションもトコトン、派手。ローマを旅行中の観光客は銃撃戦の犠牲になり、歴史的な文化遺産も爆破で吹き飛ばしてしまう、やり過ぎなほどの凄まじさだ。人間味の『ナイトホークス』とド派手な『ダブルチーム』。こうもタイプが異なると、正直どちらに軍配を上げるべきか迷ってしまうが、期待どおりの活躍を見せるヴァン・ダムはやや予定調和的だが、スタローンには潜入捜査のための“女装”という驚きがある。そんなアクション・スターらしからぬレアな見せ場があるぶん、スタローンの勝ちとしたい。男臭くなること必至の『エクスペンダブルズ2』で、ヴァン・ダムはおそらく得意の開脚を披露してくれるだろうが、スタローンの女装は、もはやありえないだろうから。以上のように、【対テロリスト対決】を制したのは、「ナイトホークス」のシルヴェスター・スタローン! 明日7/4(水)の『アクションスター列伝』は【復讐対決】!こちらもお見逃しなく!■ © 1981 Universal City Studios, Inc. All Rights Reserved.Copyright © 1997 Mandalay Entertainment. All Rights Reserved.
-
NEWS/ニュース2012.07.02
アクションスター列伝【救出対決】結果発表!
『コマンドー』(アーノルド・シュワルツェネッガー)元特殊作戦部隊コマンドーのリーダーに扮するアーノルド・シュワルツェネッガーが誘拐された娘を救出する。 VS 『ブレイクアウト』(チャールズ・ブロンソン)腕利きパイロットに扮するチャールズ・ブロンソンがメキシコで無実の罪を着せられた実業家を救出する。華麗なアクションで救出ミッションを達成するのはどっちだ!?いざ、対決!肉体派アクション・スターと言えば、1970年代はチャールズ・ブロンソン、80年代ならアーノルド・シュワルツェネッガー。『ブレイクアウト』VS『コマンドー』の救出バトルは、世代を超えたマッチョ俳優対決となった! 『ブレイクアウト』でブロンソンふんするセスナ機パイロットは、美貌の人妻に雇われ、無実の罪でメキシコの刑務所に投獄されたその夫を救出しようとするのだが、なにぶん計画が行き当たりバッタリなもんだから、最初は失敗が続く。自分よりはるかに背の高い相棒ランディ・クエイドを女装させて、看守の目を引けるワケがないだろうに……うかつすぎるぜ、ブロンソン! それでもめげないテキサス魂、軍用ヘリを装ってムショの中庭から救出するという荒技に打って出る。こんな具合に、物語そのものはオフビート・タッチでユーモラス。ブロンソンとヒロインを務める当時の愛妻ジル・アイアランドのほのかなロマンスも盛り込まれていて、テキサス~ラテンののどかな雰囲気さえ漂わせている。 ■ 対する『コマンドー』はむしろシリアス。シュワルツェネッガーふんする元コマンドー隊員は目の中に入れても痛くない、さらわれた愛娘を中米の元独裁者から救おうとするのだから、その切実な気持ちが理解できるし、見ているコチラもアツい闘争心がわいてくる。そんな期待に応えるかのように、主人公は特殊部隊のスキルを活かして一直線に突っ走る。民間人の女性も私的な戦いに巻き込み、ショッピングモールの警備員や警察官をも蹴散らし、さらには敵陣で軍隊を軽く掃射。これをたったひとりでやってのけるなんでフツーに考えると“ありえない”としか思えないのだが、演じるのがシュワだから強引な説得力が宿るというモノ。肩に担いだロケット弾をぶっ放しても反動さえ感じさせない、頼もしすぎる安定感も妙に納得だ。 “華麗なアクションで救出ミッションを達成するのはどっちだ?”という基準からすると、死者や破壊を最小限にとどめたブロンソンの方がスマートで好感も持てる。出演当時54歳という実年齢の経験も、そんな器用な立ち回りに説得力をあたえていると言えるだろう。その点、ひとりの娘を救うにしては壊しまくり&殺しまくりのシュワ(当時38歳)は事を大きくしてしまうという点で不利と言えば不利だが、彼の力技の方がスカッとするのも事実で、悪党を容赦なく蹴散らす姿も痛快そのものだ。アクション映画にカタルシスを求めるとしたら、後者の方が断然、上だろう。というわけで、ここは『コマンドー』に軍配を上げておきたい。以上のように、【救出対決】を制したのは、「コマンドー」のアーノルド・シュワルツェネッガ明日7/3(火)の 『アクションスター列伝』 は【対テロリスト対決】!こちらもお見逃しなく!■ © 1985 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.Copyright © 1975 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.