COLUMN & NEWS
コラム・ニュース一覧
-
COLUMN/コラム2019.04.24
【ロッキー一挙放送記念コラム:尾崎一男さん】再評価の兆しを感じる、我が人生を伴走した極熱の一本『ロッキー4/炎の友情』
しょっぱなから私ごとで恐縮だが、自分(尾崎)は『ロッキー』シリーズへの入り込みが遅かった。世代的な事情もあるが、第1作目の『ロッキー』(76)から『ロッキー3』(82)はテレビ放送で我が身に摂り入れ、封切り時に劇場で観たのは『ロッキー4/炎の友情』(85)からである。なので思い出の一本を問われれば同作に尽きる。いや思い出のみならず、シリーズ最高傑作を挙げろと言われても『4』が毅然として頂点に位置するのだ。後年『エクスペンダブルズ』(10)の取材でドルフ・ラングレンに会ったとき、仕事もそっちのけで自分がいかに『4』を愛しているかを熱く伝え、先方にドン引きされたものだ。 そう、本作はそのドルフ演じるロシアの超人イワン・ドラゴこそが、じつに憎々しい敵として圧倒的な魅力を放つ。科学トレーニングで造り上げた鉄の拳でアポロを撲殺し、ロッキーを苦境に立たせるシリーズ最強のヒールだ。ところが第1作目の原理主義者と『4』について話すと、自分の評価との温度差を感じることが多かった。「シリーズもあそこまでキワモノ化するとおしまいだな」とでも言いたげな先方の態度が、露骨に自分へと向けられるのである。 たしかに、当時ロッキーを演じたシルベスター・スタローンのマッチョな容姿は、強国アメリカを体現しすぎて滑稽の域に達しているし、米ソ新冷戦時代を露骨に意識したストーリーなど、随所で醸し出される微妙な空気が本作には漂っている。冒頭の星条旗とツチカマ旗をあしらったグローブがぶつかり合って爆発するオープニングに至っては、地に足のついた「ボクシング人情劇」である1作目との決別宣言ともとれたのだ。 だがロッキーとアポロ、かつては敵どうしだった相手が友となり、その友がリングの上でサイボーグのような敵に倒される少年マンガのような展開に、はたして冷笑を浴びせられる男がいるだろうか? なによりアポロの仇を討つため、単身ロシアに渡ってドラゴとのリベンジマッチに挑む。そんな「満身創痍」や「孤立無援」を体現したロッキーの姿は、芸大受験で浪人中だった自分と重なり、不安定だった青春期の大きな支えとなっていたのだ。サバイバーが歌う主題歌『バーニング・ハート』は起床時のBGMとしてオレを奮い立たせ、長い時間をデッサンに費やす孤独な日々を、極寒の敵地でトレーニングに励むロッキーとダブらせた。それだけに『4』を否定されることは、イコールで自分の人生を否定されているように思えてならず、そんなけしからん否定派に出会うたび、オレは心の奥底でロッキー式のナマ肉パンチを浴びせて憎悪を示した。いや冷静になって思えば、その姿はロッキーというより、会見の席でロシア側の抑圧的な自国体制を罵倒し「オレは沈黙しない大衆だ!」とケンカ腰になるポーリー(バート・ヤング)のほうだったかもしれないが。 しかしそんな『4』も、ロッキー新章の嚆矢ともいうべき『クリード チャンプを継ぐ男』(15)により、大仰な笑える珍作から、再評価すべき古典として風向きが変わったように感じられてならない。アポロの遺児であるアドニス・クリードが、ロッキーの教えを経て全米チャンプの道を歩む同作。そんなプロットの性質上、ドラゴとアポロ、そしてロッキーとの因縁は避けて通れないものとなり、今やロッキー神話を語るうえで重要な位置づけを示している。そして昨年公開された続編『クリード 炎の宿敵』(17)において、クリードがドラゴの息子と戦うという、激アツな展開へと誘導していったのだ。 人生、何事かを信じ続けていれば形勢が変わり、逆転をもたらすこともある。それは図らずも『4』と自分とをめぐる関係であり、ひいてはロッキー・バルボアというキャラクターのファイティング・スピリットを体現している。ああ『4』の初公開時に戻れるものならば、同作を支持し続けてきたオレを決して間違っていなかったのだと褒めてやりたい。ついでに当時好んで着ていた『ロッキー4』のパチモンTシャツ。ドラゴをあしらった図柄には、併せてロシア語で「ランボー」と書かれていたことを伝え、識らずしてかいていた大恥をついでに回避しておきたい。 特集の記事はコチラ番組を視聴するにはこちら © 1985 METRO-GOLDWYN-MAYER STUDIOS INC.. All Rights Reserved © 2015 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC. AND WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED.
-
NEWS/ニュース2019.04.24
【ロッキー一挙放送記念!コラム:にしこ】5/6放送日までほぼ毎日更新中です!ザ・シネマ ロッキー担当・にしこのロッキーブログ
5/6「ロッキー」シリーズ全6作、『クリード チャンプを継ぐ男』一挙放送DAYはいよいよ明日!! あ、明日…とうとう明日です。ご覧頂けるかどうか、不安で夜しか眠れません…(ΦДΦ) (ΦДΦ) 本日もお付き合い頂きありがとうございます!ロッキー担当にしこです。 明日一挙放送なので、タイムスケジュールをおさらいさせてくださいませ。 【明日の皆様の予定デスヨ】 --------------------------------------- 8:30⇒ロッキー 10:45⇒ロッキー2 13:00⇒ロッキー3 15:00⇒ロッキー4/炎の友情 16:45⇒ロッキー5/最後のドラマ 18:45⇒ロッキー・ザ・ファイナル 20:45⇒『クリード チャンプを継ぐ男』「ロッキー」放送記念:竹原慎二の選択 こちらです!! 21:00⇒クリード チャンプを継ぐ男 --------------------------------------- 朝から晩までなので、録画して頂いた上で!出入り自由でご覧いただければ幸いです。 でも朝から晩まで張り付いてみて頂ければこれ以上ないほど嬉しいです… ロッキー担当にしこ的ひとこと見どころを… 『ロッキー』 気が優しくて動物が好きなオチコボレボクサーロッキー。借金の取り立て屋でなんとかその日暮らしをしているが、本当に向かいたいボクシングから逃げ腰で、コーチのミッキーにも見捨てられ気味… 親友ポーリーの妹エイドリアンと恋仲になると同時に、「イタリアの種馬」というリングネームを気に入った現ヘビー級チャンピオンのアポロ・クリードから奇跡的に相手として指名される…運命が動きだす… にしこcomment:エイドリアンは究極のあげ○んですね。 『ロッキー2』 チャンピオンのアポロ相手に超善戦したロッキー。一躍、時の人に。ちょと浮かれて、ヤンチャなジャケットを買ったり、でっかい家に引っ越したり、エイドリアンと結婚したりするものの、右目の視力がヤバイ事になってしまい、カタギの仕事で家族を養おうとするものの、うまく行かず…「やっぱりボクシングしかできない…」とロッキーの中で気づきがあるものの、体を心配するエイドリアンとコーチのミッキーに止められて… にしこcomment:愛犬のバッカスにパンクロッカーみたいな首輪をつけたがるロッキーがかわいくて愛しいですね。 『ロッキー3』 金満家風な3人… チャンピオンとなったロッキー。負け知らず。でも満たされた生活を送っていたためハングリー精神がZEROになってしまい、若いハングリー精神のカタマリの挑戦者に負けてしょんぼり…「もうだめだよう…」と完全にヘタレモードになるが、アポロが「コーチしてやる!虎の目を取り戻せ!バカモノ!」と叱咤。まだめそめそしているのをエイドリアンにバチコリ説教されて奮起。イタリア系男性はママに弱い生き物… にしこcomment:ロッキーとアポロの伝説の海辺でのトレーニングシーンですが、着ているトレーニング着がアメリカン・アパレルみたな配色でとってもオシャレですね。 『ロッキー4』 寒い~!!!! ソ連からの刺客、ドラゴ登場。『クリード 炎の宿敵』にそのまま繋がるお話しなので必見です!! ドラゴの妻を演じたブリジット・ニールセンはこの後スタローンと結婚。(でも彼女がトニー・スコットと浮気して離婚)ものすごい美人です。ロッキーのソ連の雪山でのトレーニングシーンがアゲ↑です。 にしこcomment:ブリジット・ニールセンは54歳で5人目のお子さんを主産!とても希望を与えてくれます! 『ロッキー5』 おなじみのメンバーたちにほっこり シリーズ屈指の注目作として有名。トレーナーとなったロッキーが弟子を溺愛するあまり、自分の息子にスネられて、エイドリアンに諭されるという、ちゃんとしたドラマが描かれています。ドン・キングのそっくりさんキャラクターや、相変わらずダメダメなポーリーや、御馴染のメンバーがおなじみな事をする安心感はもう「釣りバカ日誌」くらいの安心感有です。 にしこcomment:喧嘩はよくない!ですね! 『ロッキー・ザ・ファイナル』 ロッキーの横にいるのがパンチ―です ロッキー担当にしこが個人的に一番思い入れのあるシリーズ。胸を打つセリフのつるべ打ち。親である方、子である方。全世代、全方位が打たれる事請け合いの感動作です。「ロッキー」で出てきた町の不良娘、リトル・マリーも再登場。自分の胸の中の消えない炎を燃やし続け、その戦う姿で周りの人を勇気づけ続けたロッキー・バルボアというボクサーの最後の戦い。ティッシュ必須でご覧下さい。 私は、劇場で本作を観た時、号泣しすぎて過呼吸になってしまい、隣の見知らぬ方に「だ、大丈夫ですか?」とハンカチを差し出されたという良き思い出があります。 にしこcomment:バッカスの跡継ぎとして登場のパンチ―。あまりにかわいくて、萌えが止まりません。 『クリード チャンプを継ぐ男』 アポロの息子であるアドニス。アポロ夫人に「ボクシングなんて絶対だめよ!あなたはエリートになるの!」と言って大事に大事に育てられたにもかかわらず、結局血は争えずボクサーに… ロッキーは時空を超えて再び現れた「クリード」に戸惑いつつも、不思議な縁を受け入れて2人で戦いに挑む。 「ブラック・パンサー」のライアン・クーグラーがまだ学生だった時にスタローンに持ちこんだ企画がまさかの映画化。当時スタローンは『ロッキー5』にも登場している息子のセイジを突然の病で亡くしたばかりで父と息子の物語はしんどかった、と語っています。(とネットで読みました) 父と子の物語として「ロッキー・ザ・ファイナル」以上に濃厚な物語。 監督本人が『ロッキー』ファンであるので、オマージュシーンは沢山ありますが、ロッキーのテーマが流れる瞬間を見逃さないで下さいね! にしこcomment:アドニスの彼女がめっちゃイケてて、さらにアドニスもスタイリッシュだし、なんだかオシャレなのですよ… とうとう明日になりました。一人でも多くの方が明日の一挙放送で元気になって下さる事を心から祈っております。 皆様の胸の炎もメラメラ~視聴率もアゲーー↑↑になりますこと下心バリバリで願っております。 明日、朝からツイッターでうざいかもしれませんが実況中継しておりますのでよろしければお付き合いくださいませ。 今日も読んで下さってありがとうございました!大好きです! ----------------------------------------------------------------------------------------------- 5/6「ロッキー」シリーズ全6作、『クリード チャンプを継ぐ男』一挙放送DAYまであと2日!! 本日もお付き合い頂きありがとうございます!ロッキー担当にしこです。 ザ・シネマの所在地である赤坂は本日、警察の方が総動員でものものしい雰囲気でしたが、私は青山通りをロッキーのテーマ曲を聴きながら別世界に没入しながら出勤いたしました。 ザ・シネマは赤坂御用地のそばにあります。 ある夏の暑い日、私は日差しがまぶしくて手を額に当て日よけにしておりました。すると、警備の警察の方が私が敬礼をしていると思われたのか、敬礼を返して下さった、という素敵な思い出があります。 そんなどうでもいい話しはさておき、『クリード チャンプを継ぐ男』でもこのテーマソングはちゃんと流れるのですが、流れる場所、アレンジなども考え抜かれて演出されているのでチェックして下さいね❤ 【5/4】 昨日は、「ロッキー」&「クリード」の告知のために制作したインタビュー番組のご紹介をさせて頂きました。 ちなみにしつこく貼り付けますがこちらから観れます。ぜひご覧下さい。お願いします。 竹原さんはかっこいいだけでなく、面白い方です。ぜひ!! インタビュー番組は聞き手を立てない場合は、番組のディレクターがインタビューする事が多いそうです。(初めて知りました) ディレクターというのはテーマやアイデアという目にみえないものを形にする人です。構成もナレーションもテロップも全てディレクターが考えます。ゼロから1を作る人です。 おのずと、インタビュー番組の場合はテーマや対象に誰よりも詳しくなります。 今回、この番組を作って下さったディレクターさんは、「ロッキー好き」を自称する私を数日で追い抜きロッキー博士になっておりました。 もちろん竹原さんの事も同様で、ご自身も忘れてらっしゃる事にも異常に詳しいのでご本人も驚かれていました。 それはまさにヲタクです。掘る掘る。どこまでも掘る。 この膨大な情報を元に、さらにどうやったら対象となる人からよりリアルで感情が乗った言葉を引きだせるか。 経験値もさることながら、思考の深さが問われるんだなぁ…と私は観客の様にインタビュー撮影の際、思いました。 あの時、あの場所でしか起こりえない魔法を見た様でした。 まさに、対象(作品、人物、物、あらゆるものがなりえると思いますが)のことを誰よりも好きになる。ファンになる。それがディレクターの仕事!という何かを作る事をしている人に一番大切な言葉をもらいました。 努力も大切。でも努力より強いのは「好き」や「楽しい」。 その上での努力。 いろんなパズルのピースがかちっと合う様な体験でした。私にとっては計り知れない価値を持つ事です。 そんな特別番組。 撮影⇒編集が終わったら締めはナレ録りです。ナレーションを入れます!! そして今回、特別番宣(5/1参照)も特別番組もナレーターをお引き受け下さったのはな、な、なんとっ!! 羽佐間道夫さんです!!! 「ロッキー」の1作目から、このうん十年の間、ずーっとロッキー・バルボアを演じ続けてきた伝説の声優/役者さんであります。もちろん「クリード」シリーズもロッキーを演じてらっしゃいます。「ロッキー」に限らずスタローンといえば羽佐間さんです。もうほぼスタローンです。 スタローンを演じられる際は、浪花節を意識されて演じられるそうです。そのために海に向かって浄瑠璃を長時間うなって、ノドを枯らした!という役者魂も。(これはネットのインタビューで拝読しました。にしこcomment) 私は「ロッキー」だけでなく「ランボー」も大好きなので、前の日はyoutubeで羽佐間さんの声を聞きまくりました。どんな声でどんな風にあのナレーションを読んで下さるのだろう…へへへへへへ。とああでもないこうでもないと妄想を巡らせながら興奮の夜を過ごしたのであります。 そしていざ当日。いらっしゃった羽佐間さんはリラックスされたご様子でブースに入って行かれました。 そしてナレーション原稿をささっと読まれ、すぐに本番。 (ちなみに私は何十回も読みましたが、つっかえつかえにならざるおえないほど長い原稿です) 「・・・(言葉が出ない)」 なんというのでしょう。発されるごとに、その言葉に深い意味があり、ドラマが生まれると言うのでしょうか。 プロの仕事、というのでは表現できない、ありきたりな言葉なのですが「言葉に命を吹き込む瞬間」に立ち会った気持ちでした。 例えば 「ロッキーもチャンピオンに向う選択をして人生を変えていく」 というナレーションを、わたくしにしこが読んでも「へぇ」なのです。ただの音として聞こえるだけです。 でも羽佐間さんが読むと 「え、そうなの?どんな風に変わったの?」となるのです。「その先」を期待を込めて待ちたくなるのです。 人の心を動かすナレーション。 これはもう羽佐間さんの長年のお仕事と、役者さんとしての圧倒的な才能に言葉なく立ち尽くす。という感じでした。圧倒的なものを前にすると、ぽかんとしてしまう様な。 そんな羽佐間さんが30代の時に、俳優として出演されたハリウッド映画『ビーチレッド戦記 【町山智浩撰】』もザ・シネマで5月放送です!傑作。後の戦争映画に影響を与えまくったというのも納得。作品の冒頭でそれがもうわかるはずです。5月23日初回放送です。町山さんの解説の前編ももうすぐyoutubeに公開予定です! VIDEO SHOP UFOの予告はこちら そんな熱い想いと名人芸が詰まった特別番組と特別番宣。 特別番宣は、ザ・シネマ放送内でごりっごりのごり推しで放送中です。めっちゃかっこいいです。ぜひ放送でご覧下さい。 特別番組はまたまたしつこいですがこちらです。 5/6GW最後の日、ロッキー&クリード一挙放送まであと2日です!! 万難を排してぜひご覧下さい…録画してくださっても構いません…なんらかの方法で観て頂ければ幸いです!血眼です! よろしくお願いいします!! 今日もお付き合い頂きありがとうございました。 ---------------------------------------------------------------------------------------------------- 5/6「ロッキー」シリーズ全6作、『クリード チャンプを継ぐ男』一挙放送DAYまであと3日!! ほぼ毎日更新を宣言していたにも関わらず、昨日はお休みをしてしまいました。申し訳ありません… 約束を破るのは言語道断ですが、「休んだことを誰も気づいていない」「全然休んでくれていいと思われている」気がする…というめんどくさい妄想が頭をもたげております。今日もお付き合い頂きありがとうございます! 【5/3】 「ロッキー」(と「クリード」)という作品の魅力を広くあまねくお伝えするために、特別番宣を作りました! というお話しを2日前に書かせて頂いたのですが、さらに特別インタビュー番組も作っていたのです! こちら 『クリード チャンプを継ぐ男』「ロッキー」放送記念:竹原慎二の選択 インタビューさせて頂いたのは元WBA世界ミドル級王者竹原慎二さん。 すごい方です。 2017年に村田諒太さんが王者になるまで、竹原さんの前にも後にもミドル級の世界王者になった日本人はいなかったのですから…ゼロです。0です。 ミドル級という難しい階級でさらに王者に、というすごいの2乗です。 ちなみに番組の作品説明はこんな感じで書かれています…(私が書きました) 【番組説明】---------------------------------------- ヤンチャ放題の少年時代から、ボクシングとの出会いで人生を変えて世界王者となった竹原氏。自身を変えた父の言葉。上京。世界戦への挑戦。癌との過酷な戦い。そんなリアル・ロッキーの心揺さぶる言葉を聞くべし。 ---------------------------------------------------- ざっくりあたりさわりのない事を書いております…。 が、実際このインタビューは拙文では伝わらない濃くて、そしてパワーを持ったインタビューでした。 竹原さんはなんでしょう。おそらく卍な感じでワルだったのです…でもほんの少年の頃のお話し。 (少年らしからぬ強さで地元では有名だった様ですが…) でも、おそらく全人生を通して、自分の人生に訪れる様々な事にとても純粋でまっすぐに向き合ってらした方なのだと思います。そこから生まれる「凄さ」を感じました。 上京したことも、ミドル級王者に挑戦したのも、勝利して王者になった事も、そして引退したことも。 何より癌に打ち勝ったことも。 「やだなーって思いましたよ笑」とインタビュー内で笑って語ってらっしゃいますが、それでも「やる」と決めた後のその選択に対する真面目さがハンパないのです。 多分、たいていの人は、いろんな誘惑やノイズに惑わされてしまいます。 「アー疲れた。ちょっと休もう」とか「もういいや…」とか。(私は毎秒思ってます) でも竹原さんはそのノイズの遮断力がハンパないのだと思います。それくら熱中しているのだと感じました。根っからのまじめさと努力家というのはもちろんですが。 この10分番組では語られていませんが、「会長が厳しくて、仕事休む事を許してくれなかったので試合の前々日くらいまで働いて、試合終わったあともすぐ仕事だったんですよ!減量中で水も飲めないししんどかった…」とかちょっとびっくりする様な事をにこにこした顔でおっしゃるのです。 照れくさそうな笑顔と、しゅっと真顔に戻られた時のギャップが魅力的でとてもハンサムでした… (見惚れました…) 観て頂ければ、何かを成し遂げた人の発する言葉がどれほどのパワーを持っているか、多分わかって頂けると思います! 再びリンクを 『クリード チャンプを継ぐ男』「ロッキー」放送記念:竹原慎二の選択 実際のインタビューはこの番組(10分)の10倍くらいの時間収録しました。 今回、放送するにあたって10分という時間の制限がありましたが、皆様にロング・バージョンも観て頂きたいので、今後youtubeにアップする予定です。ご期待下さい! 明日は、この番組を作って下さった方々について、書きたいと思います。 最後にここだけの話しですが、ディレクターが竹原さんにロッキーのファイトシーンについて質問した際に 「あれはありえないよねー!ヘビー級で!わはは!」 とおしゃっていました。わははは。 ヘビー級は普通、あんなに長いこと殴り合う事はあまりないそうです笑(ボクシング全然知らない) そんなありえない!ファイトシーンも見どころ! 「ロッキー」全6作、『クリード チャンプを継ぐ男』の一挙放送は5/6(GW最後の日)です!! 竹原さんの番組は『クリード』の前に放送しますが、youtubeでも観れますのでぜひチェキラウして下さいませ!! しつこく最後にも 今日もお付き合いありがとうございます! ----------------------------------------------------------------- 新しい時代の幕開けおめでとうございます!皆様の令和が素晴らしいものになりますように! ザ・シネマは昨日の「ダイ・ハード」一挙放送が終了して、「ロッキー」「クリード」一挙放送一色になります! 放送告知もしつこく「ロッキー」と「クリード」になります。 5/6はザ・シネマで『クリード チャンプを継ぐ男』+「ロッキー」シリーズ一挙放送!! お忘れき様に!! 【5/1】 今回の一挙放送を一人でも多くの方に観て頂くために、特別番宣(放送告知のCMみたいなもの)を作って頂きました。 1つは4分の「ロッキー」全6作と『クリード チャンプを継ぐ男』のおさらい番宣 もう1つは「ロッキー」をシリーズごとに紹介する3.0秒の番宣です。 ザ・シネマにご加入の皆様、今がんがん放送の合間に流れているのでぜひ観てください! めっちゃかっこいいのです!! こちらにリンクを張りつけたいくらいなのですが、音楽著作権の関係でwebではご紹介できず… 伝えたいテーマとメッセージを1つの制作物に対して設定する、という様な事を恥ずかしながらしてきませんでした。われわれベーシックの映画専門チャンネルで放送される作品は、基本、劇場公開から3年程度経ったものがほとんどです。 私はもちろん、劇場公開時の打ち出し方を参考に宣伝するのだと思い込んでおりました。 でもそれでは不十分なのです。「タイタニック」や「E.T.」の様に、作品それ自体が形容詞になる様な誰でも知っている作品ならば良いのですが、「ロッキー」の場合、「あー、あのボクシングの…」という圧倒的なイメージがあります。 「ボクシング」や「スポ根」ものが嫌いな人もいます。(もちろん好きな人も) 「ロッキー」はもちろんボクシングが1つの手段になっていますが、本質は人間ドラマです。 普遍的な物語です。そのことをどうしたら伝えられるか… という事で、右も左もわからぬ赤ん坊状態の私は先輩の指導の下、まず「ロッキー」全シリーズと「クリード」を観直す、という事から始めました。 そして、それぞれのシリーズで何が言いたいのか?というテーマ出しの宿題を頂戴しました。 【宿題】 暑苦しいメモが書いてあります・・・ 『ロッキー』 挑戦する事によって、自分がクズではないと証明したい。今の自分を変えたくて、挑戦する事を選んだ男の物語。 『ロッキー2』 周囲を言い訳にして迷う時間はもったいない。人のせいにして自分にとって唯一のものに迷うな!ロッキー、お前はボクシングしかできない。 『ロッキー3』 今持っているものを失う事を恐れて保身に走るな。失敗してもただ「何か」を失うだけ。「何か」のために生きているのではない、自分の為に戦うのだ! 『ロッキー4/炎の友情』 覚悟を決めろ!負けるも勝つも、殺すも殺されるも覚悟が必要だ。 『ロッキー・ザ・ファイナル』 ①年を取って保守的になって、人の夢を邪魔する人間にはなるな!周囲の常識に合わせて自分がどう動くかを決めるな!自分自身が納得のいく人生を生きろ! ②どれだけきついパンチを打たれても休まず前に進み続けられるかだ!前に進み続けろ!その先に勝利がある。自分の価値を信じるなら、迷わず前に進め! 『クリード チャンプを継ぐ者』 全てが終わった後に生まれてきたコンプレックスを、挑戦する事で塗り替えろ!自分自身の新しい物語をスタートさせろ! ※『ロッキー5』がなくて『ロッキー・ザ・ファイナル』が2つあるのは目をつむって頂ければ幸いです。へへへ…。 こんな暑しい、そして未見の方にはわかりづらいテーマを携えて番宣のディレクターさんにお願いの会に臨んだわけですが… プロフェッショナル。 限られた秒数で、テーマをいかに伝えるか、考え倒してそれを形にするディレクターという仕事に下げる頭がない程、ぎゃふんとうなりました。 ディレクターさんという御仕事は、対象(映像作品だったり、人物だったり様々だと思いますが)に対して誰よりも詳しく、そして誰よりも愛情を持つ、そして誰よりもその対象のファンになる。そういう仕事だと、あるディレクターさんからお聞きしました。 私がテーマを考える時間の10分の1くらいの時間で、「ロッキー」と「クリード」の本質を理解し、それを形に するという、かっこよくておそらく最高に楽しくて苦しい仕事だと思いました。 ここでご披露できない事が本当に悔しいほどに、一人でも多くの皆さんに観て頂きたいのですが、前述のとおりこちらに張りつける事が出来ず… でも1つだけ方法がございます! ザ・シネマに加入して頂くと観れます! くわしくはこちらから(厚かましい加入宣伝) もちろん「ロッキー」と「クリード」も観て頂きたいですし、それが目的なのですが、ロッキークリード番宣も一人でも多くの方に観て頂きたい。ご加入されていない方は、お友達でご加入者様がいらっしゃいましたらぜひ録画して観て頂きたいくらいです!(ATSUKAMASHI) おそらく6日の放送まで厚かましさが加速度を増すと思うのですが、お付き合い頂けば幸いです。 今日も読んで下さりありがとうございました。 5/6(GW最後の日)は、ザ・シネマで「ロッキー」「クリード」一挙放送! あさ8:30から夜までやっています!「クリード チャンプを継ぐ男」はよる9時からです! 途中出入り可能ですので、ご参戦くださいませ!! よろしくお願い致します!! ----------------------------------------------- 5/6(GW最後の日)はザ・シネマで朝8時半から『クリード チャンプを継ぐ男』+「ロッキー」シリーズ一挙放送です! twitterのトレンド入りを夢見ています… 【4/29】 今日も読んでくださりありがとうございます、ザ・シネマの「ロッキー」担当・にしこです。 本日は実家の猫に久々に会い、相変わらず全力で牙をむかれたロッキー担当にしこです。 彼女との付き合いも7年ほどになるのに、いつも新鮮な威嚇を向けられます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 今日は「ロッキー」シリーズに登場する動物たちのご紹介を… 【バッカス】犬(ブル・マスティフ) 「ロッキー」1作目から登場するロッキーの相棒。 スタローンの大きさと比較してもかなりの大型犬ながら、気は優しい力持ちタイプで、たまに吠えるくらいでおとなしい良い子。たまにアップで抜かれる時の表情が絶妙に愛嬌がある。 「ロッキー2」では、ちょっと調子にのってイキった格好を始めるロッキーに、パンクっぽいスタッズギラギラの首輪をつけられたりする。 ロッキーのベッドでのんびりするのが好きだが、たまにエイドリアンといちゃいちゃしたいロッキーに無理やりどかされることあり。 ネットに書いてありましたが、バッカスはスタローンの愛犬で、貧乏時代スタローンに売られて、ブレイクした後買い戻されたという、ドラマを背負ったワンちゃんの様です… 【カフとリンク】(亀) これまたロッキーの長年の相棒。 エイドリアンが勤めるペットショップで買った2匹のカメで、ロッキーの話し相手。 毎日、あーでもないこーでもないというロッキーの独り言を聞いているのかいないのか、でも確実にロッキーの癒しになっていることは確か。 動物好きのロッキーは、自分のごはんよりも、カフとリンク(もちろんバッカスも)のエサをマメに気にしているシーンがあります。(自分は生卵しか飲んでませんから) これまたネットで読んだのですが、カフとリンクはまだまだ元気で今も幸せに暮らしている様です。 【小鳥】 エイドリアンが好きな動物。ペットショップで暮らしています。 エイドリアンに会いに足しげくペットショップに通うロッキーにも構われたりしてます。 【パンチー】(犬、雑種) 「ロッキー・ザ・ファイナル」でロッキーが保健所から引き取るワンちゃん。 小さいころ「ビッチになるな!」と説教したリトル・マリーのグレ気味の息子ステップスの教育のために、 一緒に犬を育てようと決めたロッキーによって「君に決めた!」と言われた長毛種の中型犬。 ステップスに「こんな不細工な見た目の死にかけてる犬より強そうな方がよくね?」と言われるくらい、 弱弱しい姿で登場しますが、ロッキーとステップスの愛情によってメキメキ元気に。 ロッキーが現役を引退してかなり立ってから復帰する際の過酷なトレーニングに、お揃いのグレーのジャージを着て付きそう姿はもう「萌え!」のひとことです。本当にかわいい… ロッキーはおそらく未来ある若者のステップスに対して下記の様な思いから犬を一緒に飼うことにしたのでしょう。 「子供が産まれたら子犬を飼うがいい、子犬は子供より早く成長して、子供を守ってくれるだろう。 そして子供が成長すると良き友となる。 青年となり多感な年頃に犬は年老いて、死ぬだろう。 犬は青年に教えるのである、死の悲しみを」 これはゴルゴ13の言葉です。すべてのペットを飼うことに反対している親御さんに声を大にして叫びたい言葉です。 いいこと言うなぁ… 【ロッキー】(猫、雑種) 映画の「ロッキー」シリーズには登場しません。 なぜならわたくし、にしこの最初のペットの名前だからです。 テレビでロッキーに出会ってから、「ロッキー」シリーズにガチはまりしていた兄と私ですが、同じくらい夢中になっていたことがあります。ペットを飼うという夢のために両親を説得することです。 頑固でしつこい性格の私は、「犬か猫を飼いたい!」という要求を通すために、ハンガーストライキを起こし、ついに母の「め、めんどくさい…」という気持ちに火をつける事に成功。 兄と二人で、里親さんの元から小さい小さいキジトラの雑種の男の子を引き取りました。 浮かれて帰る帰り道。「ロッキー4 炎の約束」のポスターを指さして、二人で顔を見合わせたことは言うまでもありません。 あの時が、私の人生の幸福の絶頂だったかもしれません… ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 今日は動物大好きスタローンが作った「ロッキー」は偉大なる動物映画だった!というお話しでした。 5/6(GW最後の日)は朝8時半から「ロッキー」「クリード」一挙放送です!! 動物好きな方もご満足いただける動物映画ですので、ぜひご覧ください!!! 今日もお付き合いありがとうございます!! 【4/28】 今日は久々のお天気でしたね!朝から洗濯機を2回も回しました、にしこです。 5/6(GW最後の日)はどうか雨が降ってくれないかと願っています… なぜならば、ザ・シネマにて『クリード チャンプを継ぐ男』+「ロッキー」シリーズ一挙放送があるからです! GW、沢山遊んだ疲れを癒すべく、おうちでロッキー。間違いないです。 5/6、ザ・シネマ、『クリード チャンプを継ぐ男』+「ロッキー」シリーズ一挙放送 ぜひ、手帳やgoogleカレンダーに予定として入れてください!(お願いします…) --------------------------------- 「他者貢献」という言葉をある方から教えてもらいました。 アドラー心理学をネットでググってみたところ、 「周りの人に貢献することで、そのコミュニティへの所属感を得て、さらに人の役に立っているという感覚が、幸福感につながる」ということと理解しました。なるほど、確かにそうです。 私は自他ともに認める「自分に自信がない人間」です。 ここで、駄文という名のお目汚しを披露している事も、自信ゼロ人間、さらに変にプライドが高い私にとっては生きた心地がしない行為であります。 読んで下さった方に「自己満!時間の無駄!言ってる事間違ってるし!」と思われないかしら… 非難されないかな…などなど。 そんな、人にどう思われるかを常に気にしている私は、無意識に人のリクエストに応えるという行動に出がちです。 「これをしておいた方が、みんなが便利だろうな!」 「これは結構時間も手間もとられる事だから、私がやっておこう」 「ああ、これ間違ってる!急いで直しておかないとみんなが困る」 こうして書いているとなんとも自己犠牲的ですが、これは完全に私の主観において「人のためにやっている」事であり、他者から見たら「余計な事を…」という事かもしれません。実際そういう事態になった事も何度もあります。 ただ、私はひたすら条件反射的にこの手の行動を繰り返します。何故か。 それは 「この手の行動に慣れていて、するのが楽な事」だからです。 人のためではないのです。 そしてこれは私だけではないかもしれませんが、人の傾向として、to do リストの中で、「慣れている事、楽な事」を真っ先にやりがち、というのは、今回近しい人に聞いて回って実際にそうだという事がわかりました。 それでも「他者貢献してるじゃん」と言ってくれる人もいます。 実際、私は自分以外の誰かの「ありがとう」を食べて生きているところがあります。 人さまの「ありがとう」で自己承認しているのです。 「他者貢献」とともに、アドラー先生は「承認欲求は生ごみ!」とも言っています。 人から承認されたいがためにする良い行いは、他者が存在しないと成されない事も多い、という事が理由だと思います。 つまり、「他者」がいないと、成立しない世界に生きている事になります。 承認欲求に突き動かされて生きていると、「他者」がいない世界がもしあるとしたらそこは 「無」です… こ、怖い… 「他者貢献」というのは「承認欲求からくる結果的な他者への貢献」とは似て非なるものであるという事でしょうか…違ったらすみません。 ロッキーの話しを全然しておりませんが、やっとここで… ロッキーは「他者貢献」の映画だな、と思うのです。 ままならない現実を抱えつつも人におせっかいを焼いてうざがられたり、コーチに「やくざの手先なんかしやがって、素質があるのに人生無駄にしてる!」と本質をつかれたり。 ロッキーはとにかく、中途半端にぷらーんとしていた男でした。 それが、運命的な出来事に、乗るか、乗らないか、その決断を迫られた時に、「乗る」を選び、他者の存在も我も忘れるほどに「やってやる!」という事にひたすら没頭する。 第一作ではそこで人生を変えますが、シリーズ通して彼は、自分のやるべきことに没頭し続ける事で、周りの人に勇気を、励ましを、明日を生きる力を与えます。「ロッキー・ザ・ファイナル」では、彼のひたむきな戦う姿が、誰かの人生を変えていた事もわかります。 もちろん勝負の世界、勝ち負けがあってロッキー自身もブレそうになる事もあります。 ロッキー3でそんなロッキーにエイドリアンが言うセリフがあります。 (ちょっとネタバレに…苦手な方は読み飛ばして下さい) (ざっくりすぎる意訳です。一部抜粋してます) --------------------------------------- 恐怖心に立ち向かえるのは自分だけなのよ 人の目や言葉を気にして怯えていてはだめ あなたの強さは私が知ってる でも恐れに打ち勝てるのはあなただけ ここで諦めたら一生後悔することになる みんなあなたを信じてるわ でもみんなのためでも、名声のためでも、お金のためでもない 自分のためにやるしかないのよ 負けても逃げなかった事に胸を張れる 一生の支えになる --------------------------------------- アドラーも真っ青の本質を突くセリフ… これはエイドリアンからロッキーだけでなく、全ての戦おうとする人への言葉だと思います。 「他者貢献」という言葉を教えてくれた尊敬する先輩に、言われた事の続きが以下になります。 「本当の意味で他者に貢献したいならば、自分が何かに没頭して夢中になっている姿を見せる事。 ひたむきに、そして楽しそうに夢中になっている姿は、人に勇気を与えるから。」 そう言ってくれた先輩の顔が、エイドリアンと被った事は言うまでもありません。 ロッキーは誰のためでもなく、自分のために戦い続けた。 なぜならロッキーは何よりも戦う事が「好き」だったからだと思います。 「努力より「楽しい」を。「楽しい」にかなうものはないから」 最後に先輩は、そう締めくくったのでした。 --------------------------------- 「戦い」に夢中な男たちが、ロッキー以外にも沢山登場する本作。 最後にまたしつこく告知ですが… !!!!5/6、ザ・シネマ、『クリード チャンプを継ぐ男』+「ロッキー」シリーズ一挙放送!!!!! どうぞよろしくお願い致します!!! 今日もお付き合い頂き、ありがとうございました!!! 洗濯ものを取り込みます!! 5/6、GW最後の日!『クリード チャンプを継ぐ男』+「ロッキー」シリーズ一挙放送です!朝8:30から夜11時までの長い戦いですがぜひとも応援下さいませ!! 【4/27】 昨日暑苦しいブログを公開しました、ザ・シネマ ロッキー担当にしこでございます。 本日もお付き合いくださる皆様、ありがとうございます。深く御礼申し上げます。 昨日の続きなのですが、テレビでの「ロッキー3」が強烈過ぎて「ロッキー」第1作を観た時の感想を正直あまり覚えていないのですが、子供だった私が強烈に覚えているシーンが有りました。 ロッキーが、物語の最初の方で、町のワルガキ連中の子供たちに説教をするシーンがありまして。その中に、12歳くらいの女の子が1人いるのですが(リトル・マリー)、ロッキーはリトル・マリーがタバコを吸っているのを見つけて説教をするのです。 彼女を家に送り届ける道すがらこんな事を言います。 (ざっくり意訳です) --------------------------------------------- 「いいか、タバコを吸うと歯が黄色くなって、息が臭くなる。やめろ。 口の悪い女最初は人気者だ でもすぐ評判になって尊敬されなくなる 悪い表現を使うと「娼婦」ってやつだ 口の悪い女は娼婦になっちまうぞ 12歳でも悪いことは悪い そういう女にはなるな 悪い評判が立つとあとになってこう言われる 「マリーをおぼえてる?今や落ちぶれて場末の娼婦よ」 「ああ、そんなのがいたな」 こういう風に誰も覚えちゃいないのさ ボーイフレンドはいるのか?いないだろ(にしこcomment:余計なお世話だい!) その理由はワルガキと遊んでるからだ 奴らといるとロクなことはない 付き合う相手を選ぶんだ いい人と付き合うといい友達ができる 簡単な足し算だ --------------------------------------------- 説教です。こんな事言われたらグレ気味の12歳の女の子は面白くないだろうなぁ… 実際「うるせークソ野郎!」とマリーに吐き捨てられます! リトル・マリーと同年代だったためか、なぜかこのシーンを一際覚えていたわけですが、このセリフにはロッキーという人物のいろいろが込められているなぁと今となっては思うのです。 ロッキーの愛するエイドリアンは、第一作では内気で根暗なメガネっ子ですが、シリーズ全体を通しても、ロッキーの理想ともいえる品のある「レディ」です。 献身的に愛する人を支え、相手の為に言いたくない事もきちんと言う。自分が不安で心配だからといって、ロッキーの夢を諦めさせたりしない。それを一発で見抜いたロッキーの本質を見抜く力、脱帽です。 「付き合う相手を選べ。いい人と付き合うといい友達ができる」とか説教しておいて、ロッキーは、金貸しの親分に取り立て屋として雇われています。 自分の現状がどんづまっていることを十分理解はしている。だから未来あるお前さんはそんな風になってくれるな。という気持ちを込めているかどうか… 説教に話しを戻すのですが、このリトル・マリーへの説教の他にも、ロッキーは物語の冒頭、割と人に説教して回っているのです。 借金の取り立てをしている時、お金を返さない負債者に対して言うセリフです。 (ざっくり意訳です) --------------------------------------------- ロッキー「あと70ドル足りないぞ」 負債者:「このジャケット60ドルはするからこれで堪忍して!」 ロッキー:「寒いからコートは着とけ。いいか、金を借りるときは返す事を考えて借りろ」 --------------------------------------------- この後、金貸しの親分ガッツォさん(ナイスキャラクター)から「取り立てがぬるい!」とガチ説教されるのですが、それはまた別の話しとして、彼の人の窮状をほおっておけない優しい人柄を表すシーンです。 そんなロッキーですが、ボクサーとして成功したい、でも成功できないかもしれない…という思いを抱えたまま、日々を過ごしています。 ボクシングのコーチであるミッキーに見放されつつある事も焦りつつもうすうすわかっています。 (またまたざっくり意訳です) --------------------------------------------- ロッキー:「もう6年も一緒にやってるのに何で目の敵にするんだ」 ミッキー:「知りたいか?いい素質をもっているのに、二流の高利貸しの手先に成り下がったからだ!」 ロッキー:「生きていくためだ」 ミッキー:「そんなのクズの人生だ!」 --------------------------------------------- いくら人のためにおせっかいを働いても、善良であっても、生きていくために仕方なく金貸しの手先になっていたとしても、それはすべて言い訳だ。お前自身が自分の人生から逃げている事はお前が一番わかっているはずだ。 それをミッキーは何より怒っているのです。 リトル・マリーに説教した後に夜道を歩きながらロッキーがぼそっとつぶやきます。 「クソったれがクソガキに説教か…全く…」 もう30歳。ボクサーとして成功できないかもしれない。でも生きていくために毎日必死にもがいている。俺は善良な人間だ。仕方ないんだ。 こんな言い訳をどこかでしている自分を、おそらくロッキー自身が一番不甲斐なく思っているのです。同じくらい「変わりたい」という気持ちを抱えながら。 何十回と見直した今でも、このロッキーのセリフが一番私の心に刺さったセリフです。 それは、ふがいない自分を変えたい、でも仕方ないじゃん。一生懸命やってる(つもり)だもん。 そんな思いがただの言い訳だ、という自覚がどこかに有るからなのだと、今思います。 さて、ここまでは物語のほんのさわりでして、この後、ロッキーが言い訳できない様な出来事が舞い込んできます。 そう。現役チャンピオン、アポロ・クリードから戦いを挑まれるのです。 ロッキーがどういう決意をして、どの様に挑むのか。どうか5/6の放送で確かめて頂きたいのです。挑戦している人、頑張っている人、頑張ろうと思っている人、明日から野郎と思っている人、全方位で刺さること請け合いです! 今日も暑苦しいブログにお付き合い頂きありがとうございました。 最後にもう一度言わせてください! 5/6、GW最後の日はあさ8:30からロッキーシリーズ一挙放送!!GWの予定の最優先事項にして頂いても後悔させません!(多分) 【4/26】 ゴールデン・ウィークの最後の日、5/6(祝)にザ・シネマでは『ロッキー』シリーズ全6作と、昨年新シリーズの第2弾がヒットしたばかりの『クリード』の第1作目『クリード チャンプを継ぐ男』を放送します。突然の告知です。失礼します。 そしてさらに突然の自己紹介ですが、私はザ・シネマの編成部で働いております、にしこと申します。 編成の仕事ってどんな仕事?イメージできない…という方がほとんどかと思いますが、多分ひとことで言うと「映画の面白さをお客様に伝える」ことだと思っています。そんなお仕事をしているのに、私は映画ライターの先生方の様に「なるほど!」と思わせる様な知見もなければ、魅力を伝える表現力も著しく乏しくあります。なので、どうかこのブログを、皆さまへのお手紙として読んで頂ければと願っております。友達から手紙が来た。とそんな風に思って頂ければ幸いです。 少し私の話しをさせてくださいませ。私は小さい頃から内向的、非常にびくびくしていて、男の子からからかわれたりするタイプでした。なるべく目立たない様に、スーパー空気を読み、その反動か、現実逃避型ドリーミーキッズでした。現実逃避型幼児になったのにはもう1つ理由があります。 4つ上に兄がおりまして、彼は、アニメが観たい年頃の幼児をテレビの前に座らせ、『ゴッド・ファーザー』や『風と共に去りぬ』(4時間!)を観せるという非道を小さいな妹に日常的に行っていました。(テレビは一台しかないので仕方なし…) 『ゴッド・ファーザー』は馬の首がベッドの中で発見される映画だったし、『タクシー・ドライバー』はモヒカン、人殺し!というだけの映画だった私。そんな私に初めて映画的カタルシスを感じさせてくれた映画、それが『ロッキー』なのでした。 現在、地上波のテレビで映画を観る機会は限りなく少ないと思います。 しかし私が小さい頃(30年以上前)は、毎日何かしら映画が放送されていました。 よる9時からは誰もが知る家族で楽しめるメガヒット作(『バック・トゥ・ザ・フューチャー』や『インディ・ジョーンズ』『ジョーズ』。そしてうんざりするくらい『ポリス・アカデミー』シリーズをやっていましたネ…)、深夜には『タクシー・ドライバー』の様な名画や『13日の金曜日』みたいなジャンル映画も放送していました。豊かなラインナップ。 いつも通り、チャンネル権を奪った兄はベータ(VHSと双璧をなしていた再生録画機です)にテープを充填していました。観るのに録る。そのテープには『ロッキー3』というタイトルが。2時間後、私は一種の恍惚感に包まれていました。 な、なんじゃこりゃ! いろいろよくわからないところもあったけど、めっちゃいい。めっちゃ感動した。男の生き様って感じ!こういうの好き! 普段、映画をみても無感動な妹の興奮を、兄は鼻をならしてみていたことでしょう。翌日早速、レンタルビデオ屋さんで『ロッキー』の1作目を借りてきたのでした。 意思疎通がなかった兄妹は「ロッキー」という映画で、人生初めての握手を交わし、『ロッキー4/炎の友情』の劇場公開のポスターを指をくわえて眺めたり、初めてのペットである子猫(知人から譲り受けた)に「ロッキー」という名前をつけたり、よき思い出をたくさん与えてくれたのであります。 それからもたくさん素晴らしい映画との出会いがありました。悲しい時も、全てを忘れたい時も、映画があれば違う世界に行けたし、私は何者にもなれたのです。 時は○十年流れ… 私は紆余曲折を経て、CSの洋画専門チャンネルで働いています。他の映画チャンネルで「ロッキー」を放送しているのを横目で見ながらも、子供の頃に覚えた興奮をかすかに思い出す程度に、なんとなく毎日を過ごしてきました。 今回、ザ・シネマでロッキーシリーズの放送が決まった時、私はどこかああそうなんだ、という気持ちでいました。 子供の頃に出会った映画。その映画の仕事をしていく中で、どこか映画一本一本が、棚に並べてあるパッケージの一つの様な感覚になっていたのだと思います。(なぜそうなったか) そんな意識でいるからでしょう。「忙しい」「やることが終わらない」「疲れた」そんな言葉で毎日が埋め尽くされていました。映画に没入する夢の様な時間を、自分自身も忘れ、何より一番大事なお客さんに映画の面白さを伝えるという気持ちを忘れていました。今回、ロッキーを放送するにあたり、再度ロッキーを見直しました。10回づつ位見直しました。涙が止まりませんでした。 映画評論家の荻昌弘さんが『ロッキー』の名評論を残されています。「人生、するかしないか?とういその分かれ道で「する」という方を選んだ勇気ある人々の物語です」この企画をやる時に、尊敬する先輩から「やるか、やらないか?」と聞かれました。 私は「やりたいけど自信がない」と言いました先輩は「やれるか、やれないか、じゃない。やりたいか、やりたくないか」だ。そう強く言いました。 現実から逃げてきた私の人生。映画は救ってくれたけれど、私は今、映画からも逃げています。「忙しい」「自信がない」「いつかやる」そう言い訳を言い続けて、自分の一番大事な仕事である「映画の魅力を伝える」という事から、ずっとずっと逃げてきました。 私はそんな今の自分を変えたい。だからやる。 別の尊敬する先輩が昔、なぜこの仕事をしているのかと聞いた私にこう言いました。「私は映画に救われたから、映画に恩返しがしたいと思ってこの仕事をしている」 私はロッキーに救われたから、ロッキーに恩返しをしたい。 私はロッキーの素晴らしさをみなさんに伝えることで、自分自身を変えたい。そしてあわよくば高視聴率を取りたい!(あわよばなくても取りたい) そのために、ロッキー放送の5/6(祝)まで、みなさんにロッキーの魅力をできる限りお伝えできたらと思います。非力で未熟ではありますが、「応援してやろう」と思ってもらえる様、頑張ります! 『クリード チャンプを継ぐ男』、『ロッキー』シリーズ全6作一挙放送。GWの最後の日、5/6(祝)に放送します! 明日を生きる力を、自分自身に言い訳しない強さを、ロッキーが教えてくれるはず! どうか観てください! 特集の記事はコチラ番組を視聴するにはこちら
-
COLUMN/コラム2019.04.24
【ロッキー一挙放送記念!コラム:高橋ターヤンさん】『ロッキー』シリーズを不動の名作にしたある登場人物とは?
『ロッキー』は素晴らしい傑作映画である。これはぼくが今さら述べるまでもなく、世界中でこれほど多くの人々に愛され続け、多くの人々に影響を与えたシリーズというのは他にないのではないか。何も持たざる者が千載一遇のチャンスをゲットして輝ける表舞台に出ながらも、本当に大切なものを見つけていくドラマに感動する『ロッキー』。リングの上で勝敗など関係なく愛するエイドリアンの名を連呼するラストは、何回観てもパブロフの犬のように泣いてしまうのはぼくだけで無いはず。 しかしぼくの中で『ロッキー』シリーズで最も印象に残るのは、バート・ヤング演じるポーリーの存在だ。ポーリーは精肉工場で働く出っ腹の中年で、ペットショップで働く地味な妹エイドリアンに酔っては罵声を浴びせて憂さを晴らす毎日。もっと楽をして金を稼ぎたいと、友人のロッキーにマフィアを紹介してもらおうとするダメ男である。何故か妹に好意を持ったロッキーとエイドリアンの仲を取り持つが、2人が幸せそうになるとバットを持って大暴れ。しまいには「もっとおれに優しくしてくれよお…」(富田耕生さんの声で脳内再生してください)と情けない声を出す。ロッキーはシリーズを重ねるにしたがって、世界王者となり、最強の敵を次々と撃破し、アメリカを代表してソ連王者と戦うことになるのだが、ポーリーはずっとポーリーのままだ。しかしポーリーはシリーズを通じて多くの登場人物が退場していく中、最後までロッキーの傍らに寄り添い、終生ロッキーと共にあった。このポーリーの存在は、ファンの中でも賛否が分かれるところであるが、ぼくはポーリーこそが『ロッキー』シリーズを不動の名作たらしめてきた余人に代えがたい存在であると断言する。 ポーリーはロッキーの合わせ鏡のような存在である。チャンスをものにし、必死のトレーニングを行って日の当たる世界に飛び出していったロッキー。しかしもしあの時、世界王者アポロ・クリードの気まぐれでロッキーが挑戦者に選ばれることがなかったら。ロッキーは三流のボクサーとして選手生命を終え、マフィアの用心棒として誰からも認められることもなく生涯を終えていたかもしれない。ポーリーのように。ロッキーはポーリーの中に常に自身を見いだしていたのではないだろうか。だからこそ、特に自身を顧みることなく、何度も失敗を繰り返しながらずっと変わらずボンクラな人生を送るポーリーを、常にそばに置いてきたのではないだろうかと思うのだ。そしてそんなポーリーだからこそ、ロッキーが辛く苦しいときも、栄光に浸っているときも常に変わらぬ率直な態度でロッキーと共にいることができたのではないだろうか。そしてこの映画を観ているぼくたち観客のほとんどは、ポーリーと同じ境遇にある。つまらない人生、うまくいかない仕事、クソったれな人間関係、金は無い、酒や博打に逃げては後悔の日々……。だからこそぼくたちはポーリーにこの上ない嫌悪と同情、そしてシンパシーを同時に感じてしまうのではないだろうか。そしてロッキーはそんなポーリーを最後まで見下すことなく厚い友誼をもって遇していた点は感動的ですらある。 しかしポーリーは『ロッキー』シリーズ最終作『ロッキー・ザ・ファイナル』をもってシリーズを退場した。新シリーズ第1作となる『クリード チャンプを継ぐ男』では、どんな死に方をしたかは分からないが、ポーリーは死んでしまっているのだ。ロッキーはエイドリアンの墓の横に眠るポーリーの墓の前にたたずむ日々を送っており、そこに盟友アポロの忘れ形見であるアドニスが現れる。そしてロッキーの家に居候することになったアドニスに与えられた部屋こそ、ポーリーの部屋であった。これはロッキーがアドニスを新たな家族として迎え入れたことの証左である。ポーリーは死してなお、『ロッキー』シリーズに多大な影響を与え続けているのだ。 特集の記事はコチラ番組を視聴するにはこちら © 1990 METRO-GOLDWYN-MAYER STUDIOS INC.. All Rights Reserved
-
COLUMN/コラム2019.04.24
【ロッキー一挙放送記念!コラム:なかざわひでゆきさん】ファンと共に成長してきた『ロッキー』シリーズ40年の歩みを振り返れ!
記念すべき第1作目『ロッキー』(’76)の誕生から、既に43年の歳月が経つ。売れない無名の3流ボクサー、ロッキー・バルボアが、苦悩と葛藤の末に悲願の成功を手に掴む。まさしくサクセス・ストーリーの王道と呼ぶべき本作が、なぜ今もなお世代を超えて熱烈に愛され、数々の続編やスピンオフが製作されるほどの人気を獲得しているのか。それは本作が根本的に、いつの時代も色褪せることのない「持たざる者たちへの応援歌」だからに他ならないのではないかと思う。 物語の冒頭、ボクサーとしてそれなりの才能がありながらも実力を伸ばせず、ヤクザな高利貸しの用心棒として生計を立てる自分を「ゴロツキ」と自嘲するロッキー。なぜなら、恵まれない環境に育った自分自身を、その程度の価値しかない人間と思い込んでいるからだ。それはなにもロッキーだけに限ったことではない。恋人エイドリアンも親友ポーリーも、さらに言えばコーチのミッキーもそうだ。貧しいスラム街の惨めな生活に慣れてしまった彼らは、どうせ財産もコネも学歴もない凡人の自分に明るい未来など望めないと諦めている。
-
COLUMN/コラム2019.04.24
【ロッキー一挙放送記念コラム:松崎まことさん】「もういいよ~」を乗り越えて… 『ロッキー』シリーズの40年余
「もういいよ~」を乗り越えて… 『ロッキー』シリーズの40年余 「もういいよ〜」 そのニュースを耳にして、思わず口に出してしまった。『ロッキー』シリーズの続編というかスピンオフとして、『クリード』という作品の製作が報じられた時だ。 主役が、アポロの息子!? ロッキーのライバルであり親友だった、あのアポロ・クリードの息子が主人公で、しかもロッキーも登場するって…。うわ、そんな蛇足みたいな話やっても、面白くなるわけないじゃん。やめてよ~と、心の底から思った。 思えば『ロッキー』(1976)と出会ったのは、シリーズ第1作が日本公開された、1977年の4月。私は中学に入学したばかりで、映画を猛然と見始めた頃だった。 主人公は、30代になっても芽が出ない、三流ボクサーのロッキー・バルボア。しかし偶然の成り行きから、偉大なるチャンピオンとして君臨する、アポロへの挑戦権を得る。 お馴染み「ロッキーのテーマ」に乗っての特訓やアポロとの壮絶なファイトなど、燃えるシーンも多々あるが、私が忘れられないのは戦いの前夜、ロッキーが恋人のエイドリアンに、訥々と語る“想い”。 「もし最終15ラウンドまでリングの上に立っていられたら、自分がただのゴロツキではないことが証明できる」 イジめに遭うなど暗い小学生時代を経て、中学という新しいステージに立ったばかりの自分に、このセリフはいたく響いた。自らシナリオを書いた『ロッキー』で、それまでの無名の存在から一気にスターダムを駆け上がった、シルベスター・スタローンのリアルストーリーも重なって、生きていく上で大切な何かを教えられた気がした。 それからの『ロッキー』シリーズは、『ロッキー2』(1979)『ロッキー3』(1982)…と、ほぼリアルタイムで追い続けたが、実は『クリード』以前にも、「もういいよ~」という思いを抱いたことがある。第1作から、ちょうど30年後の2007年4月に日本公開となった第6作、『ロッキー・ザ・ファイナル』(2006)のストーリーを聞いた時だ。既に60代に突入していたスタローンが演じる50代のロッキーが、カムバックを決意。現役の世界チャンピオンと戦う…。 現実世界では1990年代中盤に、ジョージ・フォアマンが45歳で世界チャンピオンの座を奪い、48歳まで現役を続けたというケースがある。しかしいくら何でも、“50代”のロッキーのファイトなんて…。 だが、観ねばなるまい。『ロッキー4/炎の友情』(1985)『ロッキー5/最後のドラマ』(1990)の2作に正直辟易する部分が多かったこともあって、そんな義務感込みの醒めた気持ちで、16年ぶりのシリーズ最新作『…ファイナル』を迎えた。ところが、この作品が素晴らしかった!シリーズのお約束を踏襲しながらも、最愛の妻エイドリアンを亡くし、ひとり息子とも疎遠になっているロッキーが、“50代”にして戦う意味を明確に打ち出している。 元世界チャンピオンの偉大な父親にコンプレックスを抱き続けている息子に、ロッキーが言う。 「人生ほど重いパンチはない。それでも、どんなに強く打たれてもずっと前に進み続けることだ。そうすれば勝てる」 鑑賞時40代前半になっていた私は、ちょうど“放送作家”という、長年の稼業の曲がり角に近づきつつあった頃。『…ファイナル』には、中坊の時に第1作を観た時と同じく、いやそれ以上に大きく感情を揺さぶられた。改めて、スタローンに打ちのめされてしまったのである。 さて、それから更に9年を経ての『クリード チャンプを継ぐ男』(2015)。アポロの血を継いで闘いの炎を燃やすアドニスと、そんなかつての親友の息子の師匠となったロッキーの物語。それぞれに孤独を抱えた同士が、力を合わせてファイトに望んでいく中で、徐々に“家族”のような絆で結ばれていく…。 嬉しいことに『クリード』は、『…ファイナル』に続いて、またこちらの予想を大きく裏切ってくれた!ほぼ無名の新人だったライアン・クーグラー監督が持ち込んだ企画を、スタローンが受け入れたことからスタートしたこの作品で、クーグラー監督と主演のマイケル・B・ジョーダンは、ハリウッドで大注目の存在になった。そんな展開も第1作を彷彿とさせ、10代から50代になるまで、このシリーズを観続けてきた私の心をギュッと掴んだ。 改めてスタローンのキャリアを振り返ると、『ロッキー』以外にも、『ランボー』や『エクスペンダブルズ』のようなヒット作はある。でも結局は、40年以上に渡って演じ続けている“ロッキー”なのである!『クリード 炎の宿敵』(2018)も大ヒットを収めた今、こうなったらいのちの炎を燃やし続ける限りは、スタローンにはロッキー・バルボアを演じ続けて欲しいと、熱烈に希望する! 特集の記事はコチラ番組を視聴するにはこちら © 2015 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC. AND WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED.
-
COLUMN/コラム2019.04.24
【ロッキー一挙放送記念コラム:長谷川町蔵さん】「やれるまでやる」スタローンはそう教えてくれた。
小学校のころ入っていたブラスバンド部で、『ロッキー』のテーマを練習させられたことがある。担当は太鼓だった。なぜトランペットを選ばなかったのか覚えていないけど、ビル・コンティによる勇壮な曲調に釣られてテンションを上げまくって、ドカドカと叩きまくった記憶がある。 当時はまだ『ロッキー2』までしか公開されていなかった頃だから、トレンドに相当敏感な選曲ではある。でも『ロッキー』のテーマは小学生に人気があったし、演奏映えがするから楽譜が全国に出回っていたのだろう。『ロッキー』が教育的観点から支持されていた可能性もあるかもしれない。たとえ倒れても立ち上がるロッキーのネバー・ギブアップ精神は、部活を運営する側にとっても都合がいいからだ。 やれるまでやる。部活の顧問でもないのにシルベスター・スタローン=ロッキー・バルボアはこうした教えを40年以上にわたって僕らに説き続けてきた。 そもそも生まれつき顔の左側が麻痺して表情や発音が万全とは言い難い人物が、俳優を志すだろうか? 身長が170センチ代半ばにもかかわらずヘビー級ボクサー役を自ら演じて世に出ようとするだろうか? でもスタローンはやってみせた。製作会社からスター俳優を起用すればヒット間違いなしと勧められても、主演に拘って低予算で『ロッキー』を作り上げたのだ。 同作の大成功によってスター俳優になったスタローンは、『ロッキー2』『ロッキー3』『ロッキー4/炎の友情』とリングで戦い続け、製作費と興行収入は膨れあがっていった。その一方で作品の評価が下降線を描いていったのも事実だ。 「俺と戦った時のお前は“虎の眼”をしていた」 『ロッキー3』でアポロがロッキーに語るこうしたセリフは、スタローンによる自分への問いかけだったかもしれない。かくして完結篇として構想された『ロッキー5/最後のドラマ』でスタローンはロッキーにフィラデルフィアの街角で若手ボクサーとストリート・ファイトをさせた。原点回帰だ。だがこの決着は観客に支持されないまま、シリーズは幕を閉じることになる。普通の人間ならここで諦めるところだろう。 しかしスタローンは諦めなかった。26年後の『ロッキー・ザ・ファイナル』で老齢にさしかかったロッキーに第一作と同じような練習やファイトをさせることによって、別の原点回帰を行なわせたのだ。結果、同作は執念が生んだ偉大なる完結編として絶賛された。 これで終わり。誰もがそう思って久しかった頃、スピンオフ作『クリード チャンプを継ぐ男』への出演がスタローンの魂に再び火を付けた。『ロッキー3』のラストでは描かれなかったロッキーとアポロふたりだけの試合の結果を重要なモチーフに掲げた同作の成功は、彼に正統な評価を得られなかった過去作のリベンジを行うアイデアをもたらしたのだ。 かくしてスタローンが脚本家に復帰した『クリード 炎の宿敵』は、『ロッキー4/炎の友情』の後日談をベースにしながら、『ロッキー2』における妻の出産や『ロッキー3』における持久戦に弱いライバルの存在など、過去作のモチーフを積極的にリサイクル。加えて『クリード』では影が薄かったロッキー・ジュニアまで再登場、『ロッキー・ザ・ファイナル』で十分に書き込めなかった父子の物語にケリをつけている。この傑作によって、ロッキーシリーズの全作品は映画ファンに肯定されるものになった。 スタローンがインタビューで「『クリード 炎の宿敵』の続編が製作されてもロッキーは登場しないだろう」で語っているのは、<やれるまでやる>を貫いてやり遂げた自分に達成感を感じているからにちがいない……いや、またやる気になっても、それはそれでオッケーなんだけど。 特集の記事はコチラ番組を視聴するにはこちら © 1985 METRO-GOLDWYN-MAYER STUDIOS INC.. All Rights Reserved© 1990 METRO-GOLDWYN-MAYER STUDIOS INC.. All Rights Reserved
-
COLUMN/コラム2019.04.23
ファンキーな音楽とデカい車とピカピカの銃と暴力とエロで描く70年代のブラックムービー
スパイク・リーが『ブラック・クランズマン』の脚色でようやくアカデミー賞を獲得しましたが、彼には師匠がいます。『ドゥ・ザ・ライト・シング』など、スパイク・リーの映画に何本か出演している黒人の老人で、オシー・デイヴィスという俳優です。デイヴィスは、ハリウッドの黒人監督の草分けなんです。 今回紹介するオシー・デイヴィス監督作『ロールスロイスに銀の銃』は、70年代黒人アクション映画のブームを巻き起こしたヒット作です。 主人公は、ニューヨークの黒人街ハーレムの警察署に勤める黒人刑事コンビ、その名も墓掘りジョーンズと棺桶エド。2人は捜査が荒っぽくて、悪い奴らを地獄に送ってしまうことも多く、そんな不吉なニックネームで呼ばれています。 原作はチェスター・ハイムズ。アメリカ生まれの黒人作家で、若い頃、強盗で刑務所に入りますが、獄中で小説を書き始めました。自分の体験を活かした、暴力と犯罪とセックスと皮肉なジョークに満ちた世界です。 しかし、1950年代はまだ南部で人種隔離が続いていた時代ですから、ハイムズの小説はアメリカには受け入れられませんでした。失意のハイムズはフランスに移住し、そこでセリ・ノワール(暗黒小説)として墓掘りジョーンズと棺桶エド・シリーズを書き、ベストセラーになります。60年代にはアメリカでも公民権運動で黒人の地位が向上して、ハイムズの本も売れまして、1970年、ブラックパワーのなかで映画化された第1作が『ロールスロイスに銀の銃』です。 タイトル通り、映画はピカピカのロールスロイスがハーレムに入ってくるところから始まります。貧しい黒人が住むハーレムに高級車ロールスロイスが入ってくれば、乗っているのはギャングのボスだろうと思うと、車を降りたのはオマリーというハンサムな牧師さんです。彼は当時盛り上がっていたアフリカ回帰運動を掲げて、アフリカ行きの客船を買うために黒人から金を集めています。 その金をめぐって、イタリア系のマフィアやブラックパンサーのような黒人過激派、それに墓掘りジョーンズと棺桶エドが加わってのアクションが展開します。 タイトルの「銀の銃」は、棺桶エドが撃つコルト・パイソン357マグナムを意味します。パイソンが出た最も初期の映画ですね。相棒の墓掘りジョーンズが使うのはなんと信号銃です。これで照明弾を敵に向かって水平撃ちするのは映画史上でも珍しい戦い方ですね。 エド(レイモン・サン・ジャック)は眼光鋭く、タフで悪への怒りに燃える男。逆にジョーンズ(ゴッドフリー・ケンブリッジ)は眠そうな目でダルそうに皮肉なジョークばかり言ってるキャラです。だから、これは『バッドボーイズ』みたいなハードなアクションとコメディの合体によるバディ・ムービーの元祖です。『フリービーとビーン/大乱戦』(74年)よりも4年も古い画期的な映画です。 70年代の黒人アクション映画は一般的には『黒いジャガー』(71 年)と『スイート・スイートバック』(71年)が始まりだとされますが、『ロールスロイスに銀の銃』はそれより早くヒットし、のちにブラックスプロイテーションと呼ばれるジャンルの「型」を作りました。つまり、セクシーで賢い黒人、ダサくてマヌケな白人、ファンキーな音楽とイカしたファッションとデカい車とピカピカの銃と暴力とエロです。 オシー・デイヴィス監督はもともと俳優で、シドニー・ポラック監督の西部劇『インディアン狩り』(68年)で、デイヴィス扮する南部からの脱走奴隷が、白人のバート・ランカスターと友情で結ばれていく、これもバディ・ムービーでした。デイヴィスはハリウッド俳優として働きながら公民権運動に参加し、マルコムXの葬儀でも、キング牧師の葬儀でも弔辞を読み上げました。つまり映画と社会運動の革命家だったから、スパイク・リーからリスペクトされたんですね。 というわけで『ブラック・クランズマン』の原点をお楽しみください!■ (文/町山智浩) MORE★INFO. ●原作は邦訳もあるチェスター・ハイムズの“墓掘りジョーンズと棺桶エド”シリーズの第6作『ロールスロイスに銀の銃』(文庫化改題『聖者が街にやってくる』)。●原作にはロールスロイスは登場しない。●俳優オシー・デイヴィスの監督デビュー作。●“ブラクスプロイテーション映画”の最初期の1本で、70年代にハリウッドで作られた黒人映画で最も興行的に成功した映画だった。●メルバ・ムーアの歌う主題歌“Ain't Now But It's Gonna Be”の作詞もデイヴィスが担当。●本作と同じくケンブリッジ&サン・ジャックの主演の続編『ハーレム愚連隊』(72年)もハイムズの『夜の熱気の中で』が原作。原作シリーズでは他にも『イマベルへの愛』が『レイジ・イン・ハーレム』(' 91 年)として映画化されている。 COTTON COMES TO HARLEM © 1970 SAMUEL GOLDWYN JR.. All Rights Reserved
-
NEWS/ニュース2019.04.23
竹原慎二さん特番放送へのコメント到着!動画あり! 「ロッキーから勇気や希望をもらうんじゃないですかね」 番組「『クリード チャンプを継ぐ男』「ロッキー」放送記念:竹原慎二の選択」 ザ・シネマにてGW最終日5/6(火・休)放送! 竹原慎二さんの格言付き直筆サイン入り色紙をプレゼント!
洋画専門CS放送ザ・シネマとBS4K放送ザ・シネマ4Kは、令和元年のゴールデンウィーク最終日に、 「ロッキー」シリーズ全6作品とCSベーシック初放送の『クリード チャンプを継ぐ男』を一挙放送いたします。放送にあわせ元ボクサー・竹原慎二さんのインタビュー特別番組の放送が決定! この度、特別番組の放送を記念し竹原慎二さんにインタビューを行いました。 山あり谷ありロッキーさながらの人生を過ごしてきた、竹原さんが語る自身の半生と、『ロッキー』への熱い想いがこもったインタビューとなりました。 そして竹原さんの格言付き直筆サイン入り色紙をプレゼントキャンペーンも実施します。 「ロッキー」シリーズと『クリード チャンプを継ぐ男』の一挙放送とあわせてお楽しみください! ■元WBA世界ミドル級王者・竹原慎二、「『ロッキー』は勇気や希望をもらえる作品」 ★ 竹原慎二さんインタビュー!特別番組「『クリード チャンプを継ぐ男』「ロッキー」放送記念:竹原慎二の選択」 40年以上もの間、多くの人に勇気と希望を与えてきたシルヴェスター・スタローン主演の映画「ロッキー」シリーズ。ザ・シネマとザ・シネマ4Kでは、その「ロッキー」シリーズ全6作と、ロッキーのライバルであり親友だったアポロの息子アドニス・クリードを主人公にした新章「クリード」シリーズの第一弾『クリード チャンプを継ぐ男』(CSベーシック初放送)を5月6日に一挙放送する。この放送にあわせて、元WBA世界ミドル級王者・竹原慎二さんが自身の半生について大いに語った特別番組「『クリード チャンプを継ぐ男』「ロッキー」放送記念:竹原慎二の選択」も放送される。少年時代から、ボクシングとの出会いで人生を変えて世界王者になった竹原氏。人生を変えた父の言葉。上京。世界戦への挑戦。また、近年は癌との過酷な戦いなど……。数々の困難にも、不屈の精神で立ち向かってきた竹原氏は、まさにリアル・ロッキーとも言うべき存在だ。竹原氏自身はその言葉に「単に不良だったとか出来損ないだった、という点が一緒だというだけでしょ」と笑ってみせるが、それでも氏の言葉は多くの人の心を揺さぶるハズだ。 ★竹原慎二さんコメント 「ロッキー」シリーズは、幼少時からビデオや映画館などで観てきたという竹原氏。 <竹原さん> 「現役の時も、試合前に自分を奮い立たせるために『ロッキー』を観ていました。本当に感動や夢、すべてをくれる映画。僕の場合は高校にも行けなくて。夢も希望もなかったんですけど、そういう僕みたいな奴らが『ロッキー』や「あしたのジョー」なんかを観て、夢を抱いていたんです。ボクサーになれば、この現状を変えられるかもしれないと。今の子はどうか分からないですが、僕らの頃は、ほとんどのボクサーが『ロッキー』を観て感動していたと思いますよ」。 しかし今回の企画に挑むにあたり、改めて「ロッキー」シリーズを鑑賞し直してみたところ、その印象に変化があったという。 ■『クリード チャンプを継ぐ男』&「ロッキー」シリーズ特別番組情報 『クリード チャンプを継ぐ男』「ロッキー」放送記念:竹原慎二の選択放送日:5月6日(月・休) 20:45~/5月18日(土) 20:45~元ボクシング世界王者・竹原慎二氏。リアル・ロッキーが「ロッキー」シリーズと自身の半生を語り尽くす! 番組情報はコチラ 番組を視聴するにはこちら ■「『クリード チャンプを継ぐ男』「ロッキー」放送記念:竹原慎二の選択」 放送記念プレゼントキャンペーン! ★竹原慎二さん格言付き直筆サイン入り色紙を3名様にプレゼント! ザ・シネマのWEBサイトプレゼントページより応募ください。※ザ・シネマの会員「ザ・シネマメンバーズ」へ会員登録(無料)が必要です。応募期間:2019年4月23日(火)~2019年5月31日(金) プレゼント応募先ページはコチラ 番組を視聴するにはこちら
-
NEWS/ニュース2019.04.17
『町山智浩のVIDEO SHOP UFO』で 4月『ロールスロイスに銀の銃』、5月『ビーチレッド戦記』の放送が決定! LAから!町山智浩さん直筆サイン入りトートバックをプレゼント!
ザ・シネマの人気オリジナル番組『町山智浩のVIDEO SHOP UFO』は、ビデオショップ店長に扮したLA在住の映画評論家・町山智浩さんが激レア作品を厳選し、映画本編とその前後に町山さんの圧倒的な知識量による徹底解説がつく番組をLAからザ・シネマがお届けしています! また放送にあわせ、番組ロケ現場であるロサンゼルスにあるビデオショップのトートバッグ(町山さんのイラストの直筆サイン入り)を10名様にプレゼントします。 プレゼント応募先ページはコチラ ■4月5月の『町山智浩のVIDEO SHOP UFO)』番組詳細 4月~『ロールスロイスに銀の銃【町山智浩撰】』放送日: 4月29日(月)深夜03:15~/5月9日(木)深夜01:30~黒人監督の先駆者による刑事ものブラックスプロイテーションは『バッドボーイズ』の原点か?番組情報はコチラ 『ビーチレッド戦記 【町山智浩撰】』© 1967 METRO-GOLDWYN-MAYER STUDIOS INC.. All Rights Reserved ---------------------------------------------- ■ザ・シネマ『町山智浩のVIDEO SHOP UFO』の4月、5月放送にあわせてプレゼントキャンペーン実施! 番組ロケ現場であるロサンゼルスにあるビデオショップのトートバッグ(町山さんの可愛いイラストの直筆サイン入り)を10名様にプレゼント!A4サイズも入ります。※デザインはお選びいただけません。 ザ・シネマのWEBサイトプレゼントページより応募ください。 ※ザ・シネマの会員「ザ・シネマメンバーズ」へ会員登録(無料)が必要です。 応募期間:2019年4月17日(水)~2019年5月31日(金) プレゼント応募先ページはコチラ 番組を視聴するにはこちら
-
COLUMN/コラム2019.04.02
アメリカの現実を投影したディストピア世界を描く低予算B級ホラー・アクション・シリーズ
‘13年の夏、アメリカで一本の低予算ホラー・アクション映画が予想外の大ヒットを記録する。タイトルは『パージ』。バジェット300万ドルに対して、公開週末の興行収入はナンバー・ワンの2500万ドル。最終的な世界興収は8900万ドル以上に達した。以降もシリーズ化されて人気を博し、スピンオフ的なテレビシリーズまで作られることに。B級ホラー映画を得意とする制作会社ブラムハウス・プロダクションにとって、『パラノーマル・アクティビティ』(’09)や『インシディアス』(’10)に続く看板シリーズとなった。 シリーズ全作に共通する基本設定は下記の通りである。 経済悪化や犯罪率の上昇などで社会が混乱した近未来のアメリカ。この機に乗じて政権を掌握した「新しい建国の父」なる政治組織が全体主義的な統治支配を行い、大衆の不満の捌け口としてパージ(粛正)法を施行する。これは年に一度、3月21日の夜7時から翌朝7時までの12時間だけ、殺人や強盗、レイプなどの凶悪犯罪を合法化するというもの。その間、警察も病院も消防署も一切機能しない。ただし、政府要人などランク10以上の特権階級はパージの対象外で、もし彼らに危害を加えたら重罰に処せられる。よって、広範囲に被害が及ぶ可能性のある爆弾や細菌兵器などの使用は不可。このパージ法によって失業率は1%にまで低下し、犯罪率も過去最低を更新。かくして、アメリカは暴力のほぼ存在しない平和で安定した社会を実現した…というわけだ。 「人間はもともと暴力的な生き物。内なる攻撃性を解き放つことで、国民の精神を健全化する」というのがパージ法の目的なのだが、しかしそれはあくまでも表向きの大義名分に過ぎない。アメリカ政府の本当の狙いは、富裕層による富の独占と国民の分断だ。パージへの参加・不参加は個人の自由。参加者はおのおの武器を手にして殺人や略奪などの「狩り」に出かけ、不参加者は屋内に立て籠もって朝が来るのを待つ。おのずと武器やセキュリティシステム、各種保険などの必需品が毎年飛ぶように売れ、特定の企業や業界が莫大な利益を上げ、権力者たちも多額の政治献金によって懐が潤うことになる。 その一方で、十分な武器やセキュリティを確保できない中流以下の庶民は当然ながら命の危険に晒される確率が高く、中でも無防備にならざるを得ない貧困層は格好のターゲットにされる。ではなぜ民衆はパージ法反対のために立ち上がらないのか?これは、今回残念ながらザ・シネマでは放送されないシリーズ第3弾『パージ:大統領令』(’16)で明らかにされるのだが、実は「新しい建国の父」のバックに保守系キリスト教団体が付いており、「宗教」と「愛国」を盾にしたプロパガンダで国民を洗脳し抑圧している。それゆえ、ナチ政権下のドイツの如く、反政府レジスタンスは表立った活動ができないのだ。いずれにせよ、一般の庶民同志に殺し合いをさせて支配層への不満をガス抜きし、ついでに貧困層の人口を減らすことで社会福祉予算を大幅に削減できる。まさに一石二鳥のシステムと言えるだろう。 さながら、21世紀アメリカの現実を投影したかのようなディストピア。監督・脚本を手掛けたのは『交渉人』(’98)や『アサルト13 要塞警察』(’05)などアクション映画の脚本家として知られるジェームズ・デモナコだ。1作目の初稿を書き上げた当初、彼は周囲から「こんな反米的な内容の暴力映画、絶対に受けるはずがない」と猛反対されたという。自身も本シリーズを「反米的」と認める監督は、しかし「僕は自分の国を愛している。でも今の我々は狂っている」と1作目公開当時のインタビューで告白している。 「ウォールストリートを占拠せよ」の抗議運動によって不公平な富の再分配や経済格差の拡大が大きな社会問題となり、バージニア工科大学やサンディフック小学校など全米各地で発生する銃乱射事件の頻度が増す一方だった1作目公開時のアメリカ。もともと銃規制賛成派でリベラル寄りのデモナコ監督は、そんなアメリカ社会の在り方に強い憤りを覚えていた。また、’05年にハリケーン・カトリーナが米南東部を襲った際の、アメリカ政府のあまりに杜撰で不十分な対応にも怒りを禁じえなかったという。そうした権力や社会への不信感が『パージ』シリーズ制作の原動力になっているようだ。 第一弾『パージ』の舞台は富裕層が暮らす高級住宅街。主人公はセキュリティ会社のエリート・セールスマン一家。言ってみれば、パージ法の恩恵に与って財を成した搾取側の人々だ。最新のセキュリティシステムを完備した大豪邸に暮らす彼らにとって、パージの夜の虐殺も略奪も対岸の火事。自分たちには直接関係がないものと高をくくっているのだが、しかしふとした出来事から暴力集団の家宅侵入を許してしまい、絶体絶命の危機に陥ることとなる。 さらに本作では、富裕層の中にもあるヒエラルキーに着目し、高級住宅街における隣近所の格差に由来する憎悪と嫉妬を浮き彫りにしていく。いったんパージ法のような権力の理不尽を許してしまえば、たとえ支配者側についていても身の安全は保障できないし、いつ自分たちが弱者へ転落して犠牲を強いられることになるかも分からない。「今がよければ」「自分さえよければ」という浅はかで利己的な考え方は、いずれブーメランとなって我が身に返ってくる。暴力と憎悪の蔓延する世界では、誰もがそれと無関係ではいられないのだ。 続く第2弾『パージ:アナーキー』では、舞台が貧困層の人々が暮らす下町へと移り、パージの晩に逃げ場を失った貧しい男女5人のサバイバルが描かれる。1作目の主人公が白人一家であったのに対し、こちらは白人・黒人・ヒスパニックの多人種構成(母娘役のカーメン・イジョゴとゾーイ・ソウルは肌の色が薄いもののアフリカ系)。あくまでもテーマの焦点は人種問題ではなく階級問題なのだが、しかしデモナコ監督自身も「結果的に人種と階級は切り離せない」と語るように、貧困層になればなるほど人種的マイノリティが増えることは避けられない。 ウォルター・ヒル監督の『ウォリアーズ』(’79)からインスピレーションを得たという『パージ:アナーキー』。お互いに助け合いながら、獲物を探すパージャー(パージ参加者)たちがうごめく真夜中のスラム街を駆け抜ける主人公たち。そんな彼らが中盤で武装集団に拉致され、とある場所へと連れていかれる。そこは、なんと白人富裕層たちが人間狩りを楽しむ狩猟場だった…! というわけで、あからさまに分かりやすい超格差社会のメタファーに、少なからず苦笑いさせられることは否めないが、この下世話なくらいにベタな社会風刺こそが『パージ』シリーズの醍醐味でもある。そもそも、シリーズの基本姿勢は低予算のエクスプロイテーション映画。デモナコ監督は古いハリウッドB級娯楽映画の伝統に倣ったと語っている。かつて、ドン・シーゲルやサミュエル・フラーといった職人監督たちは、生活のためと割り切って低予算B級映画の仕事を引き受けたわけだが、実のところ西部劇やアクション活劇といった純然たる娯楽映画を撮りつつ、その中に政治的なメッセージや社会的なテーマを盛り込むことが少なくなかった。『パージ』シリーズもその延長線上に存在するというわけだ。 映画とは時代を映す鏡でもある。「願わくは、(『パージ』シリーズが)『ソイレント・グリーン』のように、まるで荒唐無稽な話だと受け止められるような社会であって欲しい。それが理想だけれども、悲しいことに現実はそうでない」とも語っているデモナコ監督。その後も、まるでトランプ大統領の出現を予感したかのような第3弾『パージ:大統領令』(2020年大統領選へ向けたトランプ陣営のスローガン「Keep America Great(米国を偉大なままに)」まで登場する)、パージ法の始まりを描いた前日譚『パージ:エクスペリメント』(‘18・’19年6月に日本公開予定)と続き、より人間ドラマにフォーカスしたテレビシリーズ『パージ』(’18~)も登場。監督は公開時期未定の次回作映画でシリーズに終止符を打つと公言しているが、果たしてそれまでにアメリカ社会はどのような変化を遂げているのだろうか。■ ▼放送情報はコチラから。 『パージ』 (2013年公開) 『パージ:アナーキー』 (2014年公開) 『パージ:大統領令』(2016年公開) ▼関連情報 映画『パージ:エクスペリメント』6/14公開記念、 ザ・シネマで6/5(水)、6/14(金)、6/29(土)に 「パージ」シリーズ一挙放送!プレゼントキャンペーンも実施!